法的には、繊維状を呈しているアクチノライト、アンソフィライト、アモサイト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトとされています。
「石綿」とは、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物の特定のものを言い、法的には「いしわた」と読みますが、「せきめん」とも呼ばれてきました。また、「アスベスト」と称されることもあります。
国内では、平成18年厚生労働省基発第0811002号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について」により、「石綿とは繊維状を呈しているアクチノライト、アンソフィライト、アモサイト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライト」と定義されています。また、ILO(国際労働機関)では、「石綿とは岩石を形成する鉱物の蛇紋岩および角閃石グループに属する繊維状の無機けい酸塩」と定義され、国内と同様に前述の6種類に分類されています。
従って、「石綿」は形状も考慮したうえで複数の鉱物について示す用語です。このため、同じ鉱物でも形状により「石綿」と称されるものとそうでないものがあります。例えば、トレモライトには繊維状と板状のものがありますが、後者は「石綿」には該当いたしません。
なお、6種類の石綿のうち、蛇紋石族はクリソタイルだけで、他の5種類は角閃石族に属します。工業的には、主にクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの3種類が使用されていましたが、一部で、トレモライトが検出された報告があります。
「石綿を含有する製品」とは、現在の日本では、石綿を0.1重量%を超えて含有する製品と定義されています。
石綿を含有する製品の定義は、段階的に変化してきました。
また、石綿は、一部の天然鉱物に不純物として含まれる場合があります。これらの天然鉱物を原料として使用した製品には、石綿が0.1重量%を超えて含有する場合も考えられますので、注意が必要です。
石綿および石綿製品は、2006年(平成18年)9月1日より製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。例外として使用が認められていた一部のシール材についても、2012年(平成24年)3月1日より禁止となりました。
石綿の使用は、石綿の品種や使用量により、段階的に禁止されてきました。
なお、石綿分析用試料及び教育用サンプルの製造、使用等については、平成30年6月1日からは禁止から除外されています。ただし、届出に注意が必要です。
石綿は、一部の天然鉱物に不純物として含まれる可能性があり、これらの天然鉱物を原料として使用し、石綿が0.1重量%を超えて含有する製品は、禁止の対象となります。
2019年7月において禁止されている国は、日本以外では以下の66か国です。アルジェリア、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バーレーン、ベルギー、ブラジル、ブルネイ、ブルガリア、カナダ、チリ、コロンビア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、ジブチ、エジプト、エストニア、フィンランド、フランス、ガボン、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、イラク、アイルランド、イスラエル、イタリア、ヨルダン、韓国、クエート、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マケドニア、マルタ、モーリシャス、モナコ、モザンビーク、オランダ、ニューカレドニア、ニュージーランド、ノルウェー、オマーン、ポーランド、ポルトガル、カタール、ルーマニア、サウジアラビア、セルビア、セーシェル、スロバキア、スロベニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、トルコ、イギリス、ウルグアイ。
石綿は単体で引っ張り強さ、不燃性、耐熱性、耐薬品性、絶縁性、耐久性、セメント等との親和性等多くの長所を持っており、かつ経済性に優れていたからです。
微量の石綿が、一般大気中に浮遊しています。
石綿は天然の鉱物です。日本には石綿を含む岩石(蛇紋岩)が全国的にあるため、その風化、採石等によっても大気中に飛散しています。環境省では、毎年各地の石綿粉じん濃度を測定し、公表しています。令和元年度の調査結果は、環境省ホームページ「令和元年度アスベスト大気濃度調査結果について」(https://www.env.go.jp/press/108517.html 外部サイトへ)に報告されています。
石綿は天然鉱物ですので、他の鉱物に不純物として含まれることがあります。
特に、タルク、バーミキュライト、セピオライト及びブルーサイトなどの鉱物原料は、産地によって、石綿のうち、クリソタイルやトレモライトを不純物として含む例があります。
上記の4鉱物については、使用前に分析が必要であり、平成18年厚生労働省基安化発第0828001号「天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について」(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/dl/060828-1.pdfPDF外部サイトへ)によって行います。
あります。
大気中に浮遊している石綿が、雨水に取り込まれて川や湖に流れこむことがあります。また、岩石中に含まれている石綿が、川の流れによってまたは雨水によって水中に入り込むことも考えられます。
石綿は無機物質ですから燃えることはありません(加熱により徐々に結晶水がなくなって他の物質になり、さらに加熱すると溶融します)。
石綿の一種であるクリソタイル(白石綿)は、通常12〜15%の結晶水を含みます。クリソタイルを加熱すると、保有する結晶水は400°C位から徐々に失われ、810〜820°Cではフォルステライトなどに変化し、クリソタイルとは別の物質となります。さらに加熱すると、約1,500°Cで溶融します(アモサイトは約1,400°C、クロシドライトは約1,200°Cで溶融します)。
石綿は鉱物ですので、通常使用している水道水では溶けません。一番多く使用されたクリソタイルは酢酸ではほとんど溶けませんが、塩酸等の強酸などでは溶けます。
石綿に係わる条項がある法令としては、石綿障害予防規則、労働安全衛生法、じん肺法、石綿による健康被害の救済に関する法律、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築基準法、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地建物取引業法等があります。また、前出の法律の施行令や施行規則もほとんどが関係します。当協会ホームページ「石綿に係る法規等(http://www.jati.or.jp/houki/houki.pdf)PDF」をご参照ください。
使用上問題はありません。但し、石綿含有吹付け材等に関しては建築基準法及び石綿障害予防規則に関連した処置が必要な場合があります。
第10条により、労働者を就業させる建築物の壁、柱、天井等において、石綿を0.1重量%超含む石綿含有吹付け材が飛散し、労働者がばく露する恐れがある場合は、除去・封じ込め・囲い込みの何れかの措置が必要です。
建築基準法施行令に、飛散することにより著しく衛生上有害な物質として石綿が定められています。このため、吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウールが使用されている建築物は既存不適格建築物になります(既存不適格建築物は、そのまま使用することが出来ます)。但し、石綿含有吹付け材が飛散し、労働者がばく露する恐れがある場合は、勧告等がなされる場合があります。また、増改築時または大規模修繕・模様替え時には、建築基準法第28条の2及び建築基準法施行令第137条の4の3により以下の措置が必要になります。
設計図等の書面による調査、現場での調査、分析による調査があります。
一般的には、事前調査(書面調査、現地調査)を行い、不明な場合は分析調査を行います。
設計図書等により、商品名、施工部位及び竣工年から総合的に調査いたします。メーカー、工業会及び省庁のホームページ等を参考にして石綿の有無を判断いたします。
※(注記)参考資料としては以下の資料等があります。
なお、石綿の有無が判明した場合も、設計図書等が現地の状況と一致しているかの確認が必要です。
書面調査の結果を検証するため、現地で調査を行います。現物の観察により、建築材料にマーキングされている商品名等の情報から石綿の有無が分かる場合もあります。
※(注記)旧(社)日本石綿協会の会員は、1989年(平成元年)から、石綿含有建築材料に石綿含有を意味する「a」マークを自主的に表示しています。このため、現物確認により石綿含有の判断が可能な場合があります。なお、石綿含有製品の定義は年代によって異なることから、「a」マークがなくても、石綿含有製品ではないとはいえません。同じ理由で「無石綿」等の表示があっても、現在の基準では必ずしも石綿無含有製品とは言えないことに注意してください。
現地調査でも不明な場合は、原則として分析を行います。厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【1.20版】外部サイトへ」」 に従って分析を行います。
必要ありません。しかし、石綿に関する広い知見が必要です。
なお、令和5年10月からは建築物の解体における事前調査を行う者についての資格要件が定められます。
事前調査を行う者についての資格要件は、令和2年厚生労働省告示第276号及び厚生労働省令和2年基発0804第2号により、下記の様に規定されています。また、令和5年9月までも、下記の者が望ましいとされています。
また、戸建て住宅及び共同住宅の住居専用部分については、戸建て等石綿含有建材調査者も可能です。
なお、建材中の石綿有無の分析については、Q19、Q20をご参照ください。
法的には石綿障害予防規則第3条により、建築物、工作物及び鋼製の船舶について、解体、破砕等の作業を行う場合には、石綿を含むかどうかを調査する義務があります。また、大気汚染防止法第18条の15で特定建築工事に該当するかどうかの調査を行う義務があります。
その他に、石綿障害予防規則第10条で、飛散のおそれがある吹付け材に石綿が含まれていた場合は、石綿等の封じ込め、囲い込み等の措置や労働者の呼吸用保護具、作業衣の着用が義務付けられているため、石綿有無の調査が必要となります。
また、建築基準法においても、吹付け石綿と石綿含有吹付けロックウールが使用されている建物を「既存不適格」と位置づけ、増改築時等には原則として石綿の除去を義務づけていることから、石綿有無の調査が必要となります。
その他にも、建築物の安全性(石綿による有害性の有無)の確認、宅地建物取引業法や資産除去債務に係わる調査があります。宅地建物取引業法においては、建物の売買、交換又は貸借等の契約時に、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明することになっています。資産除去債務については、「Q18資産除去債務とはどんなことですか?石綿は関係しますか?」をご参照ください。
建築物に使用される材料は種類が多いため、石綿含有建築材料の使用については一概には言えませんが、鉄骨の耐火被覆、浴室・厨房、トイレの天井・壁、屋根、耐火間仕切り、天井・壁の内装材(防耐火材料として)、外装材(耐候用として)、床タイルなどに使用されていました。
建築基準法では、防耐火の観点で、建築物や部位等によっては不燃材料等を使用するような規定があるため、石綿含有建築材料が多用されてきました。また、耐候性、耐久性、軽量性、結露防止・吸音性、経済性の観点からも使用された場合があります。
参考資料として、「目で見るアスベスト建材(第2版)外部サイトへ」(国土交通省ホームページ)や「石綿(アスベスト)含有建材データベースweb版外部サイトへ」もありますが、一般の方は、購入物件の場合は、不動産業者・施工店等、賃貸物件の場合は、オーナー(家主)・管理会社等に確認される方が良いでしょう。
当協会では、「アスベスト使用の可能性のある部位PDF」をホームページに公開しております。
過去に使用されていました。詳しくは経済産業省のホームページ「石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の実態把握調査外部サイトへ」等を参照してください。
例えば、アイロン、トースター、ヘアドライヤー等に使用されていました。
国際間の整合をとる一環として「資産除去債務に関する会計基準」が2010年度から義務付けられ、建築物等の解体時の石綿除去工事も対象となりました。「資産除去債務」とは、将来、不動産を処分する際に必要な費用を、負債としてあらかじめ計上するものです。
対象となる企業は、上場会社、金融商品取引法開示企業、会社法大会社です。どの範囲を対象とするかについては、いろいろな解釈があります。
厚生労働省の「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【1.20版】外部サイトへ 」に従って分析を行います。
解体等以外においても、この方法が望ましいといえます。
日本産業規格(JIS)では、建材中の石綿の分析方法をJIS A 1481群に規定しています。
JIS A1481-1では、実体顕微鏡や偏光顕微鏡を使用して形態観察や特有の結晶性を確認することにより、石綿がどうかを判定します。
JIS A1481-2では、X線回折分析法と顕微鏡法を併用します。X線回折分析では、石綿と同様な回折パターンを示す物質が製品に含まれていることがあります。顕微鏡では繊維形態の観察はできますが、顕微鏡の種類によっては石綿と他の物質とを判別することができない場合があり、X線回折分析方法の定性分析と顕微鏡による形態観察とを併用して、判断することが肝要です。
JIS A1481-3及びJIS A1481-5ではX線回折分析法により、JIS A1481-4では顕微鏡法により、定量分析を行います。
X線回折分析法は、結晶性を有する物質の分析に適しており、石綿も結晶性物質であるので、利用できるが、繊維形態かどうかの判別はできないので、顕微鏡法との併用が必要である。
建材中の石綿の分析機関および分析技術者については、「(公社)日本作業環境測定協会外部サイトへ」、「(一社)日本環境測定分析協会外部サイトへ」及び「(一社)日本繊維状物質研究協会外部サイトへ」の各ホームページをご覧ください。
なお、令和5年10月からは建築物等の解体における分析調査者についての資格要件が定められます。
分析調査を行う者についての資格要件は、令和2年厚生労働省告示第277号及び厚生労働省令和2年基発0804第2号により、下記の様に規定されています。また、令和5年9月までも、下記の者が望ましいとされています。ただし、資格の種類により、分析できる方法に制限があることに注意が必要です。
ポンプで吸引した空気をろ紙(メンブランフィルタ)を通過させて空気中の浮遊物をろ紙に集め、顕微鏡により、付着した石綿の本数を数えます。
環境省は、空気中の石綿粉じんを把握する方法として、2017年(平成29年)7月に「アスベストモニタリングマニュアル」 を改訂して第4.1版(http://www.env.go.jp/press/files/jp/106376.pdfPDF外部サイトへ)を公表いたしました。
改訂前から行われていた位相差顕微鏡法により総繊維数を測定し、総繊維数が 1f/L以上の場合は、その繊維が石綿繊維であるかどうか電子顕微鏡で同定する測定方法については変更ありません。
今回の改訂では、工事現場等でも対応しやすいように迅速な測定方法が紹介されています。
他には、JIS K 3850-1(光学顕微鏡法と走査型電子顕微鏡法)などの方法があります。
空気1L(リットル)中に含まれる石綿の本数です。
fはfiberのことで石綿繊維の本数を意味しますが、数える石綿繊維は長さが5μm以上、幅(直径)3μm未満、アスペクト比(長さと幅の比)3以上のものです。
f/Lの単位以外に、石綿繊維濃度を表す単位としてf/cc、f/ml、本/cm3、本/リットルがあります。
解体時には、その建物に石綿を含む材料が使用されているかどうかの掲示をすることになっています。掲示を確認してください。
石綿障害予防規則及び大気汚染防止法では、石綿有無の調査が義務付けられており、解体作業者向け及び近隣の方向けに掲示することになっております。
解体・改修される石綿含有建材の種類等による分類です。
レベルには次の3つがありますが、仕上塗材についてはレベルの分類がありません。同じレベルでも、解体/改修の方法により石綿粉じんの飛散が異なるため、保護具の仕様等が変わります。
なお、石綿障害予防規則において、各レベルで必要な対応は当協会ホームページ「石綿障害予防規則適用一覧表PDF」及び「石綿に係る法規等PDF」をご参照ください。
解体時に石綿粉じんを飛散させないために、マニュアルがでています。
石綿障害予防規則(石綿則)、大気汚染防止法に従って対応してください。
石綿障害予防規則(石綿則)の適用では、防じんマスクの使用や作業主任者の選任等が必要になります。当協会ホームページの「石綿障害予防規則適用一覧表PDF」をご参照ください。
2020年(令和2年)に厚生労働省から発出された「建築物等の解体等の作業及び労働者が石綿等にばく露するおそれがある建築物等における業務での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針PDF外部サイトへ」では、「固着が進んだ配管等のシール材の除去を行うに当たっては、十分に湿潤化させ、グローブバッグ等による隔離を行うこと。」と記されています。
(一財)日本建築センター「審査証明技術一覧(アスベスト処理技術)外部サイトへ」、(一財)ベターリビング「建設技術審査証明事業(住宅等関連技術)証明技術一覧外部サイトへ」のホームページをご参照ください。
法律上は、石綿作業主任者及び特別管理産業廃棄物管理責任者を配置し、関係法規を遵守していれば、処理業者の吹付け石綿の除去に関する特有な資格は特に必要ありません。しかし、適切な処理工事を行うためには、「(一財)日本建築センター」「(一財)ベターリビング」で認定している吹付け石綿除去/封じ込め工事に係る審査証明事業を取得している業者が望ましいと思われます。「一般社団法人 JATI協会石綿処理委員会JPI分科会PDF」のメンバー会社もこの認証を受けています。
石綿粉じん処理作業に適した、有効な呼吸用保護具を使用してください。
レベルと作業、工法により、呼吸用保護具が決められています。電動ファン付き呼吸用保護具及び取替え式防じんマスクは国家検定品を使用する必要があり、使い捨て式防じんマスクは使用できません。
詳しくは、厚生労働省・環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)外部サイトへ」をご参照ください。
また、石綿粉じんを吸入しないため若しくは他の人に対する二次被害を防止するには、呼吸用保護具を正しく使用し保管することが大切です。
呼吸用保護具だけでは十分とは言えません。作業時の飛散レベルに応じた石綿繊維が付着しないような保護衣等を使用し、自分だけではなく二次災害の防止に努めてください。
レベルと作業、工法により、保護衣または作業衣を選択して、使用してください。
詳しくは、厚生労働省・環境省「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)外部サイトへ」をご参照ください。
一般の健康診断を実施する以外に、石綿に関わる特殊健康診断及びじん肺健康診断が必要です。
石綿を取扱う作業または石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事するときには石綿に関わる特殊健康診断を半年ごとに1回行う必要があります。そのときの判定によってはその作業に従事させない等の処置が行われます。また、その作業から離れても、会社を離職するまではこの健康診断を行う必要があります。
また、労働者には良好な作業環境で作業ができるようにする必要があります。さらに、労働者にも石綿の取扱い上の注意点を教育して、労働者自身でも注意して取り扱うように指導が必要です。
石綿を取り扱う作業に常時従事するときには、下記の健康診断が必要になりますが、レントゲン(胸部X線)は年に2回を上限としています。 これは、健常時においては効果と放射線を受けることのリスクの勘案から推奨されています。
「2.」については、異動によりその作業から離れても、会社を離職するまではこの健康診断を行う必要があります。また、「3.」については、じん肺の管理区分判定により、その作業に従事させない等の処置が行われます。
離職後も無料で健康診断が受けられることを示す手帳です。
健康管理手帳については、労働安全衛生法で定められており、がん等の重度の健康障害を発生させる可能性がある14の業務に従事した者が、一定の要件を満たした場合に交付されます。なお、交付に際しては、自ら申告する必要があります。
離職後も半年に1回無料で石綿に関する健康診断が受けられることを示す手帳です。
石綿取り扱い事業に従事した者については、下記の何れかの要件を満たした者が対象になります。
詳細は、厚生労働省ホームページに掲載の「石綿健康診断及び石綿健康管理手帳の対象者の見直しに関するQ&A外部サイトへ」をご覧ください。
なお、2008年(平成20年)の労働安全衛生法施行令、労働安全衛生施行規則の改正により、「石綿の粉じんを発散する場所における業務」も対象となりました。
石綿に係る特別教育があります。
石綿に係る特別教育(石綿使用建築物等解体等業務特別教育)は、石綿を含む建築物・工作物等の解体・改修等を行うすべての労働者に対して実施する必要があり、教育時間は4.5時間となっています。2009年(平成21年)の石綿則改正により、保護具の使用方法が30分から1時間に延長されました。また、鋼製の船舶の解体・改修等が石綿則の対象となったことに伴い、その解体等の作業の方法が追加され、また、喫煙の影響についても、教育の内容に追加されました。従って、従前の課程で受けた方は、追加の講習を受講する必要があります。
なお、法やマニュアル等により作業内容が変更する場合があるので、一度特別教育を受けた方に対しても、日ごろから朝礼などの機会を利用して教育を行うことが望ましいといえます。
石綿を0.1重量%を超えて含有する製品を製造し、または取り扱う作業において、選任が必要です。
石綿障害予防規則(石綿則)で、石綿の取扱い作業においては、石綿作業主任者を選任するよう定めています。
また、石綿作業主任者は、作業を監視できる範囲ごとに、石綿作業主任者技能講習修了者から選任する必要があります。なお、2006年(平成18年)3月31日までに特定化学物質等作業主任者技能講習を修了した者については、石綿作業主任者として選任してもよいことになっています。
各都道府県の労働局長登録教習機関が実施する技能講習を修了することが必要です。
講習は以下の4科目からなり、講習後に試験があります。
詳細は、都道府県労働局または労働基準監督署に問い合わせてください。
吹付け材、保温材、断熱材、耐火被覆材、スレート等の成形板、床タイル等の建築材料で石綿を含有している製品の廃棄物や、紡織品、ガスケット、パッキン、ブレーキライニング、クラッチフェージング等の工業製品等で石綿を含有している製品の廃棄物があります。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下 廃棄物処理法)では、石綿を含有する産業廃棄物には、「廃石綿等」と「石綿含有産業廃棄物」があり、それぞれにつき処分方法を規定しています。詳細は、環境省「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)PDF外部サイトへ」をご参照ください。また、実際には、上記の廃棄物に法的には該当しない「その他の石綿を含む産業廃棄物」があります。
なお、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)PDF外部サイトへ」には、以下の3種類の除去事業が定義されています。
石綿含有仕上塗材除去事業:建築物・工作物から、石綿含有仕上塗材を除去する事業(石綿建材除去事業に該当するものを除く。)
「廃石綿等」を除く、建築物、工作物の新築、改築または除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものが対象となります。
例)石綿含有成形板の廃棄物(がれき類)、石綿含有ビニル床タイルの廃棄物(廃プラスチック類)、石綿を含有する紡織品、パッキン等の廃棄物
なお、この除去工事で用いられ廃棄されたプラスチックシート、防じんマスク、作業衣その他の用具または器具であって石綿が付着しているおそれのあるものは、石綿含有産業廃棄物として処理できる。
上記1.2.以外の石綿を含む産業廃棄物があります。
例)機械の保守の際に発生する石綿を含有する紡織品、ガスケット、パッキン、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等の廃棄物。
管理型処分場または遮断型処分場での埋立処分を行います。また、約1,500°Cで溶融した場合や無害化処理施設で無害化処理した場合は、安定型処分場での埋立処分やリサイクルすることが可能です。
廃棄物処理法で"特別管理産業廃棄物"として扱われています。
大気中に飛散しないように、あらかじめ、次の何れかの措置を講じた上で、管理型処分場または遮断型処分場で処分する必要があります。
環境省「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)PDF外部サイトへ」もご参照下さい。
事業場で特別管理産業廃棄物を生ずる場合に必要になります。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)で、特別管理産業廃棄物を生ずる事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことが定められています。
特別管理産業廃棄物に係わる管理全般にわたる業務を廃棄物処理法に基づき適正に遂行することであり、主に次の業務を行います。
環境大臣が認定する講習を修了することが必要です。
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則に定められています。
学校で特定の科目を終了し実務経験を積む必要があります。また、環境大臣が認定する講習を修了することにより資格を得ることもできます。
詳細は、「(公財)日本産業廃棄物処理振興センター外部サイトへ」等のホームページを参照してください。
基本的に安定型処分場の一定の場所で埋立処分を行います。
「石綿含有産業廃棄物」は、収集運搬、積み替え保管、さらに埋立処分場で以下のような管理方法が決められています。
なお、廃石綿等 に該当しないものでも、飛散しやすい石綿含有廃棄物に関しては、耐水性の材料で二重に梱包することが肝要です。
なお、石綿含有石膏ボードの廃棄物を埋立処分する場合は、管理型処分場で行います。また、建築用仕上塗材の廃棄物は、除去方法によっては汚泥等と判断される場合も考えられますので、自治体に確認することをお勧めいたします(が必要です)。
環境省「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)PDF外部サイトへ」もご参照ください。
法的には、石綿を含まない廃棄物と同じ処理が可能ですが、石綿の飛散を防止する観点から、法に定めている石綿含有産業廃棄物として処分することが望ましいといえます。
石綿を含むことによる特別な処理方法は規定されていないため、石綿を含まない通常の産業廃棄物と同様の処理が可能ですが、製品により、「廃石綿等」または「石綿含有産業廃棄物」と同等の処理を行うことが望ましいといえます。
例)
問題となります。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、敷地内や河川等に投棄することが禁止されていますので、違法になります。廃棄物処分場で埋立処分してください。
行政にご相談ください。また、廃石綿等については、「環境省のホームページPDF外部サイトへ」に一部が紹介されております
なお、各都道府県に産業廃棄物に関する協会があり、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターに紹介(http://www.jwnet.or.jp/workshop/omousikomi.html外部サイトへ)されております。
※(注記)健康問題につきましては、次のQ&Aを参照してください。