組織の成長をめざすIUCN

2016年09月12日 / IUCN-WCC6

世界自然保護会議の最終日午前。IUCN会員は、4年後に1.3倍の事業規模をめざす予算案(2017-2020)を承認しました。原文はこちら(英語。pdf)

IUCNの2017−2020の予算計画は、2015年が決算の事業支出が100Mスイスフラン(100億円)であった実績を踏まえ、これから4年間、毎年10M近く増えていく(増やしていく!)予算案を設定。NGOからの会費や政府などからの使途が限定されていない収入は全体の20%にして、事業実施のための支援を80%に持っていく計画案が用意されています。

写真 IISD/ENB http://www.iisd.ca/iucn/congress/2016/9sep.html

写真 IISD/ENB http://www.iisd.ca/iucn/congress/2016/9sep.html

予算は、比較的意欲的に作成されることが多いそうです。前期(2013−2016)は、予算と実際の事業収入に乖離がありましたが、年を追う毎に、予算と決算の金額が近づいてきた(=事業収入が増えた)こともあり強気の予算です。

この予算を達成するために、予算管理は月ごとにチェックがなされており、収入を増やすための資源動員戦略については、IUCN事務局長として非常に力を入れています。
・新しいドナーがIUCNと信頼関係を作るのには時間がかかるものの、着実に作り上げていきたい。
・企業については、生物多様性と企業に関するルールに従って関係を作る必要があり、可能性のある領域の一つとして力を入れていく。
・既存のドナーについては、今回のIUCNプログラムが、ドナーが実施を求めるSDGsと明確な相関を持っているので事業への支援が得られるだろう、とインガー事務局長は説明していました。

総会の予算・監査委員会は、この案を検討し承認が妥当という結論をだしました。また会員からは、
・ドナーはIUCNに何を求めるのか、色々な要請をしてくることがあるというのも、考慮した方が良い。
・非加盟の国家の巻き込みについて考える必要があるのではないか。将来IUCNを大きくし、ドナーにも自然についての教育をして、効果的でフレキシブルな支援を求めていくことも重要。
・専門委員会に過剰な"資金的な支援"を求めるのは良くない。
・会員との連携で資金調達することも重要。
といった意見がだされました。

(公財)日本自然保護協会経営企画部副部長
国際自然保護連合日本委員会副会長・事務局長
道家哲平

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