名桜大学教授 国際EM技術研究所所長 比嘉照夫
第218回 正木一郎記念ユニバーサルビレッジEM国際会議※(注記)のこれからの展開(2)
EMの不思議・・・・ 事実を認める勇気
EM技術は、自然農法や有機農業の究極を目指し、(財)自然農法国際研究開発センターの協力によって、日本国内に広がり、更には、IFOAMとの共同歩調で世界に知られるようになったが、すんなりと受け入れられた訳ではない。
この壁は、旧来の常識とされる科学の罠である。すなわち、科学的な証明がなければ、どんなに優れた成果も受け入れてもらえないことである。科学者の大半は、その罠に本能的に反応し、優れた結果が出ても例外として捨ててしまうのである。統計学はもとより、すべてが罠だらけで、魔女裁判的仕組みが万全に出来上がっている。
当初、EM技術はその罠にかからないように、事実を最優先し、科学的証明は後回しにしたのである。すなわち、環境中の有害金属が消えるのも、塩害や様々な汚染が消失するのも、当初はEMの持つ強い抗酸化作用によるものと説明していたが、元素の転換が起こらない限り説明ができない事例が次々と現れてきたのである。
最終的にはEMの成果の再現性を全面に立て、現場に定着させてしまえば罠は自然消滅するという信念から、すべてボランティアに徹したのである。今ではEMは世界中に広がり、その万能性も認められるようになったが、これからの課題は、その万能性の応用である。...
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塩沢文朗
いま取り組んでいることが、それぞれ大きく展開し始めたこともあって、また、約半年間の長いご無沙汰となってしまいました。その一つは、従来から取り組んでいるエネルギーキャリア関係の仕事ですが、こちらはSIP(内閣府戦略的イノベーション創造プログラム)が始まってやがて3年が経つこともあり、私がサブ・プログラムディレクターを務めている「エネルギーキャリア」では世界でも注目されるようないろいろな成果が出始めています。そのおかげで、成果の社会実装や国際協力関係の構築のための作業が忙しくなってきました。SIP「エネルギーキャリア」の状況については、(社)水素エネルギー協会(www.hess.jp)から出版されたばかりの「水素エネルギーシステム」の3月号(Vol.42.No.1 (2017))に記していますので、ご関心の向きは是非、ご覧ください。
SIP関係の仕事に加えて、昨年の6月から、海外の化学産業の人たちと仕事を一緒にする機会が増えました。International Council of Chemical Associations (ICCA: 国際化学工業協会協議会 https://www.icca-chem.org/ )という組織のEnergy & Climate Change Leadership Group (E&CC LG)の議長を務めることになったためです。ICCAとはその名前の通り世界各国の化学工業会の集まりで、世界の持続的発展と化学物質の適正なリスク管理という、世界の化学産業にとって重要な共通課題に協力して取り組むことを目的としています。その中でE&CC LGは、エネルギーと気候変動問題への化学産業としての対応のあり方などを検討する委員会です。...
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東京大学名誉教授 ビジネスモデル学会会長(社)俯瞰工学研究所所長 松島克守
◆だいやまーく世界はトランプ政権の自壊を待つのか◆だいやまーく
トランプ大統領の暴走が止まりません。ロシア疑惑の捜査にあれほど怯えているのは、やはり何かあるのでしょうか。司法長官に、捜査に関与せよと公然と言って、司法長官の更迭すら口にしています。ただ、特別検察官は元FBI長官で、気骨がある人物のようですから、きちんとした捜査をするでしょう。もし司法長官や特別検察官を大統領権限で罷免すれば、その時点で、トランプ政権は崩壊することになるでしょう。与党共和党も反感を強めています。
米国の対ロシア制裁は、議会を通過してトランプ大統領に届けられました。これに署名するかしないか、まさにハムレットの心境でしょう。このロシア制裁は、議会がトランプ大統領の行動を牽制する意味もあるようです。対ロシア強硬派が多いようです。ヨーロッパは大反対です。受け取り方は、「ロシアではなく、アメリカからエネルギーを輸入しろ」と言うのかといった感じです。
ホワイトハウスの中もグチャグチャのようです。トランプ大統領を支えてきた報道官が辞任しました。広報部長の人事が原因のようです。この広報部長は、早速問題を起こしています。もともと評判が悪い人物だったようですが、ホワイトハウスの高官を悪しざまに罵っています。政権内の亀裂が白日のもとにさらされました。
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SBFコンサルティング 氏家豊
前稿の「機能・目的志向の人工知能(AI)-?」で、M&A事例を紹介しました。その中で、Googleによる汎用深層学習、人工知能(以下、AI)基盤会社であるDeepMind(例の囲碁で人間を破った英国ベンチャー企業)買収は、機能・目的本位というよりは、深層学習(Deep Learning)技術を駆使している分、汎用・全能AIを志向した動きです。それは、Googleが、世界の自動車会社とは一線画して、一挙にハンドルのない完全自動運転車を追及する動きとの共通性を感じます。
日本では、80年代に人型の第五世代コンピュータ開発に国を挙げて取り組みました。専門家の知見・経験をコンピュータに教え込む(入力・データベース化)ことで、コンピュータによる人間専門家並みの推論、意思決定を実現させることを目指しました。その系譜で、現在でも、あの"アトム"的な人型ロボット≒AIというとらえ方が一般的です。頭脳アルゴリズムも、最近は特にそうですが、人間が無意識にやっている学習モデルに則り、視覚、会話・読解等、つまり画像処理、自然言語処理などの能力をすべて備えることを目指します。もちろん、従来からの超高速計算能も含みます。特に、画像認識では、人間が幼児期から母親等を通じて学習・体得していくプロセスをなぞる手法を極限まで追求します。ここが正にディープラーニング(深層学習)技術の賜物です。
その結果、特にこのディープラーニングの発想、技術を駆使して"人型"に仕上げることへの期待が再度膨らんでいます。日本で元々開発してきた、例えば癒し系ロボットへの導入です。分別や価値判断まで備えた汎用・全能コンピュータに至っては、正に"アトム"の世界、レベルです。人間を機能面で超える話題(チェスや将棋、囲碁など)や、人間の仕事に代替する領域が加速しそうであることをもって、人間存在をコンピュータが脅かす、超えるレベル(シンギュラリティー)議論にまで発展しています。この議論自体、米国から来た訳ですが、人型コンピュータに拘ってきた研究者が多い分、日本でもより注目度が高い論点です。
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産業技術総合研究所 企画副本部長 中村吉明
1.東日本大震災後のできごと
東日本大震災の被災後、甚大な被害を受けた企業、特に中小企業は、事業復興のための資金ニーズが高まる反面、債務超過に陥り、資金調達に苦慮していた。このような中、ミュージックセキュリティーズ(株)は、少額投資プラットフォーム「セキュリテ被災地応援ファンド」を創設し、被災企業の資金調達の支援を行い、注目を集めている。
そもそも、ミュージックセキュリティーズ(株)は、才能あるミュージシャンを世に送り出す「音楽ファンド」であった。近年、そのノウハウを活用して地域事業者と協同してファンドを形成するマイクロ投資ファンドを展開し始めた矢先に、東日本大震災が起こったのだ。
具体的な被災地支援の方法はこうだ。まず、全国の個人から一口10,500円を集め、500円の手数料を除いた10,000円のうち半分が出資金に、半分が寄付に使われる。事業者にとっては、資金が調達できるだけでなく、その出資者が生産した商品やサービスを継続的に購入してくれるかもしれない。また出資者は、ファンド運営期間中、商品の提供や工場見学会など出資先企業が提供する特典を受けたり、日々のインターネットによる報告を通じて、企業の復興を見守ることができる。...
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工藤純平氏の「いやホントです!」
フリックケア株式会社 工藤純平
第2回 市バスに乗ったホームズたち
猛暑の8月3日、山形県鶴岡市にお伺いしてきました。山形の夏といえば「冷やしシャンプー」(注1)ということで、早速、鶴岡駅前の床屋で旅先での散髪を兼ねて試してまいりました。
リクライニングチェアに仰向けに寝て、専用シャンプーを頭皮に塗りマッサージを加えながら丁寧にゴシゴシと洗い絶妙な温度の冷水で流します。ダブルを頼みましたので二度繰り返すのですが、洗った後のスースー感が持続して、おもわずいいですねと感嘆の声を上げてしまいました。
さっぱりした後、駅前商店街を散策していると、市内を流れる赤川の支流にぶつかりました。
「おや?」僕はそこであるものを見つけました。
「ワトソンくん、これがなにか分かるかね?」
脳内でホームズは傍らにいた医者であり友人の助手に尋ねた。...
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米国特許弁護士 服部健一
我が事務所の筆頭ネームド・パートナーであり、盟友でもあるビル・ウエスタマンが新年早々の1月3日に急逝した。享年62歳という若さであった。
ビルはこの一年間位、片足を悪くして歩行用スクーターに片足を乗せてオフィス内を歩いており、かなり痩せてやつれてはいたものの、激やせと言えるほどではなかったから、我々にとっては寝耳に水に近い驚きである。
ともあれ、今年の1月1日からオブ・カウンセル(顧問弁護士)になったように、ここ1、2年はスローダウンし、経営にはあまりタッチしていなかったので我が事務所の業務体制には大きな影響はないことはせめてもの救いである...
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元内閣特別顧問 黒川清
トロントからの取材
この一年余り、2013年の英国によるG8認知症サミット以来、高齢化社会の大問題のひとつ、認知症問題(1、2、3)にかかわってきました。英国政府の World Dementia Council (WDC) の委員の一人なのです。ですから、わたしは認知症の専門家ではありませんが、それなりの取材を受けることがあります。
トロントスターというカナダの有力紙のジェニファー・ヤン記者から取材依頼のメールがきました。何人かの取材対象として適切な方たちを紹介しながら、わたしも取材を受けました。彼女にとって認知症の取材のひとつです。わたしの場合は、6月のハーグでの認知症会議に随行してくれた、厚生労働省の新美医師もお呼びしました。
医療関係者、研究者などは言うまでもないのですが、去年の11月に日本で開催された世界認知症サミットでも話しをされた、ご自身が認知症という朝日新聞の山本朋史さんも取材するよう紹介しました。山本さんは、認知症についての週刊朝日のシリーズや、ご自分でも認知症に関する著書を著しています。...
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情報処理推進機構参事 兼 情報処理技術者試験センター長 山城宗久
9月の後ろの3連休及び翌週の週末に、愛知、石川、京都そして沖縄へ出張し、ETロボコン 2013の各地区(順に、東海、北陸、関西、沖縄)大会にお邪魔してきました。ETとは、 スピルバーグ監督の映画で有名な地球外生物ではなく、組込みシステム技術を意味する "Embedded Technology"の略。今年で12年目となるこのETロボコンは、同一の走行ロ ボットに各チームが作成したソフトウェアを搭載して走行競技を行うもので、実際の競技 結果とソフトウェア作成の際の分析・設計モデルの内容審査の結果とを合算して、総合点 が決まるというコンテスト。世界をリードするエンジニアの育成を目指した技術教育が、 その目的とされています...
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比嘉照夫氏の「甦れ!食と健康と地球環境」
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工藤純平氏の「いやホントです!」
第2回「市バスに乗ったホームズたち」
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第27回「「ポジティブ・オフ」その2〜よく働き、よく休む」
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橋本正洋氏の「イノベーション戦略と知財」
第9回「イノベーション学概論1」
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渡部俊也氏の「新興国の知財戦略」
第10回「インド知財の行方を決める2つのイノベーション戦略の拮抗 その2」
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張輝氏の「中国のイノベーション」
第45回「「岡田流」は中国サッカーへの旋風になるか」
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宮本岩男氏の「日本から見たインド、インドからみた日本」
第11回「インド人にとっての家族」
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北澤仁氏:旧吉田茂国際基金監事
「民主党政権の大失政!思いつき原発対策による全国的電力不足問題」
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古川勇二氏の「技術経営立国への指標」
第9回「日本学術会議からの勧告を巡る議論について 」