高経年化プラントの安全かつ安定した操業のために

「プラントの継続操業支援」サービスとは、高経年設備の安全・安定操業に、
プラント EPC((注記))の知見と技術で貢献することを目指す、技術サービスです。

(*) EPC = Engineering (設計)、Procurement(調達)、Construction(工事)

新しいプラントを設計する知見は、既設プラントを総合的に捉えることに役立ちます。

プラント全体をシステムとしてとらえる仕事は、TOYOの得意分野です。
特定の機械の不具合も、プロセス条件と組み合わせることで、事象の本質が見えてきます。

近年、老朽化に起因した事故や予定外の停止など、既設プラントの高経年化とその影響が無視できなくなっています。
一方、当面の社会ニーズに応えるためには、今後も高経年化した既設プラントの継続的な安全・安定な操業がますます求められています。
このような今こそ、TOYOの総合的なプラント設計の知見、要素技術、実績を、製造業の安定操業に役立てたいと考えます。

得意な設備 :化学、石油化学、石油、その他流体を扱うプロセスプラントおよびその付帯設備
プラントの規模 :問いません

想定外のリスクに備える

高経年プラントに潜在するリスクをしっかりと把握し、適切に対処することが重要です。

長年の事業活動での多くの改造や増設などで、既設のプラントは設計時と異なる状況になっている可能性があります。また、過酷な環境や老朽化に伴って、装置や設備の劣化、性能低下が生じていることも予想されます。
そこには、設計時には想定していないリスクが新たに発生し潜在している可能性があり、それらが想定外の問題として現れ、安全な操業に影響を与えることがあり得ます。


TOYOはリスク評価のための具体的な方法でお手伝いできます。

設備ごとに個別の歴史や使用状況を考慮し、リスク管理策を適切に選定して評価し直すことで、安全対策や環境対策の具体化と、それによるプラントの安全で持続的な操業に貢献します。

お客様との対話を大切にいたします

お客様との対話が重要

私たちは、お客様の声を大切にすることを心がけています。
お客様との打ち合わせを繰り返すことによって、お客様が直面している課題を徹底的に明確にすることを最優先にいたします。

設計も、現場も

私たちは、設計図書や図面に基づいたリスク検討のみならず、プラント設備・装置を実際に現場で拝見することも、プラントの現状を把握するために必要と考えています。

ゼロベースで、最適な対応方針を探る

そして、私たちが数多く持つ技術の中から応用可能なものを組み合わせて、最適な対応策をご提案し、お客様と共に方針を作り上げていきます。ここに記載のない課題も、ゼロベースでご一緒に解決策を模索します。

お客様の懸念点に、TOYOの技術が適用できるイメージ

(これらに限らず、お客様の課題に応じて柔軟に検討します)

事例紹介

TOYOは、国内顧客A社が保有する製造拠点に対し、プロセスプラント分野の技術を活用した環境リスク評価業務を、A社と共同で実施しました。
本業務の対象には、国内工場一か所に加え、海外の技術支援工場も含まれ、グローバル規模での設備安全性の見直しが図られました。

事例1:国内製造工場内の油取扱設備

A社の国内工場一か所について、環境リスク評価業務を実施しました。

課題
A社は、50年以上の操業の中で数々の改造・増設工事を経て、常に最新技術の適用や設備の最適化・効率化を図ってきました。しかし一方で、改造の都度、その時点の設計思想が反映された結果、操業初期と比較してプロセス安全性が統一性を欠く状態となっている可能性が、以前より指摘されていました。
TOYOの支援内容

HAZOP(Hazard and Operability)Study(*1)と呼ばれる手法を用い、600を越えるリスクシナリオ一つひとつに対して、安全対策の要否や追加対策について共同で議論しました。

(1) 現地での情報収集と設備の理解

TOYOでは、積極的に現地対応を実施する方針を取っています。

担当者が現地に赴き、A社製造現場の運転員や設備管理担当者から、製造プロセスの流れ、製品の特徴、使用されている機械の種類や特徴などを、一つ一つ聞き取りを行い、設備の理解を深めました。

(2) リスク評価

油を扱う設備で最初に想起される「油漏洩」の場合のリスク評価の例は次のようになります。

リスクが発生しうるシナリオを仮定
安全装置の不具合や制御弁の故障により、
油の流量制御が働かずに油漏洩が発生する
考えられる影響や対策について議論
  • 影響を最小化するための対応としての、油回収設備の増強
  • 漏洩自体を防止する根本対策としての、制御弁故障による流量増加を検知するアラームの追加

油漏洩と同様に、火災や爆発のリスクと未然防止対策についても議論しました。

これらのリスク評価について、A社の各部門担当者とTOYOの技術者が一堂に会し、延べ数十時間にわたって議論を実施しました。

また、実際に工場を操業しているA社担当者の知見を活用することで、より現実的で実行可能な対応策を見出すことができました。

それぞれのリスクシナリオの発生確率と発生時の影響度を数値化してマトリックスに落とし込み、リスクの大小を可視化することで、対策実施の優先付けも行っています。

(3) 現場確認

TOYOの試運転エンジニアの国内外の石油・石化プラント建設・試運転の豊富な経験を活かし、A社工場での運転操作、安全確保、作業効率などの観点で改善項目の提案を行いました。

例えば、配管内部に残る油の抜き取り方法、LOTO(*2)の適切な運用方法などが含まれます。

(4) 設計図書のレビュー

リスク評価に加え、A社の設計基準をはじめとした各種標準類についても、TOYOのエンジニアリングの知見に基づき、レビューしました。

実際にはプラント設計を主とするエンジニアリング会社の基準と製造設備オーナーの基準は必ずしも同じではありませんが、第三者視点の点検で、最新情報の反映や技術的な改善が図られました。

(1)~(4)の結果、議論された約600のシナリオの大半は現状の安全対策が効果的と判断されましたが、約4割のシナリオに対して追加の安全対策を提案しました。

ソリューション提案後のA社対応やその効果

提案した追加の安全対策のうち、リスクレベルの高いもの数件について優先的に対策を実施した結果、特に環境面への影響リスクを低減する事を可能としました。同時に、設備管理担当者の安全に対する意識や設計上の改善への意欲がこれまで以上に高まるという副次的な効果も得られました。

事例2:海外製造工場内の油取扱設備

A社の海外の技術支援工場について、国内工場のリスク評価の成果を水平展開しました。

課題とTOYOの支援内容

事例1と比較して操業年数は比較的少ないものの、日本国内と異なる油の品質による腐食性への懸念や、当該国特有の厳しい環境規制など、操業地特有の課題も考慮して、リスク評価を実施しました。
事例1と同様に、現地工場スタッフとの議論を通じて、油漏洩対策、火災・爆発防止対策などを提案しました。

(*1) HAZOP(Hazard and Operability)Studyとは

工場やプラントの潜在的な危険性や運転上の問題を同定するために確立された手法であり、通常はプラント設計段階で実施される。
システムを構成する各要素を精査し、想定される問題(シナリオ)について、プラントオーナーも含めたワークショップ形式で検討を行う。その過程で、各シナリオのリスクの重大性評価に基づき、適切な対策を立案する。
シナリオと対策の一例として、以下のようなものが挙げられる。

シナリオ リスク 対策
バルブが閉まらず下流のタンクがあふれる 土壌汚染のリスク
  • 流量計にアラームを設定する
  • タンクのレベル計にアラームを設定する
加熱装置の温度が上がりすぎる
⇒油が膨張して圧力が上昇する
フランジが破損して可燃性ガスが噴出・火災が発生する
  • 温度計にアラームを設定する
  • 温度が上がり過ぎた場合に自動的に加熱を停止するシステムを導入する

(*2) LOTO(Lock Out, Tag Out)
機械や設備の点検・保守作業中に、誤って電源が入ったり機械が作動したりすることを防ぐための安全管理手法で、バルブのハンドルにカギをかける、操作禁止表示を行う、等の処置のこと。

お問い合わせから業務開始、検収までの流れ

お客様からのお問い合わせから業務開始、検収までの基本的な流れは以下の通りです。お見積もりのご提示までは無償で対応いたします。まずはお気軽にお問合せください。

詳細な検討手順は以下よりご覧いただけます。

検討手順[PDF:442KB]
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