10th Interview Mary0228

Part.3 mary0228さん

──それでは、自己紹介からお願いします!

初めまして!前原博士ことmary0228 mary0228 です。SCP-JPとはサイト創設の段階から関わっていました。

あたりが代表作でしょうかね。

──ちょうどさきほどもその2つの記事は読み返していたところでした。094の完成度はやはり最初期作とは思えないところがありますね!

わりと完成まで時間かかってるんですけどね。編集履歴見ればわかるかな。

──いまの書式に合わせられるまでにはリビジョン35までかかっていますね。まだSCPサンドボックスもない頃の作品なので気になっていたのですが、mary0228 mary0228 さんは当時どのような環境で下書きを書かれていたんでしょうか?

最初はインタビューもなかった。下書きとかなかったのでもう直接編集ですよ。

──今ならサイトルールで一発アウトですね(笑)

ほんとそれ

──しかし見ていて驚くのは、率直に記事の内容について意見の交換をする空気がすでにディスカッションにある点ですね。SCPが創作コミュニティとして特殊だと言われる点の一つには、率直な批評の文化があるところだと思います。mary0228 mary0228 さんは実際このころのメンバーとして、他とは違った空気などは感じられていましたか?

ほかにこういった創作コミュニティは経験なかったですね。正直怖かったですよ。特にSCP-JPはSCP創作としては後発で海外ではすでに文化として定着してますからね。見る目も厳しかったと思います。偶然見つけるか探し出さないと来れない狭いものでしたからね当時は。

──このCheshireCheeseさんのポストなんかは、初めて作られた記事に対するコメントとしてはけっこうストレートですよね......。

Dr Devan Dr Devan さんはすでに本家で活動してる経緯がありましたけど、CheshireCheese CheshireCheese さんは正直よくわからないです。実はタッチの差でCheshireCheese CheshireCheese さんが作った記事もあったんですよ。たしかなんか黒猫のオブジェクトだったかな......。

──いまご本人のポストをさかのぼって初めて気が付きました! そうだったんですね......。みなさん1番目の記事は覚えてますけど、2番目は知らないといういい例かもしれません。

まぁ記事としては残ってないので仕方ない。当時は本当に数人で回してたので。一日に数回フォーラムが動くかどうか程度でしたね。

──前原さんがSCPと出会ったという、ふたばのお話をうかがってみたいと思います。

はいはい。

──と言っても、まったくアーカイブも見られないぐらい史料のない世界なんですよね。

ちょうどSCPのゲームが話題になったころですね。まだゲーム配信文化が物珍しかったころで。ガッチマンさんだったかな......がSCP: Containment Breachの配信をしていて、そこからSCPってなんだ? となっていった感じですかね。ちなみにふたばでスレを立てたのはtokage-otoko tokage-otoko 氏らしい。たしかゲームのリリースが2012年なので。

──SCP:CBのリリースが2012年4月15日でしたね!

それからJPに飛び火した感じですね。そもそもの本家SCPはふたばを元にした4Chanなのも感慨深い。

──わたしたちも知識としては日本で最初にSCPを話題にしたのがふたばのユーザーたちだとは知っているのですが、実際にどのようなやりとりがされていたのかまではわからず......。mary0228 mary0228 さんはどのように参加されていたんですか?

細かいことはわからないんですけど、私が知ったときにはすでに今のJPの前身となる翻訳サイトはあったんですよね。この翻訳サイトはふたばとは全く関係なく立ち上げられてるので。おそらく日本で最初はその翻訳サイトを立ち上げた方でしょう。他人の立ち上げたプラットフォームにどやどやと押し寄せるのがふたばの住民というものなので......。

毎日この記事翻訳したぞ、このTale翻訳されてるぞ、っていう感じのスレが立っていましたね。

──なるほど、てっきりふたばがまずあって、そこからFC2の非公式日本語訳wikiが出てきたのだと思っていたのですが、そのふたつは全く別に誕生していたんですね。知りませんでした。そこで中心的に動いていたのがtokage-otokoさんだったんですね。

そうですね。彼がふたばにSCPを紹介したはずです。

──mary0228 mary0228 さんは以前「CheshireCheese CheshireCheese さんが乗り込んできてJPのウィキをお披露目した」というお話をされていたと思います。

そうですね。SCP翻訳が加速していく中で、一部にオリジナルSCPを書き込む人が出てきたりしてて。
そんな折に日本オリジナルのSCPサイトを作りましたみたいな話が出てきました。

CheshireCheese CheshireCheese さんが元々ふたばに居た人なのかは今となってはわかりませんが、当初は否定的な意見が多かったですね。

──そうだったんですか! 今のJPオリジナルの盛り上がりからすると想像できない反応かもしれません。どういった理由で否定的な意見が多かったんでしょう?

そうですねぇ、雰囲気を楽しみたいのであって自分たちで作るのは違うとか。まぁ基本ネット民って保守的ですからね。もう本家やその派生で散々ネタ使われてるからもう新しいものは出ないだろうとか
そんなのもありました。

──いまやJPシリーズもIV(3000~3999)まで来ましたが、JPがはじまる前からそんな声があったんですね。

今となっては杞憂でしたね。なので参加するのに半日迷いました。

──ぜひそのあたりを詳しく聞かせてください。 最初のメンバーはzantou_t zantou_t さんでしたね。

そうみたいですね。実はしばらく存在に気付いてすらいなかった......。

仕事中の昼間にJP発足のスレを見つけて、悩みつつ帰宅した夜に参加って感じですね。アンケ―トにも書きましたが、このまま消えてしまうには惜しいとその一心でした。

──そのようにお書きになられていましたね。それに加えて、「オリジナル記事の構想があった」ともお書きになられています。mary0228 mary0228 さんの中には、すでに参加前から「海洋人間」の構想があったんでしょうか?

そうですねずっと構想だけはありました。自分ならこういうのを書くぞというのを思い描いていて。

当初は巨大なガラス製のクジラというような構想だったのを覚えています。それをなんかひねって、クジラを内包した人間、海と繋がった人間、という感じになりました。

──当初は人間型オブジェクトでさえなかったんですね。意外でした......。

気を付けたのはオリジナリティと「本家っぽくならない事」。

本家の翻訳記事ってあくまで英語を翻訳したものじゃないですか。なのでやっぱり独特の雰囲気になるんですよね

JPとしてやるにあたって、それは良くないと思ってましたね。

──なるほど、改めて094-JPを読んでみると、たしかに記事の持っている雰囲気がENの翻訳のそれとは明らかに違いますよね。地の文やインタビューの会話の自然さなどは、後進の「JPらしさ」につながった部分だと思います。

うまく言語化はできませんが、気を遣った部分ですね。

特にインタビュー記事は、本家はやっぱり洋画みたいな言い回しになりがちなんですよね。094-JPは日本で発見された日本人の設定なので、日本人の会話を心掛けました。

──そういったmary0228 mary0228 さんの心遣いと、なにより記事自体のクオリティの高さがその後のJPシリーズの盛り上がりを決定づけたように思いますね。

だとしたらほんとによかった。

かっこつけるわけじゃないですけど、とにかく何かを前に進めたいと思ってた。

──そんなSCPであえて一番の思い出を選ぶなら、なんですか?

うーーん、まぁみんなそうなんでしょうけど、やっぱり最初の記事を投稿した瞬間ですかね。あのひりひりする感覚はね、なかなか得られないですよ。

──他にオリジナル記事が一切ない中で飛び込んだわけですから、他のメンバーのそれとは一線を画しそうですね(笑)

比べられないのでわからないですけど、そりゃあ緊張しましたよ。まあそういう緊張感は創作には大事ですね。あとlocker locker さんが投稿始めたとき、なんか宇宙人来たぞ!? みたいな感じになってたの面白かった。

──Lockerさんの初投稿作はscp-168-jpですね。

癖ある記事書きますよね。まあ癖ある人だらけですけどSCPは。

──こんなわけのわからないサイトに記事を投稿してる人はみんな......。

まあそんな人たちで成り立ったものがここまで広がったのはおどろくばかり。小学生が知ってるんですよSCPを。

──本当ですよね。幸いスタッフにPTAから苦情が来たこととかはないです。

ソシャゲで前原博士の名前で登録したら、うちの息子が知ってますよって言われたことがある。

──怖すぎる......。そのときはなんて切り抜けたんですか?

特に切り抜けたりせずに、はい前原ですって。

──あっさり明かしてしまったんですね(笑) ここからは、好きな記事についてのお話をうかがって行ければなと思います。

私がSCP触れ始めた時は、まだ翻訳されたものも少なかったんですよね。だいぶ初期の記事が多かったのと、おそらくですが人気のあるものでかつ文章も短いものから翻訳されていってた。私はまあ適当に記事読んでたんですけど、その中でscp-1665はまず記事の見た目がもうフォーマットスクリューなんてレベルじゃなくて、自由な発想とはこういうことかと感心しましたね。

当時はまだスクリプト駆使するような凝ったものは少なかったですしね。scp-1875みたいなびっくり系も人気だったかな。

──アンケートでも挙げてくださってたので読んだんですが、scp-1665は1000番台とは思えないフリーダムさでしたね。

こんな発想があってそれが受け入れられるのだなあと。SCPの根幹というか、起源的にやっぱりこういう面白味は大事なんだなと思いました。なので私の記事もだいたいあんまりシリアスじゃないです。

──たしかに、前原さんの「南海ピザ」なんかは怖さゼロですが不条理さで人気ですね。

不条理さ意味不明さって大事だと思うんですよねホラー全般。理解できないものって怖いので。死ぬのがなんで怖いかって死んだらどうなるかわからないからだし、闇が怖いのはそこに何があるかわからないから。なのでわからんものはわからんままにする方がいいと思ってます。説明つけ過ぎると説教臭くなったりキャラクター化しちゃって、それはもうホラーでも怪奇でもないと思ってるので。不条理であればあるほど、もしかしたら自分にも起こるかもって連想させるし。

話戻して好きな記事ですけど、私はscp-1867のブラックウッド卿が大好き。

──ブラックウッド卿も不条理系のオブジェクト記事ですね! 関連Tale作品に面白いものが多かった記憶があります。

当時翻訳されてたTaleはだいたい読みましたね。ウミウシなのがセンス抜群。

──SCP創作らしからぬファンタジー冒険活劇って感じのがやたらとあって、なんだろうこれ...って思いながら読んでましたねえ。

結構本家記事はなんか動物とかが騎士を名乗ったりするのがちょいちょいありますね。JP記事だとscp-070-jpとかscp-910-jpあたりが好きかなあ。

──わんわんランドはもはや不条理系の古典って感じの記事ですね! scp-910-jpはいまでこそ大人気の記事ですけど、投稿当初はけっこう議論を呼んでいたと思います。

議論が起こるってことは良い記事なんですよ。私は自由で新しい発想をどんどんしていってほしいと思ってます。

──前原さんは最近の記事など読んだりされてますか?

実はほとんど読んでないですね。たまーにふらっと読む程度。正直もう10年も前の人間ですからね私は。
なので何かいうのは烏滸がましいし、別に何も言わずとも発展していくと信じています。

それでもあえて何か言うなら、

前原を崇めよ
SCPを広めて前原も広めよ

──インタビューにお付き合いいただきありがとうございました! 今回のゲストはSCP-JP最初の著者・mary0228 mary0228 さんでした!

脚注
. SCP Foundation非公式日本語訳wiki。2017年にSCP-JPと統合する形で閉鎖。
. ご本人の希望によりこうなりました
ページリビジョン: 0, 最終更新: 02 Jul 2024 11:15
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