あまねく物語の終着点

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クレジット

タイトル: SCP-XXXX-JP - (あまねく物語の終着点)
著者: kazu0128 kazu0128
作成年: 2025年2月7日


評価: 0

アイテム番号: SCP-XXXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Keter

特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはカバーストーリー「私有地」を適用し、2名の警備員を配置してください。SCP-XXXX-JPへの接近は下部に記載する要素に適合する職員以外には許可されます。
事案Aにより現在収容プロトコルの改訂が行われているため、以前の収容プロトコルを記載しています。不明な点がある場合は██博士にお問い合わせください

説明: SCP-XXXX-JPは秋田県██市██町██郡に存在する██寺に存在するドアです。██ 寺は墓地を備えており、鎌倉時代の有力者██ 氏の墓が最も古いため、鎌倉時代に建造されたと推測されています。また、現時点で墓石は一基を除き判読可能で身元も確認されています。SCP-XXXX-JPは非活性化時、あらゆる手段を用いても開閉、破壊、移動は不可能です。また、██寺の建造時期については記録が残っておらず、SCP-XXXX-JPの異常性が意図的であるのか、や後発的なのかは不明です。
SCP-XXXX-JPは現在までのところ、対象となった人物が特定の複数条件下に置かれている場合にのみ活性化が確認されています。以下は過去の事象を元にした活性化の条件として確度が高いと判断されている要素の一覧です。
• 周囲20メートル以内に他者が存在しない。
• 対象者が自身の寿命が差し迫っていることを自覚している。
• 配偶者または友人のいずれかがすでに亡くなっており、それらとの関係が概ね良好であった。

SCP-XXXX-JPが活性化すると対象(以下よりSCP-XXXX-JP-Aと呼称)は以下の行動を示します。
第一段階として、SCP-XXXX-JPが活性化すると扉が開き、SCP-XXXX-JP-Aは自らの意思で侵入するか否かを選択することができます。そのため、実際に第一段階から第二段階に移行したと推察されている例は全体の約20%と算出されています。SCP-XXXX-JP-AがSCP-XXXX内に侵入すると第二段階に移行し、SCP-XXXX-JPは非活性化します。
第二段階ではSCP-XXXX-JP-Aは真っ黒な空間と線路を知覚します。ですが、電車が発明される前は線路ではなく一本道であるとの記述があったため、SCP-XXXX-JPの内部はSCP-XXXX-JP-Aの生存している環境に依存している可能性が指摘されています。また、この空間は██寺の敷地を遥かに超えているためSCP-XXXX-JPは多次元世界への入り口となっている可能性が指摘されています。この空間ではSCP-XXXX-JP-Aに起こったさまざまな人生の出来事が投映されています。多くの場合SCP-XXXX-JP-Aは自らが犯した過ちを反省する言動を見せます。そして、確認されているすべての場合においてSCP-XXXX-Aが先に進むことは奥に進めば進むほど困難になります。この際に起こる事象はSCP-XXXX-JP-Aによって個体差があるため、意図的なものだと推察されています。
第三段階において、SCP-XXXX-JP-Aは川にかかった橋とその向かい側に亡くなった配偶者または友人を知覚します。SCP-XXXX-JP-Aは直感的に橋を渡れば戻ってこれないことを悟ります。確認されているすべての事象でこの段階において帰還した例は存在しません。この橋を渡ると、外部からのあらゆるコンタクトが不可能になります。この後に起こる事象については下記の実験記録21-3を参照してください。

__実験記録21-3 日付20 ██ /██ /██ __

調査員:D-1102(末期の癌を患っており歩行が困難なため、車椅子を使用。前回に実験においてSCP-XXXX-JP内でカメラが正常に作動しなかったため、小型マイクを所持させる。詳細については下部の管理ファイルを参照してください)
目的:配偶者を殺害した場合、SCP-XXXX-JPは活性化するのか
備考:異常性について伝達の上、本人の同意の元で起用

<記録開始>
[車椅子に乗るD-1102をSCP-XXXX-JP-Aから5メートルの位置で待機させる]
██ 研究員:聞こえますかD-1102?

D-1102:ああ、はっきりと聞こえるよ

██研究員:オーケー。実験を始めましょう。

[██研究員がSCP-XXXX-JPから遠ざかろうとする]

D-1102:ちょっと待ってくれないか?

██研究員:どうしました?問題でも?

D-1102:いや。ちょっと心の準備をさせてくれねえか?

██研究員:わかりました。我々も忙しいので手短にお願いしますね。

D-1102:ああ。わかってる

[5分間の沈黙]

D-1102:もう大丈夫だ

[██研究員が離れ、SCP-XXXX-JPが活性化する]

██研究員:気分はどうですか?

D-1102:ものすごく懐かしいような感じがするな。何かが俺を呼んでいるような不思議な感じだ

██研究員:では中に入ってください

[D-1102は車椅子でSCP-XXXX-JP内へ侵入する]

██研究員:周囲の景色について教えてください

D-1102:あー。なんというか真っ黒だな。光がないというより吸収されてるみたいな

██研究員:わかりました。ではまっすぐ進んでください

D-1102:なんか線路があるな。それと気持ち体が重い気がするな

██研究員:では道沿いに進んでください

D-1102:今気づいたけどこれスクリーンみたいになってるんだな。奥に小さな子供が見える。でも何か見覚えがあるな

██研究員:続けてください

D-1102:そういうことか。これ多分俺の小さい頃だな。隣にお袋がいる。懐かしいなあ

██研究員:そのシーンに見覚えは?

D-1102:いや...全然覚えてないな。残念ながら

██研究員:わかりました

D-1102:今度は...小学生だな。あっ、██じゃねえか。あいつ今何してんだろうな。

██研究員:██との関係を教えてくれますか?

D-1102:まあ...あいつとは仲良かったからな。学校帰りはいつも遊んでた。俺と深く関わってるから映ったのかもな。

██研究員:考慮には値すると思います。

D-1102:ありゃ...もう終わっちまったよ。思い出が多いほど長くなるかもしれねえな

██研究員:記録しておきましょう

[10分の沈黙]

██研究員:どうですか?何か変わったことはありますか?

D-1102:体が重すぎてつぶれそうだ。おまけに線路に挟まったのか車椅子がちっとも進まなくなっちまった。ちょいと疲れちまったよ。博士、休憩をとっていいか?

██研究員:許可します

[D-1102はその場で休憩を取る]

██研究員:そういえば何故この実験に同意したのですか?D-1102

D-1102:もう疲れちまったのさ。ご存知の通り俺は末期の間で寿命は幾許もないからな。それに...説明によりゃ死んだお袋に会えるって言うじゃねえか。合意しねえ理由はないさ

██研究員:ですがあなたは母を殺していますよね。殺したいと思うほどの相手に何故わざわざ会いたいのです?

D-1102:...よく調べてんなあ。お前らにとっちゃ俺たちなんて実験用のハムスターに過ぎないんだろ?

██研究員:<沈黙>

D-1102:まあ、恨んでったってよりは可哀想だったんだよ

██研究員:どういう意味です?

D-1102:お袋は俺と同じ癌だったんだよ。しかも発見した時には手遅れだ。しまいには入院してすぐに寝たきりになっちまった。そんなお袋をこれ以上苦しめたくなかったんだよ。そんな状態で殺してくれなんて言われたらほっとくことなんてできなかったよ

██研究員:では何故Dクラス職員になったんです?

D-1102:...どんな動機でも世間の殺人者への視線はあんたが思ってるより冷てえんだよ。毎日家のドアに脅迫みたいなの書かれたり道で殺人者と叫ばれたりな。そんな状況に耐えられなかったんだよ。そんでホームレスとしてさまよってたらあんたたちにスカウトされたってわけだ。裏で人類を守りながら人知れず死んでいく。誰にも迷惑かけるわけじゃない理想の死に方じゃねえか

██研究員:<沈黙>

D-1102:もういいか...?先に進んで。関係のない話に巻き込んじまってすまねえな。

██研究員:いえ、貴重な経験をお聞きできました

D-1102:んじゃ進むぞ。そういや車椅子動かないんだったな。歩くか

[3分の沈黙]

D-1102:橋が見えるな。その先がホームみたいになっててだれか立ってる。下は川になってる。先進んでもいいか?

██研究員:橋の手前で待機してください。

D-1102:ん

[██研究員は██博士に今後の指示を仰ぐために退席する]

D-1102:あれよく見たらお袋じゃねえか。あんたらの言ってること本当だったんだな。

██研究員:すみません。ちょっと退席していました

D-1102:橋渡ってもいいか?

██研究員:...おそらく橋を渡ればこちらに戻ってくることはできませんし、何が起こるかも現状不明です。あなたが望めばここで実験を終了させますがどうしますか?

D-1102:いや...進む。ていうか進まなきゃらなねえ。そんな気がするからな

██研究員:...わかりました...幸運を祈ります

D-1102:ありがとな。あんたにも神の祝福が在らんことを。Kyrie eleison

<記録終了>

分析:殺害の動機によってはSCP-XXXX-JPが活性化することが確認されました。また、記録終了から約5分後にD-1102は絶命した状態でSCP-XXXX-JPの3メートル手前に出現しました。死体に損傷はなく、一般的に穏やかと形容される顔であったため、苦痛を感じないまま絶命したと推察されます。後日行われた調査の結果、判読不能であった墓石がD-1102名義に変更されていました。

識別コード: D-1102

人物情報: 本名[データ削除済]、7█歳(雇用時点)、男性、日本人。
長い白髪と口髭

所在: [データ削除済] 死亡

来歴
19██年 尊属殺人によって起訴。嘱託殺人を主張するも無期懲役判決
19██年██月██日 仮釈放
19██年██月██日 ホームレスとしてさまよっていたところ記録1が発生。雇用が認められる
20██年██月██日 SCP-XXXX-JPの実験により死亡

以下はエージェント██が作動させていた音声記録装置による記録です。
記録1

エージェント██:はあ、迷っちまったよ。こんなに薄暗いところにいたら心まで暗くなっちまうぜ。早くこっから出ないとな。おっ、あそこに誰かいるな。抜け道を知ってるかもしれねえ

エージェント██:そこのアンタ、ちょっといいか?

D-1102:あ?どうした若造

エージェント██:ちょっと道に迷っちまってな。抜け道を教えてくんねえか?

D-1102:...ついてこい

[エージェント██はD-1102についていく]

エージェント██:いやー助かったよ。ここは普段来ねえもんでな

D-1102:まあそうだろうな。ここは迷路みてえに複雑だからな

エージェント██:そいやアンタはここ住んでるのか?

D-1102:まあな。かれこれ数十年になるな

エージェント██:なんか事業にでも失敗したのか?

D-1102:いや...ちょいと豚箱にぶち込まれちまってな。世間の目を避けてたらここに辿り着いたってわけさ

エージェント██:アンタも苦労してんだなあ

D-1102:それはアンタも一緒だろう。常に死と隣り合わせの仕事だろ。人だって何人か殺してる

エージェント██:おいおい、悪い冗談はやめてくれよ

D-1102:別に詮索してえわけじゃねえよ。ただ昔っから鼻がきくもんでね。豚箱にいた殺人犯と同じ匂いがするしな

エージェント██:<沈黙>

D-1102:なあ。俺を雇ってくんねえか?

エージェント██:...どう言う意味だ?

D-1102:そのまんまだよ。言ってなかったが俺だって人を殺したんだ。おまえさんと一緒で誰かを救うためにな

エージェント██:どうしてそう思うんだ?

D-1102:なあに勘だよ。この年まで生きてりゃ大体のことはわかるさ

エージェント██:...ちょっと待ってろ

<記録終了>

起用に際しての備考:SCP-[削除済み]によって発生した大規模収容違反のため、Dクラス職員の大幅な不足が懸念されていました。そのため██管理官によって特例で雇用が認められました。現在倫理委員会で雇用に際しての倫理的問題が存在しないか審議中です 。許可されました

備考: 末期の癌のため、本人の意思を無視したあらゆる実験は倫理委員会により禁止されています。また、1か月に一度通常の健康診断に加えがん検診を行ってください

事案A:2025年1月28日
実験22-1のため、上記の条件を満たすD-1211をドア前で待機させたところSCP-XXXX-JPは活性化を行いませんでした。ただ、開閉、破壊、移動が不可能という異常性は引き続き維持されており、その他の異常性がどのような変化を起こすのか不明なためオブジェクトクラスをSafeからKeterへと変更し、収容プロトコルも改訂することになりました。新たな異常性が発見されなければ様子を見て、恒久的な安全が確認出来次第、オブジェクトクラスを再びSafeへと変更する予定です。


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    IEKOs IEKOs 20 Feb 2025 03:21

    実験記録21-3「貴重な経験をお聞きできました」
    事案A:2025年1月28日「様子を見次第」
    等の文章について、ニュアンスは凄く伝わるんですが、もう少しだけ妥当な表現を探す余地があるように感じました。

    「Dクラス職員から就職の動機を聞く事はそう無いので、貴重な経験になりました」
    「様子を見て、恒久的な安全が確認出来次第」
    といった意味に受け取りました。

    スポイラーが無いのですが、素敵な設定だと思ったので是非真相等が知りたいと思いました。
    三途の川を渡って故人と再会するといった内容であるように思えたのですが、その道程で思い出を振り返るようなシーンが印象的です。
    完成したらきっと凄く良い作品になると思います!
    (自分も昨晩初めての下書きを公開したので、恐縮ですけど、批評し合って切磋琢磨出来たら最高だと思います!お時間あれば!)

    by IEKOs IEKOs , 20 Feb 2025 03:21
    kazu0128 kazu0128 20 Feb 2025 15:28

    批評ありがとうございます。一応自分が想定している設定につきましては
    ・事案Aが発生したのはなぜか→説明2行目「また、現時点で墓石は一基を除き判読可能で身元も確認されています」からこのSCPの発生事案数については限りがあり、最後の実験体D-1211によってそれが飽和数に達した。また、神の意志は人間にはくみ取れないというニュアンスみたいなのも含めました
    これはギリシャ神話のハデスの冥界からインスピレーションを受けています。
    ・メタタイトルについて→
    1川。一般的には三途の川を思い浮かべますが、ギリシャ神話でのステュクス川などとも絡めています。
    2アラブ世界では冥界の入り口は「門」とされており、このSCPの形は扉です。どちらも通り抜けるものなので共通点?みたいなのを感じます。また、ほかの宗教でも門はあの世とこの世の境界とされていることがあるため、あえて扉の画像は載せませんでした
    3D-1211の最後のセリフであるKyrie eleisonはキリスト教における祝詞?のようなものなので彼はクリスチャンだと推定してほしいという意図も入れています。
    まあ要するにいろんな宗教、いかなる人物(条件に当てはまれば)も対象になると意図を込めて「あまねく」を。
    人生を「物語」、仏教において「死」は新たな「生」への始発点なため、なんども行き来する電車になぞらえてこのメタタイトルにしました
    ・なぜD-1211は条件3の亡くなった友人、または配偶者との関係が良好であったという条件に当てはまったのか?→大乗仏教で「慈悲」が重要視されるため、D-1211の背負うべき業がほかの親殺しとは違っていた。また、当人からの頼みなため、関係は悪化しなかった。みたいなことが答えであったと想像して書きました。阿闍世王という人物をモデルにしました
    ・そもそもこのSCPはなんだったのか?→本文中でこの寺院が建立されたと推察されている鎌倉時代は日本では飢饉、御家人同士の争いや元寇。世界では十字軍や元によるヨーロッパ侵攻など「死」というものが今よりもずっと近かった時代です。もちろん日本だけでなく世界の庶民は仏に助けを求めたでしょう。私はこのSCPは神によって人間に与えられたものだという風に考えています。仏教において神はすべてを与えてくれません。それはキリスト教でも一緒です。そして、この作品において「死」という「終着点」を安らかに迎えるためには自らで行動を起こさなければなりません。
    これらをふまえて仏教の枠を超え様々な宗教の要素を取り込んだ結果こうなりました。

    長文で読みにくかったとは思いますがご拝読いただきありがとうございました。また、指摘いただいた表現につきましては直させていただきます。ありがとうざいました

    最後の編集 20 Feb 2025 15:58 by kazu0128
    by kazu0128 kazu0128 , 20 Feb 2025 15:28
    IEKOs IEKOs 20 Feb 2025 18:00

    背景に宗教を横断した死と生や、それに纏わる神の赦しがあるのだと理解しました。作中ではそうした面を表面的に表現するよりも深く内在するものとして扱いたいのでしょうか?
    D-1211さんの行動は殺人であっても、慈悲を受けるに相当するからこそ、扉の先にある赦しを享受できたようですが、その点に関しては良くも悪くも人間の一般的な倫理観と乖離がなく、ある意味で共感できるものでした。作中に行われた神によって下される殺人の業に対する一種の赦しは、日本国の法の基においても嘱託殺人による犯情を慮っての情状酌量という形で類似した措置が下される(ある種許容される・少なくとも単なる親族の殺害とみなされない)可能性はあるように思われます。この点に立脚した観点から読者(少なくとも私自身)は「人間の尺度で汲み取れない神の審判」による現象として認識し難いと思います。端的にいって、人間の物差しの上でもD-1211さんは悪人ではないような気がします。
    最大の相違はその赦しの結果が死であることで、この点を強調すると一般的な人間社会の倫理観と離れていくと思います。例えば親族がある日突然「赦されて」死亡したとして、その結果は受け入れ難いものだと考えます。
    終着と始発が同じ場所で重なり合っていることや、そこへ向かう切符を手にして乗り込むのは当人の力で行われるべきであるという点、またその過程で窓の外を眺めることなど、電車に準えた物語の深みは諸所の表現でより強く読者に伝えることが出来るように思いました。
    扉の意味するところ、その最奥にあるものの正体の一片を示すことができれば、宗教的な背景を絡めて、より読者の想像を掻き立てることができると愚考いたします。
    当該の作品には壮大な背景が用意されているので、現実にSCPとして顕現したものを解析する視点からその底知れなさの影を踏むような展開があれば筆者が暗示する神の息吹のようなものが作品を引き立てるのだと思います。
    そのための下地として何故D-1211さんがDクラス職員に選ばれたのか(本人が望んだとして、何故財団は現実的視点から社会復帰が望める人物から人権を奪う判断をしたのか)など、細かい設定から人間の生きる世界には無い赦しの輪郭を示すことが大切に思えました。
    人の生き死にを包括的な宗教知識を基に終着させるストーリーは非常に面白く、また自分には無い視点で、すごく参考になります!長文失礼しました!!

    by IEKOs IEKOs , 20 Feb 2025 18:00
    kazu0128 kazu0128 20 Feb 2025 23:35

    返信ありがとうございます。
    実を言うとこのscpに「神の裁き」という要素を入れたことは意図していませんでした。元々私は神による「慈悲」であり、自ら行動した死期の近い全ての人間を救ってくれるというものがこのscpの本質になっていると考えています。そのため、条件については変更しようと思います。ただ、この部分を抜いてしまうと「神は全てを与えてくれない」というものが弱まってしまうと考えられるので是非他の条件の案をご教授いただけると幸いです。(何故死=救済になるのかにつきましては、死期の近い人間の苦痛からの救済と最後の自分の人生への投映や配偶者や友人との再会などこの世に未練を残さないそしてこの世という一種の地獄(仏教ではこの世も地獄)からの解放と考えたためです。)
    また、何故D-1102(前の返信に書いたD-1211は誤りでした)は倫理的にDクラスとして雇用することが決定されたなどのバックストーリを入れると「SCP報告書」として違和感を感じてしまうと考えて盛り込めませんでした。
    そして、前には書けていませんでしたがこのSCPは「選択」と言うものも強調したかったです。(このscpは神による「慈悲」の押し付けではなく、人間が自分の意思によって「選択」し、このscpを使用するという意味です)。そのため、説明文第一段階目「SCP-XXXX-JP-Aは扉の向こうに極度の興味を示し〜」は削除することにしました。また、D-1102の発言「懐かしい感じがする」も食虫植物のように中へ誘導していると誤解される可能性があるためどのような表現が適切であるか提示していただきたいです。
    追加でscpの正体や扉の向こうにあるものをどう読者に提示したらいいのか具体的な案をご教授いただけると幸いです

    最後の編集 20 Feb 2025 23:58 by kazu0128
    by kazu0128 kazu0128 , 20 Feb 2025 23:35
    IEKOs IEKOs 21 Feb 2025 08:37

    私がどれだけ力になれるかはわかりませんが、作品について思ったことと合わせて幾つかご提案させて頂きます。
    当該の作品においては全ての救われるべき人、救われるに値する人に等しく手を差し出すことが神のスタンスだと考えています。それを示す為の表現として、使い古されたものですが、扉を開けることやその先を歩くこと自体が試練であるように描くのはどうでしょうか?例えば扉の鍵或いはドアノブが硬い上に尖っていて、痛みを乗り越える必要があるとか、単純に道のりが(当人にとって)厳しい、最奥への道程で自分の過去の過ちを繰り返し見せられるなど...やはり最奥には神の赦しがあるのが直感的ですので、その前に扉によってもたらされる試練が用意されているべきではないでしょうか?
    また、扉の奥へ誘われることが神の試練というより、悪魔の誘惑に見えてしまうことは避け難い問題であると思います。ですが、扉を開けることが他者のためであるように描けばそれは試練として読者に受け止められるかも知れません。(誰かが扉の向こうに連れ去られて助けに行くとか、単純にこれは神へと続く扉であると直感する等)ここに挙げた例はそのまま採用すると陳腐な印象を与えるかも知れません。ですが、扉の引力に誘われるより自身の意思で踏み出していることは、強く示すべきだと考えます。
    死が救いであることに対して、一般的な価値観と乖離するというのは些か過言でした。しかし安楽死は容易に受け入れられるものではないですし、それをある日突然「神」という理外の存在が執り行う訳ですから、当人は良くても周囲は相当怖いと思います。その点で神という存在の異質さを際立たせることができると愚考致しました。
    D-1102さんは魅力的なキャラクターである一方で、作中での取り扱いは難しいと思われます。彼の経歴をバックストーリー的に全て渫わずとも、端的に冤罪だった可能性を示唆するとか(D-1102は無期懲役を喰らったけど、法廷で弁護側は嘱託殺人を主張していた的な)或いは彼が身の上や自身の罪状を偽ったように描く必要があると思われます。
    表現を探されている箇所については背景に電車のモチーフをとっている事もありますので、その部分で示唆するのも一考の余地があると思います。扉と始発駅、最奥と終点、鍵(或いは決断)と切符のように現実に存在する物とそれが象徴する要素を重ねて、読者にも扉やその奥がどんな物なのかを想像させられると思います!
    偉そうにすいません!推敲の一助になれば幸いです!!︎

    by IEKOs IEKOs , 21 Feb 2025 08:37
    IEKOs IEKOs 21 Feb 2025 08:53

    すいません!追加します!
    本稿には一般人だった筈のD-1102さんの方から財団に(その内情を知った上で)接触したようにとれる文章があると思います。

    そんな状況に耐えられなかったんだよ。そんであんた達のとこに来たってわけさ。裏で人類を守りながら人知れず死んでいく。誰にも迷惑かけるわけじゃない理想の死に方じゃねえか

    D-1102さんを善人として見せる為の表現だと思われますが、この辺りはSCP作品として作品を固める為に工夫が必要だと思います!

    by IEKOs IEKOs , 21 Feb 2025 08:53
    kazu0128 kazu0128 21 Feb 2025 13:03

    ご教授感謝いたします。
    条件については変更せず
    選択を強調するために「実際に第一段階から第二段階に移行したと推察されている例は全体の約20%と算出されています」と訂正しました
    試練を表現するために「D-1102:なんか線路があるな。それと気持ち体が重い気がするな」や「確認されているすべての場合においてSCP-XXXX-Aが先に進むことは奥に進めば進むほど困難になります。この際に起こる事象はSCP-XXXX-JP-Aによって個体差があるため、意図的なものだと推察されています。」を追加しました
    D-1102のバックストーリのために管理ファイル D-1102を追加しました
    電車がモチーフな点には一本道ではなく線路に変更し、D-1102の母が立っている場所もプラットフォームに変更しました。時代的の矛盾をなくすために「電車が発明される前は線路ではなく一本道であるとの記述があったため、SCP-XXXX-JPの内部はSCP-XXXX-JP—Aの生存している環境に依存している可能性が指摘されています。」と追加しました。
    一般人のD-1102が雇用された経緯は管理ファイル D-1102や「どんな動機でも世間の殺人者への視線はあんたが思ってるより冷てえんだよ。毎日家のドアに脅迫みたいなの書かれたり道で殺人者と叫ばれたりな。そんな状況に耐えられなかったんだよ。そんでホームレスとしてさまよってたらあんたたちにスカウトされたってわけだ。裏で人類を守りながら人知れず死んでいく。誰にも迷惑かけるわけじゃない理想の死に方じゃねえか」にて変更いたしました。
    かなり多く変更を行ったため、矛盾が生じている可能性やわかりにくくなっている可能性があるため読み直していただけると幸いです。毎度ながら申し訳ございません

    by kazu0128 kazu0128 , 21 Feb 2025 13:03
    IEKOs IEKOs 21 Feb 2025 16:43

    拝読いたしました。
    管理ファイルの追加は個人的に作品に説得力を持たせていると思います。
    SCPを活性化させ得る人物には条件があるため、その参考としてデータを添付した旨の表記があればより読者を納得させられる気がします。
    仮釈放中に財団のスカウトを受けたと設定していますが
    https://nexpert-law.com/keiji/parole/(法律事務所のサイトです)こちらには「刑の満了までに、監視のもと生活をおくるのが仮釈放です。」とありました。仮釈放中の人物が突如失踪する形になると捜索が行われる可能性も否定できませんが、財団がリスクを冒してでも余命幾許の老人を必要とした理由について、読者によっては気になるかもしれません。例えば、作中の支部はDクラス職員が極端に不足していたなどとするのはどうでしょうか?その主な要因は作中のSCPによるものだとしてもいいかもしれません。SCPは人智を超える存在である為、扉に向かいたい人間を止めることは財団の力をもってしても難しいと思われるので...
    一意見として、路上生活をしていたD-1102さんが、財団職員の素性を一部見透かしているようにとれる発言をしたうえで、雇用を志願したとするのはどうでしょうか。
    「アンタ、秘密を抱えて生きてるだろ?でも悪人じゃない。寧ろ世界を守ってすらいる、違うかい?」的な。
    こうした経緯を挟めば、D-1102さんが人を超えた世界の影を踏んでいる示唆になり、その後扉の先を渡り切ることの振りとして機能するかと思われます。同時に、財団が老い先短い上に健康でもない人材を雇用した理由付けにもなります。やや現実味に欠けますが...
    作品の描写に関する一つのアイデアとして、D-1102さんと連絡を取っていた職員が、個人的な感情からD-1102さんが橋を渡るのをやめさせようとする(或いはやめて欲しいそうな言動を行う)描写を挿入すると神と人との命に関する価値観の相違を暗示できるような気がします。勿論この描写によって作中の職員は冷酷さに欠けた人物に見られるかもしれません。ですが作中ではD-1102さんがいわば主人公的立ち位置で「神の慈悲を受けるに値する人物」なので、彼が(扉の試練を突破できない様な)並みの罪人ではないことを示せると思います。作品としてはより人物像が際立つ一方で、SCP団体の厳格さは損なうので、あくまで一つのオプションとして参考程度に収めていただければと思います。
    また、扉の内部に関する情報はマイクから口頭で伝達しているようですが、敢えて映像機器を用いていない理由もあれば丁寧かもしれません。

    生存している環境に依存しているかのせいが指摘

    かのせい➤可能性でしょうか

    この際に起こる事象はSCP-XXXX-JP-Aによって個体差があるため

    個体差➤個人差或いは動物等でも侵入可能なことの示唆でしょうか

    SCP-XXXX-JP-Aは本能的に橋を渡れば戻ってこれないことを悟ります。

    本能的➤私個人としては、直感的などとする方が自然に思えます。動物的本能に訴えるにはあまりに自然を超越した現象な気がするので

    それに...説明によりゃ知んだお袋に会える

    知んだ➤死んだ

    自分で提案を翻すようですが、殺人罪で無期懲役を食らうのは犯行に(ニュースになるレベルの)相当な残虐性がみられる場合でしょうし、そこから一転仮釈放となると相当なレアケースな気がします。判決についてはより自然にみえるように調整した方が良いかもしれません。

    by IEKOs IEKOs , 21 Feb 2025 16:43
    ごめんなさい!
    IEKOs IEKOs 21 Feb 2025 16:47

    サイトのURLが正しく添付できていませんでした!

    https://nexpert-law.com/keiji/parole/

    一応こちらです。ですが出典の引用を目的として貼ったので、特に見ていただく必要もないかとおもわれます。

    by IEKOs IEKOs , 21 Feb 2025 16:47
    kazu0128 kazu0128 22 Feb 2025 00:24

    ありがとうございます。
    なぜD-1102は無期懲役になったのか?→昭和48年まで尊属殺重罰規定と言う法律があり、親族、両親を殺した場合には無期懲役又は死刑になるというものでした。D-1102は高齢だったため、殺害時点で尊属殺重罰規定は存在していたと考え、無期懲役にしました。
    細かい表現について→訂正を行いました
    D-1102雇用に際しての背景→管理ファイルに記録1と「雇用に際しての備考」を変更しました

    by kazu0128 kazu0128 , 22 Feb 2025 00:24

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