2013年12月24日火曜日

労農派の歴史研究会第155回例会報告

レポートを聞きながら、GMが倒産しそうになった頃のことを思い出しました。レポートの中でも言われましたが、GMが危うくなったとき、労組が年金・退職者医療で大幅に譲歩すれば、なんとかなるかもしれないと報道されていました。日本の労資関係であれば、労組は必要なだけの譲歩をして、倒産を回避しようとしたでしょう。日本の風土では、そうせざるをえないのです。
 ところがGMの労組は、倒産の回避に動きませんでした。自分が損をするような譲歩はしないのが当然、というわけです。退職者の権利を、守ったのです。そしてアメリカでは、この点で労組を非難する声は、無かったようです。少なくとも、日本で報道されることはありませんでした。
 たぶん、日頃の労使交渉でも、同様の態度だと思います。右より、労資協調思想といっても、交渉の場に出れば、やたらに譲歩しないのです。この点では、日本の労働運動、それを取り巻く周囲の眼と、かなり違います。 日本では、かなり左よりの執行部をもつ労組でも、交渉では、非妥協ではいられません。とくに倒産の危機が指摘されるような状況では、「お互いに譲り合って危機を回避せよ」という圧力がかかります。それを無視すると、後々の運動に差し障りが大きいので、最後は譲り合うという形で終ることが多いのです。
 この違いは、それぞれの国の風土によるので、指導部が思想的に右よりの組合も、左よりの組合も、どちらもその風土を無視できません。もちろん、交渉決裂というケ-スもありますが、非常に少ないと思われます。
 レーガンが大統領になった直後に、航空管制官のストに直面しました。レポートにあるように、この時は双方非妥協で、大統領は航空管制官全員を解雇しました。労組はもちろん打撃を受けたのですが、大統領の行為もやり過ぎであったようです。レーガンの政治を誉める人は時々いますが、この争議への対応について誉める人は、あまりいません。アメリカの風土でも、いつでも非妥協で交渉するのが良いわけではないようです。

2013年12月9日月曜日

第四回日中社会主義フォーラムの案内

12月21日、22日に、社会主義理論学会主催で第四回日中社会主義フォーラム・中国特色社会主義の行方と理論問題、が開催されます。日本側八名、中国側十二名の研究者が、中国特色社会主義について、社会主義理論研究の立場から徹底討論します。

中国に関するシンポジウムは、近年数多く開かれていますが、社会主義をテーマにしたシンポジウムはほとんどありません。会場は慶応大学三田キャンパス。傍聴参加無料。詳細は、リンク先の社会主義理論学会関係ページをみてください。
http://sost.que.jp/myweb_017.htm

2013年12月1日日曜日

『社会主義』2013年12月号目次

ご注文は社会主義協会へ。紀伊國屋書店本店でも販売しています。一冊600円。
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特集 脱原発と労働者

菅原晃悦■世界初の自然災害と原発事故の同時発生

武藤聡■福島原発事故の真相を究明し、すべての原発を廃炉に

長田秀樹■北海道における脱原発の闘い

我妻薫■原発再稼動に抗して

二田村邦浩■被災地の自治体労働者の現状

戸部忠則■柏崎刈羽における反原発の闘い

山芳彦夫■さようなら原発1000万人アクション


高橋俊夫■連合大会論議から今後の課題を考える

鴨桃代■労働法制の規制緩和に抗し、働く人が求める法整備を

栗田英夫■企業減税と消費税引き上げ

中島修■第50回護憲大会の報告

岩城博志■四カ月間闘い続けた一三春闘

野田邦治■第50回三池大災害抗議集会

伊藤修■批評 ”ブラック企業・職場・上司”を点検、摘発、撲滅せよ

大森紀美雄■思い出すことども 私と社会主義協会(一二)

脇本茂紀■『賃金・価格・利潤』と今日の情勢(中)

2013年11月26日火曜日

2013年度山川菊栄賞決定

2013年度山川菊栄賞選考委員会が11月23日開催され、下記のように決定したとのことです。本体にも書き込みますが、とりあえずここで紹介します。

丸山里美『女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学 』(世界思想社 2013.3)2940円
世界思想社HPの紹介
丸山里美(まるやま さとみ)氏は1976年生まれ、京都大学大学院博士課程単位取得認定退学。博士(文学)。社会学専攻。立命館大学産業社会学部准教授。共著に『フェミニズムと社会福祉政策』(ミネルヴァ書房 2012)ほか。
*『女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学 』奥付より。
立命館大学産業社会学部の紹介

贈呈式
日時 2014年3月1日(土) 13:30~16:30
場所 神奈川県立かながわ女性センター 集会室 アクセス
(神奈川県藤沢市江の島1-11-17  電話 0466-27-2111)

受賞者スピーチタイトル 「貧困女性の声を聞く」

山川菊栄賞のページ

2013年11月12日火曜日

労農派の歴史研究会第154回例会報告

連合発足の後、つまり90年代は、左派の人間にとっては「暗い時代」だった。左派の内部も幾つにも分かれ、批判し合いながら勢力を弱めていた。そういう時期に、自治労が日共系を除けばまとまって連合に入ったこと、総評内の中小企業労働運動(左派の影響力が強かった)が、まとまって連合に入り、内部で労働組合運動を継続する努力を続けたことが救いであった。その後の連合運動のなかでも、中小労働運動の存在が、連合の役割をひきたてていることは、例年の春闘を見れば明らかだろう。

 当時の記憶を掘り起こすと、レポートの中にある「補強五項目見解」を追求した運動の役割が大きかったと思う。総評運動を解体して連合に移行する議論の過程で、はじめの頃には、中小労働運動の幹部・活動家の中には、「連合なんかに行けるか!」という雰囲気が強かった。中小企業の労組を多く抱える単産が連合に入らなければ、連合も社会的影響力も小さくなるし、左派労働運動も分断されてさらに弱体化することが危惧されていた。

 そういう時期に「補強五項目見解」が提起された。(1)国民春闘路線の継承、(2)「反自民」「全野党の協力、共同闘争」、(4)中小企業労組・未組織労働者組織化の援助、等々、連合運動の弱点として指摘されていた問題点を簡潔に表現したものだった。この五項目を富塚総評事務局長が、連合結成にむけての会議で繰り返し主張し、中小労働運動の幹部・活動家たちがそれを支持した。そういう議論がしばらく続いている間に、「連合なんかに入れるか」と言っていて労組幹部・活動家たちの多くが、連合の批判をしながらも、中に入ってこの主張と運動を続けると変った。その経過は、富塚事務局長とその周辺の人たちの、見事な手品のようであった。

 現在でも、自治労と中小労働運動の担い手たちが、多くの仲間たちと協力しながら、連合を少しでも労働組合らしくさせている。そして今は、多くの人に、労働組合(もちろん、
連合外の労組も含めて)の立ち直りが期待されている。

2013年11月3日日曜日

三池炭坑炭塵爆発50年展(大阪)

10月10日の書き込みで紹介した三池炭坑炭塵爆発50年展が大阪でもあります。
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むかし炭坑、いま原発 三池炭坑炭塵爆発50年展
2013年11月9日(土) 〜16日(土)10時〜18時
(15日のみ20時まで/11日休館)
会場:エル・ライブラリー・展示コーナー 入場無料(▶アクセス)
  資料展示の他、映画「三池からの報告」等、関連映像。
「三池の黒い煙」と「フクシマの白い煙が問いかけるもの」
三池炭坑炭じん爆発50年展
1963年におこった戦後最大の炭鉱事故、
「三井鉱山三池鉱業所三川鉱爆発」。
458人の犠牲者と839人の一酸化炭素中毒患者を出し、
患者と家族の苦しみは今なお続いている。
危険とわかっていても、そこで働かざるを得ない労働者。
行政によって分断される住民。
あいまいにされる独占資本と国の責任。
福島第一原子力発電所爆発の白い煙は、
50年前の三池炭坑炭じん大爆発の黒い煙と
なんらかわっていないのではないか。
三池炭じん爆発50年展写真 三池炭じん爆発50年展写真
会期終了後も、予約していただければ11/29(金)まで観覧できます。
予約日時については観覧希望日の2日前までにエル・ライブラリーへお問合せください。
お問合せ:
エル・ライブラリー 電話06-6947-7722
前川:電話090-2389-7686, 0749-23-1028
e-mail: maekawa@hasiru.net

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主催:三池炭坑炭じん爆発50年展実行委員会
協賛:エル・ライブラリー
協力:大牟田・荒尾がんばろう会
http://shaunkyo.jp/miiketankoutanjinbakuhatsu50nenten.html


2013年11月1日金曜日

『社会主義』2013年11月号目次


一冊600円。ご注文は社会主義協会へ
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又市征治■第185回臨時国会と社民党の課題

特集 安倍政権1年の検証

松永裕方■自民党安倍政治とは何かを考える

飯山満■資本のための成長戦略では社会はよくならない

仲田信雄■大企業支援のために消費税の増税を「決断」

伴英幸■原発推進に転換したエネルギー政策

津田公男■安倍政権の「積極的平和主義」は何をめざすか


佐藤保■批評 社会民主党とリベラル勢力

沖克太郎■三池CO闘争の教訓(その五)

村田雅威■二〇一三年九月のドイツ連邦議会選挙 その結果と評価

善明建一■民主化闘争を進めてきた韓国労働運動の歴史

山藤彰■「協同組合的社会」について

山崎耕一郎■民族派・右翼の台頭と安倍政権の集団的自衛権論

小笠原福司「平成二五年版労働経済白書」を読む
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