農業水利施設は、食料の生産に欠かせない用排水の管理はもとより、国土保全や自然環境保全などの機能を有しています。昭和24年の土地改良法制定以降、国営・県営事業等によって農業水利施設の整備が行われ、令和3年度末までに約23,500か所の施設が整備されてきましたが、そのうち12,400か所(53%)の施設が標準耐用年数を超えるものとなっており、さらに今後10年のうちに3,800か所あまりの施設が標準耐用年数を超えることとなります。この膨大な農業水利資産を、限られた財源の中で維持管理し、長期にわたって利用していくためには、ストックマネジメントに基づいた適時適切な補修により、施設機能の保全を図っていく必要があります。しかし、
といった課題があり、これらの課題に対応していくためには、補修・補強工事に対応した技術体系の整備、人材の育成・確保が必要となっています。一般社団法人 農業土木事業協会は、会員会社とともに農業水利施設の補修工事の品質確保の調査・研究に積極的に取り組んできており、これらの成果を活用して、農業水利施設の補修工事を適切かつ効率的に実施する技術者を養成し、その活動を支援します。
農業水利施設補修工事 品質管理士(以下、品質管理士という)は、農業水利施設のうち開水路、頭首工等のコンクリート構造物の補修に携わる分野を対象として、農業土木事業協会が実施する講習会を受講し、更に試験により一定水準の補修工事の技術を有すると認定され、登録した者に与えられる資格です。
したがって、品質管理士には農業水利施設(コンクリート構造物)の補修工事の設計・施工・施工管理業務に従事していくことが主要な活躍の場になります。
品質管理士は、補修工事の要求性能に合致した材料・工法を選定できる技術知見はもとより、品質確保のための施工管理においても適切な指導力を発揮することが期待されています。
農林水産省では、平成26年度から農村振興局所管の直轄工事を総合評価落札方式で実施をする際に「品質管理士」資格保有者には技術者評価項目で評価加点することとしました。
更に、補修工事に関する設計業務を実施する際にも、「品質管理士」資格保有者を資格要件評価項目で評価加点の対象となります。
資格取得までの流れ