ピアノの宮腰智洋は1991年生まれ。恵庭市在住の34歳。5歳の娘をもつイクメン、家庭裁判所調査官としての顔も持つ。ベースの辻は1981年生まれの44歳。ガット弦をこよなく愛するこだわりのバッパー。ドラムの石橋正彦は文字通りのリジェンド。1947年生まれの78歳。このトリオを聴くのは2年ぶり2回目。長身の宮腰は手足が長く、ピアノの椅子は低目のセッティング。今回はバリー・ハリスだけでなくフィニアス・ニューボーン・ジュニア、モンクのレパートリーも取り入れていた。
最初のセットは、往年のバリーさんのステージを思わせる雰囲気でスタート。3曲目の「It Could Happen to You」はバラード。「Grooveyard」はウエス・アルバムを聴いて、自分のヴァージョンを作ったという。後半のセットの「Crepuscule with Nellie」はこの日が初披露。続くリズム・チェンジで一気に爆発、石橋がベテランの貫禄で渾身のソロ。トリオのダイナミックな演奏に魅了される。続くブルースもフィニアスのレパートリー。
この店には、福居良の死後、彼の音楽を知った若いファンが今も訪れている。この日も韓国、カナダなど外国人観光客も。お客さんのリクエストもあって、ラストはフル・ヴァージョンの「Mellow Dream」。完全燃焼の演奏に客席も大満足。アンコールはモンクの「Round Midnight」。短めと言いながらしっかり2コーラスのソロを取って無事終了。
「このトリオでアルバムを作りたい」と語る宮腰。先輩の辻も、若きバッパー宮腰が可愛すぎるのか終演後はアドバイスを欠かさない。育児、仕事、ピアノ。サラリーマンだと突然の転勤もある。ほとんどの人は、日々の生活に追われ、時はいつの間にか過ぎていく。石橋も今は元気だが、なんせ高齢でもある。構想、日程、選曲、そして録音。まずは取り掛からないと何も始まらない。来年の今頃には初リーダー作が完成していることを期待して。
宮腰智洋(p)辻充浩(b)石橋正彦(ds)
1st set:
1. Like Someone In Love (Jimmy Van Heusen)
2. How High the Moon(Morgan Lewis) -Ornithology(Charlie Parker)
3. It Could Happen to You (Jimmy Van Heusen)
4. Groove Yard (Carl Perkins)
5. Cheryl (Charlie Parker)
2nd set:
6. Star Eyes (Gene DePaul)
7. Crepuscule with Nellie (Thelonious Monk)
8. Rhythm-A-Ning (Thelonious Monk)
9. Please Send Me Someone to Love (Percy Mayfield)
10. Mellow Dream (Ryo Fukui)
Encore:
11. ' Round Midnight (Monk-Williams)