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統計トピックスNo.115
経済統計データでみた地域の特色
−平成28年経済センサス‐活動調査結果から−
【医療,福祉】
平成28年6月1日現在の従業者数は、平成24年2月1日現在の従業者数(平成24年経済センサス‐活動調査の結果)に比べて1.9%増加しており、寄与が最も大きいのは「医療,福祉」(寄与度*2.1%)になっています(表1)。
表1 産業大分類別従業者数の増減率及び寄与度
[画像:表1 産業大分類別従業者数の増減率及び寄与度 詳しくはPDF版を御覧ください。]
「医療,福祉」の従業者数は19.4%増加しており、寄与が最も大きいのは「老人福祉・介護事業」(寄与度7.9%)、次いで「病院」(寄与度4.3%)、「児童福祉事業」(寄与度2.5%)などの寄与が大きくなっています(表2)。
表2 「医療,福祉」における産業小分類別従業者数の増減率及び寄与度
[画像:表2 「医療,福祉」における産業小分類別従業者数の増減率及び寄与度 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記)) 内訳からは「管理,補助的経済活動を行う事業所」を除いているため、合計と内訳を足し上げた値は一致しません。
従業者数の増加に最も寄与した「医療,福祉」における地域の特色を明らかにするために、産業小分類別従業者数の特化係数を算出しました(表3)。
表3 「医療,福祉」における産業小分類別従業者数の特化係数
[画像:表3 「医療,福祉」における産業小分類別従業者数の特化係数 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:産業分類に対応した主な例示 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記)) 「管理,補助的経済活動を行う事業所」並びに全国の従業者数の構成比が2%に満たない「834 助産・看護業」、「836 医療に附帯するサー
ビス業」、「842 健康相談施設」、「849 その他の保健衛生」、「851 社会保険事業団体」及び「859 その他の社会保険・社会福祉・介護事業」
は表章していません。
「医療,福祉」の従業者数の増加に最も寄与した「老人福祉・介護事業」の特化係数は、青森県が1.34(※(注記))と最も高く、次いで新潟県が1.29、岩手県が1.28などとなっています。また、次に寄与した「病院」の特化係数は、高知県が1.46と最も高く、次いで山口県が1.26、福岡県及び熊本県が1.20などとなっています。このように全国平均に比べてそれぞれの産業の従業者の割合が高い地域が明らかになります(表2、表3、図1、図2)。
(※(注記))「医療,福祉」に占める「老人福祉・介護事業」の割合は、全国平均が30.9%、青森県が41.6%となっており、この比率を表したのが特化係数で
す。
図1 「老人福祉・介護事業」の特化係数(従業者数) 図2 「病院」の特化係数(従業者数)
[画像:図1 「老人福祉・介護事業」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:図2 「病院」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(参考1) 高齢化率(※(注記))
[画像:(参考1) 高齢化率 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記))「人口推計」(総務省統計局)の「65歳以上人口比率」(平成28年10月1日現在人口)を用いています。
「老人福祉・介護事業」の事業所を利用することの多い高齢者の比率(高齢化率)が全国で最も高い秋田県の特化係数をみると、「老人福祉・介護事業」が1.26と全国平均を上回っており、高齢者介護の担い手の需要が高いことが考えられます(表3、参考1、図3)。
図3 秋田県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数)
[画像:図3 秋田県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
一方、高齢化率が全国で2番目に高い高知県の特化係数をみると、「老人福祉・介護事業」が0.92と全国平均を下回っているのに対し、「病院」が1.46と全国平均を上回っています(表3、参考1、図4)。
図4 高知県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数)
[画像:図4 高知県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
「医療,福祉」の従業者数の増加に「老人福祉・介護事業」、「病院」に次いで寄与した「児童福祉事業」の特化係数は、沖縄県が1.96と最も高く、次いで島根県が1.57、神奈川県が1.35、宮崎県が1.29、岩手県が1.26などと、全国平均に比べて「児童福祉事業」の従業者の割合が高くなっており、出生率の高い都道府県などが上位を占めています(表2、表3、図5、参考2)。
図5 「児童福祉事業」の特化係数(従業者数) (参考2) 合計特殊出生率(※(注記))
[画像:図5 「児童福祉事業」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:(参考2) 合計特殊出生率(※(注記)) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記))「平成28年人口動態調査」(厚生労働省)の結果を用いています。
合計特殊出生率が全国で最も高い沖縄県の特化係数をみると、「児童福祉事業」が1.96と全国平均を上回っており、乳幼児等を対象とした事業の従業者の割合が高い状況が伺えます(表3、参考2、図6)。
図6 沖縄県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数)
[画像:図6 沖縄県の「医療,福祉」の特化係数(従業者数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
【自動車関連産業】
平成27年1年間の付加価値額は、平成23年1年間の付加価値額(平成24年経済センサス‐活動調査の結果)に比べて18.3%増加しており、寄与が最も大きいのは「製造業」(寄与度4.2%)になっています(表4)。
表4 産業大分類別付加価値額の増減率及び寄与度
[画像:表4 産業大分類別付加価値額の増減率及び寄与度 詳しくはPDF版を御覧ください。]
「製造業」の付加価値額は21.2%増加しており、寄与が最も大きいのは「自動車・同附属品製造業」(寄与度9.3%)になっています(表5)。
表5 「製造業」における産業小分類別付加価値額の増減率及び寄与度(上位10位)
[画像:表5 「製造業」における産業小分類別付加価値額の増減率及び寄与度(上位10位) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
日本の経済を牽引しているともいえる「自動車・同附属品製造業」を中心とした自動車関連産業(※(注記))における地域の特色を明らかにするために、産業分類別事業所数の特化係数を算出しました(表6)。
表6 「自動車関連産業」における産業分類別事業所数の特化係数
[画像:表6 「自動車関連産業」における産業分類別事業所数の特化係数 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:産業分類に対応した主な例示 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記)) 本トピックスでは、「自動車関連産業」として、次の産業を取り上げています。
「製造業」の中で、付加価値額の増加に最も寄与した「自動車・同附属品製造業」の特化係数は、静岡県が3.30と最も高く、次いで愛知県が3.11、群馬県が2.88、三重県が1.83、岐阜県が1.63などと、全国平均に比べて「自動車・同附属品製造業」の事業所の割合が高くなっており、中部・関東地方を中心として、いわゆる大手自動車会社の自動車工場のある都道府県及びその周辺が上位になっています(表6、図7)。
図7 「自動車・同附属品製造業」の特化係数(事業所数)
[画像:図7 「自動車・同附属品製造業」の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
静岡県の特化係数をみると、「自動車・同附属品製造業」が3.30と全国平均を大きく上回っており、自動車の製造に関連した工場が集積している状況が伺えます(表6、図8)。
図8 静岡県の自動車関連産業の特化係数(事業所数)
[画像:図8 静岡県の自動車関連産業の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
自動車を利用する事業のうち、「自動車賃貸業」及び「一般乗用旅客自動車運送業」の特化係数をみると、「自動車賃貸業」は沖縄県が2.50と最も高く、次いで鳥取県が1.49、東京都が1.28などで、「一般乗用旅客自動車運送業」は東京都が3.33と最も高く、次いで大阪府が1.75、沖縄県が1.67などと、全国平均に比べてそれぞれの産業の事業所の割合が高くなっており、観光客が多く訪れる都道府県や、移動手段として車を使用することの多い都道府県が上位になっています(表6、図9、図10)。
図9 「自動車賃貸業」の特化係数(事業所数) 図10 「一般乗用旅客自動車運送業」の特化係数(事業所数)
[画像:図9 「自動車賃貸業」の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:図10 「一般乗用旅客自動車運送業」の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
観光客が多く訪れる沖縄県の特化係数をみると、「自動車賃貸業」が2.50、「一般乗用旅客自動車運送業」が1.67と、全国平均を大きく上回っており、観光客等の移動手段として活用されていることが考えられます(表6、図11)。
図11 沖縄県の自動車関連産業の特化係数(事業所数)
[画像:図11 沖縄県の自動車関連産業の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
自動車所有者に関連した事業のうち、「ガソリンスタンド」の特化係数をみると、東京都が0.51と最も低く、次いで大阪府が0.57、神奈川県が0.67、埼玉県が0.69、愛知県が0.77などと、全国平均に比べて「ガソリンスタンド」の事業所の割合が低くなっており、自動車普及率(※(注記))が低い都道府県が、下位を占めています(表6、図12、参考3)。
図12 「ガソリンスタンド」の特化係数(事業所数) (参考3) 自動車普及率(※(注記))
[画像:図12 「ガソリンスタンド」の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。][画像:(参考3) 自動車普及率 詳しくはPDF版を御覧ください。]
自動車普及率 (※(注記))が全国で最も低い東京都の特化係数をみると、「ガソリンスタンド」が0.51、「自動車整備業」が0.62、「自動車小売業」が0.70などと全国平均を下回っており、自動車所有に関連した事業所へのニーズが低いことが考えられます(表6、図13)。
図13 東京都の自動車関連産業の特化係数(事業所数)
[画像:図13 東京都の自動車関連産業の特化係数(事業所数) 詳しくはPDF版を御覧ください。]
(※(注記))「全国消費実態調査」(総務省)の結果によると、平成26年における東京都の自動車を所有している世帯の割合(普及率)(総世帯)は43.1%で
した。
【データの出所】
- 本トピックスでは、下記の統計表のデータを用いています。
-
〔事業所数及び従業者数〕(総務省)
平成28年経済センサス‐活動調査結果−事業所に関する集計−産業横断的集計(事業所数、従業者数) e-Stat- 第2表 産業(細分類)、経営組織(4区分)別民営事業所数、男女別従業者数及び1事業所当たり従業者数−全国、都道府県
- 第2表 産業(細分類)、経営組織(4区分)別民営事業所数、男女別従業者数及び1事業所当たり従業者数−全国、都道府県
-
〔付加価値額〕(総務省)
平成28年経済センサス‐活動調査結果−事業所に関する集計−産業横断的集計(売上(収入)金額等) e-Stat- 第3−2表 産業(細分類)、単独・本所・支所(3区分)別民営事業所数、事業従事者数及び付加価値額(外国の会社及び法人でない団体を除く)−全国
- 第4−2表 産業(中分類)、単独・本所・支所(3区分)別民営事業所数、事業従事者数及び付加価値額(外国の会社及び法人でない団体を除く)−都道府県、大都市圏
- 第2−1−2表 産業(細分類)、単独・本所・支所(3区分)別民営事業所数、事業従事者数及び付加価値額(外国の会社及び法人でない団体を除く)−全国
- 第2−2−2表 産業(中分類)、単独・本所・支所(3区分)別民営事業所数、事業従事者数及び付加価値額(外国の会社及び法人でない団体を除く)−都道府県、大都市圏
-
〔人口〕(総務省)
人口推計−平成28年10月1日現在 結果の要約 -
〔合計特殊出生率〕(厚生労働省)
平成28年人口動態統計調査−確定数・出生(年次) -
〔自動車普及率〕(総務省)
平成26年全国消費実態調査−主要耐久消費財に関する結果(総世帯) - 総務省では、経済センサスの結果を経済理論に沿って加工・グラフ化し、「地域の産業・雇用創造チャート」として提供しています。こちらは、産業別の特化係数に自足率(需要合計に占める国内生産額の割合)を掛け合わせて、地域の産業の世界における強みを表したものですので、併せて御利用ください。
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