農業水利コンクリート構造物は、流水や混入土砂による選択的摩耗作用を受けます。そのため、 躯体表面が凹凸となり、粗度係数が上昇します。農業用水路など円滑な水の流下が求められる施 設においては、要求された水理性能を満足できなくなり、水利用上の不具合となる場合がありま す。また、さらに選択的摩耗が進行すると、露出した粗骨材の抜け落ちが起こり、躯体断面の縮 小に伴って構造安定性や耐久性が低下します。
水砂噴流摩耗試験機(選択的摩耗試験機)は、上部に設置された噴射口から水中に攪拌させた珪 砂を圧力水により供試体へ噴射します。珪砂を混ぜる事により、土砂が混入した流水によって摩耗する農業用水路の状況を擬似しています。 この試験は、今まで得られなかった選択的摩耗という農業用水路の状況を擬似した摩耗の測定が 可能です。また、今までの摩耗試験機では、3ヶ月程度かかっていたデータが圧力水を使用する ことにより5〜20時間で得ることが出来ます。
水利施設機能保全研究会は、水利施設の機能・性能に関する試験・研究および基準化を目的としており、島根大学での耐選択的摩耗に関する研究を支援します。以下に組織概要を示します。