【メイン】世界自然保護会議に向けて(二日目午後)
サイドイベント・保護地域の未来のワンシーン
IUCNアジア地域フォーラム二日目の午後の報告です。
二日目の午後は、会員関連のセッションが開かれ来年2016年9月にハワイで開催されるIUCN第6回世界自然保護会議の現状やその参加に関する各種のプロセス(IUCN4カ年計画への意見、イベントの提案、モーション(発議)のプロセス)や、現段階で予定されている議決案、世界自然保護会議に向けて検討されているIUCNの組織改革案(会員制度の変更や、運営に関する議論)について話し合いが行なわれました。
会員制度の見直しでは、先住民地域共同体が組織する団体(Indigenous and/or tribute organization。*この表記の仕方もまだ案の段階)の会員制度への位置づけかた、自治体の参加について議論のほか、会長選挙における決選投票の仕組みの修正など細かい運営規則等の改正内容についても議論となりました。
夕方のセッションでは、IUCNの専門委員会全6委員会の代表から活動報告がありました。
種の保存委員会(SSC)からはレッドリストの取組や違法取引、東アジアフライウェーパートナーシップの取り組みなどが報告されました。新しいなと感じたものとしては、インドネシアでSSCの委員会合が開かれたそうです。日本には130人近い種の保存委員会(SSC)がいるのですが、日本委員会では完全な把握やそれらの方を一同に会す機会もありません。
また、アジアでは、Asian Species Action Partnership(ASAP*)という野生生物取引や、レッドリスト評価、保全計画作りのためのネットワークが生まれているそうです。
* パートナーシップの略語であるASAPは、As soon as possible 出来る限り早く取り組むことという慣用句の略語と同じものになっており、種の保全活動に緊急に取り組むべきというメッセージもこめられている。
環境経済社会政策委員会(CEESP)からは、ジェンダーやnew social compact(保全のための社会規範・倫理等をまとめたもの)、他の委員会との協働事例(例えば、先住民・地域共同体保護地域を推進する共同事業など)が紹介されました。
教育コミュニケーション委員会(CEC)からは、愛知ターゲット1の達成・IUCN本体の能力養成への貢献・戦略的コミュニケーションといった重点課題にそった各種取り組みの紹介がありました。現在、戦略的コミュニケーションの能力養成の手法として、e-learningの充実(Frogleaps)と共に、中国で開かれたワークショップの事例などが紹介されました。
生態系管理委員会(CEM)からは、生態系レッドリスト、レジリエンス、生態系を活用した自然災害リスク緩和(Eco-DRR)、浸透性農薬、漁業、生態系復元といったとても新しい多くの課題に取り組んでいることが報告されました。
世界保護地域委員会(WCPA)については、アジアの副委員長で国際教養大学教授の熊谷先生からアジア国立公園会議、アジア保護地域憲章、アジア保護地域パートナーシップといった成果の報告がありました。
世界環境法委員会(WCEL)からは、環境裁判に関する国際司法研究所International Judicial Institute for Environmental Adjudication (IJIEA)
やアジア協力銀行、GLOBE(国際環境銀連盟)、国連環境計画との協働や、2016年4月28日-30日にブラジル・リオデジャネイロで世界環境法会議(World Environment Low Congress)の開催予定が紹介されました。
(公財)日本自然保護協会/IUCN-J事務局長 道家哲平