時代と背景 化政時代の文化
読本とは?
江戸時代の小説のジャンルのひとつです。見る絵本に対して読む本なので「読本」と呼ばれています。歴史を題材にとって、物語としての筋を展開しながらも、背景には勧善懲悪(かんぜんちょうあく)や因果応報(いんがおうほう)の思想が込められていました。『水滸伝(すいこでん)』など中国の稗史(はいし:中国の小説)にならった漢文調の知的な読み物です。山東京伝(さんとうきょうでん)が寛政11年(1799年)に書いた『忠臣水滸伝(ちゅうしんすいこでん)』が江戸読本の典型を作りました。
おもな人物
山東京伝(さんとうきょうでん)
安永・天明期(1772年〜1789年)の黄表紙(きびょうし)・洒落本(しゃれぼん)を代表する作者。文化年間(1804年〜1818年)に入ると歌舞伎に題材を取った読本『(復讐奇談)安積沼([ふくしゅうきだん]あさかのぬま)』『桜姫全伝曙草紙(さくらひめぜんでんあけぼのそうし)』『昔話稲妻表紙(むかしがたりいなずまびょうし)』などで新境地をひらきました。
曲亭(滝沢)馬琴(きょくてい[たきざわ] ばきん)
28年の歳月をかけて、中国の長編小説にも匹敵する壮大なスケールの読本『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』を書いた戯作者です。