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一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

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★NEWS

HEAT20設計ガイドブック第3弾

「HEAT20 設計ガイドブック2021」

が2021年6月6日、発売されました。
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『HEAT20設計ガイドブック2021』の発行にあたって

  • 坂 本 雄 三
  • HEAT20委員長/東京大学名誉教授

周知のように、HEAT20委員会(「2020年を見据えた住宅の高断化技術開発委員会」、以下、本委員会)が創設されたのは2009年である。本委員会は、2020年に一般社団法人化され、マイナーな名称変更などを行ったが、会の趣旨や目的は変更せずに継承した。本委員会は、すでに2015年と2016年に設計カイドブックを出版した。今回、出版される本ガイドブックは、過去に出版したカイドフックの内容をさらに発展・充実したものである。

さて、グリーンイノベ-ションやサステナビリティに関連した話題は、世界中で沸騰しており、住宅・建築分野においても大きなパートを占めるようになった。その中でも建築外皮の断熱化は基本中の基本であり、断熱化の成果と実力は個人(消費者)・企業・社会に大きな影響を与えている。とりわけ、木造の戸建住宅においては、その影響は顕著であり、30年前の住宅と本委員会が提案する断熱レベルの住宅とでは、価格が同程度であっても、冬期の温熱環境には歴然たる差が生じている。

こうした外皮断熱の効用や目指すべきレベルについては、さらに本ガイドブックに詳しく紹介されているので、本書を一読されたい。(中略)
最後に、本委員会が提案する断熱レベルの、今後の行方についてコメントしたい。私も含めて多くの人が、本委員会が提案する断熱レベルが国や公の基準などになることを期待している。国の基準には義務基準と誘導基準がある。また、それに連動するように、住宅性能表示の基準や住宅金融支援機構の仕様書が存在する。国の基準が動けば、これらも動く。本ガイドブックを読んだら想像がつくのだが、本委員会の活動はこうした公的な基準が次の段階へ踏み出すための準備運動ともいえるかもしれない。現在の国の断熱基準は、1999年に制定された基準(通称「次世代基準」)のレベルを踏襲している。しかし今となってはこのレベルは低い水準であり、現在の断熱技術の水準 に見合ったものとはいえない。例えば、窓の断性などは21世紀に入ってから格段に進歩した。次世代基準の策定当時は、窓は北海道においてさえ複層ガラスとするのが精一杯だった。それが今 では、樹脂サッシ・3層ガラスという極めて高断熱の商品が、リースナブルな価格で全国的に販売されている。「隔世の感がある」とは、このようなことをいうのであろう。
「歴史は時として偶然と連鎖が作用して動く」と言う、歴史家がいる。一方で, 19世紀に予言された「必然的な歴史(未来)」を、外れた予言であるとわかった21世紀になっても、真説と疑わない先生方もいる。ことほど左様に、人間が創り出す歴史の行方は予想が難しい。建築断熱についてもとのような歴史をたどるのか、生きている間は興味深く見守りたい。

2021年5月吉日

「HEAT20」が考えてきたこと

『HEAT20の基準体系とは』

住宅断熱化などを目的に過去から活動している住宅研究会は数多く、それらに対して後発のHEAT20に多くの関心をいただくきっかけとなった理由に、特定の住宅工法・断工法・材料に限定せず、オープンかつビシネスとは距離を置いた活動をしてきたことが関係していると思われる。そして、目標とする性能水準を住宅性能表示制度のように段階的に設け、その意味を住宅シナリオ(NEB/EB)に示す「わかリやすさ」も関係していると思われる。

ところでG1・G2を公開して既に数年が経過するが、いまだにHEAT20の基準は外皮平均熱貫流率と、理解している方がほとんどではないだろうか。

ここで改めて、HEAT20が設立当初から考えてきた『基準体系』とはどのようなものかを説明する。

下図に、基準体系を示すが、いわゆる「基準」と呼ぶべきものは実は「住宅シナリオ」であり、それがG1・G2・・・・に分かれているのである。そして、外皮平均熱貫流率( UA値)で表す「HEAT20 水準」(既出の設計ガイドブックではHEAT20グレードとも記載してきた)は、実は地域区分ごとに決めている代表都市における外皮性能の目標値にすぎない。代表都市以外の建設場所の外皮平均熱貫流率は、後述する「地域補正ルール」を使い、暖房度日と冬期日射量などで補正する。これが『HEAT20の基準体系』である。 地域区分ごとに定めたUA値を基準とする省エネ基準や他の目標とは、この点が根本的に異なっているわけだが、それは何故か?

日本は、世界でも類を見ないほどに気候と地勢が多様で、それを8つの地域区分に分け、外皮性能基準を定めるだけでは、同じ地域区分のなかでも実現できる温度環境も省エネルギー効果も異なる。特に、太平洋沿岸と日本海沿岸、平野部と山岳部から混成される3〜5地域は、この差は非常に大きいだろう。現行の省エネ基準でも、対象とする外気温の寒暖を表す暖房度日で分かれる1〜8地域の8区分のほかに、日射量の大小でAl 〜A5の5つの地域区分があり、組合せとしては計40区分に分かれているが、40区分で外皮性能基準を規定したところでこの問題は本質的に解決しない。(中略)あるべき住宅目標は手段の数値化にはなく、気候特性にかかわらずに実現されるべき住空間のNEB・EBである。それが『HEAT20の基準体系』の根幹にある考え方であり、これまでHEAT20が『基準』という文言を一切使用していない理由である。そのことを理解した上で、G1・G2・・・・をどう位置付けるか、どう利用するか、それはこれまで同様、読者・実務者の方々の判断に委ねたいと考えている。(略)

HEAT20の基準体系(2019年度報告会PPTより)
HEAT20の基準体系(2019年度報告会PPTより)

住宅シナリオ

HEAT20が目指す住宅の第一義的な目標は、「外皮平均熱貫流率」を満足することではなく、「住宅シナリオ」に示される"環境の質を表す室温(NEB)"と"省エネルキー(EB)"を両立させ実現することです。以下では、戸建住宅を対象にこれまで公開したG1・G2に加え、2020年9月に最終公開したG3も含めて紹介します。

・NEB(室温)に関する住宅シナリオ
戸建住宅G1〜G3の住宅シナリオ・NEB
戸建住宅G1〜G3の住宅シナリオ・NEB
・EB(省エネルギー)に関する住宅シナリオ
戸建住宅G1〜G3の住宅シナリオ・EB
戸建住宅G1〜G3の住宅シナリオ・EB

住宅水準 G1・G2・G3

住宅シナリオを、代表都市で実現するための外皮平均熱貫流率UAが、下表に示す値となります。そして、代表都市以外の外皮平均熱貫流率は、後に述べる方法で地域補正するという考え方が、HEAT20が奨める"正統なやり方"です。

地域別の代表都市と外皮平均熱貫流率
地域別の代表都市と外皮平均熱貫流率
(注記)「設計ガイドブック2021」には、集合住宅の住宅シナリオと性能水準C1・C2・C3 についても記載されています。

新しい地域補正の提案

HEAT20が提案する外皮平均熱貫流率 (以下、 UA値) は、省エネ基準の地域区分ごとの代表都市において、 住宅シナリオを実現する外皮性能の水準値 (以下、代表都市UA値) です。 そして住宅シナリオは、「最低の OT (冬期間の最低の体感温度)」、「OTが15℃未満の割合(作用温度がおおむね15℃を下回らない)」、「暖房負荷削減率 (平成28年基準レベルの住宅との比較)」の3指標で構成されています。

一方、同じ地域区分の中でも、外気温や日射量は地域(市町村など)によりさまざまであり、代表都市以外の地域でこの住宅シナリオを実現するには、その場所の気候特性に応じた UA値 (以下、地域補正 UA値) にする必要があります。 補正の結果、例えば、日射量が多い地域であれば、代表都市UA値より断熱性能が少し低くても、住宅シナリオを達成できることもあるでしょう。

  • ①標準年気象データの2010年版が新たに整備されたこと
  • ②HEAT20でG3を提案したこと
  • ③省エネ基準において地域区分が変更 (例えば、仙台が3地域から4地域に変更) になった こと
  • ④NEBに関して「OTが15℃未満の割合(作用温度がおおむね15℃を下回らない)」の評価 に加え、「最低のOT (冬期間の最低の体感温度)
  • 」の評価も可能にしようとしたこと などの理由から、今回、本設計ガイドフックの発行を機に、まったく新しい地域補正方法を提案することにしました。

これまでの補正式は、変数としてUA値とηAH (暖房期平均日射熱取得率) を用いて ましたが、新たな補正式では、住宅モデルを前提に、外皮の断熱性能と日射熱取得の計算を、「主たる居室・その他の居室・非居」に分けて評価します。以前の式よりも複雑な式になっていますが、それにより「最低のOT」の評価もできるようになりました。 2021年度中にはHEAT20のHPで計算プログラムをアップする予定ですので、そうなればこの補正式もはるかに使いやすくなると考えていいます。

外皮性能・暖房方式とNEB/EBの関係(ぼんぼりの図)

住宅省エネ基準では、以前より標準的な空調モードとして、①部分間歇運転モード、②居室連続運 転モード、③LDK連続運転モードの三つのモードが設定されていますが、高断熱住宅では、実態としてそのモードがあてはまらないことが知られています。ここでは、外皮性能と空調モードが、NEBの代表である最低室温やEBとしての年間暖房負荷にどのように関係するかを、 通称「ぼんぼりの図」を使って、説明します。

図は、一例として、平成28年省エネ基準レベルおよひG1〜G3水準(UA値)を基本として、暖房運転モード(暖房を運転する部屋の数や運転時間の長さ)を変えてシミュレーションを実施した結果をプロットし外皮性能と暖房運転モード別のEB、NEBの関係を示したものです。さらに、HEAT20で設定した外皮性能水準と暖房運転モードに、全館連続暖 房のケースを加えた位置を「塗り円(ぼんぼり)」でプロットしていることから、HEAT20では通称 「ぼんぼりの図」と呼んでいます。「ぼんぼりの図」により、前述したようにHEAT20のG1〜G3の 住宅シナリオと水準の関係が非常に理解しやすくなります。この図ではこれらの関係性だけでなく、暖房運転モードをHEAT20の設定条件以外とした場合の外皮性能向上による暖房負荷削減効果や暖房期最低室温なども、把握することができます。当然のことながら建設地(気象条件)や住宅の形状、敷地周辺の立地条件などによって異なることはいうまでもありませんが、暖房運転モードと外皮性能水準、EB、NEBの関係を把握するための参考となりますので是非、設計の際に活用してくたさい。

暖房方式・外皮性能別のNEB・EBチャート(ぼんぼりの図)
暖房方式・外皮性能別のNEB・EBチャート(ぼんぼりの図)

目次

目次
目次
<一部紹介>

・HEAT20が提案する住宅シナリオ・水準 戸建住宅と集合住宅の関係(p22〜25)

HEAT20が提案する住宅シナリオ・水準 戸建住宅と集合住宅の関係(p22〜25)

・戸建住宅G1〜G3水準とNEB・EB(p50〜73)

戸建住宅G1〜G3水準とNEB・EB(p50〜73)

・外皮性能・暖房方式とNEB/EBの関係(ぼんぼりの図)(p74〜77)

外皮性能・暖房方式とNEB/EBの関係(ぼんぼりの図)(p74〜77)

・躯体と開口部のデザイン 躯体と開口部のバランス(p80〜91)

躯体と開口部のデザイン 躯体と開口部のバランス(p80〜91)

・躯体と開口部のデザイン 熱・エネルギー(NEB/EB・熱収支)(p124〜125)

躯体と開口部のデザイン 熱・エネルギー(NEB/EB・熱収支)(p124〜125)

・躯体と開口部のデザイン 光環境(p130〜135)

躯体と開口部のデザイン 光環境(p130〜135)

・躯体と開口部のデザイン 光環境(p136〜143)

躯体と開口部のデザイン 光環境(p136〜143)

・住まいになにをもたらすのか 総論(p156〜159)

住まいになにをもたらすのか 総論(p156〜159)

・住まいになにをもたらすのか 外皮性能と温度特性、暖房方式(p160〜165)

住まいになにをもたらすのか 外皮性能と温度特性、暖房方式(p160〜165)

・住まいになにをもたらすのか 開口部のデザインの特徴、プランの特徴(p166〜167)

住まいになにをもたらすのか 開口部のデザインの特徴、プランの特徴(p166〜167)

・住まいになにをもたらすのか 健康と暮らしの変化(p172〜177)

住まいになにをもたらすのか 健康と暮らしの変化(p172〜177)

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