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Info
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翻訳責任者: Rokurokubi
翻訳年: 2024
著作権者: Pedantique
原題: SCP-5920
作成年: 2020
初訳時参照リビジョン: 13
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-5920
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アイテム番号: SCP-5920
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: すべてのSCP-5920ユニットは、サイト-01の908A号室に収容され、プロジェクトAURUM SILKWORMを通じて管理されます。
SCP-5920の被験者は、機動部隊アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")の中から、特に人事管理や情報抽出に関連するプロジェクト経験の深さに応じて選出されるものとします。AURUM SILKWORMへの参加は、機動部隊アルファ-1メンバーの要件として規定されます。
強度指数20,000を超える記憶に曝露された機動部隊アルファ-1のメンバーは、監督評議会の警備任務に割り当てられてはなりません。そのような個人は、財団内の他の職位への転属や、職務からの退職を許可されません。
説明: SCP-5920は、個人の記憶を識別、抽出、複製する特定の技術の組み合わせです。さらに、SCP-5920は抽出された記憶を視聴覚メディアに変換し、他者が通常の曝露を通じて体験できるようにします。財団内で複製することは可能ですが、先駆的なパラテックを用いているため、一般の技術が同様の進歩を遂げるまでは異常性分類が保証されます。
SCP-5920ユニットは3つの要素で構成されます:
- 中央端末: プロセスを制御し、抽出された記憶を処理のために保存する。
- EEGヘッドセット: 脳活動を分析し、頭蓋骨の薄い部分を通して挿入するマイクロニードルを搭載する。
- 全身拘束具を備えた椅子: 高強度の曝露中の被験者の安全を確保する。
大規模な生体物質処理施設が事後的に頻繁に使用されますが、不可欠とは見なされていません。
SCP-5920を連続的に使用することで、自我構造を通じたフィルタリングにより、抽出された記憶の特性が増幅されます。二次体験は、追加の心理的負荷の層により、しばしばより強力になります。三次体験、四次体験なども同様です。結果として、個人の経験、嗜好、見解がフィルタリングされた記憶の質に影響を与え、その持続時間、感情的傾向、強度は大きく異なります。高濃度の記憶の視聴覚出力を観察すると、人体にさまざまな影響が生じます:
強度指数範囲 | 身体的影響 |
---|---|
0 - 300 | 観察された影響なし。被験者は通常、落ち着いた体験を報告する。 |
300 - 4,000 | 各記憶の感情的傾向に応じて、心拍数、血圧、脳活動に変動が見られる。繰り返しの曝露により、広範な世界観が変化する可能性がある。 |
4,000 - 20,000 | 記憶の傾向に応じて、心拍数、血圧、脳活動に顕著な変動が見られる。心臓発作、内出血、全般的な臓器不全のリスクが高まる。 |
20,000超 | 中程度の強度の記憶に事前に曝露されていないすべての被験者が即座に死亡した。 |
付記5920-A(初期テストログサンプル):
テスト番号: 14
記憶提供者: ジャネット・ヨーク
被験者: D-71354
心理評価概要: D-71354は、懸念すべき傾向がほとんどない、適応力の高い個人である。財団の管理下で数年を過ごしているにもかかわらず、概して前向きな態度を維持し、将来への希望について頻繁に語り、同僚からも高く評価されている。
体験報告:
「まったく素晴らしい光景だわ。波、太陽、必要なものは全部揃ってる。砂が足の指の間をすり抜けていく感触。指の隙間からこぼれ落ちる砂も感じる。水着の中にまで砂が入り込んでるけど、こんな代償なら安いものね。
今、笑ってる。私の声じゃないのに、笑ってる。私の唇じゃないのに、微笑んでる。心地いいわ。太陽の暖かさは記憶通り。いや、もっと暖かいかも。お酒も飲んでる。医者には止められてたけど、一杯くらいなら大丈夫よね。女の子たちも、いいって言ってくれたし。
今度は足の指の間を水が通り抜けている。足首が濡れて、膝まで水に浸かって、そして水中に潜る。泳げるかどうかわからないけれど、なんとかなってる。下には珊瑚礁、目の前には魚の群れ。周りには友達の姿。きっと、すべてうまくいくわ」
推定強度指数(遡及的): 25
テスト番号: 15
記憶提供者: D-71354
被験者: D-89522
心理評価概要: D-89522は、Dクラス職員に典型的な悲観的な見方を示すが、根強い水恐怖症を除いて、懸念すべき傾向は見られない。
体験報告:
「いや、待って。そうだ、あの人たちのことは知ってる。友達だ。俺が砂浜でタオルに座って飲んでる間、みんなは波打ち際で遊んでる。それ自体は何も問題ないはずだ。でも、なんていうか、もしかしたら何かがおかしいのかもしれない。一人が水の中で滑りそうになった瞬間、息が詰まる。足首ほどの深さしかないのに、それでも沈んでしまうかもしれない。転んで、沈んで、二度と浮かび上がってこないかもしれない。でも、水を差したくはないんだ。
一人が俺に話しかけようと砂浜に駆け戻ってくる。彼女は全身びしょ濡れだけど、俺には水がかからない。ありがたいことに、俺には触れない。でも彼女はとても幸せそうだ。まるで泡立つような笑顔だ。俺たちは話して、話して、そして彼女が俺の手を掴む。濡れてるけど、それぐらいなら我慢できる。少なくとも、濡れていても温かい。今のところは、温かくて生きている。
彼女が俺を水辺に引っ張る。心臓が激しく鼓動してるけど、それでも一歩踏み出す。立ったまま溺れそうな気分だけど、精一杯みんなと笑おうとする。そうするしかないんだ」
推定強度指数(遡及的): 44
テスト番号: 16
記憶提供者: D-89522
被験者: D-92001
心理評価概要: D-92001は反社会的行動を示し、以前は一連の暴力的犯罪で有罪判決を受けている。
体験報告:
「みんな水の中で遊んでる。市営プールだな。あの大きいやつだ。何百人もの人間がひしめき合ってる。いや、何千人かもしれねえ。へっ。尻と肘がぶつかり、膝が顔に当たる。ガキどもの騒々しい塊だ。水の中身なんて考えたくもねえ。鼻水に小便に、もっとひどいもんだってあるさ。へへ。そうさ、もっとずっとひでえもんがたくさんだ。
俺はそのドロドロした汁の中に、ある子供を何度も沈めてる。みんな一緒の鍋の中だ。一人くらい少し潜ってても大したことじゃねえ。あがいてはいるが、たいしたことねえな。クンクン泣いてるが、ただ空気を無駄にしてるだけだ。顔が青くなって浮かび上がってくる。俺はまた押し込む。へへ。誰かが俺に向かって叫んでる。大丈夫だって。みんなもっとひでえ目に遭ってきたんだ。そう言ってやるが、そいつは叫び続ける。聞く耳を持たねえ。ちっとも聞こうとしねえから、押し続けるしかねえ。たぶん、こいつはこうされて当然なんだ。ああ、間違いねえ」
推定強度指数(遡及的): 68
補遺5920-B(プロジェクトAURUM SILKWORM開始):
アーカイブ文書:
徴用された職員各位
O5-3の権限の下、プロジェクトAURUM SILKWORMが、SCP-5920の実用的応用を検討するために設立されました。現在の分析に基づくと、精製された記憶は治療補助やミームエージェントとして大きな可能性を秘めています。研究の過程で他の応用法も見出されると予想されます。
当初、関連する手順のテストにはDクラス職員が使用されていましたが、今後は機動部隊アルファ-1の人員が採用されることになりました。これは彼らが豊富で強力な経験を持ち、既存のクリアランスを有し、長期的なプロジェクト目標に適しているためです。これらの目標には以下が含まれます:
・老朽化したミームエージェントに代わる、新しいメディアベースのセキュリティ機構の創出
・財団職員の士気、効率性、忠誠心を高めるための低コストの処置の開発
・認識災害環境下における機動部隊の作戦能力の向上詳細については、財団の確保施設内で提供されます。
敬具
アドリアンヌ・ベリーマン、プロジェクトリーダー
マックスウェル・ラングフォード、プロジェクトリーダー
補遺5920-C(中間テストログサンプル):
テスト番号 | 出力被験者 | 入力記憶タグ | 出力記憶タグ | 傾向 | 推定強度指数 |
---|---|---|---|---|---|
242 | D-86411 | ABT-512-777 | ABT-512-776 | 中立 | 330 |
243 | D-51558 | ABT-512-776 | ABS-512-774 | 肯定的 | 350 |
244 | D-28999 | ABS-512-774 | ABS-511-774 | 肯定的 | 462 |
245 | ペスル | ABS-511-774 | ABS-406-733 | 中立 | 1,500 |
246 | フェザント | ABS-406-733 | ABQ-405-722 | 中立 | 2,300 |
247 | キャンドル | ABQ-405-722 | ABQ-355-700 | 否定的 | 5,300 |
248 | クリケット | ABQ-355-700 | ABQ-353-698 | 否定的 | 13,800 |
249 | アダー | ABQ-353-698 | ABQ-349-665 | 否定的 | 21,000 |
補遺5920-D(追加のAURUM SILKWORM指令):
アーカイブ文書:
関係者各位
O5-3の要請により、また最近の出来事を踏まえ、AURUM SILKWORMの指針文書に新たな目標が追加されました:
・被験者間の記憶処理剤およびミームエージェントに対する耐性の評価
・これらの耐性の増大を抑制する手順の開発
・結果として生じるセキュリティギャップを埋める対策の創出多くの方々にとって困難な課題となることは承知していますが、O5-3は監督評議会に最も近い人員を管理するためのツールを整備することの重要性を伝えています。迅速な進展が期待されています。
敬具
アドリアンヌ・ベリーマン、プロジェクトリーダー
マックスウェル・ラングフォード、プロジェクトリーダー
補遺5920-E(最近のテストログサンプル):
テスト番号 | 出力被験者 | 入力記憶タグ | 出力記憶タグ | 傾向 | 推定強度指数 |
---|---|---|---|---|---|
850 | エイコーン | BQA-998-516 | BQA-910-767 | 否定的 | 225,000 |
851 | オポッサム | BQA-910-767 | BQC-710-441 | 否定的 | 250,500 |
852 | スクイッド | BQF-710-441 | BQF-661-300 | 否定的 | 280,700 |
853 | スネイル | BQF-661-300 | BQF-513-013 | 否定的 | 300,300 |
最新のエントリー:
テスト番号: 854
入力被験者: エイコーン、ニュート、ヴォール、クレイドル、オポッサム、スクイッド、スネイル
出力被験者: レン
出力記憶タグ: CZI-913-743
出力被験者の発声:
「いや、何も感じない。
ああ、ラングフォード、見えてるよ。でも、だからって何かを感じるわけじゃない。一度に色んなものが目に飛び込んでくる。まだ傷つけていない人たちかもしれない。あるいは、これから傷つける人たちか。叫んで、それから死んでいく。死んでも叫び続ける。そんな感じだ。俺にはナイフと拳銃がある。そして半分噛みちぎられた百の心臓が内側にある。指が奴らの目を貫く。歯が奴らの首に食い込む。血は漂白剤の味がして、それを深く吸い込んでる。
奴らは俺を憎んでいる。空爆で子供たちが死に、兄弟姉妹は海に沈んだ。俺は裁判にかけられる。刑務所に入れられる。地下10階に埋められる。それでも誰かが俺を地中から引きずり出す。奴らの手が俺の手首に、背骨に這いまわる。ホテルの一室。俺は浴室で逆さまに吊るされていて、体中あざだらけだ。シャワーからは汚水が滴り落ちている。ドアの下から何かが漏れ出している。粘ついていて、黒くて、泣き叫んでいる。ベッドは死体だらけだ。いや、待てよ、二体だけだ。でも、どっちが俺の体かわからない。犬が俺の足を噛んでる。もう一匹は腹の中深くにいる。父さんの顔に、母さんの声をした犬だ。ドリルが俺の額に押し付けられている。回転し始めた。熱くて騒々しい。皮膚を破った。中に押し込まれていく。聞こえるのは彼女の口を通した俺の息遣いだけだ。
いや、何も痛くない。生体データがあるんじゃないのか?何も問題ない。
いや、ただの立体視画像みたいなもんだ。
いや、大丈夫だ。」
傾向: Null
推定強度指数: 18,500,000