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COOL CHOICE エコ住キャンペーン 省エネ住宅で解決!みんなの住まいの困りごと COOL CHOICE エコ住キャンペーン 省エネ住宅で解決!みんなの住まいの困りごと

【部分リフォーム】一部のリフォームで効果大!(予算200万〜300万円)

家全体を断熱改修するのに500万円以上はかけられないという方に、お勧めの断熱改修の方法をご紹介する。予算は200〜300万円。 ちょうど、この予算感でリフォームをするケースは現役をリタイアし家にいる時間が長くなる年代の方が対象となる場合が多い。一軒家の2階建、子供が使っていた2階の利用は少なくなり1階での生活が中心だ。その場合、次の2カ所を重点的に行う。

1浴室などの水回り 2寝室、リビングなど長い時間を過ごす場所

<浴室などの水回りの断熱改修方法>

家の断面図:暖かいリビング→洗面所(脱衣所)→風呂

健康被害の最たるものが、浴室におけるヒートショックである。暖かいリビングから、寒い洗面室に行き、脱衣をすることでさらに寒さを感じる。その結果、体温を維持するために血圧が上昇する。浴室では裸になって、さらに寒さを感じて、血圧の上昇。熱い湯船に浸かる時に、血圧の急降下を招き、溺死あるいは心臓停止になってしまう恐れがある。これを防ぐためには水回りを改良するに限る。一般的な在来工法の浴室は断熱を施しにくいので、これを機会にユニットバスにすることをお勧めする。ユニットバスは乾式工法といって、防水工事をともなわない方法なので、その外側にきちんと断熱をできるというメリットがある。窓も比較的自由に開けられるので、ユニットバスの上下と壁に断熱材を入れることで、浴室のヒートショックのリスクは下げることができる。
洗面室などは現在ある壁(プラスターボード(図1))を剥がし、断熱材が予め内側に接着されたプラスターボードで貼り直す。これだと施工性が良く、洗面室も狭くなりにくい。(プラスターボードは一般的な壁の素材)
窓は現在の窓の上から施工できるタイプのものがお勧めだ。樹脂製窓の複層ガラス(図2)が望ましい。
樹脂はアルミよりはるかに熱を伝えにくいので、断熱性能が高く、結露しにくい。
浴室や洗面室の窓は少し小さくなっても、施工性を優先させた方が良いだろう。通気をしやすくするために、以前流行ったジャロジー窓(図3)はどうやっても密閉性が取れないので、撤去した方がいいだろう。予算的にはこれで120〜150万円といったところである。

(図1)プラスターボード ビニールクロスの壁紙の下は、ほぼ100%プラスターボードの壁である
(図2)複層ガラス ガラス層が3枚になるとトリプルサッシとなる
(図3)ジャロジー窓 ガラスルーバーとも言われる。
開けようと思うと窓の大きさで通風できるが、ガラスとガラスが当たって、閉まるので100%閉めることができない

<寝室、リビングなど長い時間を過ごす場所>

次に長い時間を過ごす場所に注目しよう。さて、どこが長い時間を過ごすかであるが、ある程度長いスパンで考える必要がある。まず、寝室が2階だったら、この機会に1階に下ろすこと考えてはどうだろうか。このリフォームと同時でなくても良いが、高齢者にとって、階段の上り下りのある生活は、転倒というリスクを伴う。したがって、1階に寝室を移動する可能性を前提に計画を考える。さて、そうなると主婦が長時間いるキッチン、ダイニングと寝室になる可能性のあるリビングルームの断熱改修を考えればよいことになる。自動的に2階は居住空間でなくなる。1階の寒さ対策に関しては、どこからやるのか、どの程度やるのか専門家に相談する前に、少し自分でやってみることをお勧めする。

どこがどのくらい寒いか、どうしたら良いか、まず、調査をしよう。そのためには放射温度計(図4)のような器具があると良い。3,000円程度で通信販売等で手に入れることができる。その温度計を使って、様々な場所の温度を測ってみると良い。また、隙間風に関しては、締め切ったところに手をかざして、冷気が入ってくるかどうか確認してみよう。当然だが、窓周り、玄関周りなどが、温熱的に弱いことがわかるだろう。窓の引き違い部分やドアの枠の部分には、自分でモヘアシール(図5)を貼ることから始めて欲しい。これでスースーとした隙間風はだいぶ防げるはずだ。その上で専門家に相談すると的が絞りやすくなる。

放射温度計
(図4)放射温度計 測定対象物を触れず、即時に温度を読み出すことができる温度計
(図5)モヘアシール すきまテープともいう。窓やドアの回りに貼ることで隙間風を防ぐもの

そうした上でまずは大きな窓から対処していこう。例えば、リビングの大きな窓。の内側にもう一つの窓を取り付ける2重窓にする方法が有効だろう。簡易的には、ハニカム状の断面を持つ断熱ブラインドが有効である。(図6)紙や紙に類似した素材でできているので、透明性がなく設置前には気になるが、暖かさは何物に変えがたい。次に熱的には、上昇気流を抑えたい。なので、1階の天井、あるいは床の断熱の強化である。いずれも、現在どのくらいの空間が空いているかが、施工の可能性のポイントになる。そこに吹き込みの断熱材(断熱材が天井の裏に載るタイプ)かあるいは吹き付け(壁に向かって吹き付け、接着して断熱材になるタイプ)で断熱を業者が施工する。断熱材の厚さは空間にもよるが、2020年の省エネルギー基準を目標にしよう。断熱材の性能や特徴を活かすことで、最適な断熱の施工ができるようになるので、施工する業者と密に連絡を取りあうことが重要である。

(図6)断熱ブラインド
ハニカムブラインドともいう。断面がハニカム構造になっていて効率よく断熱ができる

ここで書いたのは、40坪前後の比較的コンパクトな住宅の対処法である。地方に行くともっと大きな民家の相談がよくある。その場合でも基本は同じで、ある限定した空間を取り囲むことが大事である。その場合には、上記に加えて、どこで温熱ゾーンと非温熱ゾーンを仕切るかということが求められる。
効率よく施工できるよう仕切るゾーンを決めて工務店等に相談しよう。

冬は以外と寒い部屋には行かないもので、本当に使うのは大きな家でもごく一部だ。

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https://sii.or.jp/zeh/builder/search/

さて、次回は予算50万円程度でできる、必要な箇所をピンポイントで省エネリフォームする例をお伝えする。

Profile

竹内 昌義

1962年神奈川県生まれ。建築家。エネルギーまちづくり社 代表取締役
東北芸術工科大学デザイン工学部建築・環境デザイン学科 教授 『みかんぐみ』共同代表 専門は建築デザインとエネルギー

しかく著書 『未来の住宅/カーボンニュートラルハウスの教科書』(2009年)『原発と建築家』(2012年)『図解 エコハウス』(2012年)
しかく作品 山形エコハウス(2010年)、HOUSE_M(2012年) JIA環境建築大賞受賞(2013年)、東北建築賞(2012年)、最上の老人ホーム(2009年)(社会福祉法人 紅梅荘)東北建築賞受賞2013年

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