国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第29号
「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの
挙動解明を目指して」の刊行について
(お知らせ:環境省記者クラブ、筑波研 究学園都市記者会同時配付 )
要 旨
国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第29号「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの挙動解明を目指して」が刊行されました。環境省黄砂飛来情報でも活用されているライダー(レーザーレーダー)を紹介しています。
国立環境研究所では、対流圏に存在する大気粉じん(エアロゾル)やガスの高度分布状態を計測するレーザーレーダーの開発とその応用研究を1970年代から行ってきました。大気粉じんの長期連続観測への実用化を目指し、ライダーの自動化や小型化を図ってきた研究開発の過程は、国立環境研究所がこの分野をリードしてきた歴史でもあります。2001年から国内外に整備を始めたNIES(国立環境研究所)型ライダーによる観測ネットワークは、モンゴル、中国、韓国、タイに展開し、現在19カ所の規模になっています。それらのネットワークデータは、欧州や米国が展開するライダーネットワークとの連携により、地球温暖化にも関係する全球的なエアロゾルの分布データの共有化という形に発展しつつあります。また、固定局での観測のみならず、船、飛行機、衛星などいろいろなプラットホームに装置を搭載し、地球規模のエアロゾル観測への応用や、煤や硫酸塩エアロゾルなど多種類のエアロゾルを判別できる次世代型ライダーの開発など、ライダー観測研究の現在・将来動向などについても紹介しています。
1 第29号の内容
第29号では、ライダー(レーザーレーダー)の開発やそれを使った観測研究、関連する世界的動向などを紹介します。
国立環境研究所が取り組んでいるライダーの開発・応用に関する研究目標は、地上から高度約15kmまでの大気中に存在するエアロゾルやガスの変化をリアルタイムで、しかも無人運転による長期連続観測を可能にすることです。環境省の黄砂飛来情報ホームページに恒常的にデータ提供できるまでにライダー観測システムを実用化できたことは、研究成果の社会貢献の好例となっています。 この実用化までの過程、現在取り組んでいるモデル同化研究(例えば、黄砂や大気汚染粒子の飛来予測精度の向上)や次世代型ライダーの目指す目標(エアロゾルの種類の識別及びそれぞれの濃度分布測定精度の向上)などについて、担当研究者グループのインタビューを交えて分かり易くまとめているほか、地球温暖化に関係する全球レベルのエアロゾル観測に貢献するライダーネットワークの国際的な連携動向についても解説しています。アジア最大規模の国立環境研究所のライダーネットワークから提供される観測データは、現在、世界から注目されています。
[画像:環境儀第29号「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの挙動解明を目指して」]
内容は、
(1) 研究担当者へのインタビュー
- 杉本 伸夫(すぎもと のぶお)
大気圏環境研究領域遠隔計測研究室長 - 松井 一郎(まつい いちろう)
大気圏環境研究領域遠隔計測研究室主任研究員 - 清水 厚(しみず あつし)
アジア自然共生研究グループ主任研究員
「ライダー観測技術の進歩とエアロゾルの動態解明」
(2) 『ライダーネットワークでの同時連続観測とデータの解析・活用』ほか、『ライダーによるエアロゾル観測』『広く活用される観測データ』『ライダー装置の変遷』などについてのコラム等
2 閲覧・入手についての問い合わせ先
連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)
(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ
バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/