セルジオメンデス&ブラジル'66 / Stillness
たくさんのお気に入りの中、やはりhirokophoneのスタートに深く影響したものがいいかなと思い選んだのがコレです。セルジオメンデス、略してセルメン!
私のプロフィールにもある通りhirokophoneという名が生まれた旧職場にて経理の上司に薦められたのがマシュケナダで有名な『セルジオメンデスとブラジル66』というアルバムで、当時ロックばかり聴いていた私には衝撃の世界でした。どんだけ古い音源なのだというくらいくたびれたジャケットのレコード盤を経理の上司は私に貸してくれたんだけれど、聴いた瞬間私はその頃にリリースされたばかりの新譜かと思うくらい新しい音に感じたのです。
ジャケットを見るかぎりセルメン本人はヒゲをはやしてニヤニヤしているだけだし、両脇にキレイどころを2人ばかりしたがえてそのお姉さんたちに歌わせて稼いでいる怪しいおじさんなんだな〜と、疑わしい気持ちでいっぱいだったのですがレコードに針を落とした瞬間から『なんてステキな音楽なんだろう〜♡』とうっとりしてしまいセルメンのオシャレ音楽ワールドにどっぷりとひたっていったのです。
と、前置きが長くなりましたが(笑)ここで紹介しているのはそのアルバムではなく『スティルネス』という別のアルバムです。セルメンワールドは『ゴージャスでステキ』。でもこの『スティルネス』はなんというかとっても乾いていて素朴。実はこれを書いている今日<とっても乾燥していてよく晴れたいい天気>なのだけれど、まさに今日のこの感じが『スティルネス』の世界。ということで選んでみました。
1 Stillness 2Righteous Life 3Chelsea Morning 4Cancao do nosso amor 5 Viramundo 6Lost in paradise 7For what it`s worth 8Sometines in winter 9 Celebration of the sunrise 10Stillness
全編とにかくステキなんだけれど、注目どころは3のチェルシーモーニング。
これはジョニ・ミッチェルさんの曲のカバー。カラッと明るく陽気なチェルシーモーニングになっているんだけれどおそらくジョニミッチェルファンもこれなら納得でしょ!というくらいステキな世界です。特に曲の最後にちらっと登場するハンドクラップがとても気持ちよくて曲が終わってしまうギリギリ最後までノセてくれます。親切だなぁ〜セルメンは!
それから7はBuffalo Springfieldで有名な曲ですね〜。これもスティーブンスティルスファンでも絶対納得のアレンジだと思うんです。と言いますかこれとってもヤバいんです!騙されたと思って是非一度聴いてみるといいですヨ。私のアルバム『スーパーカー』の〈急いで帰ろう〉も実はひそかにこういった世界を目指していたのだけれどなかなか到達できるものではないぞと・・・また今後別曲でチャレンジしたいと思ってるのです。
8のsometime in winter。これはいきなりセルメンのあのむ〜んとした歌声で始まり若干怯みますが(笑)あれよあれよとどんどん展開していくところがとってもカッコよくてそしてとっても品がある一曲なんです。とてもいいよ♪
前後するけれど2のライチャスライフもフォーキーで今日みたいな乾燥の日にはもってこいの曲だし、6のロストインパラダイスなんてこんな曲で朝目覚めたらどんなにステキだろうって思うよきっと。山小屋というか干し草のベッドというか、そういったところで小さな窓からスーッと朝日が差し込んでくるような、自分が西部劇の登場人物になったかのような錯覚に陥るかも!あっ西部劇でなくハイジかな(笑)
全体的にサラッとしているのでインパクト勝負というよりかは『七年殺し系』のスティルネスですから、これを読んで『じゃあ聴いてみるか』と思われた方は、はじめは『ふ〜ん』て感じだと思うけれどいつしか気づけばヘビロテってパターンになっているはずだと思います。うふふ。
乾いた日用にオススメの一枚。自分の周りがちょっとステキ空間になるハズです。
Let's セルメン!
2012年1月13日 by hirokophone
セルジオメンデス&ブラジル'66 / Live at Expo‘70
Vol.2です。せっかくなのでvol.1に続いて『セルメン』いってみたいと思います!
このアルバムはタイトルの通りライブ盤。Expo’70、つまり大阪万博での演奏音源なのです。万博ってライブ会場もあったんですね。これはもうYOU TUBEというより是非ともドラえもんにタイムマシーンに乗せてもらい当時のこの白熱した空気感までもごっぞりと体感してみたいものです。
さて、中身ですがこれライブ盤というよりもコンサート盤と言った方が雰囲気に近いかもしれません。想像だけれど観客はおそらく全員キチンと着席していて、そしてとっても礼儀正しく聴いている感じ、そんな印象です。
かのセルメンが万博に来るぞ!と、おそらくファンからしたらベルリンフィル来日くらいの勢いだったんじゃないでしょうか。
あくまで私の想像ですけれど(笑)もしかしてカットされた部分に激しく観客の叫び声とか入っているかもしれないですけれど、このライブ盤、終始静かに演奏に耳を傾けて一音も聴き逃したくないといった静なるパワーみたいなものが客席の静けさからむ〜んと出ているようだし、証拠に一曲一曲終わるとワーッ!とものすごい盛大な拍手があがるんだけれど次の曲が始まるとあわててピタッと拍手をやめて演奏に集中する、そんな感じ。
かたやセルメンたち、お国でのコンサートではしょっぱなから客はグリグリ踊りだすでしょうから逆にビシッと着席してギュンギュンに演奏を聴かれるなんてとっても妙な感じがしたんじゃないでしょうか。でも曲間で丁寧にトークしていたりして会場の状況をすごく前向きにとらえているように感じられます。
それにいくつか覚えてきた日本語を披露したり、人気曲をそろえたり、後半はいやでも楽しくノリノリになってしまうような仕掛けを考えていたりしていてちゃんとショーを作り込んで来日したんだよって感じ。ん〜、セルメンはやさしいなぁ! いやまてよ、もしかしてやさしいのではなくいやらしいのかもしれないなぁ(笑)
1What the world needs now/Pretty world 2Going out of my head 3To say goodbye 4The dock of the bay 5Daytripper 6Fool on the hill 7Scarborough fair
8Norwegian wood 9Mas que nada
一曲目。スタジオ盤の音源だとお二人の女性ボーカルもステキにキレイに歌っていますが、ブラジル人の生バンドが背後からグリグリ攻めてきたらそりゃテンションもあがっちゃうワヨと言わんばかり、特にラニホールさんなんかけっこう熱唱系でカワイイです。その後セルメンがまったりと『おーきにぃ〜』とMCで言うのですがもちろん笑いを取りつつも『おー今セルメンがおおきにって言ったぞ!』と、おおきにもメモってとっておけぐらいの観客のオーラを勝手に感じ取ってみるのも一興です(笑)
2のGoing out of my headはスタジオテイクよりも歌がワイルドでかっこいいしピアノもすごくよく聴けてとてもいいい感じ♪ 3のTo say goodbyeはまたしてもセルメンがいやらしい声で歌いだしますが途中からすぐにラニさんに変わりますので安心して大丈夫(笑)
そしてそして。4のドッグオブザベイと5のデイトリッパー。オーティスレディングで有名な曲、そしてデイトリッパーはみんな大好きビートルズの曲。
もうね、この2曲のカバーがすっごくて私これを初めて聴いたときの衝撃と言ったらもうド肝を抜かれたというか、いわゆる『まじハンパない』ってヤツです。この2曲のために購入しても損はないです、本当に。
お次のフールオンザヒルは、これが生演奏かって思うくらいキレイでキラキラしていて、上手にステキに演奏ができるってやっぱり大切だなと痛感する一曲です。観客はこんなの生演奏で聴けてさぞかしウットリだったと思います。
7のスカボローフェアはサイモン&ガーファンクル。イントロからいきなりかっこいいのですが全体的にもとても上品でハイソな感じがしてドキドキします。8のノルウェーの森はずばり『ビートルズがザ・ブラジル』って感じで楽しいですヨ。
そして最後のマシュケナダ。これはセルメン本人がイントロから叫びまくっているしテンポ早目でかっこいいし、中盤からベースがグルングルンにグルーヴしながらどんどん走っていくところがもうビックリするくらいかっこよくて鳥肌が立ちます。
こんな生演奏を聴かせられておそらく観客の中にはスゴすぎて涙ちょちょぎれちゃった人かなりいたと思いますし、少なくとも一人くらいは確実に鼻血出しちゃった方いるんじゃないでしょうか。賭けてもいい!絶対いるハズ!
もしも『はい、あの時はもぅ〜、おもいっきり鼻血ブーしましたヨ』という方がこれを読んでいたら是非連絡下さい。お友達になりましょう。お待ちしております。
といった感じでとても熱い音源のLive at the EXPO'70。全体的に通常のスタジオ盤よりもピアノがよく聴こえるし、とにかくいちいちカッコイイ!音もいいし聴きやすいライブ盤です。
これを書いている今日、窓の外は雪景色だけれど室内はベリベリホット♪寒さを吹き飛ばすにもうってつけのセルメンワールド、おススメです。
Let`s セルメンagain!
2012年1月24日 by hirokophone
テデスキトラックスバンド/ Revelator
Vol.3はググッと新しい音源です。
しかし本当に去年リリースしたアルバムなんだろうかと疑ってしまうくらいの「古い音」。ウッドストックとかフィルモアとか、70年代に大活躍していたバントのひとつがうっかりのび太の机の引出しの中に落っこちてしまい、間違えてたどり着いたのが2011年だった・・・みたいなバンド、テデスキトラックスバンドです。
古き良き音楽のエッセンスを残し今の空気と程よくブレンドされた云々・・・なんかじゃなくてズバリ純正オイルですと言いますか、う〜ん、好きな音を信じて愛してやまないというか、なんというか、それが完璧な演奏力で裏付けされていてね、正直感動したアルバムなのです。
私がこのバンドを知ったのはハービーハンコックさんのイマジンプロジェクトというコンピレーションアルバムを聴いたのがきっかけ。この中のspace captainという曲が素晴らしくて歌とギターは誰なんだろうとライナーを見たらfeat.Suzan Tedeschi&Derek Trucksとあったの。謎めいた名前の人らだなぁ〜と調べていってたどりついたわけです。
そしたら来日するということ。これは行かねばと2012年2月8日@渋谷公会堂の来日コンサートにもう鼻息ふんふんの気持ちバリバリで行ってきたのですがもう『ひょえ〜!』って感じ(笑)CDだけでも素晴らしいバンドなんだけれどライブがタダゴトではない、コンサートフライヤーのキャッチも『総勢11名の超絶技巧集団』とうたわれており正にその通りなのでした!
そう、メンバーが11人なんです。ボーカルギターは紅一点スーザンテデスキさん。それから今をときめく3大ギタリストの一人といわれているデレクトラックスさん。このお二人がご夫婦。そしてベーシストは現オールマンブラザースバンドのベーシスト・オテイルさん。トロンボーン・サックス・トランペットのホーンチームがいて男性コーラスが2人、鍵盤の方は渋谷公会堂でレスリースピーカーをグリグリ回しつつピアノ弾き弾きフルートまで吹いていたし、それに加えてツインドラムという豪快さ。
トロンボーンの人がスキャットで歌いながらメンバー紹介をしたり(この歌がまたものすっごくかっこいいのです)サックスとベースがドラムの後ろに回ってコンガを叩いていたり袖の方まで移動して踊っていたりととにかく全員が芸達者の全員主役そして全員自由。
で、3大ギタリストのひとりであるデレクさんはというと、妻のそばにそっと寄り添ったままむ〜んと弾いている・・・。のけ反ったりステージのギリギリ前まで出てきたりしな〜い。とにかく地味っ。てゆーかまるで家で弾いてるみたいだったけれど気がつくとどエラいところに観客を持っていくというか、ちょっとホントにおそるべしな人でした。
紅一点のテデスキさんはこんなスゴ腕の男たちを引き連れてギターを弾き歌っているわけですが、この位置をこなせる人ってそうそういないんじゃなかろうか。かっこいいナァ!
CDではあまり感じなかったんだけれどライブだとかつてのCOLD BLOODっぽい感じ。COLD BLOODがカバーしていたBILL WITHERSの「Kissing my love」を曲中にカバーしたりしていたので本人たちもたぶん好きなんだろうなと思いました。
というワケで生演奏が本当にタダゴトではないから次に来日することがあれば是非行くことをオススメしまーす!
おっと、CD紹介から話がそれてしまいましたので本編に戻りましょう!
1Come see about me 2Don’t let me slide 3Midnight in Harlem 4Bound for glory 5Simple Things 6Until you remember 7ball and chain 8These walls 9Learn how to love 10Shrimp and grits 11Love has something else to say 12Shelter
1come see about meと2のdon’t let me slide。
とってもアメリカっぽいなぁ〜と感じる曲です。広大な土地で生まれる曲はこうなのだろうなと、かつて米軍パイロットのクリスというベーシストの作る曲を聴いた時に『あぁ、空からの景色が日常の人の作る曲ってこうかぁ〜デッカイなぁ〜』とおぉ!と思ったことがありましたが、そういった意味での広大な土地で出来た曲感がするというか〜横広というか・・・ん〜。なんというかまぁいきなりカッチョいいのよいきなり!
3Midnight in Harlem これはアルバム内で一番好きな曲です。コンサートでも観客がワーッとなっていたからみんなも好きなんだね。き〜もちいい曲だよ!オルガンとギターが本当に気持ちいいです。涼やかだし。5のsimple thingsと8のthe wallsも涼やか系。
4Bound for gloryこれもスゴく好き。サビとかジ〜ンと感動しちゃうんだよねっ。ホーンは気持ちいいし歌は最高だし!そう、先ほどから気持ちいいと連呼していますが、このバンドはとても気持ちがいいのです。
6のuntil you rememberはライブでスゴかった曲です。もうオーティスレディングの曲のカバーが始まったかと思ったくらい古くイカしてました。
7ball and chain。ジャニスジョプリンにも同じタイトルの有名曲がありますが、テデスキバンドのボールアンドチェーンも当時にヒットした曲みたいに古カッコイイ。イントロからいきなり古いです。(あっ古いとは最上級のほめ言葉ですヨ!)9learn how to loveはハードでワイルド。フロント二人がギターだもんね、これくらいやるさ!ってね。テデスキさんのギターも相当です♪
10shrimp and grits エビはわかるけどグリッツってなんだろ〜と思って調べてみたらシュリンプアンドグリッツというアメリカ南部のお料理だそうです。朝食系。ズバリ我々の納豆みたいなものなのでしょうかねぇ。うぬぬ。この曲ワンコードの歌なしのインスト。ちょこっとけだるい感じ。もしかしてシュリンプアンドグリッツってド定番で『ま〜たこれかよぉ〜・・・』的なメニューなんだろうか、そんなことを連想する曲です。全然違うって?!(笑)
11Love has something else to say かっこいい!コールドブラッドっぽくもありSly &the family stoneの香りもします。コンサートのアンコールでスライメドレー(完コピで痛快だった!)をやっていたからかなり好きなのでしょう。曲作りやアレンジをマネをしている感じはまったくなく、どちらかというと好きさがにじみ出てるといった風です。いいな、そういうの。私も何かをにじみだしたいと思いますっ。にじみでろ!ヒロコフォン!
最後のshelter。これもまたアメリカの土地は広いだろうなぁ〜と連想してしまう、そしてスーザン歌うまいなぁ〜。ちょこっと泣き系なんだけれど歌を泣かずに泣かせるというか、訴えずに訴えるというか、どうやって歌うんだろうこういう歌い方って。夕暮れに聴くとドンピシャでキューッとするヨ。
という感じのテデスキトラックスバンドです。流行りの音もステキなんだけれど、好きな音を信じてつらぬいている彼らの楽しい演奏を聴くと私はとても背中を押されたような気分になれるのです。
そしてこんなにスゴい演奏をサラリとやってのけている背景には間違いなくひたむきな練習があり、でもその行き先が楽しさ気持ちよさっていうところがコンダラ系なのにイカしているゼ!と、本当に感動しちゃうのです。
hirokophone music review。Vol.3も相当おススメです。
みんなもレッツテデスキ!
Ella Fitzgerald/Ella in London
さて今回はジャズです。私はあまりジャズは詳しくないのですがもう本当に好きでずっとずっと愛聴しているアルバムをご紹介いたします。
エラさんはね、私の知り合いの不動産屋の女社長『清水さん』にズバリ激似です。あっ顔がね。特にこのアルバムの写真は思いっきり『清水さん』なので私はこの盤を手に取るたびに『あ〜清水さん』と心の中でつぶやいてしまうのです。
『清水さん』はなんでか知らないけれどよそで働く私を監視しにちょくちょくやってくるという謎人物。『ちょっとぉ〜。どこそこの誰それがヒドいのよぉ〜』となどと言いながらやってきては私の近況を根掘り葉掘り聞き出しつつ、ついでにその『ヒドい人』の土地を最終的には転売してしっかり稼いでいるというかなりのツワモノ。いつその『ヒドい人』の話に割り込んだのよ!清水さんっ。そしてその状況をまた私に報告しに来ては帰りがけに私を叱り飛ばして帰るという・・・。謎すぎるよぉ〜清水さん!
ある時は法律書を渡されて『アナタ勉強をしなさいな』とコテンパンに勉強させられたこともあったのです。
でもそんな『清水さん』に私は生きるためのラッキーカードを知らぬ間に与えていただき本当に根こそぎ感謝しているのです。あんな意味不明に強引な謎女に今となっては正直憧れております。
と、そんな『清水さん』に顔が激似のエラ・フィッツジェラルドさんのアルバムです。ジャケットはバックが布地になっていてシブい、というよりご覧の通りズバリ地味なジャケットなのですが中身はもう派手派手のアゲアゲ。そうそう、これはね、ライブ盤なのですよ〜。実は話してみると引き出したっぷりな経理課のあのおじさん♪みたいなアルバムです。(どんなだっ!)
例によって私好みの70年代の音源。1974年にロンドンのロニースコットクラブで行われたライブです。Vol.2で紹介いたしましたセルメンのライブ音源もスゴいんだけれど、これは聴いているといつの間にか自分もライブ会場にワープしてしまうという『どこでもドア機能』が内臓されておりますっ。ホントだよ!
さてレッツ中身。
1Sweet Georgia Brown 2They can`t take that from me 3Everytime we say goodbye 4The man I love 5It don’t mean a thing 6You`ve got a friend 7lemon drop 8The very thought of you 9Happy blues
私が持っているのはレコードなので6曲目からはいわゆるB面になるのですがCDだとこうなるのかな。
さて、今私たちはロンドンのクラブに入りました。そこでは粋な演奏家が楽器を持って待機しており登場してきたのはパンパカパ〰ン『清水さん』でーす!もとい、エラ・フィッツジェラルドさんですっ。
ワクワクしつつも静かに見守るお客様に『そんな遠慮はいらないのよぉ〜』と言わんばかりに1曲目のSweet Georgia Brownが始まるのです。
もういきなりこれだけ自由にはしゃがれたら観客だって自然にスイッチオンです。調べたところこの演奏はどうやら病み上がりだったようなのですが、そんなのを感じさせない伸びやかで楽しげな歌声。そう、エラさんって声がうれしがりのちっちゃい女の子みたいなんだよねぇ〜!ホントかわいいんだ。で、一曲目でばーっちり会場が一体になるのです。
そんな下地をいきなり作ってしまうものですから、2曲目の大人っぽいジャズ『私からは奪えない』をギュギュッと聴くことができる。といってもかなりおてんばな歌い方なんだけれどね〜♪そしてそのままかわいいMCをしながら3曲目Everytime we say good byeへGOです。
4曲目The man I loveもそのまましっとりと始まり『あ〜ジャズワールドだなぁ』と、ある意味ジャズが苦手な人ならここで終えてしまうだろう雰囲気をかもし出しつつもさすが『清水さん』。だてに土地は放っておかないのヨ。転売転売っ!おっと、もとい。エラさんのソウル魂をジャズの人でかたずけてはならぬのですヨ。
『さっきの曲はね、やっぱさ、ああいうのもちょこっと歌っておきたいのよぉ〜』といった感じでしょうか。静かだったハズの曲が気づけばノリだして炸裂です。もうノッてしまったら清水さんのモノです。客と交わりだし土地情報を聞き出す。バンドメンバーも本気でついていく。気がつけば契約書にハンコをついているっ!まさに関係者みな清水さんに言いくるめられているっ。といった状況のThe man I love。ホント楽しい空気です。聴きたくなってきたでしょ!
こうなってきたらもう清水さんの一人舞台です。5曲目のIt don’t mean a thing。ニワトリ風のスキャットからスタート、そして観客がギュンギュンになっているのがバンバン伝わってきます。バンドのメンバーもスゴいです。この楽しい感じをもっと盛り上げるゾといったルンルン感が演奏ににじみ出ているね。あぁライブの会場って楽しいナ!
いろんな音楽が楽しいのよとさまざまなジャンルの曲でスキャットをしていく清水さんとメンバーたち。最後に突入するソウルトレインコーナーはグリグリで、部屋で聴いているのに部屋がライブハウスになるのですよ。
さて、CDではおそらく6曲目になるのかな、私的にはB面です。キャロルキングさんの神曲『You got a friend』です。シブ〰くスタートしますがジワリジワリ来るよぉ!歌い回しもカッコいいしバンドのメンバーもジャズとはいえロックしているっ♪清水さんもすっごいシャウトだ!ズバリ土地転がしまくり!お客さんのノリも最高潮。実印押しまくりです。
そのままLemon Dropへ。キレのよいスキャットというか大暴れ。バンドも『ほれっ!もっといけっ!』と言わんばかりノリノリ。徹底的に歌詞がないけれど原曲はどうなんだろうかっ!後ほどチェックしないとです。なにせジャズはよく知らないもので(汗!)しかしながら粋な曲でございます。
その後にThe very thought of youで嵐の前の静けさを醸し出し、ラストのハッピーブルースになだれ込むのでございます。
エラさんのおてんば声が炸裂しまくりでとってもかわいいです。シャウト声がかわいいってとってもいいなぁ。会場が大盛り上がりです。
おそらくこの後アンコールとかで会場はもっともっとすごいことになるのでしょう。
ジャズとかそういうジャンルを超えた温かみを感じるこのライブ盤、なんとなく日々のルーティンに疲れちゃったよとか、ライブハウスなんてあんまり行かないし...とかここのところ元気がでないんだよね〜とか踏ん切りがつかないんだとか・・・。そういった方に特にオススメしちゃうこのアルバムです。悩んでいたことがアレッ?ってくらいになってしまうかもよ。普段ジャズなんて聴かないよ!って方にもお薦め、私もそうだし!楽しい気分になりたい人はレッツポチッとね!調べたらね今CDだと1000円ちょっとで買えるのよ、スゴいよ!買っちゃいなって!ジャンルを超えてオーケーよ。
と、オススメしたくなっちゃうファンキーでハートフルなライブ盤でございます。
計算すると38年前のライブ、しかも(これを書いている13日の今日は私の誕生日!)4月11日のライブと38年前にタイムトリップにもかかわらずいまだにピッカピカの音とノリです。ズバリ鳥肌モノです。個人的にはね、観客とのコールアンドレスポンスがグワッとくるところで目頭が熱くなるのです。
ライブを提供する私としてもこういった空気を作りたいナというのが心底課題です。Butハードル高しっ!!!
相当なタイムスリップライブだけれど、春だしテンションアゲて行くアイテムとしては、エラライブ、超オススメです。
さぁ。みんなもレッツ清水さん!
2012年4月13日 By hirokophone
Dionne Warwick/Burt Bacharack Song Book
実は今、大作曲家バートバカラック先生が来日中。音楽の神様がっ!それも電車に乗ってチョイと行けば観られるっ!が、なにしろ巨匠の高級コンサートにつき私のお財布が追いつくことができそうもなくて泣く泣くあきらめるという・・・・。はぁ〜情けなし!自分。
なので家で鑑賞なのです。
さて、このアルバムはかつて私がジャケットを見た目だけで買うといういわゆる『ジャケ買い』にハマッていた時期に中古レコード屋で買ったもの。当時の私はロックばかり、もしくはシャウトしているシンガーばかりを求めていたので、このディオンヌさんのジャケットを見た瞬間に『うぉっ!この顔はシャウターに違いないっ』と迷わず即買いしたのです。バートバカラックという巨匠の存在も知らずに。
ところが家に帰って聴いてみるとシャウトどころかツヤツヤで美しい歌声、そして曲もドッカンドッカンいっていない・・・。これはハズしてしまったなぁ〜とそのまま棚に入れてしまったのです。
今思うと私はどれだけ幼虫だったことか!バカな自分!タイムスリップしてその頃あ〜あと言いながら棚にこのお宝をしまいこんでいる自分をとっ捕まえて説教をしてやりたい、そんな心境です。
月日が流れていろんな音楽を聴くようになり、そうするとジワリジワリとバートバカラック先生の存在が浮上してきました。
いいなぁステキだなぁ〜!そう思う曲のクレジットを見るとよく「バートバカラック&ハル・デビッド」と書いてある。この曲も!あの曲も!芋づる式にバカラック先生が出てくる!
いも掘りというか、そうだなぁもっといい言い方をするならば巨大魚を釣り上げたと言った方がいいかしら、とにかくステキな音楽のドンがこの世に存在していることを知るワケです。
そしてそんなこんなで興奮していたその時、思い出したのです!『あーっ!たしかジャケ買いしたアレって!』と思いレコード棚の端っこから探す探す。レコード盤は細いから背表紙が見づらくて、しかも買ってすぐにしまってしまったのでアルバムのタイトルすらおぼろげでわからない。なので疑わしいのを引っ張り出してはジャケットを確認するようにして探していくと
『あった♪』
ありました。そしてバートバカラックと書いてある!『おぉぉ〜♪』と思いすぐにレコードに針を落とすとしょっぱなから素晴らしい世界が繰り広げられておりました。
なんて優雅で軽やかな曲調、そしてディオンヌさん歌ヤバすぎ!シャウトしてないし曲がドッカンドッカンしてないと思った自分を再度バカ者だと猛反。
大作曲家のバートバカラック。そしてその世界の表現者である歌手ディオンヌワーウィック。この運命の出会いで今から何十年も前に、今聴いても今だにオシャレで小粋な音楽が大ヒットを出し続けていったのです。かっこいいなぁ〜。
とにかくどの曲もシンプルでテンポがよく自然に鼻歌とか口笛が出てきちゃうんだけれど、どうやらバカラック先生の先生が『誰でも口笛できるような曲をかくのだぞ』という教えだったそうで、先生は先生の言うことを本当によく守っていたのだなぁ〜と毎度このアルバムを聴きながら自然に鼻歌で参加している自分にはっとするのです。
そしてかつて棚にしまいっぱなしだったこのアルバムはそれからいつでもすぐに聴けるようにすぐ手の届くところに置いてあるのです。
さてさて、内容の方はといいますと、
A面
1Do you know the way to San Jose 2This girl is in love with you 3Promise,Promise 4Message to Micheal 5Trains, Boats and Planes 6Windows of the world 7The April fools
B面
1I’ll never fall in love again 2I say a little prayer 3The look of love 4Wishin and hopin 5Don’t make me over 6Walk on by 7Odd and ends
A面では私はね、特に2曲目のThis girl is in love with youがお気に入りです。
すぅ〜っと始まるんだよね。サラッとクールに歌いだしてキレイなメロディーが広がっていくのだけれど、バックのシンプルなピアノとかところどころに入ってくるやわらかい管楽器とかものすごく粋で、でも絶対に歌声からよそに耳がうばわれることがないという歌絶対主義。そして歌が盛り上がり切ったところでバーンと演奏も上がるという!
完璧っ。
なんというか案内人ディオンヌのまき絵物語みたいなんだよね。
それから1曲目のサンホゼへの道もとっても軽快でステキ。そしてもしも聴いてみようと思ったならば3曲目プロミスプロミスの『うっ!』ていうかわいいキメがナイスなので是非チェックしてみてね。一緒に『うっ!』って歌いたくなるよ。
B面の1曲目Never fall in love againは例のセルメンことセルジオメンデス師匠も演奏していてそちらも是非聴いていただきたいなぁ。管楽器の入り方とかステキすぎて震えます。
それから2曲目のI say a little prayer。これはかつてシャウター好きだった頃に熱中していたアレサフランクリン先生も歌っている曲です。思い起こせば当時『アレサっぽくない曲だなぁ』と思いながら聴いていたものね。
そしてアレサさんは期待通りにヒャッホ〜と激しく歌っておりお気に入りだったのですが、今となってはこのディオンヌバージョンのさらり系も負けず劣らず大好き。
3曲目のThe look of loveもセルメンさん演奏しています。これも聴き比べたりすると楽しいね。どっちも本当にステキで、影の支配者バカラックのスゴさをひしひしと感じます。
そう、先生の曲は誰がどんなアレンジに変えて演奏しようとも曲が変わらないのですよ。これもおそるべしドンのなせる技なのでしょう。
6曲目のwalk on byはね、もう仏像彫り職人というかなんというかね完璧な曲だと思うのです、私。曲・歌・アレンジ・テンポ・・・どの角度から切り込んでも絶対かっこいい!もうなにがなんでも絶対にかっこいい!はじっこまでかっこいい!そんな感じ。そしてこういう曲をかっこいいと感じられる自分でよかったなぁとほっと胸をなでおろす私。幼虫時代よ、さようなら!
それからラストソングのodds and endsはイントロから死にます。トロンボーンかなぁ、管楽器と口笛のユニゾンなのです。もし聴くならばここの部分も是非注目ね!ちなみに私は何回聴いてもイントロで必ず死亡します(笑)今も聴きながら書いていて死んでいたところです。そしてwalk on byと同じくこの曲もどの角度から切り込んでもなにがなんでも絶対にかっこいい曲です。あーかっこいい!
誰もが口笛で歌える曲たち。でも歌手にとってこれほどレベルハイなものはないと思うのです。ディオンヌさんはさらりとやってのけているけれどこれは相当におそるべしだと思います。
ディオンヌさんのすごいところは歌をこねくり回さないところ、シンプルな部分は曲にしたがってシほんとにンプルに歌うんだけれど、これがミソ。コレ、デキナイヨ、フツー!カンタンジャナイアルヨ!なんですよね。
とにかく上品でオシャレで粋でなにがなんでも絶対にかっこよくて。
それからね、ズバリこれはとってもかわいいアルバムです。そう!かわいいんだよ、コレ。そして一瞬のブームで聴くよりも長く長くにわたって体の中に入り込んでくる音楽です。
秋がそこまで近づいてきています。夜お部屋で音楽を流しながら本を読んだりおいしいスイーツを食べたりするようなゆったりタイムにとっても合うこの音楽!
そして週末の朝とかの朝ごはん時にもオススメです。ステキなブレックファーストになると思います。
もう何度聴いたかわからない『ディオンヌワーウィック・バートバカラックを歌う』ですがまだまだこの先何十年たっても私の中では飽きそうにありません。
私からのオススメです。
さぁみんなもレッツディオンヌ&バカラック!
2012年9月11日 By hirokophone