埼玉県を中心とした中小企業向け情報を発信しています
会社概要
来ハトメ工業株式会社 所在地 八潮市
資本金 3,000万円
従業員数 34名
創業 1946(昭和21)年3月
2023年度売上高 756百万円
省エネの
課題
・2008年に環境活動を開始する前は年間400t以上のCO2を排出し、何も対策をしていなかった。
・2010年に環境活動スタート。2012年に電力のデマンド監視装置を導入し、電力の「見える化」から着手。
・2014年に炭化水素洗浄機を更新し、CO2は削減されたが、デマンドが高止まりしていて、空調の対策に課題がみえた。
→電力の使用量と夏場のピーク電力が増えて電力料金が増えている。ピーク電力の目標290kW
→夏場:冷房専用エアコン、冬場:灯油暖房を利用、更新は極めて困難だった。
コンプレッサー関係の省エネについても取り組んでいなかった。
省エネ対策への検討
・平成29年、長期CO2排出削減目標達成に向け工場用電力をグリーン電力へ
・平成29年、省エネお助け隊(当時は省エネ地域プラットフォーム)に相談し、空調の省エネを実施
・翌平成30年には、コンプレッサーの対策についてアドバイスをもらった
具体的な取組
【空調設備】
1FF式暖房機のフィルターを清掃(暖房開始使用前に実施)
2FF式暖房機の熱交換器の清掃
⇒3令和3年度補正予算省エネ補助金へ挑戦(2022年)し、FF式暖房機を廃止し、エアコンを設置。
【コンプレッサー】
1工場内のエアー配管の漏れの確認
機械が止まっている時間にエアー漏れの音がしている場所はないかを確認。 ⇒環境経営計画として実施
2コンプレッサーの吐出圧の見直し
空気配管系統はエアブロー、遠心分離機が主流で高い圧力を必要としない。吐出圧力の見直し。
⇒吐出圧を0.1MPa下げた場合約4〜8%の電力使用量低減(省エネ)効果あり
3吸込み空気の温度低減
コンプレッサー室内温度が外気温より高いので吸引口を建屋外に設置し、吸込み空気温度の低下。
吸込み空気温度を30°C➡10°Cまで低下させると約3%の省エネが期待できる。
グラフ
灯油暖房廃止、社用車2台→1台に削減が奏功し、遂に夢の3tCO2/年 台へ削減。
今後の検討課題
2030年に向けて、さらなる削減の余地がないか検討していく。
特にLPGを使用している機器 (湯沸し器、フォークリフト)の電化を最優先として進めていく予定。
メッセージ
1まずは「見える化」から
グラフなどで自社のCO2排出状況を可視化して取り組む場所を明確にしてみては?
➡「円グラフづくり」がオススメです。
2機器更新・排出係数見直しこそ最強の削減策
機器更新時が最大のチャンス!特に直接燃焼から電気に置き換えられる機器が狙い目
また、電力購入先見直し時には排出係数を必ずチェック!
➡現有設備の使用エネルギーと排出係数に関心を持つことが大切。
3「最後の切り札」フル活用
専門家の高い知見が得られるプラットフォームなどの支援事業は省エネ(脱炭素)へのまさに最後の切り札。
➡上手に活用しハッピーな2030年を!
会社概要
[画像:七越製菓]
株式会社 七越製菓 本社・工場 さいたま市中央区
資本金 1,000万円
従業員数 63名
創業 1984年
事業内容 米菓製造・卸売・販売(本社売店・武蔵浦和店・オンラインショップ)
HPアドレス https://www.nanakoshi.co.jp/
省エネの課題と取組
・米菓子を中心に、手揚げもち、せんべい、おかき等を製造している。
・食品製造業として光熱費が製造原価に対して大きなウエイトを占めているため、光熱費を抑えることが原価削減につながる。特に、光熱費や原材料が高騰している中、価格転嫁を回避するには、固定費の削減が必須である。
・光熱費の削減に対し、経理、税理士への相談からスタートし、埼玉県よろず支援拠点への相談に行きついた。
・埼玉県よろず支援拠点では、まず課題を発見するために、埼玉県の省エネ診断を受診してはどうかとのアドバイスがあった。さらに、その後省エネ補助金申請等の支援も頂いた。
・省エネ診断を受診したことにより、課題解決のための具体的な提案も頂いた。特に、空調機・除湿機の負荷低減が喫緊の課題であると指摘を頂いた。提案に沿って順次具体策を実践することで、光熱費削減の効果が顕著に現れていることを実感している。
工場エネルギー
具体的な取組
・令和2年10月に埼玉県省エネナビゲーター事業における省エネ診断を受診
・令和3年1月から令和4年1月にかけて、地域プラットフォーム構築事業(省エネお助け隊)の省エネ支援を受診。
【設備更新】
・診断・支援結果を基に令和4年度埼玉県のCO2排出削減設備導入補助金を活用して、冷蔵庫・除湿機、併せてキュービクルを更新(第二工場)
・令和4年度さいたま市原油価格・物価高騰等対策(設備更新)補助金を活用して、蛍光灯の照明設備をLEDに更新(第二、第三工場)
・令和5年度さいたま市エネルギー価格・物価高騰等対策(設備更新)補助金を活用して、空調設備を最新型に更新。(本社工場事務所、第三工場)
【運用改善】
・電力需要の平準化
最大電力値は毎年7月〜9月に発生するため、設備の一部停止で最大値の抑制を行っている。(食品衛生管理上、空調機器の停止は困難だが、包装機など生産状況に応じて、製造機械装置の運転時間の調整で最大電力を抑えている。)
・空調機、除湿機、換気装置のフィルター清掃
空調機、除湿機、換気装置のフィルター清掃をこまめに行うことにより、運用改善を心がけている。
改善効果
副次効果
・空調設備の更新時には、製造ラインの位置を意識して空調の向き等を工夫し設置したことで、作業員の暑さ対策が出来て好評だった。
・良い製品を作るために、空調設備の位置に対して材料や製品の最適な置き場所等について、現場の作業員が考えるようになった。実際、パレット置き場の位置や積む高さを変更するなど、現場職員の意識向上にもつながっている。
・フィルターの清掃についても、更新後にさらに社員の取組意欲が向上した
⇒社員の意識改革にもつながった
今後の検討課題
〇省エネ診断から5年が経過したため、省エネお助け隊の伴走支援などを活用し、現状把握と効果検証などを実施し、さらなる省エネ対策を行っていきたい。
〇今後はコンプレッサーの更新も検討していきたい。
会社概要
折原米菓工場
株式会社 折原米菓工場 本社・工場 久喜市
資本金 1,000万円
従業員数 70名
創業 明治10年
事業内容 米菓生地、及びスナック菓子生地の製造
HPアドレス https://oriharabeika.co.jp/
今までの
課題
・ボイラーで使用する重油がエネルギー使用量の75%(費用比率)を占めている
・重油炊きボイラーは、炉筒煙管ボイラー6t/h×ばつ1基と貫流ボイラー2t/h×ばつ1基で構成。炉筒煙管ボイラーは昭和47年製で経年劣化もあり、現状実際の効率は80%程度と推定。
・ボイラーで発生される蒸気は、せんべい生地の元となるうるち米の蒸しとせんべい生地の乾燥に使われており、製造現場では、夏は非常に暑く空調のエネルギー使用量が多い。
省エネ対策への検討
・平成28年度埼玉県省エネナビゲーター事業を活用し省エネ診断を受診
・令和元年度埼玉県の専門業者診断を受診
・令和2年度から令和3年度にかけて、省エネ促進プラットフォーム事業を活用し省エネ支援を受ける。
・令和3年度補正予算 グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等の
CO2削減比例型設備導入支援事業による省エネ診断を受ける。
省エネへの具体的な取組
【設備更新】
1.診断結果を基に埼玉県のCO2排出削減設備導入補助金を活用し、照明設備をLED化へ→蛍光灯83台をLED灯77台へ交換
2.工場内の照明を集約化し高効率化
3.暑さ対策設備等省エネ補助金を活用して屋根の遮熱シートを設置屋根全体1,805m2に施工
Ø削減効果
導入前
導入後
削減量
エネルギー量
120.0 kl
113.0 kl
7.0 kl
CO2
235t-CO2
222t-CO2
13t-CO2
冷暖房費
約 200万円/年
LED照明
約 60万円/年
4.蒸気配管まわりの熱ロスに対する対策として蒸気が漏れている部分を塞ぐ
Ø重油使用量の削減(2021年値)効果
使用重油
単価
金額
導入前
1.354kL
72.2千円/kL
98千円/年
導入後
0.203kL
72.2千円/kL
15千円/年
差額 83千円/年
5.ボイラーの更新
ボイラー
ボイラーは炉筒煙管6トンと貫流2トンを使用していたが、炉筒煙管6トンを最新小型貫流式ボイラー2.5×ばつ3台に更新。令和4年1月に工事し、2月から使用開始。
使用燃料はA重油から都市ガスに変更、ボイラー効率が新品時の仕様比較によると99%に向上、さらに効率的な運転モードで運用(蒸気の設定値を変更)ができ、現在4カ月経過。
設備費と工事の1/2は令和3年度補正環境省グリーンリカバリー補助金を活用。
Ø効果
1導入後7カ月で約300t-CO2削減を達成
2効率的な運転モードでガス代が削減
3手間の軽減
・ボイラー免許が不要となった ・故障が減った ・年次検査の時間が削減された
・メンテナンスに関わる手間が省けた(煩わしさが無くなった)
・点火後の蒸気発生までの立ち上がり時間が短くなったので、ボイラー点火のための早出出勤の必要がなくなった。
今後の検討課題
1.熱の再利用
ボイラー蒸気で煎餅の生地を乾かしているが、空気中の湿度で湿ってしまい乾燥できない。そこで、更新したボイラーの蒸気ドレンをヒートポンプの熱源に利用し、温熱は乾燥機のエネルギー源とする。可能であればヒートポンプの熱と同時に得られる冷熱を製品の冷却やその保存、空調にも展開できないか可能性を検討したい。
2.削減できたCO2量のクレジット化
3.乾燥機をコンパクト化し、工場を集約していきたい。
4.太陽光発電を設置し自家消費し、電気の購入量を減らしたい。
5.太陽光発電と同時に太陽熱温水器の設置可能性の検討
屋根上設置には工場建屋の強度不足があり、設置の申請を見送った経
緯がある。屋根強度補強工事費こみでの補助金が今後は望まれる。
最後に
1.省エネに挑戦し取り組むことで、次の課題が見えてくる。その積み重ねが重要である。
2.中小企業には人的余裕やノウハウ等が少なく、省エネ等に取り組むのは難しいと思っているが、それ以前に、省エネの有効性への理解が不足なのではないかと思われる。その対策として、知見を広げるためにも異業種交流等が有効であると考える。また、公的支援も含めて外部人材の活用も有効である。
3.業務の中で不自由さ(我慢していること)が改善できるということは一つの夢の実現なのではないだろうか。夢をリスト化して具体的な対処方法をメーカー等と相談し作り上げていくことで、一つ一つ叶えられて行くはずである。今回の燃料転換の実現もその一つの事例ととらえることができる。
*全国の事例についてはこちら(省エネお助け隊ポータルサイト)