令和4年度 地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案に関する調査研究(概要)

自治行政局公務員部
1.内 容
地方公務員災害補償基金が、平成22年1月から令和3年3月までの期間に公務上の災害と認定した事案(550件(注記))について、 認定理由書や裁決書等
を基に事案の収集 ・ データベース構築 ・ 集計(クロス集計)・ 分析を実施し、 地方公務員の過労死等の実態を把握。 (注記) 脳・心臓疾患204件、精神疾患346件
なお、平成27年度から平成29年度までの期間に公務上の災害と認められなかった事案の収集・データベース構築を実施。
1 被災者の個人属性、被災傷病名、職員区分、職務における負荷要因などの " データベースを構築 "
2 認定事案を 「脳・心臓疾患」 「精神疾患・自殺」 に区分し、" 基本集計、クロス集計を中心とした分析を実施 "
3 認定時の疾患名(決定時疾患名)をカテゴリ別に分類したことにより、" 基礎情報を整理 "4251915937392511101180
0 20 40 60
狭心症
心筋梗塞
心停止(心臓性突然死を含む。)
重症の不整脈(心室細動等)
肺塞栓症
大動脈瘤破裂(解離性大動脈瘤を含む。)
くも膜下出血
脳出血
脳梗塞(脳血栓症、脳塞栓症、ラクナ梗塞)
高血圧性脳症心・血管疾患74件脳血管疾患130件
脳・心臓疾患204件中、心・血管疾患は74件(36.3%)、脳血管疾患は
130件(63.7%)。男女別でみると、男性が約8割(173件、84.8%)、
女性が約2割(31件、15.2%)であった。また、女性の認定件数については、
「心・血管疾患」 は2件のみであり、残りの29件はすべて「脳血管疾患」であった。
心・血管疾患(74件)の内訳(注記)は、
・ 心筋梗塞 25件(12.3%)
・ 心停止 19件( 9.3%)
・ 重症の不整脈 15件( 7.4%)
・ 大動脈瘤破裂 10件( 4.9%)
・ 狭心症 4件( 2.0%)
・ 肺塞栓症 1件( 0.5%)であった。
脳血管疾患(130件)の内訳(注記)は、
・ 脳出血 50件(24.5%)
・ くも膜下出血 47件(23.0%)
・ 脳梗塞 33件(16.2%)であり、高血圧性脳症はなかった。
図1-1 決定時疾患名の分布
脳・心臓疾患12.成 果
3.主な分析結果
しかく男性(173) しかく女性(31) 総数(204)
(注記)内訳における
( )内はすべて
総数204件に
対する割合
自治行政局公務員部49233510100055186160 20 40 60 80
義務教育学校職員
義務教育学校職員以外の教育職員
警察職員
消防職員
電気・ガス・水道事業職員
運輸事業職員
清掃事業職員
船員
その他の職員(一般職員等)181488965642301111240 50 100 150 200
異常な出来事・突発的事態に遭遇
日常の職務に比較して特に過重な職務に
従事(長時間労働)
交替制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間
不健康な勤務環境下
緊急呼出等公務の性質
精神的緊張を伴う職務
その他2しかく男性(173) しかく女性(31) 総数(204)106件
職務従事状況別の事案数336件の主な内訳(その他を除く)は、
・ 『日常の職務に比較して特に過重な職務に従事(⻑時間労働)』
178件(53.0%)
・ 『精神的緊張を伴う職務』 68件(20.2%)
・ 『異常な出来事・突発的事態に遭遇』 18件( 5.4%)
であった。
『日常の職務に比較して特に過重な職務に従事(⻑時間労働)』
の件数は男女ともに最も多く、男性は287件のうち148件(51.6%)、
女性は49件のうち30件(61.2%)となっている。
職員区分別の事案数(204件)の内訳は、
・ 義務教育学校職員 67件(32.8%)
・ その他の職員(一般職員等) 61件(29.9%)
・ 警察職員 36件(17.6%)
・ 義務教育学校職員以外の教育職員 29件(14.2%)
・ 消防職員 10件( 4.9%)
・ 電気・ガス・水道事業職員 1件( 0.5%)
であり、運輸事業職員、清掃事業職員、船員の事案はなかった。
男女別でみると、全ての職員区分で男性が大半を占めているが、
女性は31件のうち、義務教育学校職員が18件であり、女性の
事案数の半分以上を占めている。
図1-3 職務従事状況別の事案数
図1-2 職員区分別の事案数
しかく男性(287) しかく女性(49) 総数(336)
(注)脳・心臓疾患は204件(男性173件、女性31件)であるが、1つの事案に対し、複数の職務従事状況に該当する
場合はそれぞれを1件としてカウントしているため、総数(336件)とは一致しない。
脳・心臓疾患
脳・心臓疾患 342(1)
27(20)
100(60)5(4)22(15)8(7)47(28)5(5)8(6)
71(36)
24(13)
45(0)7(0)20(4)03(0)1(0)18(4)1(0)2(0)
39(3)
34(5)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
異常な出来事への遭遇
仕事内容
仕事の量
勤務形態
異動
昇任
業務執行体制
仕事の失敗
不祥事
対人関係等
住民等との関係
業務負荷が認められる出来事の該当状況529件の主な内訳は、
・ 『仕事の量』 120件(22.7%)
・ 『対人関係等』 110件(20.8%)
・ 『異常な出来事への遭遇』 87件(16.4%)
・ 『業務執行体制』 65件(12.3%)であった。
男女別でみると、男性359件のうち、『仕事の量』100件(27.9%)、
『対人関係等』71件(19.8%)、女性170件のうち、『異常な出来事への
遭遇』45件(26.5%)、『対人関係等』39件(22.9%)が多くなっている。
(自殺事案)
自殺事案は211件で、主な内訳は、『仕事の量』64件(30.3%)、
『対人関係等』39件(18.5%)、『業務執行体制』32件(15.2%)
となっている。
男女別でみると、男性は『仕事の量』が多く60件、女性は『住⺠等との
関係』が多く5件となっている。
図2-2 業務負荷(出来事)別の事案数
130(86)
69(0)
102(67)2(1)14(0)
17(0)
16(0)2(0)43(9)
83(0)
35(7)019(0)
12(0)
20(0)1(0)0 50 100 150
気分・感情の障害 (a、b、他)
ストレス関連の障害 (c〜f、他)
うつ病エピソード a
反復性うつ病性障害 b
急性ストレス反応 c
心的外傷後ストレス障害 d
適応障害 e
身体表現性障害 f
図2-1 決定時疾患名の分布
精神疾患
精神疾患346件中、気分・感情の障害は173件(50.0%)、ストレス
関連の障害は152件(43.9%)、分類できなかった事案は21件(6.1
%)。男女別でみると、男性は気分・感情の障害が多く130件、女性はス
トレス関連の障害が多く83件となっている。
細分化した疾患名のうち主なものは、うつ病エピソード(注)137件、適応
障害36件、急性ストレス反応33件、心的外傷後ストレス障害29件となっ
ている。
(注)うつ病エピソードとは、抑うつ(気分の落ち込み)の症状を示す疾患。
(自殺事案)
自殺事案は107件で、分類できなかった12件を除く95件すべてが
気分・感情の障害であり、このうち74件がうつ病エピソードであった。主な内数
しかく男性(199) しかく女性(126) 総数(325)
しかく男性(359) しかく女性(170) 総数(529)
精神疾患
(注)1.精神疾患346件(男217件、女129件)の内訳を示したもの。
2.( )内は、うち自殺事案の数。
3.a〜fは、国際疾病分類(ICD-10)コードに基づき、障害別に区分できた事案を集計。
4.a, bに区分できなかった事案34件、c〜fに区分できなかった事案51件(計85件)については、
それぞれ「気分・感情の障害」、「ストレス関連の障害」に含めている。
5.いずれにも分類できなかった事案21件については、上記グラフに含めていない。
(注)1.精神疾患は346件(男217件、女129件)であるが、1つの事案に対し、複数の業務負荷(出来事)に該当する
場合はそれぞれを1件としてカウントしているため、総数(529件)とは一致しない。
2.( )内は、うち自殺事案の数。
12(0)
12(0)5(0)15(1)3(0)1(0)1(0)38(0)
13(9)
15(10)
13(9)4(0)1(0)1(1)0
73(35)
15(1)
14(5)
13(9)
17(6)1(0)1(1)2(1)47(16)
25(7)6(3)01(1)1(0)00
25(7)
0 10 20 30 40 50 60 70 80
義務教育学校職員:65件
義務教育学校職員以外の教育職員:47件
警察職員:31件
消防職員:37件
電気・ガス・水道事業職員:6件
運輸事業職員:3件
清掃事業職員:3件
その他の職員(一般職員等):183件
異常な出来事への遭遇
仕事の量
対人関係等
住民等との関係
図2-3 職員区分別・業務負荷(出来事)別の事案数
業務負荷(出来事)別の事案数375件について、
職員区分別にクロス集計すると、それぞれ最も多いのは、
・ 義務教育学校職員
→ 『住⺠等との関係』 65件中25件(38.5%)
・ 義務教育学校職員以外の教育職員
→ 『仕事の量』 47件中15件(31.9%)
・ 警察職員
→ 『仕事の量』 、 『対人関係等』
31件中各13件(41.9%)
・ 消防職員
→ 『対人関係等』 37件中17件(45.9%)
・ その他の職員(一般職員等)
→ 『仕事の量』 183件中73件(39.9%)
であった。
住民等との関係
仕事の量4(注)1.精神疾患は346件であるが、1つの事案に対し、複数の業務負荷(出来事)に該当する場合は
それぞれを1件としてカウントしているため、総数(375件)とは一致しない。
2.業務負荷が認められる出来事のうち、主な4項目のみを抽出して記載している。
3.( )内は、うち自殺事案の数。
仕事の量
精神疾患
仕事の量
対人関係等
対人関係等

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