PPGvol.6 交通分野における新たな課題
趣 旨:
時代の転換期ともいえる現在の状況下で、交通をとりまく環境も大きく変化している。
また、変化の中で、新たに生じてくる生活様式や経済活動を支援するため、人々の交流や連携、モノの移動等を支える交通基盤の役割は増大している。そこで、こうした時代背景を踏まえ、将来の総合交通政策の展開に資するため、我が国の交通基盤整備における課題等の整理・検討を行った。
手 法:
将来の総合交通政策の方向性について幅広い分野からの知見を集めるため、「交通をとりまく状況の変化に伴う交通ニーズへの対応」「効率的な物流活動を支える交通施策」「交流連携による地域の活性化への対応」の大きな3つの視点で、それぞれ3〜4テーマ、計10テーマを設定し各1回づつ研究会にて検討し、交通・輸送サービスの利用者やこれを提供する事業者の立場から、あるいは、情報化や環境等の交通をとりまく諸条件の変化とその影響から重要と考えられる課題を提起した。
テーマ一覧:
1.交通をとりまく状況の変化に伴う交通ニーズへの対応
?@情報化の現状と交通
?A国際競争力向上のための国際人流の課題
?B環境NPOからみた交通
2.効率的な物流活動を支える交通施策
?C効率的な国内物流に向けた交通課題、
?D国際分業による企業活動を支える国際物流の課題
?E効率的な物流活動を支える交通施策
3.交流連携による地域の活性化への対応
?F観光、あるいは旅行業の変遷と今後の方向性
?G連携の拠点としての中心都市の交通課題
?H交流・連携とバリアフリー
?I地域連携・交流に必要なもの
内 容:
1.交通をとりまく状況の変化に伴う交通ニーズへの対応
交通をとりまく時代潮流として、「高度情報化」、「国際化」、「環境」の3つのテーマを取り上げて議論を行った。情報化については、これにより交通需要が代替されるとの議論もあったが、身障者の雇用拡大などの効果がでている例もあるものの、交通需要の減少には直結していない現状が指摘された。また、国際化への対応として、国際人流を呼び込むために必要な交通基盤について海外との比較により検討したほか、環境NPOからみた交通についての議論を行った。
2.効率的な物流活動を支える交通施策
我が国の経済においても重要な課題である物流についての検討を国内・国際の両面から検討を行った。物流については、高コスト、グローバル化への対応などの課題を受け、物流構造改革が掲げられ、サードパーティーロジスティクスのようなビジネスが現れるなどの物流効率化へ向けた動きが進んでいるが、共同配送の進展などの課題も散見される。また、国際物流におけるハブ拠点についても、企業における国際分業体制の構築を受けて、形成されている現状を踏まえた指摘などがなされた。
3.交流・連携による地域の活性化への対応
第5次の全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」において、個性的な地域づくりのため、多様な主体の積極的な「参加」と広域的な発想による「連携」が重要となっていることが示されている。そこで、地域間の連携と、人々の交流について、観光、中心市街地の活性化、バリアフリーなどの面から検討を加え、地域の魅力の創出、自動車だけでない交通、遠慮なく移動できる環境の整備などの課題が提起された。