現在このページは批評中です。
クレジット
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JP は、サイト-57の研究セクター内にある収容房-91に設置された、デスクトップPC内に保存・収容されます。収容房には生体認証ロックと監視カメラが設置され、外部からの通信を遮断しています。オブジェクトへのアクセスはレベル4/XXXXセキュリティクリアランスが必要です。不正なアクセスが検出された場合、アクセス者は直ちに保護され、Aクラス記憶処理が行われます。
財団は各国政府と協力し、カバーストーリー「2030年問題」を適応してください。
説明: SCP-XXXX-JP は、未知のアルゴリズムのコードが記述されたテキストファイルです。ファイル容量は1KB程度であり、作成日時は2021年█月█日と推測されています。ファイル名は"Furuma_4453.py" であり、拡張子は、「Python」のソースファイルと一致しています。SCP-XXXX-JPの内部テキストは反ミーム性を有しており、内部テキストの記憶、記録を保持することはできません。また、ファイルの複製・転送・削除をする試みは失敗しています。しかし通常のソースコードと同様に、内部のをアルゴリズムを実行する、または内部に定義された関数を呼び出すことは可能であることが分かっています。
補遺1-発見経緯: SCP-XXXX-JPは2021年█月█日、千葉県██市に住んでいた数学者、古間 ██氏の自宅のPCから発見されました。発見当時、古間氏は自宅で既に死亡しており、警察による鑑定結果から自殺と断定されていました。警察が遺品の鑑定を行っている際、SCP-XXXX-JPの異常性を発見し、財団に情報が共有され収容に至りました。
補遺2-実験ログ: 以下は、SCP-XXXX-JPの内容を調査した実験ログの一部です。
実験記録001 - 日付2021/██/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: 回収した古間氏のパソコンでファイルを実行する。
結果: "n=" という文字列が表示され、"10" ×ばつ5" と表示された。
分析: SCP-XXXX-JPは数nを入力すると、積がnとなる掛け算の組み合わせを表示するプログラムのソースコードであると考えられる。
実験記録002 - 日付2021/██/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: SCP-XXXX-JPを実行し、さまざまな入力を与える。
結果: 下記の表は結果の抜粋です:
入力内容 出力結果n= 2 2n= 25 ×ばつ5n= 57 ×ばつ19n= protect Please Enter an Integer!!n= -173 -173n= 0 0n= 2021 ×ばつ47n= 500 ×ばつ5分析: SCP-XXXX-JPは、整数nを入力するとnの素因数分解を表示し、それ以外の入力を与えるとエラーメッセージを表示するプログラムのソースコードであると考えられる。
実験記録003 - 日付2021/██/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: 財団が古間氏のパソコンで作成した以下のソースコード(find.py)で、SCP-XXXX-JP内に実装されている関数名を把握する。
-
- _
# find.pyimportFuruma_4453print(dir(Furuma_4453))# SCP-XXXX-JP内に実装された関数名をすべて表示する
結果: '__prime_fac__' 、[データ削除済]などの文字列が表示された。
分析: SCP-XXXX-JP内には "prime_fac" という関数が実装されていることが判明しました。また、SCP-XXXX-JPの反ミーム性は、関数名のみ呼び出す場合には適応されないと考えられます。
実験記録004 - 日付2021/██/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: 財団が作成した以下のソースコード(test.py)で "prime_fac" を呼び出す。
-
- _
# test.pyfromFuruma_4453importprime_facforiinrange(1, 10): print(prime_fac(i), ', ', end="")#関数prime_facに1~9を入力として与え、出力を表示する
結果: "1, 2, 3, (2, 2), 5, (2, 3), 7, (2, 2, 2), (3, 3), " と表示され、test.py内で "prime_fac" を使用できた。
分析: 関数 "prime_fac" が、整数nを入力するとnの素因数の組を返すアルゴリズムを実行していると考えられます。
実験記録005 - 日付2021/██/██
対象: SCP-XXXX-JP
実施方法: 財団が作成した以下のソースコード(time.py)を用いて、"prime_fac"を実行した際の計算時間を測定する。(注: nとして、2021年当時発見されていた最大のメルセンヌ素数を与えた)
-
- _
# time.pyfromFuruma_4453importprime_facimporttimen=2**(82589933) - 1start_time = time.perf_counter()x = prime_fac(n)end_time = time.perf_counter()dt = (end_time - start_time) * 1000print('計算時間: {:.3f} [ms]'.format(dt))# ミリ秒単位での計測結果を表示
結果: "計算時間: 0.010 [ms]" と表示された。
分析: これまでの実験中の計算時間も考慮すると、SCP-XXXX-JP内に記述された素因数分解アルゴリズム"prime_fac" は、入力された整数の大きさ、素因数の個数、素因数の大きさによらず、定数時間で素因数分解が可能であると考えられます。
(注: 2021年当時、人類はこのような計算が可能なアルゴリズムの公表には至っていません。)
補遺3-古間氏の遺品: 遺体発見現場には、古間氏の整数論や複素関数論に関する論文や日記が散乱しており、それらの一部をオブジェクトの収容・研究のために財団が警察から引き取りました。以下は彼の日記の抜粋です。
2020年█月█日
件のパンデミックで、不要不急の外出は控えろとか、マスクをしろだとかいうことばかり言われる。
先週も隣の研究室で感染者が出て大騒ぎだ。もともと出不精だから、私にとっては好都合だが。
2020年█月█日
毎年同じやり方だった講義も、オンラインに合わせて形式を変えねばならなかった。あのチョークの書き心地がもはや懐かしい。文字通り無機質な聞き手に向かって喋り続けるのは私にも辛かった。
だが、通勤時間が0になった分、かなり時間を持て余している。おかげで研究にも幾分か進展があった。悪いことばかりじゃなさそうだ。
2020年█月█日
今日は、というかここ数週間はいささか興奮している。この研究は、もしかすると世界をひっくり返すかも知れない。
私にしては早計だな、とも思っているが、一歩進めば芋づる式にわかることが増えていくのも数学の醍醐味だ。
かのニュートンも、ペストの流行下で過ごした「創造的休暇」の間に偉業を成し遂げたと言われている。この際その逸話の真偽はどうでもよいが、少なくとも「創造的」だったことは間違いない。
こんなつまらない日記はしばらく書かないことにしよう。ちっとも「創造的」じゃない。
2021年█月█日
やったぞ、ついにやった!私は最大の謎を解き明かした!!
まだ論文の体裁を成していないが、先にコーディングまで済ませてしまった。とりあえず10桁くらいまでは問題なく動作した。今夜は眠れない気がする。
2021年█月█日
今日は散歩に行った。普段はあまり騒がないからか、昨日は結局疲れて眠れた。
今朝はいつもと同じコーヒーを淹れ、計算ミスや論理の破綻をチェックした。今夜はあのコードを整形しようと思う。せっかくの大発見だ。人に見せるに値するものにしなければ。明日は論文を完成させよう。このアルゴリズムは人類の宝になる。手書きのままじゃ駄目だ。
…
空の青が美しい。西の空に長い飛行機雲が見える。
2021年█月█日
私はとんでもないものを手にしてしまった。
その美しさに魅了され、その恐ろしさを忘れていた。
まだ世界は、そんなに多くの「錠前」を持ち合わせていない。
論文を書き終える前に気づいてよかった。完成していたら、なりふり構わず発表していただろう。私は進み過ぎた。2日前のはしゃいでいた自分を恥ずかしく思う。もうあのファイルは見たくもない。
2021年█月█日
昨日は全く眠れなかった。
...
私が悪いのか?
私は真理を追求しただけだ!
どうして人間の秩序を気にしなきゃならない?この美しさを共有してはならない?
人生を賭けて見つけたこの神の作品を、見ないふりをしてこのまま過ごせというのか?
…
…いや、そんなのは当然だ。我々はまだ「準備」ができていない。
私の愛した数学が、私の人生が、世界に混乱をもたらすことは望んでいない。ただ、ここにきても私は、このファイルを消すのは惜しいとも思ってしまう。生意気にも自分が見つけた証を残そうとしてしまっている。
…
私はもう疲れた。私はこの美しい「鍵」と心中する。これを抱えたまま、口をつぐんで生きていけるはずがない。世界の「準備」が整うまでは、何人たりとも開けてはならない。
補遺4-QPQプロジェクト概略: 財団の数学研究員は、RSA暗号に代わる暗号化アルゴリズムを研究・開発してください。財団はこの研究プロジェクトを「Quid Pro Quo美しさの代償(QPQ)プロジェクト」と命名し、カバーストーリー「2030年問題」を名目として掲げ、計算機科学や暗号理論に精通する人材を財団内外から招集して研究を行なっています。また、開発したアルゴリズムは世界中に公開され、新しい強固な情報セキュリティとしてRSA暗号から速やかに移行する計画が立てられています。
SCP-XXXX-JPの内容を利用すれば、現在世界中で用いられているRSA暗号を容易に突破することが可能です。これは、電子的にやり取りされるあらゆる文書の信頼が失われることを意味します。このアルゴリズムが漏洩すれば、世界が混乱に満ちることは明らかでしょう。彼は、その最初の被害者となってしまいました。
注意しなければならないのは、このアルゴリズム自体は"異常"ではないということです。つまり、いずれ他の誰かが、同様の素因数分解アルゴリズムを発見するかもしれないということです。古間氏に敬意を表し、我々は「準備」を進めなければなりません。
QPQプロジェクトリーダー - 及川 研究員
付与予定タグ: scp jp safe 反ミーム 人工 コンピュータ 数学
現在広く使われているRSA暗号の安全性が、「素因数分解の困難さ」のみに依存していることから着想を得て作成しました。
このオブジェクトは、古間氏がファイルを作成した時点では異常性を有していませんでしたが、「まだ「準備」ができていない。」「何人たりとも開けてはならない」という古間氏の強い思いが、異常性を発現させました。また、「ファイルの削除ができない」という異常性は、古間氏が「自分が見つけたという証を残しておきたい」と思っていることに起因します。世界の「準備」が整った時に、異常性は自発的に無力化されます。
記事に登場する数字はそれぞれ 57ドル=3\times 19, ,円 91=7\times13, ,円 2021=43\times47, ,円 4453=61\times73$と2つの素数の積で表されるもの(半素数)を選びました。RSA暗号の暗号化形式を意識しています。
古間氏、及川博士はそれぞれ数学者のフェルマー、オイラーを意識して名付けました。オイラーは、フェルマーの小定理を一般化した定理を発表するなど、歴史的にフェルマーと関わりの深い数学者であること、そして両者とも名の知れた数学者であることから、この2人を選びました。
批評していただきたいポイントは、文章の表現や記事の構成、およびオブジェクトの内容についてです。記事を書くのが初めてで、不自然な点、議論不足な点などあると思いますので、ご指摘のほどよろしくお願いいたします。
批評ステータス
カテゴリ
SCP-JP本投稿の際にscpタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にgoi-formatタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
本投稿の際にtaleタグを付与するJPでのオリジナル作品の下書きが該当します。
翻訳作品の下書きが該当します。
他のカテゴリタグのいずれにも当て嵌まらない下書きが該当します。
言語
日本支部の記事を他言語版サイトに翻訳投稿する場合の下書きが該当します。
コンテンツマーカー
本投稿の際にジョークタグを付与する下書きが該当します。
本投稿の際にアダルトタグを付与する下書きが該当します。
本投稿済みの下書きが該当します。
イベント参加予定の下書きが該当します。
フィーチャー
構文を除いた本文の文字数が5,000字前後か、それよりも短い下書きが該当します。
構文を除いた本文の文字数が短編と長編の中間程度の下書きが該当します。
構文を除いた本文の文字数が20,000字前後か、それよりも長い下書きが該当します。
特定の事前知識を求めない下書きが該当します。
SCPやGoIFなどのフォーマットが一定の記事種でフォーマットを崩している下書きが該当します。
JPのカノンや連作に所属しているか、JPの特定記事の続編の下書きが該当します。
JPではないカノンや連作に所属しているか、JPではない特定記事の続編の下書きが該当します。
JPのGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
JPではないGoIやLoIなどの世界観用語が登場する下書きが該当します。
ジャンル
任意
-
- _
注意: 批評して欲しいポイントやスポイラー、改稿内容についてはコメントではなく下書き本文に直接書き入れて下さい。初めての下書きであっても投稿報告は不要です。批評内容に対する返答以外で自身の下書きにコメントしないようお願いします。
hikikakuanaguma hikikakuanaguma 28 Sep 2025 15:58拝読しました。ストーリーや文章表現、記事の構成は問題ないと思います。内容についても、「世界を混乱させかねない新技術」というトピック自体はありふれていますが、それを一般人が発見し、葛藤しながらも隠し通そうとしたというのは面白いと思いました。しかしながら、理論面に大きな瑕疵がありましたので以下に挙げます。
- SCP-XXXX-JPによってRSA暗号が破られることはない
RSA暗号は素因数分解の困難性によるアルゴリズムです。素数をすべて出力できたとしても、公開鍵がそれぞれの素数で割り切れるかを順に確かめるのには膨大な計算量が必要となるので、RSA暗号を現実的な時間で破ることはできません。
- そもそも、「自然数nを入力すると素数列第n項出力するアルゴリズム」は存在する
エラトステネスの篩を使えばN以下の素数を計算量$O(N \log \log N)$で計算できます。よって、十分大きなNに対してこれを実行してn個の素数を列挙していけば、素数の第n項を出力することができます。
提案ですが、SCP-XXXX-JPを高速な(例えば定数時間で終わる)素因数分解アルゴリズムに変更するのはどうでしょうか。このアルゴリズムによってRSA暗号を破ることが出来るのは有名な事実ですので理論部分のオリジナリティは失われる可能性がありますが、古間氏の日記や及川研究員のコメント、あるいは異常性そのものの内容によってある程度の面白さを保つことはできると思います。
以上です。執筆応援しています。
by hikikakuanaguma hikikakuanaguma , 28 Sep 2025 15:58
- portal:9827249 (17 Aug 2025 04:44)