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現在のページ:トップページ > 芝浦港南地区総合支所 > 暮らしの情報 > 地域のできごと > パルシステム生活協同組合連合会本部、生活協同組合パルシステム東京港センターを取材しました
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2021年10月7日(木曜)
2021年11月10日(水曜)
小田切四季、後藤藍、中嶋つつみ、堀菜々子、湊悠月(東京工業大学附属科学技術高等学校)
日本で、食べられるのに捨てられる食品が、2019年には570万トンあったと農林水産省から発表されました。深刻な食品ロスが問題になっているなか、パルシステムではできるだけ「もったいない」を減らし、活用する努力をしています。
例えば、「もったいないグリーンセット」。これは農家で余った野菜をセットにして届ける商品で、内容は週ごとに変わります。現在一万人以上の組合員が毎週利用し、大量廃棄の削減につながっています。チームメンバーの家でも購入していて、「新鮮な野菜を安く買えて嬉しい」と家族が話していたそうです。このセットは、生産者も消費者も利益を得られる取組のようです。
食べられるけれども、商品にはできない野菜や果物を活かす取組も行っています。パルシステムは産地からの輸送中に青果が痛むことを予想して、仕入れを多めに行っています。そのため、検品では“問題ない”とされた青果でも、予備が余れば組合員に届けられないこともありました。しかし2019年からシステムを変えたことで、支援が必要な人にも食品を届けられるようになったそうです。
仕入れた青果は、まず物流センターで検品や加工・仕分され、配送センターを経由して組合員の元へと届けられます。それまでは傷が付いた野菜などはこのふたつのセンターの従業員に安く販売していましたが、新しいシステムにより子ども食堂やフードバンクなどに分けることができるようになりました。そのおかげで、生活に困っている人たちへ年間でおよそ20万食分も提供できるようになったそうです。パルシステムは、港区で実施している子ども食堂「みんな食堂」(※(注記)本プロジェクトで他チームが取材)も支援しています。多くの場所へと支援が届いていることを改めて感じます。
このように、パルシステムは多くの取組で「もったいない」を明るい方向へと変換させています。傷が付いて完璧でなくても、その商品を選んでくれる消費者と生産者をつなぎ、持続可能な社会へと導いているように感じました。
チラシに載っている商品「ふぞろいりんご」
パルシステム東京の本部を訪ねた後、私たちは港センターに伺いました。
この配送センターの仕事は、生産元から輸送されてきた商品を組合員の元へ届けることですが、もうひとつの仕事として、組合員から回収した、使い終わった資源を分別、リサイクルセンターへと送っています。これにより、持続的な社会の実現に向かっているのです。これからは、チラシなどを活用して資源の回収を促し、回収率やリサイクル率のさらなる向上を目指しています。
これらの取材から、高校生が自ら企業の取組を知り、発信していくことがこれからは大切だということも分かりました。
実際に組合員に配った分別についてのチラシを見せてもらいました
「組合員が出資金を出資し、安全安心の商品によって組合がともに生きる」。これが、パルシステムの「消費生活協同組合」と呼ばれる仕組みです。今回のインタビューでは「共生」という言葉を何度も聞きましたが、仕組みについて深く知るほど、この言葉をよく感じることができました。
パルシステムを含む生活協同組合の誕生には、公害問題が深く関わっています。質より利潤が重要視される高度経済成長期のなかで、人々は食の安全・安心や環境への配慮を願うようになりました。しかし、当時は今ほど食品の安全性に対する意識は高くなく、生産者への説得は難しいものでした。そこで生産の背景を学びに生産者を訪ねるなどして生産者と対等な関係を構築し、組合員の切実な願いを生産者に伝えたことで、消費と生産を結ぶ生活協同組合ができたそうです。生活協同組合の需要が確実に高まった1970年、ついにパルシステムの前身である「辰巳団地生協」が誕生します。その後名前を変え、商品を増やして、現在の形となりました。
パルシステムは、組合員と生産者全員で経営していくものだそうです。インタビューのなかで伺った「商品政策は組合員が起点」という言葉が印象的でした。
パルシステム連合会で、渉外・広報室の主任として活躍する堀籠美穂さんからは、パルシステムに入協するまでのお話を聞くことができました。
日常的に売られている太くてきれいな状態のバナナは、その多くがプランテーション農園で作られています。そこでは大量生産を可能にするために、低賃金で「農業者」としてではなく「労働者」として人を雇い、見た目がきれいなバナナを出荷するために農薬を必要以上に使います。大学生の時にこの現状を知った堀籠さんは、フェアトレードのバナナやエビなどを輸入・販売する株式会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ)に協力を持ちかけ、同じような状況に直面しているフィリピンのネグロス島のサトウキビ農園を訪れました。
農園で働く人々は過酷な労働を強いられており、さらに1980年代から人工甘味料が多く使われ始めたためにサトウキビの値段は暴落していました。また農園で労働者として働いていた人々は、自分で農業を始める方法が分からず飢餓に陥っていました。
一方、生協では、このように困っている労働者を支援する活動が同時期に行われていました。そこで、山で無農薬でも育っているバナナを活用すればネグロス島の人々が農業者として自立できるという見通しを立て、日本へのバナナの輸出の仕組みを構築したのです。
いずれは青年海外協力隊に入って「困っている人々を助けたい」と考えていた堀籠さんは、現地を訪れた際、発展途上国に住む人たちが、自分たちの暮らしをよくするために助け合いの仕組みをつくっていることに驚きました。地域間で組合を積極的に作ったり薬草などを使った民間療法を互いに行ったりしている様子を見て、「日本人が発展途上国に足を運んで助けに行く」という考えは少し違うのではないかと感じたそうです。むしろ、努力して食べ物を作っている人たちについて多くの日本人に伝え、商品を買ってもらう方が大切だと考えました。
「多くの人が、様々な生産現場での苦難や努力を知って購入するようになってほしい」という想いが、堀籠さんが生協で働き始めた原点です。支援にもたくさんの方法があり、直接行って助けることだけではない、と私も改めて思いました。
ネグロス島での体験を教えていただきました
パルシステムさんは「安心安全で高クオリティにこだわられた食品」がメインだとイメージしていたのですが、形の悪いものも捨てずに利用するなどして食品ロスを減らすためにたくさんの工夫をされている機関だと知ることができました!視野が大きく広がったと感じます。
今回パルシステムさんを取材して、ただ食べ物を届けるだけでなく人と人のつながりを大切にし、コミュニティを全員でつくり上げていることを感じました。今回取材した生協に限らず、SDGsを地球で達成するにはたくさんの人とのつながりが重要だと思います。私も身近にある課題もひとりで悩まず、周りの意見も参考にしながら広い視野とともに取り組みたいです。(パルシステムさんの個人的おすすめ商品:おやつソーセージ)
普段のぞくことのできないパルシステムさんの裏側をのぞかせていただき、たくさんの学びがありました。小さな取組であっても、一人ひとりの協力がとても重要で、このことをたくさんの人に正しく伝えることは困難ですが、どのようにすればこれが実現するのかということが私たちの課題だということを実感することができました。
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