2016年1月14日木曜日
東日本大震災被災地 現地レポート
兵庫県保険医協会は1月9日から11日、岩手県・宮城県の被災地を訪問、広川恵一顧問、林功先生が参加した。
被災地の現在の課題を住民の視点からとらえることを目的とし、復興住宅や防災集団移転先の住宅を訪問し、お話を伺った。
気仙沼市内でワークライフサポート・響の阿部さん、医療コーディネーターの村上さんらと懇談、
被災者の置かれている現状について意見交換した。
被災者の置かれている現状について意見交換した。
気仙沼市・南郷住宅を訪問、入居者の方から現状を伺った。
気仙沼市・赤岩牧沢テニスコート仮設住宅で民生委員・小野さんと懇談、行政の実態などをお聞きした。
気仙沼市本吉町の防災集団移転先で理髪店を再建する方からお話を伺った。
岩手県一関市藤沢町・ちくちく工房で近況を伺った。
2015年11月5日木曜日
東日本大震災被災地 訪問記
被災地の復興に公的支援を
協会は9月20日〜22日に東日本大震災被災地訪問を実施。白岩一心理事、松岡泰夫評議員、広川恵一顧問、林功先生が、宮城県気仙沼市、岩手県一関市、福島県飯舘村・南相馬市の仮設住宅や医療機関などを訪問した。白岩理事のレポートを紹介する。
気仙沼市の仮設住宅で、自治会長・民生委員の小野道子さん、医療福祉ボランティアの村上充さんと懇談した。劣悪な仮設住宅の現状をうかがい、仮設住宅の住民の間で復興公営住宅への移行をどうするかという問題などがあると知った。
また、復興公営住宅で、津波で汚染され、塩分を含んだ土地を整備しないまま、その上に建設したのではないかと思われる事例があると知った。
住民は、慢性疾患を抱えていても、病院までの交通の便が悪く、交通費や医療費負担が不安で、なかなか受診されない。私の町では、病院に通えない方々のためにタクシー券を配布している。行政が被災者を把握しきれていないのでないかと思う。被災者の方々の孤立、家族の分断、行き届かない行政の医療福祉対策にもどかしさを感じた。
株式会社「きくちまさこ」代表で、訪問看護ステーションを設立した菊地優子さんとも懇談した。365日休むことなく、重症患者さんに訪問看護を行う熱い思いと行動力に、驚いた。
気仙沼市の漁業では、漁獲量は震災前に戻っていると報道されるが、実際は他府県の漁船が入港していて、気仙沼市の漁業組合の収入は、震災前の20%に落ち込んだままである。マンパワーだけではなかなか生活復興は難しい。政府の公的支援と対策が必要だ。
しかし、国政選挙が実施されてもなかなか投票率が上がらない。法治国家で、議院内閣制をとる日本では、まずは投票率を上げ、住民が声を上げることが必要と感じた。マスコミは「震災を忘れない」と繰り返しているが、現在、被災地で起こっている問題はなかなか報道しない。
3日目は福島県飯舘村と南相馬市を訪問。飯舘村には、除染作業で出た汚染物が、袋に包まれ、各地で山積みのまま。永遠に続くと思ってしまう除染作業。田畑の農業の復興はもう途絶えてしまうのでないかと危惧してしまう。
南相馬市にある大町病院を今回も訪問させていただいた。2年前に訪問した時、病院長・猪又義光先生にうかがった「調剤薬局、薬剤師がいなかったら病院の再建はなかった」という言葉がよみがえる。兵庫協会では、9月12日に開催した講演会「災害と薬剤師」で、猪又先生の言葉を紹介したところ、現役薬剤師の方々や薬学部学生に、薬剤師の役割に確信を持てたと受け入れていただいた。猪又先生にこのことを伝えると、深く喜んでいただいた。
南相馬市では市民病院に脳血管専門の科が新設されるらしく、看護師不足が深刻という。しかし、逆境を乗り越えて、患者さんの健康のために「質の高い医療提供」をめざす、猪又先生や藤原珠世看護部長の姿勢は、兵庫の地域医療にも結びつくものだと思った。
これまで何度か被災地を訪問してきたが、今回初めて聞くことも多かった。今まで我慢されていた思いが表れはじめたのでないかと思われる。これからが正念場だと思う。主権在民、基本的人権尊重の憲法理念のもとに、兵庫協会が関われることは何かを再検討して、議論を重ねて、改めて被災地に向かいたいと思う。
理事 白岩 一心
協会は9月20日〜22日に東日本大震災被災地訪問を実施。白岩一心理事、松岡泰夫評議員、広川恵一顧問、林功先生が、宮城県気仙沼市、岩手県一関市、福島県飯舘村・南相馬市の仮設住宅や医療機関などを訪問した。白岩理事のレポートを紹介する。
気仙沼市の仮設住宅で、自治会長・民生委員の小野道子さん、医療福祉ボランティアの村上充さんと懇談した。劣悪な仮設住宅の現状をうかがい、仮設住宅の住民の間で復興公営住宅への移行をどうするかという問題などがあると知った。
また、復興公営住宅で、津波で汚染され、塩分を含んだ土地を整備しないまま、その上に建設したのではないかと思われる事例があると知った。
住民は、慢性疾患を抱えていても、病院までの交通の便が悪く、交通費や医療費負担が不安で、なかなか受診されない。私の町では、病院に通えない方々のためにタクシー券を配布している。行政が被災者を把握しきれていないのでないかと思う。被災者の方々の孤立、家族の分断、行き届かない行政の医療福祉対策にもどかしさを感じた。
株式会社「きくちまさこ」代表で、訪問看護ステーションを設立した菊地優子さんとも懇談した。365日休むことなく、重症患者さんに訪問看護を行う熱い思いと行動力に、驚いた。
気仙沼市の漁業では、漁獲量は震災前に戻っていると報道されるが、実際は他府県の漁船が入港していて、気仙沼市の漁業組合の収入は、震災前の20%に落ち込んだままである。マンパワーだけではなかなか生活復興は難しい。政府の公的支援と対策が必要だ。
しかし、国政選挙が実施されてもなかなか投票率が上がらない。法治国家で、議院内閣制をとる日本では、まずは投票率を上げ、住民が声を上げることが必要と感じた。マスコミは「震災を忘れない」と繰り返しているが、現在、被災地で起こっている問題はなかなか報道しない。
3日目は福島県飯舘村と南相馬市を訪問。飯舘村には、除染作業で出た汚染物が、袋に包まれ、各地で山積みのまま。永遠に続くと思ってしまう除染作業。田畑の農業の復興はもう途絶えてしまうのでないかと危惧してしまう。
南相馬市にある大町病院を今回も訪問させていただいた。2年前に訪問した時、病院長・猪又義光先生にうかがった「調剤薬局、薬剤師がいなかったら病院の再建はなかった」という言葉がよみがえる。兵庫協会では、9月12日に開催した講演会「災害と薬剤師」で、猪又先生の言葉を紹介したところ、現役薬剤師の方々や薬学部学生に、薬剤師の役割に確信を持てたと受け入れていただいた。猪又先生にこのことを伝えると、深く喜んでいただいた。
南相馬市では市民病院に脳血管専門の科が新設されるらしく、看護師不足が深刻という。しかし、逆境を乗り越えて、患者さんの健康のために「質の高い医療提供」をめざす、猪又先生や藤原珠世看護部長の姿勢は、兵庫の地域医療にも結びつくものだと思った。
これまで何度か被災地を訪問してきたが、今回初めて聞くことも多かった。今まで我慢されていた思いが表れはじめたのでないかと思われる。これからが正念場だと思う。主権在民、基本的人権尊重の憲法理念のもとに、兵庫協会が関われることは何かを再検討して、議論を重ねて、改めて被災地に向かいたいと思う。
2015年9月24日木曜日
東日本大震災 現地レポート
兵庫県保険医協会は9月21日から22日、岩手県・宮城県・福島県の被災地を訪問、白岩一心理事、広川恵一顧問、松岡泰夫評議員、林功先生が参加した。
現在の生活・健康課題を中心に、今後の協力課題を明らかにするため、仮設住宅や医療機関などでお話を伺った。
現在の生活・健康課題を中心に、今後の協力課題を明らかにするため、仮設住宅や医療機関などでお話を伺った。
宮城県気仙沼市の赤岩牧沢テニスコート仮設住宅で、民生委員の小野道子さん(前列左から1人目)、医療コーディネーターの村上充さん(後列左から2人目)、同仮設住宅自治会長(同3人目)にお話を伺った。住まいの問題が中心課題となっており、仮設の集約化に伴う引っ越し費用の問題、津波被害を受けた土地の換地処分における住民の軋轢、災害復興住宅で、引き渡し時に畳一面にカビが生えていたことなど、実態をお聞きした。
福島県飯舘村の農地には除染後の廃棄物が幾重にも積み重ねられていた。
福島県南相馬市の大町病院にて猪又義光院長(奥左)、藤原珠世看護部長(奥右)からお話を伺った。災害時の初動のあり方や、日常的にスポットで全国からの看護師の応援を継続して受けていること、病院内で看護の質の向上に取り組んでいることなど、現状をお話いただいた。猪又院長は、医療人としての使命感が原動力となっていると語った。
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