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COOL CHOICE エコ住キャンペーン 省エネ住宅で解決!みんなの住まいの困りごと COOL CHOICE エコ住キャンペーン 省エネ住宅で解決!みんなの住まいの困りごと

豊かな暮らしと断熱の深い関わり

はじめまして。今回、断熱DIYについて原稿を担当させていただく「暮らしかた冒険家」の伊藤菜衣子です。「家は、冬は暖かく、夏は涼しい方がいいよ、断熱DIYしませんか」ということを、これからツラツラと書き連ねるのですが、そんなわたしも数年前までは、そんなことまったく気にしたことがありませんでした。家の暖かさの重要性に気が付いたのは、数年前に引っ越した築100年くらいの古民家が極端に冬は寒く、夏が暑かったからです。家事をするにも、仕事をするにも、とにかくはかどらず、気が重いという経験からでした。見過ごすことがどうにも不可能なほどの不快さが、家が身体にもたらす影響を、教えてくれた出来事でした。

<家づくりの技術は進化している>

そんなときに出会ったのが断熱と気密性能が高い「断熱エコハウス」です。東北芸術工科大学が手がけた「山形エコハウス」など3軒のエコハウスを見学させてもらいました。わが家は暖房に薪ストーブを使っているのですが、自分の家では背中と小さな部屋が1時間くらいしか温まらないくらいの薪で、家全体が半日ポカポカな状態になることが衝撃的で「断熱・気密」のすごさを思い知ったのでした。

とはいえ、フリーランスなのでローンは組みにくいし、先が見えない仕事なのでちょっと怖くて「マイホーム」さえ検討したことがなかったわたしには、「断熱エコハウス」は金銭的に遠い存在でした。でも「どうしてもあの快適さに近づきたい」という思いで、リノベーションやDIYで断熱していくことを探求しています。

外観 雪

<家が暖かくなると、それまでの無意識な忙しさの存在に気がつく>

古民家でいろいろDIY断熱を試したのち、数年前、わたしは両親の建てた札幌にある元実家に「断熱リノベーション」を施し、現在も住んでいます。最低気温がマイナス8度の朝に、春のような暑くも寒くもない、日差しが、ただただ気持ち良いあの空間が忘れられず、リノベーションでなるべく再現してみたのです。国が提唱する省エネ基準の2倍ほど燃費の良い家になり、マイナス10度の朝に、薪ストーブが消えた室内がまだ17度で寒くないという朝にはびっくりしました。朝起きてまず着込まずにはいられなかった厚手の部屋着や靴下もなくても大丈夫だし、布団をすぐにはいでしまう息子への心配もしなくていい。肌の乾燥も和らいだり、平熱が少し上がったり、息子がまったく風邪を引かなくなったりと、いろいろな変化がありました。

わたしの住まいが札幌なので、冬の事例ばかりになってしまいましたが、当たり前だった寒さや暑さがなくなると、無意識にやっていたいろんな動作や当たり前だと思って受け入れていた不都合が、すっと暮らしの中から姿を消して、なんだか楽になったなぁ、という、じんわりとした余裕が生まれたのです。たとえば子どもが不意にひく風邪は、看病そのものに時間を割くだけじゃなく看病のために仕事の予定を調整することにも時間を取られていました。また、季節ごとの寝具の入れ替えや、ストーブの出し入れ、毎日大量の衣類の洗濯にも時間をかけていたのです。時短レシピや家事の効率化などいろいろあるけれど、無意識な忙しさの存在を家が気づかせてくれたことには驚きました。

裸足
寝室
キッチン

<家は外よりも危険な場所になっているという事実>

最近では「ヒートショック」という言葉はニュースでもよく聞くようになりましたが、実は交通事故の3倍程度も発生しているそうで、もはや外よりも家の中の方が危険なんていう事態なのかぁ、とびっくりしてしまいます。「死なないため」「人生のゆとりをつくるため」「寒いのはいや」など、目的は人それぞれだと思いますが、1日の長い時間を過ごす場所を少しでも過ごしやすい場所にすることは、きっと豊かな人生の近道なのではないかなぁ、と思います。すでに新築やリノベーションのご予定がある方はぜひ「断熱リノベーション」をおすすめします。まるまるリノベーションするお金なんてないよ」「どうせDIYでしょ」なんて思う方もいらっしゃると思いますが、断熱DIYはやった分だけ、少しずつでも効果が出るものです。少しずつ自分でやってみると、仕組みや効果がどんどんわかるようになるというメリットもあります。ぜひ、はじめの一歩やってみませんか。

Profile

伊藤 菜衣子

暮らしかた冒険家/クリエイティブディレクター
「未来の"ふつう"を今つくる」をモットーに活動中。あらゆることを実現するためにSNSを駆使し、未来の暮らしを手繰り寄せていく様を、坂本龍一氏は「君たちの暮らしはアートだ」と表す。2014年、札幌国際芸術祭参加。2017年、初監督作品映画「別れかた暮らしかた」を発表。編集と執筆を手がけた「あたらしい家づくりの教科書」「これからのリノベーション 断熱・気密編」など。

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