2015年5月25日月曜日

労農派の歴史研究会第170回例会報告

 1980年代、90年代にはしぱしば、「日米経済摩擦」が、新聞、雑誌をにぎわしていた。
当時は、徹底した合理化でコストを下げて生産した商品を売りまくっていた日本の立場で
の報道が多かりたと思います。この第3章は、日本の商品を売りまくられて困っているア
メリカの対応について、いろいろ書かれていました。圧倒的な経済覇権国だったアメリカ
の工場での、生産性が日本の工場にくらべて、劣ってきてしまった結果です。


 覇権というものは、永久に続くものではないのですが、アメリカの生産者たちは、そん
なことを達観しているわけにはいかなかりたでしょう。政治家や国家機関に陳情・要請(アメリカでは「ロビー活動」と言われる)をして、その圧力を受けた者が、日本との交渉にあたったわけです。だから、態度はきわめて強気でした。口本側の交渉肖事者の後ろにも、生産者の圧力があるので、弱気を見せるわけにはいきません。


 GATT,WTOなどの閥際機関と言うのは、そういう人たちが活動する場です、だから、国際交渉の場に出る人間というと、英語やフランス語のうまい奴だろうと思われています。外国語の知識も重要ですが、それよりも大事なのは、そのときの議題に関わる業界の事情を良く理解していることです。F押し一本槍」で決裂してもいけないので、的確な「落とし所」をさぐることも大切です。そういう交渉を続けながら、だいたい双方の力関係に見合うように、国際的な協定が出来上がるわけです。80~90年代の日米の経済関係には、そういう協定の変化がありました。しかし協定というものは、情勢に応じて変化するもので、現在のTPPをめぐる交渉は、アメリカの巻き返し策をめぐる攻防戦です。

2015年5月1日金曜日

『社会主義』2015年5月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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立松潔■日本的雇用の変質と「アベノミクス」の雇用改革
特集 戦後70年 安全保障法制と強まる改憲策動
鎌倉孝夫■敗戦後70年の反省 労働者・人民の主体性確立を
飯島滋明■安倍政権の「戦争関連法」を検討する
中村元気■安倍首相の歴史認識を問う
西澤清■マスコミの右傾化と安倍政権
吉田進■批評 安倍政権に抗して
善明建一■過激派組織「イスラム国」の台頭と中東情勢
原田和明■鉄鋼資本と労働者の状態
石原健二■山場を迎えるTPP交渉 その影響と現状を見る
瀬戸宏■中国の2015年政府活動報告と経済「新常態」
向坂逸郎■マルクス主義とは何か?②

2015年4月19日日曜日

社民ユース Official Web Site

ちょっとうかつでしたが、社民ユースOfficial Web Site ができていました。近く本体のリンク集からリンクしますが、とりあえずここで紹介します。
http://sdp-youth.org/

2015年4月18日土曜日

労農派の歴史研究会第169例会報告

*飯田敬輔『経済覇権のゆくえ』(中公新書)第三章通商体制の変遷


 アメリカとイギリスは、利害が結構対立しているのに、上手に連携しながら世界をリー
ドしてきました。とくに、ブレトンウッズ体制と言われる、ドルを事実上の基軸通貨とす
る通商、経済の運営は、うまくやってきました。


 その象徴的な人物として、コーデル・ハルが紹介されています。Fハル・ノート」という
日米開戦を語る際にしぱしぱ出てくる文書の署名者です。ローズベルト政権での国務長官
です。このハルのもとで、ブレトンウッズ体制といわれる。ドルだけが金と結びっき、他
の通貨はドルとの繋がりで信用・安定を保障されるという体制ができました。戦後の世界
経済は、このブレトンウッズ体制の下で維持されたわけです。


 ご承知によ、うにアメリカは、強い軍事力とCIAという強力な諜報(陰謀)機関を駆使
して、世界に君臨してきました。しかし経済においては、裏方の役割も果たして、世界経
済の混乱を防いできたのも事実です。そういうことのできる人材も、アメリカは供給して
きたのです。経済力の落ちているイギリスも、この体制をつくるのに貢献したそうです。
ケインズが、その準備に参加しました。その呼び討議に、2年間かけたと書かれています。
 GATT(貿易と通商の一般協定)も同様に、この両国がリードしながらつくられまし
た。アメリカの圧倒的な経済力をテコに、世界の通商の秩序を維持してきたわけです。そ
のアメリカの経済力も、年々、落ちてきています。まだ世界第一位ではありますが、第二
位との差は、詰まってきています。


 次はどうなるか、知りたいわけですが、その具体案を考える前に、もう少し、この通商
秩序の混迷ぶりの進化の過程を、次回に学習します。

2015年4月1日水曜日

『社会主義』2015年4月号目次

一冊600円。紀伊國屋書店新宿本店、東京堂書店、大阪・清風堂書店で販売中。社会主義協会でも取り扱っています。
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向坂逸郎■マルクス主義とは何か?① 向坂逸郎の思想に学ぶ 


特集 「地方創生」を過去・現在から考える

町村進■「平成の市町村合併」から「地方創生」へ

脇本茂紀■「平成の大合併」で進む住民自治の破壊

岡田新一■山形県における経済・雇用実態と運動課題

荒井宏行■中小・未組織労働者をとりまく情勢と課題

中康昌■雇用の劣化と子どもの貧困、教育格差

石原忍■医療制度改革がもたらした現状と課題


角田政志■「福島で生き続けること」を原点に

藤井宗一■農協改革の狙いと農業・農村

中村ひろ子■アベノミクスの雇用改革と女性労働

小島恒久■向坂先生と文学

2015年3月31日火曜日

劇団民藝『冬の時代』公演-労農派を描いた舞台

堺利彦、山川均ら労農派の人々を描いた木下順二作『冬の時代』が初演以来50年ぶりに劇団民藝で再演されます。大逆事件で幸徳秋水らが処刑された後、売文社を組織して“冬の時代”を生き抜き「小さな旗あげ」に至るまでの堺利彦らの苦闘を描いた作品です。
初演時の評価は高かったのですが、なぜかその後再演されませんでした。


今回の主な上演情報は次の通りです。


作=木下順二 演出=丹野郁弓
2015年4月16日(木)~28日(火)
紀伊國屋サザンシアター(新宿駅南口下車)
キャスト
渋六……千葉茂則
奥方……日色ともゑ
飄風……和田啓作
ショー……塩田泰久
ノギ……吉岡扶敏
不敬漢……平松敬綱
文学士……天津民生
デブ……山本哲也
キリスト……齊藤恵太
二銭玉……武藤兼治
お婆さん……箕浦康子
奉公会……伊藤 聡
小僧……平野 尚
角袖……土井保宜
テの字(のちに、コの字)……新澤 泉
エンマ……飯野 遠
入場料
一般 6300円、夜公演4200円。
http://www.gekidanmingei.co.jp/2015fuyunojidai.html


*労働者運動資料室を通すと5700円の前売り券が入手できます。必要な方はお電話ください。佐藤礼二扱い(03-5226-8822)







2015年3月15日日曜日

労農派の歴史研究会第168回例会報告

 
テキスト・・『覇権経済のゆくえ』(飯田啓輔、中公新書)第一章


覇権と言うと、強いものが全体を牛耳るというイメージがわくと思います、事実、実質
はそのとおりなのですが、鰹済のいろいろな面には、それぞれに国際機関があり、一定の
ルールに基づいて、人がその期間を動かします。商品の生産、販売に強くても、それらの
期間を上手に動かす人材を育てないと、経済の秩序は保てませんし、覇権を握っていると
いう評価にはなりません。


 この本では、通商、通貨、金融、開発の四つの分野について、統括する機構を見ていま
す。全体として現在、「アメリカの覇権が衰えつつある状態である」ということは、多くの
人が一致していますが、それぞれの分野ごとに見るとどうなのか。日常的には、なかなか
そこまでは、分析できません。この著者は、アメリカの力の衰え、二番手、三番手の成長
ぶりを見ながら、-一応の評価をしています。


 経済力がつけば、政治(優れた政治家や官吏の育成)にも有利ですし、軍事力の強化に
もつながります。アメリカの圧倒的な力は、圧倒的な経済力に裏付けられていました。こ
れからは、第二次大戦後のアメリカのような圧飼的な力をもつ国家は、なかなか現れない
でしょうが、そこに近づく国はでて来ます。中国がそうなるかどうか、この著者は疑問符
をつけています。


 覇権国にならなくても、経済の国際的な機構を動かす人材を多く育てることは、それぞ
れの国にも有利になることですから、日本がそのための取り組みを強めることも、無駄で
はないと思います。いずれにしても、国際経済を動かす際に必要な諸機構の役割を知り、
そこで役に立つような知識の地区制、人材の育成には、ちゃんと予算を配分しておいたほ
うが良いのではないかと思われます。
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