麹(こうじ)菌と酵母(こうぼ)菌の話

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麹(こうじ)菌と酵母(こうぼ)菌の話

日本酒造りには欠かせない「麹菌」「酵母菌」

Q)どちらもよく聞くけど?
似たような名前だけど・・
何が違うの?

*そんな疑問にお答えします!

☆「麹(こうじ)菌」「酵母(こうぼ)菌」は、共に真菌類に属する微生物ですが
こうじ菌(カビ)は糸状を呈するので糸状菌といわれ、酵母菌はこうじ菌と異なり
単細胞であり、出芽により増殖するという違いがあります。
つまり、それぞれ別の微生物なのです。

たまに、(正) 〇花酵母(はなこうぼ)の事を、

(誤) ×ばつ花麹(はなこうじ) と勘違いしている方がおみえになります

注):花麹(はなこうじ)ではありません。くれぐれもご注意願います!


*そこで、先ずは!

「日本酒造り」における「麹菌」 と 「酵母菌」の関わり、

そして

「働きの違い」をご説明したいと思います


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にじゅうまる<麹菌(こうじきん) > <こうじかび> つまりカビの仲間です。

お酒に使用される麹菌(こうじきん)→<こうじかび>の学術名

黄麹菌・アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)

目的は、酵素による分解 麹菌はデンプン・タンパク質・脂肪などを分解する酵素を出します。
お米のデンプンをブドウ糖などの糖分に分解します。






画像出典
(清酒酵母の特性と生態 竹田正久著 東京農業大学出版会) 顕微鏡写真 Aspergillus oryzae
故竹田正久・元東京農大教授 恩師の一人です 平成28年9月22日 布屋原酒造場にて撮影(200倍)

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にじゅうまる<酵母菌(こうぼきん)> 球形又は楕円形の単細胞(直径5〜10μ)
肉眼では見えません
(下↓の顕微鏡写真をご覧ください)

酵母菌 一般的に酵母はイースト(yeast)と呼ばれます。

お酒に使用される酵母 イースト(yeast) の学術名

サッカロミセス(サッカロマイセス)・セレビシエ
(Saccharomyces.cerevisiae)

代表的な物として、清酒酵母、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母
などが属しています。

目的はアルコール発酵 麹菌の酵素で分解された糖分を吸収し、これをエネルギー源とし、
アルコールやお酒の香り・味の成分を作り出します。


ただし! ここからが大変重要なポイント!


*清酒酵母は、他の酵母との特性の違いにより区別、細分化し
サッカロミセス(サッカロマイセス)・サケ(Saccharomyces.sake)と呼ぶ場合があります。

具体的に他の酵母(Saccharomyces.cerevisiae)と、どの様な違い、特性が有るのか?
専門的な話しで少々難しくなってしまいますが、以下の様に明確な違いが認められます。

?@15%以上の高濃度アルコールに耐えられる。

?AYeastcidin(イーストサイジン)という抗菌性物質に対し抵抗性が有る。
逆の言い方をすれば、Yeastcidin(イーストサイジン)が有る環境下では、
「優良清酒酵母以外の酵母は生きていけない」という事です。

?BTTC(2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロライド)という細胞呼吸や代謝活性を測定する指示薬で
赤色(優良酒酵母)を示す。 野生酵母や呼吸欠損菌株はピンク色や無反応となります。

*東京農大天然花酵母も、広義ではサッカロミセス(サッカロマイセス)・セレビシエ
(Saccharomyces.cerevisiae) ですが
上記の通り、

全て、サッカロミセス(サッカロマイセス)・サケ(Saccharomyces.sake)に分類されます。

このサッカロミセス(サッカロマイセス)・サケ(Saccharomyces.sake)に属するという事は
非常に重要な意味を持っています。

と言うのも・・

最近、他の研究機関による「花酵母分離」の話しを耳にいたしますが、残念ながらその多くは、
上記に示した「サッカロミセス(サッカロマイセス)・サケ(Saccharomyces.sake)」の
要件を満たしていないのが現状なのです。

ここが、東京農大天然花酵母との決定的な違い!といえるのです!


顕微鏡写真 Saccharomyces.sake ・広義では(Saccharomyces.cerevisiae)
平成28年9月22日 布屋原酒造場にて撮影(800倍)
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にじゅうまる<まとめ>
兎にも角にも

<麹菌と酵母菌の働きを簡単にまとめると>

お米のデンプン ブドウ糖 アルコール+炭酸ガス
(分解) (発酵) +(香気成分・酸・アミノ酸等)
麹菌の酵素 酵母菌

C6H12O6(ブドウ糖)→2C2H5OH(アルコール)+2CO2(炭酸ガス)+62Kcal

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にじゅうまる<酵母(こうぼ)・よもやま話>

実は、酵母(こうぼ)はカビから進化し、菌糸が退化した単細胞微生物と言わ
ています。
テレビなどでお酒造りが紹介される時は、麹室(こうじむろ)での作業は映っても
酵母菌(こうぼきん)の場面は皆無と言ってもいいくらいです。
ですから、皆様が酵母(こうぼ)と麹(こうじ)を混同するのは、無理もない話しな
もしれません。

ちなみに学術名サッカロミセス(サッカロマイセス)・セレビシエの
(Saccharomyces)は、ギリシャ語で「糖と菌」
(cerevisiae)はラテン語で「ビール」という意味になります。

パンに使用される酵母菌も、パン生地に含まれる糖分を吸収して発酵を行い、
その時に出す炭酸ガス(二酸化炭素)の勢いで生地を膨らませます。
生地が膨らんでいく時には、かすかにアルコールの香りがしますね。
つまり、パン製造における酵母の主目的は発酵による「炭酸ガス」なのです。
パンの中にある無数の小さな穴は、酵母菌が炭酸ガスを出して、パン生地を
膨らませた痕跡というわけです。



Yeastcidin(イーストサイジン)とは?





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