概 要
国立環境研究所では、このほど以下の6編の報告書をとりまとめたので公表します。
(1)環境ホルモンの分解処理要素技術に関する研究(平成11〜14年度実施)
ダイオキシン類や、ビスフェノールAによる土壌汚染修復技術を開発するため、物理的手法、化学的手法、生物的手法の観点から選び出した個別の対策技術に関して基礎的検討を行った。
(2)ダイオキシン類の新たな計測手法に関する開発研究(平成12〜14年度実施)
ダイオキシン類のモニタリングの定常化、きめ細かいリスク管理と非常時における迅速な対応を可能にするため、分析時間の短縮、分析者の負担低減、分析コストの削減を目的としたダイオキシン類分析の簡易化のための検討を行った。
(3)ダイオキシン類の体内負荷量及び生体影響評価に関する研究(平成12〜14年度実施)
ヒトがダイオキシン類にどの程度曝露されており、またそれによってどの程度影響があるかについてはほとんど分かっていない。ヒト(特に妊婦、胎児、新生児)でどの程度のダイオキシンの体内負荷量があるのか、どの程度の生体影響のリスクがあるのかを明らかにするための検討を行った。
(4)干潟等湿地生態系の管理に関する国際共同研究(平成10〜14年度実施)
干潟・湿地生態系は鳥類の生息地,越冬地・中継地として国際的に重要な生態系であり、その維持管理は急務である。干潟の特性を全国レベルで捉えるとともに、我が国を含むアジア、極東地域における干潟・湿地の保全及び持続的利用のために必要とされる科学的知見を得て、干潟・湿地生態系の環境影響評価手法を確立するための研究を実施した。
(5)大気汚染・温暖化関連物質監視のためのフーリエ変換赤外分光計測技術の開発に関する研究(平成12〜14年度実施)
近年、米国や日本において二酸化炭素の排出量・吸収量の分布推定のための人工衛星観測が提案されている。衛星観測で不可欠な検証を行うために、衛星観測と同一の物理量を地上あるいは航空機等から高い精度で測定することが求められる。フーリエ変換赤外分光計測技術は、低いコストで、多くの地点で時間を追って検証を行う手段として優れているため、この手法により、大気微量成分の高度分布等の測定を行った。
(6)海域の油汚染に対する環境修復のためのバイオレメディエーション技術と生態系影響評価手法の開発(平成11〜14年度実施)
油流出事故などで汚染された海岸の浄化は、汲取り等の物理的手法や薬剤による化学的手法が用いられてきたが、近年、汚染現場に生息する石油を分解する微生物を用いた環境修復法、いわゆるバイオレメディエーション法の適用が検討されている。しかし、我が国の現場において本手法が、学術的に評価された事例は皆無である。そこで、我が国の沿岸部における現場試験により、その有効性と影響について調査・実験を行った。
1 公表する報告書の名称及び担当
(1)環境ホルモンの分解処理要素技術に関する研究
担当:循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 安原 昭夫
(2)ダイオキシン類の新たな計測手法に関する研究開発
担当:化学環境研究領域 伊藤 裕康
(3)ダイオキシン類の体内負荷量及び生体影響評価に関する実験
担当:環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト 米元 純三
(4)干潟等湿地生態系の管理に関する国際共同研究
担当:生物圏環境研究領域 野原 精一
(5)大気汚染・温暖化関連物質監視のためのフーリエ変換赤外分光計測技術の開発に関する研究
担当:大気圏環境研究領域 中根 英昭
(6)海域の油汚染に対する環境修復のためのバイオレメディエーション技術と生態系影響評価手法の開発
担当:流域圏環境管理研究プロジェクト 牧 秀明
2 報告書の要旨(別添のとおり)
課題(1) 環境ホルモンの分解処理要素技術に関する研究
課題(2) ダイオキシン類の新たな計測手法に関する開発研究
課題(3) ダイオキシン類の体内負荷量及び生体影響評価に関する研究
課題(4) 干潟湿地生態系の管理に関する国際共同研究
課題(5) 大気汚染・温暖化関連物資監視のためのフーリエ変換赤外分光計測技術の開発に関する研究
課題(6) 海域の油汚染に対する環境修復のためのバイオレメディエーション技術と生態系影響評価手法の開発
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