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2025年10月
【月曜】糖尿病性網膜症
糖尿病は血管の病気といわれます。細い血管をまず冒し、そのあと脳や心臓・下肢の比較的太い血管も詰まらせます。神経障害・網膜症・腎症の三大合併症が起こります。
まず手足がしびれるなどの末梢神経障害、次に目の奥に出血する網膜症、最後に人工透析に至ることもある腎症が起こります。糖尿病網膜症と緑内障が成人の視覚障害の1位と2位を競っていましたが、近年糖尿病において薬物療法が進化し、網膜症や白内障治療も進化し、減少傾向にあります。特に硝子体に注射する治療の適応が広がり、視力が回復する方も少なくありません。今は成人の視覚障害の原因は糖尿病網膜症が2位で緑内障が1位と逆転しました。
硝子体は眼球の8割を占める透明なゼリーです。網膜とはカメラのフィルム、黄斑は網膜の中心でものを見るところです。糖尿病網膜症は3期に分かれます。まずは糖尿病が発症しても網膜は正常な状態、次は小さな出血が散在する軽症の単純網膜症、そして血管が閉塞する前増殖網膜症、最終的には新生血管が生じ急激に、硝子体出血や新生血管緑内障をきたす増殖網膜症に至ります。
高血糖が持続すると毛細血管が詰まり、血管が損傷し、閉塞して眼底出血を起こします。血糖管理をしっかり行うことが大切です。血管の閉塞が進むと酸素不足・栄養不足になり、網膜の一部に軟性白斑という白い斑点が出現する前増殖網膜症に至ります。この時点では網膜光凝固術というレーザーを用いた手術を行うこともあります。酸素など栄養不足が進み、本来存在しない脆弱な新生血管が硝子体内に形成され、突然破綻すると、硝子体出血が起こります。さらに繰り返すと牽引性網膜剥離や新生血管緑内障という難しい病態に至ります。さらに硝子体出血や新生血管緑内障を起こすと、急激に視機能低下をきたします。この時点では硝子体切除術や緑内障の手術を行います。発症後症状のない糖尿病網膜症は手遅れの状態になってから症状が出現することも珍しくありません。
糖尿病と診断されたら症状の有無にかかわらず、年に一回、たとえば誕生月などと決めて、眼科を受診するようにしてください。
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