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2022年1月21日(金曜)
加藤早蘭、篠田凜、鈴木望加(東京工業大学附属科学技術高等学校)
「ポカリスエット」、通称“ポカリ”と呼ばれる飲料は、日々の健康維持や増進をサポートする大塚製薬株式会社のニュートラシューティカルズ事業製品のひとつです。ニュートラシューティカルズとは、Nutrition(栄養)とPharmaceuticals(医薬品)からなる造語で、人々の日々の健康維持に有用である科学的根拠のある食品・飲料のことです。
1980年に発売されたポカリスエットは「飲む点滴」をヒントに「汗の飲料」をコンセプトにして作られ、水分と電解質をよりスムーズに摂取できる処方になっています。その他の飲料製品と違い、多くの研究や実験を重ねた「科学の視点」から、人々に寄り添っています。ターゲットは職業や年齢などを問わず「水分・電解質の補給が必要な人」全員。体調管理のために、普段から常備すると心強い存在です。
[画像:大塚製薬1]
ポカリスエットは様々な形で展開している
ポカリスエットという名前は、明るくさわやかで躍動感を感じさせる“音”をイメージした「ポカリ」という言葉と“汗”という意味を持つ英単語の「スエット(sweat)」から付きました。ロゴはシンプルで、青い背景に白くカーブしたラインと文字で構成されています。青色は海、白色は波をイメージし、ラインは、水分の回復状況を真水とポカリスエットで比較したグラフを元に作られました。これに「IONSUPPLYDRINK」と書き添えることで、水分補給に優れている飲み物というメッセージを込めているそうです。
[画像:大塚製薬2]
真水とポカリスエットを比較
ロゴがシンプルであるのには、理由があります。それは「喉がかわいたら飲むもの」「風邪をひいたときに飲むもの」といったような、人々が様々な体験と結びつけてすぐに想起してもらうようにするためだそうです。
また、ポカリスエットのコンセプトをそのまま届けたいという考えから、世界中で展開する際にも外見を装飾したり変えたりするのではなく、統一した形で展開しています。宣伝の際にも製品そのものやパッケージそのものには手を加えず、CMへの女優の起用や、商品をアニメに登場させる形でのコラボレーションなど、製品の周辺の伝え方を工夫するようにしているそうです。
[画像:大塚製薬3]
ペットボトルの形状にもこだわりがあります
そのひとつ目は、側面に波型のラインのくぼみがあることです。これは、2007年にペットボトルの厚さを薄くすることで30%軽くし、日本で初めて「陽圧無菌充填(じゅうてん)方式」を採用したことによります。軽くなった分へこみやすくなったペットボトルの側面にくぼみを作り、窒素を充填して内側からの圧をかけたことで、横の衝撃から中身を守っているのです。
2つ目は、ペットボトルの底が、炭酸飲料用のものと同じ形状になっていることです。環境配慮による軽量化が陽圧無菌充填の実施につながり、そこから生まれた2つのこだわりによってボトルの手なじみが良くなったほか、捨てやすくなりました。
製品の生産には、「原料調達」「生産」「運輸」「販売」「資源循環」といった一連の流れがあります。たとえば販売と資源循環では、次のような活動がSDGsに関わっています。
販売の面ではSDGsの3番と12番に貢献しています。まず、健康の啓発としてスポーツ活動の場や工場、高齢者向け福祉施設へと赴き、出張講座を実施しています。そこで熱中症対策について話し、健康支援を行っているのです。この啓発活動は、1990年代に始めてから30年間以上継続されています。最近は港区とも連携し、防災という視点から小学校・中学校で、災害に備えたローリングストックの話などもしているそうです。
さらに、資源循環の面では、SDGsの12番に貢献しています。大塚製薬株式会社が所属する大塚グループでは、ペットボトルの原料をリサイクル原料や植物由来の原料に移行し、グローバルでの持続可能な原料の割合を2030年までに100%にする目標を立て、「大塚グループプラスチックステートメント」を制定しています。
食品ロス削減の観点での取組も行っています。飲料業界では賞味期限表示を年月日から年月に変えようという動きが進みました。これにより、1日過ぎたからと廃棄される商品を減らすことができたと言います。この背景には、人々に安心して飲んでもらえるように品質を確保しようとする企業努力が見てとれます。
大塚製薬株式会社の所属する大塚グループは、2021年に設立100周年を迎えました。取材を通して、これまでの100年の歩みを大事にしながらも、これからの100年を人々とともに歩んでいくという想いを感じました。
[画像:大塚製薬4]
「水分と電解質(イオン)補給の重要性」の情報提供を社員が行う出張講座
[画像:大塚製薬5]
SDGsとは何かも初めはよく分からない状態でしたが、実際に取材してみて、驚くようなアイデアがたくさんあると分かりました。今回の良い経験を周りにも広めていきたいと思います。
初めは、SDGsは企業が目標達成に向けて頑張るものだと思っていました。しかし、この体験を通して、目標を達成させるためには企業だけでなく私たちの小さな一歩が欠かせないということが分かりました。これからは自分も少しでもSDGsや環境保全に貢献していけたらと思います。
貴重な取材をさせていただき、私自身も初めて知ったことが多くとても勉強になりました。SDGsがより広まり、期待が集まれば良いなと思っています。
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