風力発電は、中長期的に大規模な導入が期待されていますが、我が国の厳しい気象条件の中で長期間、安定的に発電事業を行うためには、風車の信頼性のみならず、発電効率の向上やメンテナンスの高度化などの技術開発による一層の発電コストの低減が求められています。また、洋上風力発電の国内外の市場の拡大をにらんだ、産業競争力の強化が重要な課題となっています。
風力発電コストについては、設備利用率の違いによる部分もあるものの、資本費及び運転維持費は他国と比較して高い水準にあります。特に洋上風力発電においては、先行する欧州と気象・海象条件や船舶等のインフラが異なることから、技術的な課題や設置に係わる費用が高コストになり、導入が停滞しています。
そのため、本事業では風力発電に係る我が国の課題を克服し、一層の低コスト化に資するイノベーティブな技術開発を行うことで、風力発電の導入拡大及び産業競争力の強化に資することを目的とし、これまでに着床式洋上風力の設置、運転、保守等の実証事業及び洋上風力発電導入ガイドライン等の整備を行ってきました。また、国内風車の停止時間(ダウンタイム)縮減及び運転維持コストの低減、発電量向上を目指した技術開発、さらに風車部品産業界の国際競争力向上に資する技術開発等を行うことで発電コストの低減を目指してきました。
現在は、着床式洋上風力発電における施工技術開発や、浮体式洋上風力発電における発電実証に取り組み、さらなるコスト低減を実現することで我が国における洋上風力発電の着実かつ飛躍的な導入拡大を目指しています。
石原 孟(東京大学大学院工学研究科 教授)
本事業の成果によって、低コスト及び高効率、信頼性、耐久性の高い風車の開発を実現し、我が国における国内風車産業強化につなげ、国内のみならず海外も視野にいれた市場の拡大を通し、低炭素社会の実現に資する。
浮体式洋上風力発電において、着床式洋上風力発電並みの発電コストまで低減させることで、2030年以降に浮体式洋上風力発電の飛躍的な導入拡大が見込まれる。
低コスト施工技術が国内における開発計画中の着床式洋上ウィンドファームに適用されることにより、約9,000億円の市場規模が創出される。
事業期間・予算額 | 事業期間:2008年度〜2025年度、予算額:17.7億円(2024年度) |
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技術・事業分野 | 風力発電 |
プロジェクトコード | P14022 |
担当部署 | 再生可能エネルギー部 (TEL:044-520-5270) |
2023年度事業の成果について資料を掲載いたします。
テーマ名 | 発表事業者 |
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PDFNEDO事業紹介(3.3MB) | NEDO 新エネルギー部 風力・海洋グループ |
PDF着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業(洋上風況マップ改定に向けた基礎調査)(3MB) | 一般財団法人日本気象協会 |
PDF洋上風況観測にかかる試験サイトのモデル検討・構築(2.8MB) | 国立大学法人神戸大学 |
PDF大型風洞設備による浮体式風車ウエイク現象の評価技術の研究開発(1.8MB) | 国立大学法人九州大学 |
PDF風車ウェイクの観測および評価手法の検討に関する研究開発(2MB) | 東芝エネルギーシステムズ株式会社 |
PDF洋上風力発電による水産生物への生態影響に係る基礎調査(1MB) | 公益財団法人海洋生物環境研究所 |
PDF洋上風力発電低コスト施工技術開発(硬質地盤におけるロータリー式パイルトップドリリング及び杭頭水中測量システムの施工技術実証)(4.9MB) | 深田サルベージ建設株式会社 |
PDF洋上風力発電低コスト施工技術開発(サクションバケット基礎施工技術実証)(1.1MB) | 日立造船株式会社/東洋建設株式会社 |
PDF次世代浮体式洋上風力発電にかかる国内外の技術開発および認証制度についての動向調査(1.8MB) | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
PDF次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)(5.7MB) | 丸紅株式会社/丸紅洋上風力開発株式会社 |
PDFGI基金事業/洋上風力発電の低コスト化 フェーズ2のご案内(1.4MB) | NEDO 新エネルギー部 風力・海洋グループ |
最終更新日:2024年8月15日