中国人の日本語作文コンクール

近年の日本における日本語学校の急増に伴い、日本語学校へ留学する学生も増加し、国内の日本語教育に注目が集まっています。しかしながら、日本に留学をした経験のない海外の日本語学習者の日本語力については、それほど知る機会は多くありません。そこで、日中交流研究所が毎年開催する「中国人の日本語作文コンクール」の受賞作品等を特集し、海外に住む日本語学習者の日本語力や、その視点を紹介していきます。

中国人の日本語作文コンクール優秀作品の掲載に寄せて ――日本語教育情報プラットフォーム 代表世話人 石原進――

「日本語の表現力の高さにまず驚かされる。そして、言語学習を通じての日本の社会や文化についての理解の深さ、鋭さに心底感心させられます」――。これは、「中国人の日本語作文コンクールの第13回受賞作品集」(日本僑報社)に掲載された作家、石川好さんの「推薦の言葉」の一節です。まさにその通りだと感じました。
中国人の日本語作文コンクールの募集は、日本留学未経験の中国人が対象です。にもかかわらず、ここ数年は5000点前後の応募があり、しかも入賞作品はレベルの高いものばかりです。中には中国人だからこその視点も随所に盛り込まれています。どうして魅力的な作品が多いのでしょうか。 [全文を読む]

2018年3月3日、日本語作文コンクール受賞者を招き「第3回日中教育文化交流シンポジウム」が開催された

二階幹事長の「琴線に触れた」――宋妍さんの作文「『日本語の日』に花を咲かせよう」
二階幹事長の「琴線に触れた」――宋妍さんの作文「『日本語の日』に花を咲かせよう」 第13回中国人の日本語作文コンクールで最優秀賞(日本大使賞)を受賞した河北工業大学の宋妍さん。宋さんは副賞の「1週間の日本の旅」で2月26日に来日し、政官界の要人との面会や、コンクールの支援企業の訪問など、あわただしくスケージュールをこなした。 3月3日には、千代田区の日本教育会館で開かれた「第3回日中教育文化交流シンポジウム」にパネリストとして参加した。日本語をどのように勉強したのかと聞かれた宋さ...

日本語作文コンクール受賞者の作品

最優秀賞 「日本語の日」に花を咲かせよう 河北工業大学 宋妍
テーマ:「中国の『日本語の日』に私ができること」 「日本語の日」に花を咲かせよう 河北工業大学 宋妍 去年11月、日本人の先生と大学の食堂へ食べに行ったときの出来事だ。お店の前で、先生と日本語でやり取りしていると、中国人の調理師さんが興味津々でこちらをジロジロ見ていて、突然「あのう、日本人ですね。この牛肉ラーメンが一番美味しいですよ。お勧めですよ」「こちらでゆっくりお待ちください。出来上がったら、お呼びしますよ」と親切にゆっくりとした中国語で先生に話してくれた。以前は珍しい光景だったが、昨今この...
一等賞 走り続けるということ 中南財経政法大学 張君恵
テーマ「忘れられない日本語教師の教え」 走り続けるということ 中南財経政法大学 張君恵 「私の言葉を世に届けたいというキミの気持ちは、そんなものだったんだね」。中村先生の言葉が心に突き刺さった。それとともに、この半年のできごとが頭の中に、次々に浮かんでくる。 私は昨年の第12回作文コンクールで、思いがけず一等賞をいただいた。段躍中先生が言うとおり、一編の作文が私の人生を劇的に変えた。一等賞のおかげで、日本大使や上海総領事をはじめ、たくさんの方々と出会い、私の世界はどんどん広がっていった。 北京のス...
一等賞 中国の「日本語の日」に私ができること 青島大学 王麗
テーマ「中国の『日本語の日』に私ができること」 中国の「日本語の日」に私ができること 青島大学 王麗 「麗ちゃん、来週青島へ旅行に行くんだけど、よかったらちょっと案内してくれない?」 先日、日本人の友達A君から旅行の案内を頼まれました。「いろんな観光地を回りたいけど、中国語が分からなくてね」と、私をたよってきたようでした。 実は、日本語を勉強してからの3年間、私は何度もこのような依頼を受けました。「観光地に日本語の説明看板がほとんどないから、ただ見るだけで、この建物は何のために建てられたのか、こ...
一等賞 里美ちゃんへの返事 ―中国の新しい魅力「環境保護の価値観」 上海理工大学 黄鏡清
テーマ「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」 里美ちゃんへの返事 ――中国の新しい魅力「環境保護の価値観」 上海理工大学 黄鏡清 拝復 里美ちゃん お久しぶり! 最近どうしてる? 別れてもう半年経ったね。去年九月、大学の短期プログラムで来ていた里美ちゃんと一緒に過ごした日々が、昨日のことみたいだよ。一緒に授業を受けたり、食事したり、上海のあちこちを歩き回ったり、ほんとうに楽しかったよね。 里美ちゃんはこの間のメールの中でこんなことも言ってたね。 「中国って本当に広い。歴史的景観も多いし、料理も地方色が...
一等賞 故きを温ねて新しきを知る 東北大学秦皇島分校 林雪婷
テーマ:「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」 故きを温ねて新しきを知る 東北大学秦皇島分校 林雪婷 カンカン、コンコン、ダダダダン。 剣がぶつかり、影が舞う。足音が響き、棒と槍をかいくぐる。 私の故郷、広東省の掲陽市にある伝統舞踊がこの「英歌舞」だ。日本の時代劇の殺陣や中国拳法の演舞にストーリーをつけたものと言えば想像しやすくなるだろうか。そのストーリーは日本でも有名な水滸伝だ。 幼い私は、初めておばあちゃんに連れられて見に行ったとき、伝統にも舞踊にも興味がなかった。家でアニメを見たほうがいいと思...

中国人の日本語作文コンクール

(注記)本文は、第13回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2017年)より。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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