もっと奈良を楽しむ
山の辺の道とグルメの融合で
ハイキングのお楽しみ倍増!
取材先 「天理市トレイルセンター」
オシャレで便利な休憩スポットに
共に日本最古の神社に数えられる大神神社(桜井市)と石上神宮(天理市)の間に古道の名残をとどめる山の辺の道。そのほぼ中間地点、龍王山への登山道と交わるポイントに立つ「天理市トレイルセンター」が、従来のハイカーたちの無料休憩所や散策の情報収集基地としての枠を越え、女性グループなどの憩いの場やドライブ途中の立ち寄りスポットとして大にぎわいを見せている。
その秘密は、2017年春の大胆なリニューアルに隠されていた。
ゆったりくつろげる無料の休憩スペース
大和青垣の豊かな緑を借景に、33面もの大量の三角縁神獣鏡が出土した黒塚古墳をはじめ、大小の初期天皇陵を見晴らす丘の上。テラス席を配した温かみのあるウッディーな外観がそんなロケーションに溶け込むトレイルセンターは、一見、リゾート地のオシャレなレストランのよう。
一歩中に入れば開放感ある空間が広がり、無料休憩所とは思えないカラフルなソファが出迎えてくれる。もちろんその座り心地は満点。
アクティビティの相談は観光コンシェルジュにお任せ
県内産の特産品に囲まれた中央のカウンターには観光コンシェルジュが常駐する。観光案内はもちろん、散策コースや山の辺の道の紹介、各種パンフレットの提供など、アクティビティのちょっとした疑問はここでなんでもお任せだ。
周辺史跡の紹介コーナーの埴輪(レプリカ)には触ることもできる
見どころもある。前方後円墳などが密集する周辺地域の特性と歴史を紹介するコーナーには、船の精巧な線刻画で知られる鰭(ひれ)付楕円筒埴輪のレプリカ(東殿塚古墳出土)などを展示。また、奈良県磯城郡桜井町(現桜井市)に生まれた文人・保田與重郎が郷里の"大和"に捧げた業績を紹介するコーナーにも力を入れている。
本格グルメがハイキングを変える!?
そうしたリニューアルの中でもっとも話題なのが、センター奥にオープンしたレストラン「洋食Katsui 山の辺の道」の存在。大阪市内の人気店が山の辺の道に新たな店舗を構えたのは、料理長兼オーナーの勝井氏が郷里の柳本に店舗を持つこと、そして、その魅力発信の一助になることを目標としていたゆえなのだとか。
レストラン「洋食Katsui山の辺の道」山の辺の道とグルメの融合で ハイキングのお楽しみ倍増!天理市トレイルセンタースタッフみんなで「お待ちしています!」
メニューは自信作ばかりをセレクト。ビーフシチュー(2,000円)や九州産の黒毛和牛を使ったロースの塩焼き(2,400円/いずれもごはん・豚汁・サラダ付き)など本格派ぞろい。ハムやドレッシングも手作りというこだわりぶりだ。紀州産の穴子のフリット(400円)やベシャメル春巻き(300円)といったオリジナル一品も豊富で、生ビールとともに優雅に過ごす姿もちらほら。
メニュー レストラン「洋食Katsui山の辺の道」 山の辺の道とグルメの融合で ハイキングのお楽しみ倍増!天理市トレイルセンター メニュー レストラン「洋食Katsui山の辺の道」 山の辺の道とグルメの融合で ハイキングのお楽しみ倍増!天理市トレイルセンター カップルや女性グループらが目当てにするのはペアランチ。サラダ・ガーリックトースト・フライ盛り合わせ・黒毛和牛ロースの網焼き・ごはん・豚汁のボリュームに本日のジェラート付きで1人前1,800円のリーズナブルさ。幅広い層がランチスポットとして支持するのも納得だ。
大きな窓から、古道が貫く歴史的田園風景が見晴らせる店内はビストロを思わせる優雅な雰囲気。ところが、無料休憩所と仕切りひとつない開かれた構造ゆえか、肩肘張ることなくリラックスして食事を楽しむことができる。
午後の行程を変更して、食事に舌鼓を打って帰路につくハイカーも増えているとか。レストランと公共施設が見事に調和する同センターの登場で、ハイキングの途中でランチをゆったり味わうという"ニュースタイル"が定着しつつあるのかもしれない。
季節のイベントも盛りだくさん
テラス席 山の辺の道とグルメの融合で ハイキングのお楽しみ倍増!天理市トレイルセンター自然に溶け込んだテラスデッキ
施設内のオープンスペースやレストランでは、各種展示や演奏会といったイベントも多数開催。テラスにビュッフェを展開した"ピクニックランチ"で外国人のハイカー団体をもてなすなど、山の辺の道のロケーションと洋食Katsuiのコラボならではのユニークなプランも手がける。
また、現在親しまれている基本のハイキングコースに加え、例えば「古墳をじっくり巡るコース」や「ちょっぴり寄り道を楽しむコース」など、新しい散策コースの提案も準備中。新コースを歩くウイークリーを設定するなど、期間限定のイベントなどを通じて推進していく予定だ。
そうした企画・運営の中心となるのが観光コンシェルジュたち。メンバーは地元・奈良県出身者、東京や大阪からの移住者などで、住んでいたから実感できた魅力、外の視点ゆえに発見できた魅力など、多角度のアプローチで山の辺の道を、古墳群が連立する柳本周辺を、そして奈良大和をアピールする。
ハイカーたちが休息のため、ほんの少し足を止める場でしかなかったセンターが、今では朗らかな会話に満たされる"人の集う場"になりつつある。かつて日本の中心だったこの地を、さまざまな人が行き交った遠き日々のように。
生まれ変わった同センターが、歴史文化の新たな交流拠点としてさらに飛躍することを大いに期待したい。
取材・文:宮家美樹
本文中の情報は2017年10月31日時点のものです
天理市トレイルセンター
奈良県天理市柳本町577-1
TEL 0743-67-3810
8時30分?17時(第1月曜休み)
※(注記)最寄駅 JR柳本駅
※(注記)駐車場あり
※(注記)シャワーブース(1回100円)
詳細はこちら
■しかく営業時間
- ランチ 11時?14時
- カフェタイム 14時?17時 (L.O. 〜16時)
- ディナー 17時?21時
(ディナーは木曜〜日曜、祝休のみ営業)
■しかくレストラン定休日
- 毎週月曜
■しかくメニュー
- 洋食定食ランチ(ドリンク付き/ビール、グラスワイン、コーヒー、トマトオレンジのいずれかをチョイス)
- ハンバーグステーキ/1,500円
- エビフライ/1,600円など
- ポークカツカレー/1,400円
- 牛乳のジェラート/400円
- 自家製プリン/400円
※(注記)ランチは税込み、ディナーは税別
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