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運輸技術の分野は鉄道、自動車、船舶、港湾、航空、気象、海上保安等広範囲に渡っており、その技術開発課題は最近の経済・社会情勢の変化により多様化して きている。これらの技術開発課題の中には、その解決に当たり民間の自主的な技術開発努力には期待し難いもの、多くの技術分野を横断的に統合する必要のある もの、さらには緊急に解決しなければならないものが多く、その数も年々増加している。こうした技術開発課題に取り組み、そのための研究開発を円滑に進める ためには、国側の技術力を結集すると共に、大学、民間等の技術力をも積極的に活用し、産学官が一体となった総合的な研究体制を組織していく必要があり、 先導的または波及的性格を有し技術水準の向上に著しく寄与するものについて支援を行っている。
現在の運輸技術に関する研究開発等を巡る状況については、政府全体における技術研究開発のあり方についての「第三期科学技術基本計画(PDF形式)」(平成18年3月閣議決定)に則って推進されているが、当
該計画においては、?@「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」、?A「人材育成と競争的環境の重視〜モノから人へ、機関における個人の重視〜」、
を基本姿勢として、
3つの基本理念(「人類の英知を生む」、「国力の源泉を創る」、「健康と安全を守る」)の下で目指すべき具体的な政策目標を設定して、投資の選択と集中の
徹底による限られた財政資源の有効活用
(多様な知と革新をもたらす基礎研究の推進、政策課題対応型研究開発における重点化等)、科学技術人材の育成・確保・活躍の促進(若手・女性・外国人研究
者など個々の人材が活きる環境の形成、大学の人材育成機能の強化
等)などの方針が示され、関係者に、より質の高
い科学技術活動の展開を求めている。
また、第3期期間中に重点投資する対象を「戦略重点科学技術」として位置づけることとしており、選定の視点の一つに、「近年、安全・安心を脅かしている社
会的な重要課題に対して迅速・的確に解決策を提供する社会的な技術」が挙げられている。
運輸技術に関する開発課題は、このような近年急速に強まっている社会・国民のニーズ(安全・安心面への不安等)、あるいは技術水準の急速な発展を背景とし
て、厳しい経営の続く事業の構造改革の
重要な手段、事故やテロのない安全・安心な旅客・貨物輸送の要請、環境やエネルギー問題への対応等、各観点からの技術開発課題が山積し、また、その解決へ
の期待
も高い。このように、運輸技術開発施策を巡る状況は質的にも量的にもその対応必要性が高まっているところである。
具体的には、近年、安全・安心な社会の構築やわが国経済の活性化に資する準天頂衛星測位システムの基盤技術開発、陸・海・空の交通機関の安全性向 上の ためのヒューマンエラー事故防止技術の開発、交通機関におけるテロ対策強化のための次世代検査技術の開発、 災害時の複数輸送モードにわたる緊急・代替輸送を支援するシステムの開発等運輸全般に係る技術開発プロジェクトがますます増加している。
さらに、国の政策評価の分野では、技術開発課題の場合「国の研究開発評価の大綱的指針(PDF 形式)」(平成17年3月内閣総理大臣決定)の適用を受けるため、通常の評価観点に加え、より高度に専門的な視点からの評価を実施する必要があるととも に、国の研究開発機関及び独立行政法人の評価も実施する必要がある。