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昭和8年8月 | 三重県水産試験場尾鷲支場として設置 |
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昭和28年11月 | 三重県水産試験場尾鷲分場と改称 |
昭和42年3月 | 三重県尾鷲水産試験場と改称、独立 |
昭和57年3月 | 三重県尾鷲水産試験場を古里地区に移転 |
昭和59年4月 | 三重県水産技術センター尾鷲分場と改称 |
平成10年4月 | 三重県科学技術振興センター 水産技術センター尾鷲分場と改称 |
平成13年4月 | 三重県科学技術振興センター 水産研究部尾鷲水産研究室と改称 |
平成20年4月 | 三重県水産研究所尾鷲水産研究室と改称 |
東紀州地域の重要産業である魚類養殖業の経営の安定、持続的養殖生産および健全な養殖魚の生産を目的として、適切な給餌方法や餌料組成の検討、養殖魚の品質改良、漁場環境に対する負荷の軽減、マハタ、ハギ類など、新魚種の種苗生産と養殖技術の開発などについて研究を行っています。
また、魚病の診断および予防・治療対策に関する研究を行っています。
尾鷲水産研究室では、マダイ養殖に替わる新しい魚種の開発を目的として、一般に種苗生産が困難とされ「幻の高級魚」と呼ばれるクエおよびマハタの種苗生産試験に取り組んできました。
平成8年度から性転換技術の開発、成熟促進・採卵技術の開発、飼育技術の開発(中間育成試験、養殖適性試験)などの技術開発に努めた結果、平成10年度にはクエの種苗量産化、平成11年度にはマハタの種苗量産化に成功しました。
そして、平成11年度に生産されたマハタ種苗が平成13年3月に平均全長40cm、体重1.0kgに成長したので試験的に市場出荷をしたところ、kg当りの単価で1,600円〜2,200円という、マダイ(600〜1,100円/kg)を大幅に上回る値段がつき、新しい養殖魚種として十分に市場流通することが判明しました。
県レベルでのマハタ種苗供給の試みは全国でも初めてのことでした。現在は、種苗生産技術を公益財団法人 三重県水産振興事業団へ移転し、県内の養殖業者向けの種苗の生産が行われています。養殖業者へは年間20〜30万尾の種苗が有償配布されるようになっており、熊野灘海域における新しい特産品に育ちつつあります。マハタ変態魚
マハタ変態魚 日令30 全長14mm
マハタ稚魚
マハタ稚魚 日令85 全長5cm
マハタ試験出荷魚
マハタ試験出荷魚 生後1年9ケ月
全長40cm、体重1.0kg
人間や家畜と同じように魚も病気にかかることがあり、養殖魚に病気が発生すると、業者に大きな損失を招きます。
このため尾鷲水産研究室では、養殖業者から持ち込まれた病気の魚の診断を行い、治療対策指導を行っています。
また、病気には予防が第一です。病気に対する魚の抵抗力を高めるための飼育管理手法等病気の発生の予防に関する研究を行っています。(病気の予防のための研究)
魚類養殖業の生産コストのうち飼料費が全体の60%程度と多くを占めています。近年、飼料の主原料である魚粉の高騰に伴い飼料価格が上昇しており、養殖経営を圧迫する大きな要因となっています。また、魚類養殖の産地では、柑橘類など養殖魚の肉質改善が期待できる各地域の特産品を飼料に混ぜ、ブランド魚として販売する試みも多く行われるようになっています。
このため、尾鷲水産研究室では、高価な魚粉を削減した新たな飼料の開発や、東紀州地域の特産品の柑橘類を飼料に添加することによる養殖魚の身質向上、給餌方法の改善によるコスト削減と品質の安定化等の研究を行っています。
近年は沿岸水温の上昇傾向が各地で報告されており、三重県の魚類養殖漁場においても水温が上昇している可能性があります。養殖漁場の水温は、養殖されている魚の生理状態や魚病の発生に大きく影響を与えると考えられることから、水温の変動に対応して養殖管理手法も見直していくことが必要です。
尾鷲水産研究室では、魚類養殖漁場の水温変動状況を詳細に調査するとともに、養殖漁場の水温に及ぼす陸域・外洋の環境の影響を調査し、今後の水温変動傾向を検討しています。また、水温変動が養殖魚の成長や飼料効率等に及ぼす影響を調査し、適正な飼育管理手法について検討しています。