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建築士と医療専門家との連携推進事業

1.普及事業の名称

建築士と医療専門家との連携推進事業

2.事業の概要
(実施期間/会場/講師等)

人が事故や疾患により入院する場合、必要な治療を受けた後、身体機能の回復を目的にリハビリテーション病院へ転院する。回復期リハビリテーション病院は転院受け入れ後なるべく早くリハビリテーション治療に取り掛かるわけだが、退院後の住環境はリハビリテーション計画に大きく影響する。家族の介護力や複合的な要件で施設入所の希望者も少なくないが、第一選択肢は「自宅に帰る」ことである。医療・介護費の抑制や2025問題と言われる医療・介護施設の不足を視野に入れれば、「自宅に帰る」という選択肢が多面的に推奨されるものであることは疑いの余地がない。
自宅を退院後の生活の場とする場合、その住環境の情報はリハビリテーション計画を立てる上で必須である。これは厚労省の定める診療報酬の通則にも位置付けられており重要なものだが、住環境の評価(調査)は現在、家族からの提供によるところが大きい。こうした背景の元、既存の建物調査(実測)や写真帳の整理業務に慣れている建築士が代行して家屋調査を行い、家屋構造や室内の段差等を記載した「評価書用の図面」の作成を行い、リハビリテーションへの影響なども含めて効果と建築士の関与の有用性を検証することとした。医療従事者と建築士の連携を考える会(以下「考える会」)を開催し検証を行う。
1)実施期間:令和2年7月1日〜令和3年3月31日
2)会議:「考える会」WEB会議4回開催
・令和2年12月17日「第1回考える会」事例検証会
・令和3年1月30日「第2回考える会」事例検証会
・令和3年3月6日「第3回考える会」事例検証会
・令和3年3月17日「第4回考える会」まとめの会
3)事例数
・事例検証用実測調査数 6件
・リハビリテーション計画検証報告(3病院)
5)「医療従事者と建築士の新たな連携を考える」報告書制作
・3回実施した「考える会」の記録
・4回目の「考える会」のまとめ(総括)

3.事業の成果・効果
(対象者/参加者数/成果物等)

医療関係者も家屋調査の重要性は熟知しているし、厚労省の方針にも合致している。問題はそれに対する診療報酬の低さである。次に建築士の活用は、早期に正確で見やすい調査報告書を作成できるので、依頼は理想的であるし、その後の在宅に向けた環境改善の指導においても相談者としての役割も期待できる。建築士に委託できる仕組みを考える必要がある。(「入院時訪問指導加算」に関与する資格者に建築士を加え、この加算点数を上げることや、治療用装具を作製する補装具製作業者の様に医師の指示で建築士が家屋を正確に実測する仕組みが理想的である。また市町の補助事業として独自の福祉施策を確立する等、あらゆる手立てを列挙し可能性を追求したいと考える)。
建築士の活用が医療従事者への手助けやきめ細やかなリハビリテーションの実現につながることは今回の「考える会」の検証で共有された。これが入院期間の短縮につながれば医療費の抑制にも寄与する。そしてこれは患者(国民)の幸せに他ならない。
今後も医療従事者・医療関係団体と交流を持ちながら、地方行政との懇談をするなどして粘り強く説明をしていくことが肝要である。
対象者 医療従者(医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
参加者数 第1回:9人 第2回:12人 第3回:6人 最終回:6人
成果物 報告書85冊作成(普及センターへはデータ提出)
(注記)成果物は医療機関を中心に本事業の今後の普及に使用する。


「考える会」WEB会議

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[画像:公益財団法人 建築技術教育普及センター]

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