-1-第135回人口・社会統計部会 議事録
1 日 時 令和5年1月16日(月)13時00分〜14時25分
2 場 所 Web会議
3 出席者
【委 員】
津谷 典子(部会長)、佐藤 香
【臨 時 委 員】
宇南山 卓、加藤 久和
【専 門 委 員】
康永 秀生
【審議協力者(各府省等)】
埼玉県
【調査実施者 】
厚生労働省政策統括官付参事官付:渡邊審査解析官、高山保健統計官ほか
【事務局(総務省)】
統計委員会担当室:萩野室長、吉野政策企画調査官
政策統括官(統計制度担当)付統計審査官室:内山統計審査官、森調査官ほか
4 議 題 医療施設調査・患者調査の変更について
5 議事録
しろまる津谷部会長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から第135回人口・社会統計部会
を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきありがとうござ
います。昨年12月に引き続いての部会開催となります。本年もどうぞよろしくお願いいた
します。
本日も、私以外の部会構成員の皆様には、ウェブで御参加いただいておりますが、ネッ
トワークの状況などに細心の注意を払いつつ進めさせていただきます。
ただ、途中、声が聞きづらいなど、ネットワークの不具合が生じる場合もございます。
その場合には、チャットなどでお知らせいただきたいと思います。
本日は、令和4年12月21日に開催された第186回統計委員会において諮問された、
厚生労
働省が実施する「医療施設調査」と「患者調査」の変更についての審議を行います。
今回の審議に当たっての部会構成につきましては、参考1として名簿をお配りしていま
すが、経常的な部会構成員の皆様のほかに、医療業務・医療政策などに広く深い知見をお
持ちである康永秀生先生にも、専門委員として御参加いただくことになりました。
康永専門委員におかれましては、3年前の前回の医療施設調査・患者調査の審議の際に
も本部会に御参画いただいておりますが、改めて、一言、康永専門委員に御挨拶をお願い -2-したいと思います。
しろまる康永専門委員 どうもありがとうございます。東京大学大学院医学系研究科の康永秀生
と申します。疫学を専門としています。厚生労働省関係の公的なデータベースを用いた分
析等を行っています。どうぞよろしくお願いいたします。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。康永専門委員、どうぞよろしくお願いいたしま
す。審議へのお力添えを期待しております。
では、審議に先立ちまして、私から4点ほど申し上げたいと思います。
1点目は事務的なことです。最近の委員会や部会の例にならい、本部会でも、事務局に
よる議事と配布資料の紹介については、省略させていただきます。
2点目は、審議の進め方についてです。
審議は、これまでと同様に、資料2の審査メモに沿って、事務局から審査状況と論点を
説明していただいた後、資料3に基づき、調査実施者である厚生労働省から論点に対する
御回答をいただき、その上で、質疑応答を行うという形で進めていきたいと考えておりま
す。
審議の過程では、説明されている資料や議論になっている資料について、随時、事務局
から画面に表示していただきます。
3点目は、参考2でお示ししている審議スケジュールについてです。
今回の諮問については、本日を含め2回の部会審議を予定しています。2回の部会で一
通りの審議を終え、答申案のおおよその内容について構成員の皆様から御了解が得られま
したら、最終的な答申案は書面決議により決定するなど、効率的にかつ効果的に審議を進
めていきたいと考えております。
ただ、今回は、本来の諮問事項である調査計画の変更に加え、令和4年8月に、統計委
員会から示された「公的統計の品質向上に関する建議」で指摘された事項についての対応
状況の確認もございます。
そのため、2回の部会審議で審議が終わらない場合も考えられます。その場合、大変恐
縮でございますが、予備日である3月9日にも部会を開催させていただく可能性があるこ
とをお含みいただければと思います。
なお、答申案につきましては、3月下旬に開催が予定されている統計委員会において、
私から御報告したいと考えております。
最後に4点目ですが、本日の審議は15時までを予定しておりますが、審議の状況によっ
ては、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定のある
方は退席していただいて結構です。
以上、よろしくお願いいたします。なお、本日は、川口臨時委員が御欠席です。
それでは、
審議に入らせていただきますが、
資料1-1
「諮問の概要」
につきましては、
既に統計委員会の場で説明していただいておりますので、時間を節約するため、この場で
の説明は割愛させていただきます。
また、統計委員会に諮問された際に、委員から御発言があった場合には、この場で事務
局から御紹介をしていただいておりますが、今回の諮問では、特に委員からの御発言はご -3-ざいませんでしたので、早速、個別の審議に入りたいと思います。
それではまず、
「調査事項の変更」について審議をいたします。今回の変更においては、
医療施設静態調査について、社会状況の変化や利活用の状況などを勘案して、調査事項の
見直しが計画されています。
それでは、はじめに事務局から、審査状況と論点の御説明をお願いいたします。
しろまる森総務省政策統括官(統計制度担当)付調査官 御説明します。審査メモの2ページか
ら3ページに記載していますが、医療施設静態調査では、図表1-1及び図表1-2に挙
げる調査事項について、追加・削除等が計画され、これに併せて集計事項についても変更
が計画されています。
具体的な調査票の新旧対照表につきましては、審査メモの13ページ以降に掲載していま
す。
それぞれの変更理由については、
それぞれ適当と考えられるものが多いところですが、
追加するものについては、その必要性や想定される利活用の内容を、削除や縮小するもの
については、背景事情や利活用上の支障を確認していただきたいと考えています。
事務局からは以上です。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
それでは、論点に対する回答について、調査実施者である厚生労働省から御説明をお願
いいたします。
しろまる高山厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計官 厚生労働省保健統計室長の高山でご
ざいます。
私からは、今回、申請させていただきました内容のうち、調査事項の変更について、追
加及び削除の調査事項の背景などを御説明させていただきます。
資料3を御覧ください。論点のうち、追加などをする調査事項のそれぞれの背景事情や
想定されている調査結果の利活用を説明してくださいという論点に対しての回答でござい
ます。
今回追加をする調査事項の一つ目でございますが、医療施設静態調査の特殊診療設備の
うち、
「ICU(特定集中治療室)に専任している医師数」の追加でございます。
特殊診療設備のICUに専任している医師数につきましては、新型コロナウイルス感染
症の感染拡大において、特に重症者に対応するための病床がひっ迫するなど、集中治療の
提供体制を強化することが喫緊の課題となっているところでございます。
これに関係いたしまして、現在の調査票では、ICUの病床数や実際に治療を受けてい
る患者の延べ数は把握することができますが、その治療に当たる専任の医師数といった、
医療提供者側の人材の数については、全体像が把握できていない状況でございました。
昨今の新型コロナウイルスの治療体制も含めまして、医療施設の集中治療提供体制の現
状を適切に把握することによって、今後の感染症対応を含めた集中治療提供体制の整備の
検討の基礎資料として活用をするという目的で、今回追加をしたいと考えているところで
ございます。
そして、追加の調査事項の二つ目でございます。歯科設備に三つの装置の項目を追加す
るというものでございます。歯科用のCAD/CAM装置、デジタル印象採得装置、口腔 -4-外バキュームという3種類の装置の有無について調査をするものでございます。
この3種類の装置のうち、歯科用CAD/CAM装置、デジタル印象採得装置について
は、近年これらの装置が医療保険において保険適用がなされまして、装置の普及状況を把
握したいということが追加の理由でございます。
具体的に申し上げますと、令和4年度の診療報酬改定におきまして、歯科用CAD/C
AM装置を用いて製作しましたCAD/CAMインレー、これは歯の詰め物でございます
が、それについて新たに保険適用がなされました。また、既に平成26年にはCAD/CA
M冠、これは歯の被せ物ですが、それについても保険適用され、それ以来、適用範囲が拡
大されてきているという状況でございます。
この詰め物、被せ物を製作する際に、今回、調査項目として追加をいたしますデジタル
印象採得装置を用いまして、口の中をスキャンいたします。スキャンしたデータをもとに
詰め物、被せ物の設計をするという工程がCADと呼ばれるものでございます。
そして、その設計に基づきまして詰め物、被せ物の基となる材料を削り出す工程がCA
Mと呼ばれるものでございます。
これら二つの工程で用いる装置が、先ほど申し上げた歯科用CAD/CAM装置とデジ
タル印象採得装置でして、保険適用がなされたことから、普及が進んできていると思われ
ます。
しかしながら、これらの装置の普及状況に関して、今まで把握ができていないというこ
とで、今回、調査事項として追加をするものでございます。
そして次に、口腔外バキュームについてです。これは感染対策の状況を把握したいとい
うことが追加の理由でございます。まず、この口腔外バキュームという装置は何かと申し
ますと、資料3の3ページを御覧いただきたいと思いますが、ここに「口腔外バキューム
とは」と記載しています。
ここに記載のとおりですが、治療中に飛散する水や唾液、金属の破片を患者の口の外で
吸い込む装置でございまして、空気中のウイルスといった感染性の物質も吸い込むことが
できるということで、感染予防対策に有効とされています。
この装置に関連して、
「経済対策運営と改革の基本方針2021」
(令和3年6月18日閣議決
定)の中で、
「飛沫感染などの防止を含め歯科保健医療提供体制の構築と強化に取り組む」
という記載がございます。この方針の中に、
「口腔外バキュームを用いて」と明記している
わけではございませんが、口腔外バキュームの感染対策の有効性に鑑みまして、歯科医療
提供体制を検討する際の基礎資料として、この装置についての状況を把握したいというこ
とでございます。3種類の装置のいずれも、今後の歯科医療提供体制の検討に活用したい
ということでございます。
そして、追加の項目の三つ目でございます。医療施設の従事者に救急救命士の数を把握
する項目の追加でございます。
従来、救急救命士は活動する場所が現場から医療施設へ搬送するまでに限られておりま
した。
このため、
救急救命士の資格を有する者が医療施設に仮に雇用されていたとしても、
救急救命士として医療施設内で業務を行うことが今までできなかったところでございまし -5-た。
しかしながら、令和3年10月1日に施行されました改正救急救命士法によりまして、救
急救命士は、医療施設内のいわゆる救急外来においても、救急救命士としての業務を行う
ことができるようになりました。
このことから、法改正の後に医療施設において、救急救命士の資格を有する者が、救急
救命士として従事することが可能となったところでございます。
これを受けまして、調査事項の医療施設の従事者数の中に「救急救命士」の数も追加を
いたしまして、法改正の効果を確認し、今後の救急医療体制の検討を行うための基礎資料
としたいと考えています。
以上3点が、追加の調査項目の案でございます。
続いて、削除を行う調査事項についてです。
今回、削除する調査事項に関して、まず一つ目ですが、処方の状況などのうち、入院患
者への薬剤管理指導の削除です。入院患者への薬剤管理指導は診療報酬上の9月中の薬剤
管理指導料の算定された回数を聞いているものでございます。
これについては、
薬剤師に関する診療報酬改定などを検討する際に用いるということで、
平成20年から、入院患者に対して薬剤師が行っている薬剤管理指導全体の実施回数を把握
してきたところでございます。
診療報酬の改定に当たりまして、特に近年の傾向として、医療従事者の負担軽減の観点
で評価を進めているということがございます。具体的には、医療機関内のタスク・シェア
リングやタスク・シフティング、チーム医療の推進など、医療従事者の勤務環境の改善に
資する取組を診療報酬で評価してきているという傾向でございます。その一環として、薬
剤師に関しましても、関連する複数の診療報酬の改定が行われてきている状況でございま
す。
これら診療報酬の改定を議論いたします中央社会保険医療協議会におきまして、それぞ
れの診療報酬の算定実績の推移だけではなく、関連する薬剤師会や大学が提供する資料を
併せて改定の参考の資料としておりまして、その中でも、薬剤師の業務内容、業務時間な
どについて、集計結果を用いて幅広く分析を行った上で、改定の検討が行われている状況
でございます。
このように、近年の診療報酬の改定の検討に当たりまして重要視されていますのは、薬
剤管理指導の回数よりも、むしろ、薬剤師の勤務実態に係るより詳細な情報という状況で
ございます。
このような状況から、報告者負担の軽減の観点も踏まえ、薬剤管理指導の回数について
は、本調査での把握は取りやめたいと考えているところでございます。
そして、削除の調査事項の二つ目でございます。
臨床研修医の削除でございます。臨床研修医の人数について今まで調査をしてきたとこ
ろでございますが、まず、
「臨床研修医」とは、医師国家試験に合格した後に、最初に行わ
れる医師法に基づく2年以上の研修を受ける者、いわゆる研修医と呼ばれるものでござい
ます。この研修を行うことが義務化されたのが平成16年度でございまして、それがきっか -6-けとなり、医師不足問題が顕在化したのではないかと言われています。
義務化によって、臨床研修医が、研修を受ける病院を広く選べるようになり、出身大学
以外の都市部の病院に研修医が集中するといったことが生じ、今まで大学病院が担ってき
た地域の医療施設への医師派遣機能が低下し、それによって、地域における医師不足問題
が顕在化したのではないかということが言われました。
このような背景から、地域の医療提供体制の確保を図るための基礎資料の一つとして、
医療施設ごとの臨床研修医の数を平成20年から把握をしてきたところでございます。
このように、臨床研修医を含めまして、医師の地域的な偏在というのは、医療行政にお
いてかねてからの課題でございました。その課題に対しまして、都道府県の医療計画に医
師の確保に関する事項を策定すること、臨床研修病院の指定権限及び臨床研修医定員
の決定権限の都道府県への移譲等の措置を講ずることを内容とした
「医療法及び医師法
の一部を改正する法律」
(平成30年法律第79号)が平成31年に施行され、それに伴い、
「医
師確保計画策定ガイドライン」を国が作り、それを参考に、各都道府県が医師の偏在対策
に取り組んでいる状況でございます。
この医師確保計画策定ガイドラインでは、一つの考え方、やり方として、地域に定着す
る医師の確保の観点から、地元出身の医師の養成を目指して、一つの事例として、中高生
や医学部生を対象とした施策の検討を行うことと明記されています。
一方、厚生労働省においては「医師法」
(昭和23年法律第201号)、「歯科医師法」
(昭和
23年法律第202号)、「薬剤師法」
(昭和35年法律第146号)によって届けられます行政記録
情報などを基にして、平成29年から個別医師のキャリアなどが可視化された全国のデータ
ベースを作成し、各都道府県にそのデータを提供してきました。
このデータベースというのは、個別の医師のこれまでのキャリアだけでなく、従事して
いる施設の所在地、出身の大学名、臨床研修医か否かも把握されておりまして、幅広い分
析が可能となっております。
この情報は、
医療施設調査よりも周期の短い2年周期で更新、
そして各都道府県に提供されておりまして、各都道府県はこのデータベースを用いて、自
分たちの地域にゆかりのある医師のリクルートなど、施策の検討・実施に努めている状況
でございます。
このデータベースの基となります行政記録情報は、
「医師・歯科医師・薬剤師統計」によ
って集計されておりまして、これは2年周期で公表され、臨床研修医の数も含めて、広く
一般にも活用可能となっているところでございます。
このような状況を踏まえまして、本調査において、臨床研修医の有無及び数を把握する
必要性が低下してきていると考え、報告者負担の軽減も踏まえて、本調査での把握を取り
やめたいと考えているところでございます。
そして、三つ目の削除の調査事項でございます。
医療安全体制のうち、
「医療機器安全体制の保守計画の管理」
を削除するというものでご
ざいます。
「医療機器安全体制の保守計画の管理」につきましては、平成18年に定められた、
「良質
な医療を提供する体制の確立を図るための医療法の一部を改正する法律」」(平成18年法律 -7-第84号)によって「医療法」
(昭和23年法律第205号)が一部改正され、それに伴い、
「医
療法施行規則」
(昭和23年厚生省令第50号)において、医療機器の保守点検に関する計画
の策定及び保守点検の適切な実施が規定されたことによって、平成20年から病院全体の保
守計画の策定・実施状況を把握してきたところでございます。
そして、その回答内容について近年、一定の傾向を示してきているという状況がござい
ます。具体的には、保守計画の策定につきましては「一括管理」が約70%、
「病棟・部門ご
と」が約25%、そして、保守計画の実施については病院全体の「一括管理」が約65%、
「病
棟・部門ごと」が約30%という数値が近年、変化が見られず続いているところでございま
す。
また、近年、厚生労働省が開催しています医療計画の見直しに関する検討会で用いられ
ているデータとしましては、民間の団体ではありますが、日本画像医療システム工業会に
おいて把握されています、医療機器ごとの保守点検実施率が利活用されている状況でござ
います。
このように、施設ごとというよりも、近年は、医療機器ごとの保守点検の実施率が利活
用されている傾向にあるため、今回、報告者の負担軽減を踏まえて、本調査で施設ごとの
管理の状況の把握は取りやめたいと考えています。
そして、削除する調査事項の四つ目でございます。
放射線治療の実施状況のうち、
「RALS」
、及び「IMRTなどの高精度照射」の削除
でございます。放射線治療のRALS、及びIMRT、これは強度変調照射というもので
すが、
それによる高精度照射については、
がん治療に有用である放射線治療ということで、
その機器の利用状況を把握するために平成20年に追加したものでございます。
放射線治療につきましては、
「がん対策基本法」
(平成18年法律第98号)
に基づきまして、
「がん対策推進基本計画(第3期)」(平成30年3月9日閣議決定)
」を踏まえて、がん対
策に関する施策が現在進められてきているところでございます。
「がん対策推進基本計画」
におきましては、強度変調放射線治療など高度な放射線療法について、がん診療連携拠点
病院などを中心とした体制整備が求められている状況でございます。
当該基本計画に基づきまして、RALSを用いる密封小線源治療、また、IMRTの強
度変調放射線治療などの実施状況につきましては、関連する指針によりまして、がん診療
連携拠点病院などが都道府県を経由しまして、厚生労働大臣に毎年10月末日までに提出す
ると定められています現況報告書を元に把握されている現状でございます。
そして、
その結果につきましては、
「がん対策推進基本計画」
の個別の目標達成に向けた、
その効果を評価するための指標として用いられており、また、地域がん診療連携拠点病院
の指定要件としても用いられている状況でございます。なお、この現況報告書の内容につ
きましては、国立がん研究センターが運営いたします「がん情報サービス」のサイトに掲
載されておりまして、公表されています。一般の方も広く利用できる情報として、現在も
公表されている状況でございます。
このような現況を踏まえまして報告者の負担軽減の観点から、本調査での把握を取りや
めたいと考えているところでございます。 -8-そして、五つ目が剖検の削除でございます。
剖検とは、
「死体解剖保存法」
(昭和24年法律第204号)の第9条に規定する認定施設に
おいて行う病理解剖のことを申しまして、各種解剖の一つでございます。
各種解剖は、死因を究明するなどの目的で行われますが、その死因究明などにつきまし
ては、死因究明等推進基本法に基づきまして、
「死因究明等推進計画」を踏まえて、総合的
かつ計画的に施策が現在進められている状況でございます。
この「死因究明等推進計画」におきましては、課題としまして、死体検案の結果や解剖
の結果、歯科診療情報等のデータベース化を進めて、広く活用できるようにすることが重
要とされています。これは、死体検案の結果、解剖の結果といった一つ一つの事例をデー
タベース化して、広く活用できるようにすることが重要、ということが記載されていると
ころでございます。
これまで医療施設調査では、医療施設における剖検数の全体像、剖検がなされた全体の
数を把握してきたところでございますが、先ほど申し上げたとおり、死因究明等の現在進
められている施策の中において、重要視されていることは剖検の有無や数というよりも、
個別具体的な死体検案の結果もしくは解剖の結果となっています。
このように、求められているデータの変化を踏まえまして、また、報告者の負担軽減の
観点も踏まえて、本調査での把握を取りやめたいと考えているところでございます。
そして削除する調査事項の最後として六つ目、歯科設備の削除でございます。
この歯科設備の削除については、一般診療所票における歯科設備の削除を意味するもの
でございます。歯科診療につきましては、病院及び歯科診療所においてその大部分が行わ
れている現状でございます。そのことから、これまでの一般診療所における歯科設備につ
いては、調査項目を絞って調査を実施してきたところでございます。しかしながら、把握
を続けてきた項目についても、一般診療所の歯科設備数は全体の数から見ると非常に少な
い割合という状況でございました。
これまでは一般診療所も含めまして、歯科診療の実施の状況を把握するという目的で調
査を行ってまいりましたが、一般診療所内における、歯科に関わる診療科目の標ぼう施設
数の傾向を把握することで、おおよその歯科診療の実施状況も把握できることから、一般
診療所における歯科設備について調査をする必要性は低いのではないかと考えまして、ま
た、
報告者の負担軽減の観点からも把握を取りやめたいと考えているところでございます。
以上、追加をする調査事項、そして削除する調査事項についての、その背景や利活用の
状況についての説明でございました。
しろまる津谷部会長 多岐にわたる多くの調査項目について、詳細かつ具体的な御説明ありがと
うございました。
それでは、ただ今の厚生労働省からの御説明に対し、御質問や御意見のある方、御発言
をお願いいたします。いかがでございましょうか。
康永専門委員、御質問、御提案、何かございませんでしょうか。
しろまる康永専門委員 ありがとうございます。
ただ今の説明は非常に分かりやすくて、全体像もよく分かりました。それで、いずれの -9-追加、それから削除の提案についても、非常に目的もはっきりしておりまして妥当だと考
えました。やはりこの医療の状況というのは刻々と変わっていて、医療政策における優先
課題というのは刻々と変わっていますから、それに併せて特に他のデータベースであると
か、他の調査によって状況が把握できるものについては削除されるというような御説明で
したので、それも妥当だと思いますし、それから、追加する項目に関してもICUの医師
数であるとか救命救急士の数という、その人的資源を把握するというのは非常に重要だと
思いますので、それも妥当だと思います。
それから、歯科に関しても、近年の歯科治療というのは随分変わってきておりまして、
それを診療報酬にも収載されている、そういう機器を把握するというのは歯科衛生行政上
も非常に重要だと思いますので、おおむね妥当だと考えます。
以上でございます。
しろまる津谷部会長 康永専門委員、ありがとうございました。
そのほか御質問、御発言ございませんでしょうか。
しろまる宇南山臨時委員 すいません、宇南山です。
しろまる津谷部会長 宇南山臨時委員、お願いいたします。
しろまる宇南山臨時委員 ありがとうございます。
私からは1点質問というかコメントです。資料3の5ページに記載されています臨床研
修医の削除についてですが、非常に簡単に言えばデータベース、行政記録情報の集計値で
ある医師・歯科医師・薬剤師統計で類似の情報が取れるから、ここでは調査の必要がない
ということだと理解したのですが、この臨床研修医については、経済学の分野でもマッチ
ングの世界などでは非常に関心のあるところで、どのような医療施設に研修医がいるのか
というのは非常に重要な情報だと考えています。
御指摘のありました医師・歯科医師・薬剤師統計について簡単に見てみますと、確かに
どんな病院にいるかということは調べられてはいるようですが、必ずしも、この医療施設
調査で調べているほどの詳細さでは利用ができないと理解しています。病院と研修医両面
からの情報というのは非常に重要と考えますので、例えば、その報告者負担が非常に問題
だということであれば、このデータベースを使ってプレプリントをするなどで対応はでき
ないのかということで、この臨床研修医の項目の削除について、もう少し検討の余地がな
いのかについて御回答いただければと思います。
私からは以上です。
しろまる津谷部会長 宇南山臨時委員、ありがとうございました。
厚生労働省、御回答をお願いいたします。
しろまる高山厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計官 御質問ありがとうございます。
臨床研修医の数について、宇南山臨時委員から御提案、御意見をいただいた趣旨として
は、施設ごとの臨床研修医の数の傾向をどのように把握をするかということと認識をいた
しました。宇南山臨時委員がおっしゃったとおり、現在の医師・歯科医師・薬剤師統計に
おいては、施設ごとの臨床研修医の数までは公表していないところです。
しかしながら、この医師・歯科医師・薬剤師統計は、一人一人の医師なり歯科医師なり
-10-
薬剤師に報告をしていただいて、かつ、どこの施設に所属しているのかということも聞い
ておりますので、一般的に結果表として公表はしていないところではございますが、この
医師・歯科医師・薬剤師統計のデータを用いて特別集計をすることで、どの施設にどれく
らいの臨床研修医がいるのかということを把握するのは、現在の仕組みの中で可能なもの
となっているところでございます。
繰り返しになりますが、最初から施設名を挙げて、そこに何名の臨床研修医がいるとい
ったことは公表していないところですが、現在の医師・歯科医師・薬剤師統計のデータを
基に、そういう傾向を把握することは、特別集計などで可能という状況でございます。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。宇南山臨時委員、いかがでございましょうか。
しろまる宇南山臨時委員 ありがとうございます。
特別集計では集計が可能ということですが、
この医療施設、
恐らくは行政情報ですので、
むしろ個別のどの病院に所属しているかということは分かるのかと思いますが、例えば、
診療科目がどんな科目を持っているような病院で研修医が多いのか、その病床の数で病院
の規模ごとにどのような病院に研修医が多いのか、どのような地域で多いのか、そのよう
なことを総合的に分析できるという意味では、恐らくその統計法上の目的外利用で特別集
計をする際には、やはり病院側の情報にひも付いている方が利用しやすい。行政記録の方
で医師の側の情報に簡素な病院の情報が付いている状況よりも、病院の情報に付いている
方が重要だと思ういます。ここのところは非常に調査負担が重いということであればやむ
を得ないかとは思うのですが、依然として医師の偏在や研修医の配置そのものが非常に関
心の高い分野でもありますので、もし可能であるならば調査を継続していただければと考
えています。
以上です。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。厚生労働省、いかがでございますか。
しろまる高山厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計官 今、御意見を頂いた臨床研修医がど
のような施設にいるのか、その施設の情報も併せて分析ができるようにという、そのよう
な御意見と認識いたしました。現状といたしまして、医師・歯科医師・薬剤師統計の臨床
研修医の数と、医療施設調査の医療施設の情報を突合させる、どの医療施設に臨床研修医
が何人いて、その医療施設はどのような医療施設なのかという医療施設調査の情報をひも
付ける、そのようなことも現在の仕組みの中で、これも特別集計などになりますが、可能
な状況となっていますので、繰り返しになりますが、現在の仕組みの中でもそのような情
報をマッチさせて、
ひも付けして分析をすることは可能となっているところでございます。
しろまる津谷部会長 宇南山臨時委員、いかがでございましょうか。
しろまる宇南山臨時委員 了解しました。
医療施設調査の情報と行政記録が突合できるということで、研究目的としては、特別の
許可を取れば可能ということで了解しましたが、一般にもある程度重要な情報だと思いま
すので、今後更に検討していただければ良いのかなと思います。今回の諮問に関しては、
分析としては可能ということで了解しました。ありがとうございます。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
-11-
では、データベースの情報を用いて分析が可能であるという条件の下で、この情報は重
要ではあるが、今回の諮問では、これを削ることについて御了解をいただいたとさせてい
ただきたいと思います。
康永専門委員、何か付け加えることなどございましたら、お願いできますでしょうか。
しろまる康永専門委員 ありがとうございました。
特にはないのですが、確かに目的外申請でそのデータをアカデミアに提供されて、そこ
できちんとしたもっと深い分析が可能であるということが担保されているということは非
常に重要です。
今、
厚生労働省の説明でそれは可能だということで確認が取れましたので、
その点について特に問題はないと思います。ありがとうございます。
しろまる津谷部会長 康永専門委員、ありがとうございました。
この情報の重要性は認識されるが、施設の情報をひも付けした形での臨床研修医の数、
それをベースにした地域の分布なども、目的外利用ではありますが、特別集計から情報が
得られるということを条件に、削除してもよいという御意見であったと思いますので、そ
のように整理をさせていただきます。
この点を除き、ほかの点については、特に御異論はなかったと思いますので、全体とし
て、今回の項目の追加と削除については御了承をいただいたものとして、整理させていた
だきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは次に、公表時期等の変更についての審議に移りたいと思います。
この変更は、医療施設調査と患者調査の両方に共通するものですので、まとめて審議を
行いたいと思います。
それでは、事務局からまず審査メモに沿って御説明をお願いいたします。
しろまる森総務省政策統括官(統計制度担当)付調査官 審査メモの4ページを御覧ください。
医療施設調査・患者調査共に、もともと確定数のみで公表されていたのですが、公表が
1年を少なからず超える状況が続いていました。
とはいえ、利活用としては、確定数が最重要です。そこで、前回の諮問審議の結果、確
定数の公表早期化を課題とし、その結論を得るまでの暫定的な対応として、前回の調査で
は、図表2-1のとおり概数公表が実施されました。
その後、厚生労働省において、確定数の公表早期化について検討された結果、図表2-
2ですけれども、今回、両調査とも調査終了後1年1か月に前倒して公表する旨の申請が
なされたところです。
これに伴い、
概数と確定数の公表時期が近接することとなりますが、
厚生労働省では
「概
数の必要性が極めて乏しくなること」、「前回調査の実務において概数の公表作業と確定数
の集計作業が並走し、事務が大幅に煩雑化したこと」から、概数公表を取りやめ、集計を
元どおり確定数に一本化することを計画しています。
これらの変更については、利活用ニーズの高い確定数の公表早期化及び集計事務の効率
化が図られることから、おおむね適当であると考えていますが、別添3で示しているスケ
ジュールで安定的な公表時期の維持が可能となるのか、また、更なる工程の効率化の余地
の有無など、論点として立てています。
-12-
事務局からは以上です。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
それでは、論点に対する回答について、調査実施者である厚生労働省から御説明をお願
いいたします。
しろまる高山厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計官 資料3の12ページを御覧ください。
公表時期の変更について二つ論点を頂きました。まず、一つ目の論点でございます。資
料2の別添3のスケジュールであれば、将来的にも安定的な公表時期の維持が可能と考え
ているか、その上で、更に工程を効率化できる余地はないかという点でございます。
まず、令和5年の調査計画を考えるに当たりまして、調査から公表に至るまでの作業の
工程を改めて整理をいたしまして、資料2の別添3のスケジュールを作成したものでござ
います。このスケジュールでは、作業工程を可能な限り効率化することも図っておりまし
て、これが実現できれば、将来的にも安定的に計画上の公表時期の維持が可能になると考
えています。
作業工程の効率化でございますが、医療施設静態調査、患者調査ともにオンラインによ
る回答率が向上することがポイントとなっています。オンラインによる回答率が向上する
ことで、効率化が実現できると考えています。
なぜオンラインによる回答率が向上すれば効率的になるかでございますが、紙の調査票
ではなくオンラインにすることで、紙の調査票の回答が減少することになります。紙の調
査票が減少することによって、紙の調査票の受付や審査業務などの負担軽減が図れるとい
うことがございます。そして、紙の調査票から集計作業を行う際に、まずデータを入力す
る作業がありますが、紙ではなくオンラインで回答を頂く割合が高まれば、このデータ入
力の手間もかなり効率化することができるというものでございます。
また、オンラインによる回答では電子調査票を用いますが、入力内容のチェック機能が
ありますので、これによって提出前にデータチェックを行うことができ、エラーが解消さ
れた状態で厚生労働省に届く仕組みとなっています。このため、厚生労働省でのエラー処
理の時間を一定程度短縮できることが見込まれます。
また、オンラインでの回答には、報告者である医療施設側の調査票作成の効率化や都道
府県など経由機関の審査業務の効率化を目的として用意しているツールがございまして、
それらを活用していただくことで報告者や経由機関の調査負担を軽減することができます。
報告者、経由機関の調査負担が軽減すれば、その分、厚生労働省へ調査票が提出される
スピードも早まるのではないかと考えられ、それによって、業務の効率化に繋がるのでは
ないかと考えています。
調査の負担軽減になることを含めまして、今申し上げたツール類を積極的に経由機関や
報告者にPRしていきたいと考えています。
患者調査における報告者の調査票の作成の効率化についてですが、具体的には、電子調
査票に、医療施設が保有しています既存の患者の電子情報を取り込むことができる機能が
ございます。その機能を用いることで、特に多数の患者が対象となっている大きな病院で
あったとしても、調査票を効率的に作成することが可能になります。
-13-
そして経由機関の審査業務の効率化でございますが、経由機関におきましては、電子調
査票の内容確認をする必要がございます。その際、
「審査ツール」を活用することで、自動
的に電子調査票の内容確認が行われ、それによって経由機関の職員の作業時間が短縮され
るものと考えています。
これらツールを用いることで、
全体の作業工程を効率化することができ、
それによって、
作業の時間も短縮することができるものと考えています。
以上、
このような作業を通じて、
調査から結果公表までの全体の期間を効率化、
短縮し、
そして、継続的に公表を続けていきたいと考えているところでございます。
続いて二つ目の論点でございます。追加提出・提出遅れの期間をこれほど長期に確保す
る(照会を2回する)
、その理由は何かというものでございます。
調査票の追加提出・提出遅れの対応につきまして、医療施設静態調査と患者調査に分け
て御説明をしたいと思います。
医療施設静態調査ですが、この調査における工程で、照会を2回行う意味は二つござい
まして、一つが調査客体の確定です。これは医療施設静態調査では医療施設を全数把握し
ますので、全国全ての医療施設から回答を頂く必要があるものでございます。
そして、二つ目としては、統計の質の確保のために、照会を2回行うことを今まで行っ
てきたところでございます。
一つ目のポイント、調査客体の確定についてですが、医療施設調査は静態調査だけでは
なく、月ごとの医療施設の動態を把握する動態調査も行っておりまして、この動態調査に
おいて医療施設の新規の開設が報告をされてきます。しかし、新規の開設が報告されたに
もかかわらず、静態調査票が提出されていないという事例がございます。
そのような施設に対して、静態調査票を提出するよう促します。これがまず1回目の照
会で、おおむね調査年の翌年の3月頃に照会をいたします。
そして2回目の照会は、仮に全ての医療施設から回答がなされたとしても、その内容、
データをチェックしまして、回答内容に矛盾がないかどうか確認する必要があります。確
認した後で、回答内容に疑義があるものについて、経由機関及び医療施設に再度確認をす
るというものでございます。これが2回目の照会になります。これもおおむね調査年の翌
年の6月頃に照会をいたします。この2回の照会をすることで、医療施設静態調査として
の統計の質を確保したいと考えています。
そして、患者調査ですが、患者調査は抽出調査でございます。そのため、調査票の回収
状況によって、調査結果の精度に影響するところでございます。そのような影響を極力少
なくしたいことから、厚生労働省への提出期限までに未提出の調査対象施設に対しては、
督促を行いたいと考えています。
その後も、なお未提出の場合は、更にまた随時督促を行いまして、提出期限を過ぎて届
いた調査票についても、間に合う限り最大限集計に生かすこととしているところでござい
ます。
このように医療施設静態調査、患者調査ともに作業を効率化し、速やかな公表、かつ照
会を2回行いますが、併せて統計の質も確保しながら統計をよりよくしたいと考えている
-14-
ところでございます。
以上が、今回の公表時期などの変更に関する論点に対する回答でございます。
しろまる津谷部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただ今の御説明に対し、御質問や御意見のある方、御発言をお願いいたしま
す。いかがでございましょうか。御質問、御意見ございませんでしょうか。
これは調査の実施に関することですが、調査環境が難しくなっている中で、できる限り
回答を得たいということであれば、ある程度時間も必要であり、2回の督促その他を行う
ことで回答率を確保していきたいということかと思います。オンライン調査については、
いろいろと多岐にわたる利点があると思います。
では、加藤臨時委員、お願いいたします。
しろまる加藤臨時委員 御説明ありがとうございました。特に反対意見はございません。
御説明があった中で、統計の質を高めるということと、そして、効率化を進めるという
ことを両方勘案したときに、この提案は適切なものではないかと思っています。部会長の
御説明にもありましたとおり、このような内容の提案がよろしいのではないかと考えてい
ます。
私の意見は以上です。ありがとうございました。
しろまる津谷部会長 加藤臨時委員、ありがとうございました。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
しろまる佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
加藤臨時委員と同じ意見ですが、特に概数の公表を取りやめて確定数の公表一本にする
というところは、大変合理的だと思います。その方がよろしいと思います。
それから、
もう一つはそのオンラインや、
それから様々なリソースを使うことによって、
統計の質を高めることができるという点は高く評価したいと思います。
以上でございます。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。前向きに高く評価するという御意見かと思いま
す。
先ほど途中になりましたが、オンライン調査をできる限り推進するということ、そして
確定数へのニーズが高いようですので、今回、その確定数の公表を早め、概数の公表を取
りやめるという変更です。時期的にも、作業に要するマンパワーや時間を考えても、これ
は適切な対応であると私も考えます。
康永専門委員、お願いいたします。
しろまる康永専門委員 私も厚生労働省の御説明を聞いて、全ておおむね妥当だと思いました。
前半部分に関しては、業務の効率化であるとか負担の軽減ということで非常によい御提案
だと思いました。
後半部分の何回も督促することについては、私も病院の事情をよく知っておりまして、
レセプトはきちんと提出しますが、医療施設調査などは督促しないとなかなか提出しない
病院もございまして、これも本当に致し方がないと思います。
以上です。
-15-
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
医療現場の実情を考えると、
医療従事者の方々は大変お忙しいと思います。
したがって、
これは妥当かつ必要かつ致し方のない対応であるということで、部会構成員の皆様から変
更内容については特に御異論がなく、前向きな御意見をいただきました。また、高く評価
するという御意見もございましたので、全て御了承いただいたものとして整理をさせてい
ただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは次に、患者調査における標本抽出の手順について、調査計画上の記載を見直す
ことについての審議を行いたいと思います。
これによって、現在の調査の実態に変更が生じるということではございません。調査計
画について、より明確に、現実をより的確に反映するような記載をするための変更でござ
います。
まず、これについて、事務局から審査メモに沿って御説明をお願いいたします。
しろまる森総務省政策統括官(統計制度担当)付調査官 審査メモの6ページを御覧ください。
患者調査では従来、
図表3の上段に記載のとおり、
母集団である医療施設基本ファイル、
具体的には医療施設調査(静態調査)の調査結果名簿に、動態調査により把握された最新
の状況を加味して作成した名簿となりますが、これから、患者調査の標本を抽出する方法
が調査計画に記載されています。
厚生労働省が実施する一般統計調査である受療行動調査という別の調査が平成8年に始
まるまでは、この流れでした。
しかしながら、受療行動調査が開始してからは、図表3の下段のとおり、医療施設基本
ファイルから患者調査の標本抽出をする間に、受療行動調査の標本を抽出する工程が含ま
れるようになりました。
具体的には、青線で囲んでいるところですが、患者調査の病院外来(奇数)調査票で報
告を求める約3,400の病院のうち、500病院については、受療行動調査の標本として別途選
定された病院を充て、
残る約2,900施設について、
医療施設基本ファイルから直接選択する
方法となっています。
サンプルの選定全体としてみれば、変更後においても、医療施設基本ファイルから患者
調査のサンプルを選定していることに変わりはないということもあり、
厚生労働省として、
その流れを患者調査の計画に記載することに思い至らなかったようですが、令和4年7月
に実施した厚生労働省の自己点検において、調査計画に明確に記載した方がよいという判
断がされ、今回記載を変更することとしています。
これらの変更については、PDCAによる自己点検の結果として、標本抽出の流れを実
態に即して明確に記載するものであり、おおむね適当と考えていますが、図表3上段に記
載した現行の計画に記載された流れの延長線として、医療施設基本ファイルから選んだ患
者調査のサンプル約3,400から、受療行動調査の500を選ぶ方がシンプルではないかと思え
るところもありまして、
受療行動調査のサンプル500を先に選定する理由について、
厚生労
働省に改めて説明していただこうと考えています。
事務局からは以上です。
-16-
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
それでは、論点に対する回答について、調査実施者である厚生労働省から御説明をお願
いいたします。
しろまる渡邉厚生労働省政策統括官付参事官付審査解析官 厚生労働省の審査解析室渡邉と申し
ます。よろしくお願いします。
資料3の14ページ、それから16ページのイメージ図以降のところを御覧ください。患者
調査の標本でございますが、調査上の必要から層化抽出を行っており、母集団である医療
施設基本ファイルに設けた層ごとの抽出率が均一とはなっていないところでございます。
そのため、医療施設基本ファイルの層別構成比と、患者調査の標本としての層別構成比が
異なるということになっています。
このような状況で、患者調査の標本から医療施設調査の標本を抽出しますと、患者調査
の層別構成比のゆがみに起因し、受療行動調査の抽出に偏りが生じることになります。そ
こで、本来の母集団である医療施設基本ファイルから受療行動調査の標本500施設を直接
抽出することで、まず、受療行動調査の抽出の偏りを排除し、その上で、患者調査のみの
対象となる約2,900施設について、患者調査の層別に必要な数だけ追加して抽出すること
で、患者調査の標本の質も担保されることになると考えています。
以上です。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
それでは、ただ今の御説明に対し、御質問や御意見のある方、御発言をお願いいたしま
す。加藤臨時委員、お願いいたします。
しろまる加藤臨時委員 ありがとうございます。
今の御説明の中で、1点分からなかった点があるので教えていただきたいのですが、厚
生労働省の回答の中で、患者調査は、調査上の必要性から、母集団である医療施設基本フ
ァイルで設けた層ごとの抽出率は均一でない。そのため、医療施設基本ファイルの層別構
成比と、患者調査としての層別構成比が異なることになるという御回答を頂いたと思いま
すが、この点についてもう少し詳しく御説明いただいた方が理解が進むと思いますので、
お願いできないかと思います。よろしくお願いいたします。
しろまる津谷部会長 厚生労働省から、もう少し詳しく具体的な御説明をお願いできますでしょ
うか。
しろまる渡邉厚生労働省政策統括官付参事官付審査解析官 16ページのイメージ図を御覧いただ
ければと思います。
まず、母集団につきましては医療施設基本ファイルということになっておりまして、こ
れを患者調査の層化抽出ということで、患者調査の層別に抽出率を定め、標本を選ぶこと
となっています。
調査計画の記載どおりになりますと、それが約3,400施設ということになり、
この標本か
ら受療行動調査の標本を選ぶということになるわけです。その場合、患者調査の標本の層
別構成は母集団とは異なるということになりますので、このような状況で単純に500施設
を受療行動調査の標本として抽出してしまいますと、そのバイアスがそのまま受療行動調
-17-
査の標本にも影響すると考えています。
そのため、
受療行動調査は標本500施設と非常に小さい標本になりますので、これを母集
団である医療施設基本ファイルから先に抽出を行いまして、その上で、患者調査の残りの
標本を選ぶというような方法にしているところでございます。
しろまる津谷部会長 御回答は済みましたでしょうか。よろしいでしょうか。
加藤臨時委員、いかがでございますか。
しろまる加藤臨時委員 ありがとうございます。この層というのが少し意味が分からなかったの
ですが、医療施設の規模その他のことを層という意味で使われているのでしょうか。その
点を教えていただければと思います。
しろまる渡邉厚生労働省政策統括官付参事官付審査解析官 分かりました。こちらの層と記載し
ていますのは患者調査の層になります。この層につきましては、このイメージの次のペー
ジの注1というところに記載しているとおり、47都道府県と病院の種類規模別の20層、こ
れらによって層化しているところでございます。
しろまる加藤臨時委員 分かりました。
しろまる津谷部会長 よろしいでしょうか。
しろまる加藤臨時委員 ありがとうございました。承知いたしました。
しろまる津谷部会長 患者調査の層ごとの抽出率が異なるため、患者調査から受療行動調査のサ
ンプルを更に抽出すると、このゆがみがそのまま持ち越されることになるという御回答で
あったかと思います。よろしいでしょうか。
実際に行っている標本抽出の手順をきちんと正確に記載することはもちろん必要です。
今回、抽出手順の記載の不備がPDCAサイクルを回したことによって分かったことは、
自己点検がきちんと行われた結果ですので、これについては高く評価したいと思います。
そのほか、御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
この標本抽出の手順の記載につきましては、変更内容をより明確に理解したいというこ
とで、更なる説明を求めるという御意見もありましたが、変更内容自体については特に御
異論は出なかったと理解をいたしますので、御承認いただいたものとして整理させていた
だきたいと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。審議が大変順調に進んでおりまして、厚生労働省が説明のため
の資料を、データも含めて綿密に御準備いただいたこともあり、大変効率的に時間を使う
ことができております。
まだ、終了予定時間の15時まで少し時間ございますので、審議を進めさせていただきた
いと思います。
それでは次に、審査メモに沿って、
「2 前回答申で示された課題への検討状況」につい
て、審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
しろまる森総務省政策統括官(統計制度担当)付調査官 審査メモの8ページから9ページを御
覧ください。
前回答申で示された課題としては、
(1)のオンライン調査の更なる推進と、
(2)の調
査結果の適切な公表の2点がありましたが、
(2)の調査結果の適切な公表については、既
-18-
に公表の時期等の変更の議題で審議いただきましたので、ここでは省略いたします。
オンライン調査の推進に関しましては、両調査において、前回令和2年調査時の取組実
績として、アのところですけども、アの枠囲みの記載のとおり、コールセンターの拡充や
経由機関審査ツールの拡充が行われたところです。その結果、図表5のとおり、両調査と
もオンライン回答率の向上が見られました。
厚生労働省においては、令和5年調査の実施に当たり、令和2年調査時の対応を含め、
ウのところですけども、枠組みのところに記載のとおり、コールセンターの更なる拡充や
電子調査票の拡充等が予定されておりまして、
現状における取組としては適当とした上で、
特に個別の論点は設けておりません。
事務局からは以上です。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
オンライン調査の更なる推進について、次回のこの調査においても様々な取組が計画さ
れているということですので、9ページにも記載されておりますが、特に個別の論点はな
いということです。調査実施者である厚生労働省から何か追加でコメント、御発言はござ
いませんでしょうか。
しろまる高山厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計官 厚生労働省の高山でございます。
審査メモに記載いただいたとおりのことを令和5年調査で取り組んでまいりたいと考え
ています。
この取組を行うことで、オンラインでの回答率の向上を更に図りまして、作業工程の効
率化、そして、かつ統計の質を担保することを目指して、令和5年調査に取り組んでまい
りたいと思っています。
以上でございます。
しろまる津谷部会長 ありがとうございました。
審査メモの9ページにも示されているように、コールセンターの更なる拡充、そして更
にオンライン調査のPRを積極的に行うことは必要です。ただ、恐らくそれだけでは十分
ではなく、オンライン回答のために、より使い勝手のよい、より回答しやすい形態の電子
調査票を提供することが重要ですので、エクセル形式だけでなくHTML形式でも提供し
ていただきたいと思います。
また、報告者である医療施設のみならず、経由機関にも審査ツールを提供することです
が、
オンライン調査の更なる効率化、
そしてより精緻な情報を提供できるという意味でも、
これは望ましいことであると思います。PRだけではなく、いろいろな手段を提供して、
これを全面的に推し進めていただくという方向で対応をお願いしたいと思います。
それでは、ただ今の調査実施者の御対応について、さらなる御質問、御意見ございまし
たら、御発言をお願いいたします。よろしいでしょうか。
先ほど康永専門委員から、医療機関は大変多忙であるので、回答をできる限り効率的に
行えるようにして、マンパワーや時間がかからない形で調査が行えるようにするための手
段や調査環境を整えていくことの重要性について御発言があったと思います。ただ、オン
ライン調査の更なる推進については、特に論点はないということですので、特段の御異論
-19-
はないということで、この変更は御了承いただいたものとして整理させていただいてよろ
しいでしょうか。
その他、追加の御意見ございませんでしょうか、よろしいでしょうか。
それでは、これについても御了承をいただいたと整理させていただきます。ありがとう
ございました。
まだ、終了予定時刻まで時間はありますが、本日の部会の冒頭で申し上げたとおり、統
計委員会建議への対応については、次回の部会での審議を予定しております。また、本日
の審議を踏まえた答申案につきましても、次回の部会でお示しして、皆様方に御確認をい
ただき、御意見を頂きたいと思います。
それでは、予定しておりました議題についての審議が全て終わりましたので、終了予定
時間よりもまだかなり早いですが、本日の審議はここまでとさせていただきます。
内山審査官から一言お願いいたします。
しろまる内山総務省政策統括官
(統計制度担当)
付統計審査官 本日はありがとうございました。
今回の一連の部会審議で予定しておりますのは、まず、医療施設調査、それから患者調査
の変更、これが本来の諮問内容になります。
それに加えまして、令和4年8月の統計委員会で建議が出されました。その中で、医療
施設調査の動態調査に関する遅延調査票の取扱いについて幾つかの課題を頂戴していたと
いうことで、この諮問審議の機会を捉えて一緒に議論していただこうということで予定を
しております。
建議の中で言われていたこと、幾つかございます。それにつきましては、既に審査メモ
の10ページから12ページにかけて記載がございますので、次回に向けてイメージを持って
いただければ幸いかと存じますが、建議で直接課題として挙げられた事項についての厚生
労働省の対応、
既になされているものもありますし、
これからというものもありますので、
対応実績、それから対応予定を、次回説明していただきます。
それから、直接建議で指摘されたわけではないのですが、今回の建議対応をされている
過程で、厚生労働省が新たに見つけたという事実もございます。12月の統計委員会での諮
問の説明のときにも申し上げましたが、いわゆる遅延調査票とは別の形態の提出方法があ
ったということ、それから、住居表示の変更情報についても動態調査では把握をしている
のですが、これについてのデータの取扱いについて、調査計画上もう少し詳しく記載した
方が良いのではないか、そういうことも検討されていると聞いています。
そのようなことも含め、
次回2月7日にまとめて御議論いただければと思っております。
本日のところは、厚生労働省の回答である資料3の建議対応のところは、次回に向けて作
成中という形にしていますので、いましばらくお時間を頂戴できれば幸いでございます。
ありがとうございます。
しろまる津谷部会長 内山審査官、追加の御説明ありがとうございました。
繰り返しになりますが、審査メモの10ページから12ページにかけての部分については、
次回の部会での審議とさせていただきたいと思います。審査官からも御指摘がございまし
たように、これは医療施設調査の動態調査に関するものでございます。今回の諮問の対象
-20-
となっているのは静態調査ですが、同じ医療施設調査であるということと、昨今の公的統
計をめぐる状況を考えると、統計委員会の建議への適切かつ的確な対応が求められている
と思いますので、これについては次回の部会で審議していただきたいと思います。
本日審議した事柄については、臨床研修医の削除について、宇南山臨時委員から御発言
があり、この情報の重要性と、この情報がきちんと入手できることを確認したいという御
意見がございましたが、これも含めて全ての事項について御了承をいただいたと整理させ
ていただきたいと思います。
なお、繰り返しになりますが、統計委員会の建議に対する対応と諮問への答申案は、次
回の部会での審議とさせていただきます。次回の部会では、答申案をお示しし、その方向
性と内容について御確認いただき、御意見を頂きたいと考えております。
本日の部会の審議内容に関して、追加での御質問やお気づきになった点などございまし
たら、時間が押しており恐縮ですが、1月19日木曜日の正午までに事務局に電子メールな
どにより御連絡をいただければと思います。
なお、本日の審議結果は、今月下旬に開催が予定されている統計委員会において、私か
ら報告させていただきます。
それでは、最後に、事務局から御連絡をお願いいたします。
しろまる内山総務省政策統括官(統計制度担当)付統計審査官
内山でございます。重ねて失礼をいたします。本日も御審議いただきまして、ありがと
うございました。
次回の部会は、2月7日火曜日の今度は午前になります。10時からということで今回同
様ウェブでの開催を予定しています。
先ほどの私の発言と少し重複いたしますが、次回のメニューといたしましては、大きく
二つ。一つ目としては、本日議論できなかった建議対応プラスアルファというところです
けども、建議対応が大きな議題の一つ目。
それから二つ目としては、本日御議論いただきました医療施設調査と患者調査の変更内
容についての答申案について、今日の議論を踏まえて作成できると思いますので、作成し
た答申案を御確認いただきます。
また、部会長からもお話がありましたとおり、計画の変更内容については、本日ひとま
ず議論が終了していますが、追加で御質問等お気づきの点ございましたら、今週1月19日
木曜日正午ということで、メールにて御連絡いただければと思います。
なお、別の案件となりますが、本部会の経常的な委員の方々におかれましては、12月の
部会で御審議いただいて先日確認いただいた住宅・土地統計調査の答申案について、明日
から書面決議を開始する予定です。いろいろな案件が輻輳して申し訳ございませんが、御
連絡するメールを分かりやすく記載をいたしますので、そちらの方もどうぞよろしくお願
いをいたします。
以上でございます。
しろまる津谷部会長 内山審査官、ありがとうございました。
住宅
・土地統計調査の答申案の書面決議についても、
何とぞよろしくお願いいたします。
-21-
以上をもちまして、本日の部会は終了とさせていただきます。活発な御議論、御意見あり
がとうございました。
また、厚生労働省におかれましては、大変具体的かつ詳細な御説明ありがとうございま
した。
次回の部会審議もどうぞよろしくお願いをいたします。
本日はありがとうございました。

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