折りたたみ自転車でアジアを走った男の伝説
への金澤良昭氏(プロデューサー)からのアドバイス
(応募された企画書)
(アドバイス)
【タイトル&サブタイトル】
折りたたみ自転車で
アジアを走った男の伝説
〜こんな愚行をここまで真剣にやってるヤツの2カ月間〜
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折りたたみ式自転車というところは、類書と差別化する上でグッド。
自分のことを積極的にPRするのはよいが少しやりすぎ、読み手に謙虚で前向きな感じを与えるような感じのタイトルが良い。
サブタイトルも他人からは反発を招く言い方。素直に「アジア・サイクリングが教えてくれた人生の夢」など素直に共感を呼ぶ言葉を並べたほうが良い。
【希望する出版社】
ダイヤモンド社、スターツ出版
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有名な「地球の歩き方シリーズ」を意識したならダイヤモンド・ビッグ社へ
【本体価格】
980円
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【企画意図】
折りたたみ自転車とは駐車スペースの少ない街で乗られることを前提としたミニサイクルである。当然ながら、長距離のサイクリングやツーリングには不向きとされている。その折りたたみ自転車でどこまで行けるのかをテーマとし、企画者がアジア諸国を走り抜けた際の旅行記が本書の企画である。
主な読者対象をバックパッカー(格安旅行者)とする旅行記もの、珍道中ものはすでに1ジャンルとして確立しているが、誰でも気軽に海外に行けることから「極もの」の旅行記、過酷な「冒険」記、「読み物」としてのエッセイなどに細分化の傾向が見られる。本書のねらいはその全ての要素を兼ね備えることである。
方針は下記のとおり。
1、ユーモアのある文章であること。
2、イラストと写真を掲載。読者に見る楽しみを提供する。
3、旅程を詳しく掲載。かかった費用も日付け単位で掲載。
4、読み物として深く、面白くあること。
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方針はこの手の本のポイントをきちんと押さえており評価できる。ただし4は抽象的過ぎる。
あくまでもイラストをメインに据えビジュアルに訴える本として企画したほうが出版社も通りやすく、売れやすい。
旅行に行ってからある程度年数が経っているのでそのへんをどうするか対策も考えたいところ。
写真もあれば載せたいところ。
【対象読者】
アジア旅行をする、もしくは興味のある20〜30代若者。 普通の旅行に飽きてしまったバックパッカー。
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【構成】
- 第一部「最も秩序なき遊戯」
- 序 章 走り出すまで
- 走り始めるまでの心境、動機づけ、準備など。
- 第一章 走り出したら〜日本〜
- 東京の自宅アパートから沖縄までの記録。
- 電車と折りたたみ自転車を併用することでの利点。
- 第二章 走り出したものの〜台湾〜
- 台湾縦断の記録。海外での自転車走行、フェリーでの国境越えなど。
- 第三章 走ってきました〜香港・マカオ〜
- マカオ、香港滞在の記録。 第二部「幾千夜の沈黙」
- 第四章 まだ走るの〜タイ〜
- 南部タイ縦断の記録。
- 第五章 もう止まれない〜マレーシア〜
- マレーシア縦断の記録。
- 終 章
- 沈黙
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各章末に著者の教訓・教え・メッセージを直筆で載せるとよい。丸善メイツの「イタリアへ行こうよ」「フランスへ行こうよ」(しもむら のりこ文・イラスト)が売れているのはイラストと直筆メッセージの影響も大きいと思われる。
折りたたみ自転車ならではのメカニックや運転面での注意などを書いた章を作ると、読者層を広げられる。
今の自分の心境などもあとがきで触れて欲しいところ。
【版型・ページ数など】
A5、300ページ、ソフトカバー、横書き
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【目次案】
- 章ごとにそれぞれ日付でさらに細かく掲載。ただしここでは省略。
- 第一部「最も秩序なき遊戯」
- 序 章 走り出すまで
- 第一章 走り出したら〜日本〜
- 第二章 走り出したものの〜台湾〜
- 第三章 走ってきました〜香港・マカオ〜
- 第二部 幾千夜の沈黙
- 第四章 まだ走るの〜タイ〜
- 第五章 もう止まれない〜マレーシア〜
- 終 章 沈黙
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部を無理に設定する必要はない。
「走る」に引っ掛けた命名は面白い。
【ペンネーム 年齢】
野炭大悟 30歳
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【著者の立場】
執筆当時は海外旅行未経験、自転車ツーリング未経験の大学生。 愚行を実行に移せるだけの時間と財力と勢いのあった立場。
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著者の尊敬する人、好きな言葉、変わった略歴など個性をアピールできることはどんどん書こう。
★総 評★
切り口・発想は面白く、企画者のオリジナリティ溢れる経験・テーマは編集者・読者のハートをくすぐるものがある。ホームページに掲載しているイラストも個性的でよい。
ただしアジア旅行については類書が多いので持ち込んだときに「折りたたみ自転車」を編集担当者がどれくらい評価するかが成功のポイントになろう。