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伝えること[2025年10月06日(Mon)]
支援員間で 不定期に開催される ケース検討会の資料が 支援員間の連絡ツール上に掲載されました。 今回、検討される従業員(利用者)Sさんの課題は、 「返事、挨拶しない」「謝罪や感謝の言葉を言わない」
Sさんは、基本的には 明るく元気で 仕事にも意欲的な方です。 少し吃音はありますが、社交的で ちょっとお調子者・・・ だから、「返事、挨拶が出来ない」「謝罪や感謝を言えない」のではなく、 「返事、挨拶しない」「謝罪や感謝の言葉を言わない」のです。 理由は どうやら、それが 「カッコいい!」と 思い込んでいるらしい・・・
思えば、 雨の中を 傘もささずに歩く方, 品のないジャケット,ど派手なズボンで 出勤してくる方, 自転車で 意味のない蛇行運転をする方, 何れも それが 「カッコいい!」と 信じている従業員(利用者)たち・・・ "昭和のツッパリ" かっ?! 自分のバカぶりをひけらかしなさんなっ!!
そんなふうに呆れて、フッと ふりかえると、 "昭和のツッパリ"・・・まさに 自身の少年時代、 自分も 同じようなことをしていたことを思い出し、身がよじれるほどの羞恥と後悔に さいなまれました。
そんな自分が、考えを改めるに至れたのは、 きっと、「返事、挨拶しない」こと、「謝罪や感謝の言葉を言わない」こと、その他 諸々愚行の数々を、「恥ずかしいこと」「カッコ悪いこと」と 教えてくれた人たち,知らしめてくれた人たちがいたからだと思います。
彼らが信じている「カッコいい!」が、実は とても「カッコ悪い」、そして 周囲の方々に不快な思いをさせることを 丹念に伝え続けなければならない。 私たち支援員の仕事とは、 "できていないことを責めること"ではなく、"本当に大切なことを 伝え続けること"、 「伝える」という営みの中にこそ、支援の本質がある、 そんなことを 再確認いたしました。
新規施設外就労支援[2025年09月29日(Mon)]
この9月より、近隣の地域企業「株式会社PLUS」様のご協力をいただき、私たちの施設外就労支援の場が新たに広がることとなりました。 「施設外就労支援」とは、支援員が同行しながら、従業員(利用者)が地域企業内で 請け負った仕事に取り組む制度です。 「株式会社PLUS」様は、ホテルのシーツやタオルを扱うリネンサプライ事業を担い、海外から技能実習生を迎え入れるなど、社会的にも大きな貢献を果たされている企業です。 私たちが担当する作業も、そうした技能実習生の方々と息を合わせて進めていくことが求められます。
今回、最初に出向した従業員(利用者)のIさんとYさんは、普段から仲が良く、これまで 他企業での施設外就労経験もあるため 安心して任せられると思っていました。ところが、いざ現場に立つと予想に反し、全く息が合わず、思わず手を差し伸べたくなるような場面が続きました。 「声を掛け合う」「相手を見て動く」 ―― 私たちから見れば ごく当たり前で簡単に思えることが、二人にとっては大きな壁となって立ちはだかったのです。 しかし同時に、"これは難しいのでは..."と思えるような作業を、彼らは驚くほど軽やかにやり遂げてしまいます。
「この程度なら...」と 私たちが軽く考える事柄に苦戦する一方で、「少し無理かも...」と思えることに果敢に挑み、難なく成し遂げる姿も見せてくれます。 その姿に触れるたび、常識や経験の物差しで彼らを測ることの危うさを思い知らされます。 一人ひとりの持つ力は、時に想像を超えて私たちを驚かせ、また心を震わせてくれる――
今回の経験を通じて、改めて 「利用者の可能性に寄り添い、信じ、共に歩むことの尊さ」 を 実感しました。 支援とは、できないことを補う営みではなく、眠っている力を信じて引き出す営みなのだと。 これからも、目の前の一人ひとりの輝きを見つめ、その成長を共に喜び合える支援を続けていきたいと思います。
繁忙期[2025年09月22日(Mon)]
私は 現在、青果市場での施設外就労支援を担当し、ジャガイモや玉ネギなど 土物野菜の袋詰め加工に携わっています。 毎年のことながら、春から夏にかけては 比較的落ち着いた職場も、お盆を過ぎる頃から少しずつ慌ただしさを増していきます。 加工数は日に日に膨らみ、秋が深まるにつれて 残業も常態化していきます。 普段は明るく元気な従業員(利用者)さんたちであっても、長時間労働が続けば 疲労の影が差し、声の調子が沈んだり、口数が少なくなったりする――そんな変化に気づく瞬間があります。
繁忙期になると、決まって数人の従業員(利用者)さんが 「来週はどのくらい忙しくなりそうですか?」 と尋ねてこられます。 その問いに、私はできるだけ正確にお伝えするよう 心がけています。 返ってくる反応はさまざまです。 驚きの声を上げる人、不安そうに表情を曇らせる人――。 働くという営みが 単なる作業ではなく、それぞれの生活や思いと深く結びついていることを実感させられる瞬間でもあります。
そんな日常の中で、先日忘れられない出来事がありました。 「来週は忙しくなりますよ」 と 伝えたときのこと。 ある従業員(利用者)さんが満面の笑みを浮かべて、応えられたのです。 「よかった!忙しいほうが やりがいがあるし、給料日もうれしいですから!!」 その言葉を聞き、ふと 心の奥深くに 温かな思いが込み上げました。 同じ繁忙期、同じ長時間労働という状況でも 受け止め方ひとつで 景色はまるで違って見える。 大変さを前に 不安や疲れを覚える人もいれば、そこにやりがいと希望を見出す人もいる。 『働く』 という営みの中に、人それぞれの価値観や生き方が 鮮やかに映し出されるのだと気づかされました。 もちろん、すべての人が同じように前向きに受け止められるわけではありません。 それぞれの事情や心の状態によって、感じ方は異なります。 けれども、その従業員(利用者)さんの言葉は、私に大切なヒントを与えてくれました。 ――働く場の空気を変える力は、ほんの小さなコミュニケーションの中にあるのだ、と。
声の掛け方ひとつ、情報の伝え方ひとつで、心の持ちようは変わります。 厳しい繁忙期をただ 「つらい時間」 として過ごすのか、それとも 「明日への力を育む時間 」として歩んでいけるのか――その分かれ道は、支援する側の私たちの姿勢にもかかっているのかもしれません。 これから迎える繁忙期の毎日。 避けられない長時間労働の中であっても、従業員(利用者)の皆さんが 少しでも希望を持って取り組めるように。 私は 声をかけるその一瞬を大切にし、共に喜びを分かち合える支援を続けていきたいと思います。
個別支援計画[2025年09月15日(Mon)]
障がいのある方々の就労支援事業所では、「個別支援計画」を作成し、定期的に更新することが義務付けられています。 「京都フォーライフ」では、毎年4月と10月の年2回、6か月ごとに従業員(利用者)一人ひとりに寄り添いながらモニタリングや面談を行い、その人だけの「個別支援計画」を共に描いています。 そこに流れているのは、単なる形式的な作業ではありません。 一人の人生に真摯に向き合い、その人の特性や抱えている課題を丁寧に見つめ直す、かけがえのない時間なのです。 就労の場で求められるものは、単なる「働く力」だけではありません。 健康を整え、規則正しい生活を積み重ねること。 人とのつながりを大切にし、協調し合えること。 社会の一員としてルールを守り、誠実に役割を果たすこと。 そして、自らの持つ力を活かし、業務をやり遂げること。 ――こうした柱を基盤に、私たちは一人ひとりが歩むべき道を一緒に探し、支え続けています。 「就労支援」は、しばしば「人生支援」とも言われます。 働くことは、生活の糧を得るためだけでなく、自分らしさを発揮し、社会と結び合うための尊い営みだからです。 だからこそ私たちは、従業員の中に眠る力を信じ、その力が輝き出す瞬間を心から喜びたい。 支援とは、答えを与えることではなく、ともに人生を歩むこと。 働く場面を超え、その人の未来を一緒に紡ぎ続けること。 今日もまた、一人ひとりの笑顔と希望が明日へとつながっていくように―― 私たちは心を込めて、支援を重ねてまいります。
個別支援計画[2025年09月15日(Mon)]
障がいのある方々の就労支援事業所では、「個別支援計画」を作成し、定期的に更新することが義務付けられています。 「京都フォーライフ」では、毎年4月と10月の 年2回、6か月ごとに従業員(利用者)一人ひとりに寄り添いながらモニタリングや面談を行い、その人だけの「個別支援計画」を共に描いています。
そこに流れているのは、単なる形式的な作業ではありません。 一人の人生に真摯に向き合い、その人の特性や抱えている課題を丁寧に見つめ直す、かけがえのない時間なのです。 就労の場で求められるものは、単なる「働く力」だけではありません。 健康を整え、規則正しい生活を積み重ねること。 人とのつながりを大切にし、協調し合えること。 社会の一員としてルールを守り、誠実に役割を果たすこと。 そして、自らの持つ力を活かし、業務をやり遂げること。 ――こうした柱を基盤に、私たちは一人ひとりが歩むべき道を一緒に探し、支え続けています。
「就労支援」は、しばしば「人生支援」とも言われます。 働くことは、生活の糧を得るためだけでなく、自分らしさを発揮し、社会と結び合うための尊い営みだからです。 だからこそ私たちは、従業員の中に眠る力を信じ、その力が輝き出す瞬間を心から喜びたい。 支援とは、答えを与えることではなく、ともに人生を歩むこと。 働く場面を超え、その人の未来を一緒に紡ぎ続けること。 今日もまた、一人ひとりの笑顔と希望が明日へとつながっていくように―― 私たちは心を込めて、支援を重ねてまいります。
目標[2025年09月08日(Mon)]
現在 担当する事業所に配属されてから、気づけば 数か月の月日が流れました。 振り返ると、一日一日があまりにも早く過ぎていき、慌ただしさの中にも 確かな充実感を感じながら歩んできたように思います。 支援の場では、まだまだ至らない自分に気づかされることも多く、そのたびに先輩支援員や 上司の方々に助けていただいています。 時に戸惑い、立ち止まることもありますが、その背中に寄り添い、手を差し伸べてくださる方がいることは、私にとって大きな励ましであり、感謝の思いでいっぱいです。
従業員(利用者)の方と向き合う中で、ふと見せていただく笑顔や、真剣に作業へ取り組む姿に、心を打たれる瞬間があります。 小さな前進を共に喜び合えたとき、また新たな課題を一緒に乗り越えられたとき、 その一瞬一瞬が 私にとっては宝物であり、「この仕事に携われてよかった」と心から思える瞬間です。 日々の業務の中で 小さな「目標」を掲げ、達成できたときに得られる充実感は、私にとって灯火のようなものです。 その灯火は一人では決して生まれないものであり、従業員(利用者)や支えてくださる支援員の方々と共に積み重ねていくからこそ、あたたかな光となって私の胸にともり続けています。
これからも、私は支援者としての道を歩み続けます。 まだ形の定まらない自分自身のビジョンではありますが、必ずや確かな輪郭を描き、従業員(利用者)の方々と共に未来を築いていけるように、 誰かの力となり、共に喜びを分かち合える存在でありたい。 その思いを胸に、これからも一日一日を誠実に積み重ねてまいります。
虐待防止委員会[2025年09月01日(Mon)]
過日、縁あって某福祉施設の「虐待防止委員会」に、委員として出席させていただく機会をいただきました。 「虐待防止委員会」は、福祉事業所における虐待防止に向け、事業運営に係る方々が、利用者やそのご家族,専門的な知見のある外部の第三者等も加え 対策を検討する委員会です。
協議の中で、若くキャリアの浅いスタッフの皆さんから、虐待の防止に向けた "風通しの良い 職場づくり" を目的に、「若手職員発信の座談会」や「ぐっジョブカード」のご提案をいただきました。 週3回、20分間の対話の時間を設けて 互いに思いを語り合うこと。 小さな助け合いや お互いの配慮を カードに記し掲示することで、感謝を可視化し、働く喜びを分かち合うこと。 そこには、等身大の言葉で 職場の未来をより良くしようとする真剣さが込められていました。
長年の経験を持つ上司からの指導ではなく、若い世代から生まれた率直で前向きな提案であったことが、何より胸に迫りました。 「体罰」や「虐待」は特別な出来事として起こるのではなく、日常の小さなコミュニケーション不足や同僚への無関心から生じる・・・。 その分析から、改善策を自ら示そうとする姿勢に、私は深い感動を覚えました。
未来を担う若いスタッフのまなざしが、「虐待防止」という重い課題を真正面から捉え、希望へと変えていこうとしている。 その姿に、私自身が大きな学びと勇気をいただいたひとときでした。 今もなお、皆さんの提案が心に響いています。 私に 「職場の空気を変えるのは、ひとりひとりの小さな声と行動から」 という確かな希望を残してくれています。
リハビリテーション[2025年08月25日(Mon)]
私が担当する 「フォーライフ」工場では、コーヒー焙煎作業や 「高齢者配食サービス」のお弁当作業,地域企業から受託している軽作業など、日々 さまざまな仕事に取り組んでいます。 従業員(利用者)の皆さんも、それぞれに 得意としている作業や 少し苦手に感じている作業があるようですが、互いに助け合いながら 一つひとつの仕事を積み重ねています。
そんな従業員(利用者)の中に、事故が原因で 声を出すことが難しくなった方がおられます。 最初の頃は 何を伝えようとしているのか分からず、筆談でやり取りすることも しばしばありました。 けれども今年に入り、その従業員(利用者)は 専門のクリニックでの 発声のリハビリテーションに通われるようになりました。 日々の努力が 少しずつ形になり、最近では 会話も 少しずつ 聞き取りやすくなってきています。 今は、「鳩ポッポ」の歌を口ずさみながら 発声練習に励まれており、その姿は 周囲の皆さんに 温かな励ましを与えておられます。 リハビリを続けながら仕事に臨む姿は、「どんな状況であっても 自分らしく働く」 ことの大切さを 私たちに教えてくれます。
一人ひとりが、それぞれの方法で力を発揮できる、 「フォーライフ」工場は、そんな職場でありたいと願っています。 これからも 従業員(利用者)の皆さんが 自分らしく輝けるよう、私たちも共に歩みながら 支援を続けてまいります。
"こまめな"[2025年08月18日(Mon)]
毎年のように、様々なニュースで「今年は記録的な猛暑です」と報じられます。 けれど 正直なところ、あまりの暑さに 昨年との違いを感じる余裕もなく、ただ「今年も同じように暑い!」と 息をつくばかりです。 そんな中でも、変わらず続けられていることがあります――"こまめな"水分補給や、"こまめな"休息。 「こまめに」という言葉は、特に意識して行ってほしい時に使われますが、内容によっては軽んじられ、習慣として根づかないことも少なくありません。
私が担当する「フォーライフshiki」工場も、夏本番を迎え、作業場内の室温は日ごとに上昇しています。 従業員(利用者)の皆さんは、額に汗を光らせながら 懸命に作業を続けています。 しかし、その姿のすぐそばには、熱中症という危険が潜んでいます。 だからこそ、作業中であっても 必要であれば迷わず水分補給をするよう促していますが、それを徹底できる方ばかりではなく、実際に体調を崩された方もいました。
作業前の指先チェック、作業中の声かけ――仕事の中には "こまめな" 行動が数えきれないほどあります。 それらは、誰かに命じられて行うのではなく、自ら気づき、自ら続けていくことが求められます。怠れば、小さなほころびがやがて大きな損失へとつながります。 一度や二度なら 何事もないかもしれません。けれど、それが積み重なれば、いつしか取り返しのつかない事態を招くのです。 だからこそ、"こまめな" 行動は、日々の習慣として身につけなければなりません。 それは従業員(利用者)の皆さんだけでなく、私たち支援員にとっても同じ、終わりのない課題です。
不調が出やすいこの季節だからこそ、自分のまわりにある小さな行動に もう一度目を向けたい。 そしてその積み重ねが、自分や仲間の健康を守り、作業場に笑顔を増やし、共に夏を乗り越える力となる――。 そんな思いを胸に、皆で元気に この暑い季節を笑顔で歩んでいきたいと思います。
残暑考[2025年08月11日(Mon)]
立秋を迎えて なお続く厳しい暑さに、身体も気持ちも追いつかない日々・・・ 私は現在、京都フォーライフのカフェ事業を 担当しております。
真夏の陽ざしが容赦なく照りつけるこの季節、お店の外に干したタオルが あっという間にカラリと乾くさまに、毎日のように驚かされています。 そんな様子を見て、従業員(利用者)のYさんが 「もう タオル乾いたわァ」 と、ぽつりと独り言のようにつぶやかれた時には、その表情から、日々の仕事の中に季節の移ろいを感じているのだと、私まで なんだか嬉しくなりました。 けれどYさん自身は、特段夏が好きというわけでもなく、むしろ暑さや寒さに対する感覚が やや鈍い場面もあり、気づかぬうちに体に負担をかけてしまわないかと 心配になることがあります。 そのため私たちは、朝礼や 終礼の折に 必ず熱中症対策の大切さを伝え、水筒の携帯や 炎天下での行動を避けることなど、繰り返し注意喚起を行っています。
「就労支援」という言葉は、つい "仕事の場面" だけに意識が向きがちですが、そこで働く一人ひとりの"暮らし"を見つめる視点を忘れてはならない。 Yさんの姿を通して、改めてそう強く感じました。 支援とは、仕事の技術を教えることだけでなく、日々の体調の変化に気づき、言葉に出さない思いに耳を傾けること。 この猛暑のなかで、そんな "支える" ということの本質に、静かに向き合っています。
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