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規制の事前評価書(簡素化)
法律又は政令の名称:放送法及び電波法の一部を改正する法律案
規 制 の 名 称:複数の放送対象地域における放送番組の同一化
規 制 の 区 分:新設、改正(拡充、緩和)
、廃止 (注記)いずれかにしろまる印を付す。
担 当 部 局:総務省情報流通行政局放送政策課
評 価 実 施 時 期:令和5年2月
1 簡素化した規制の事前評価の該当要件
1 簡素化した規制の事前評価の該当要件
規制の事前評価を行うことが義務付けられている政策のうち、以下の表1に掲げるi〜vii
のいずれかの要件に該当する政策は、簡素化した評価手法を適用できる。
簡素化した規制の事前評価を行う場合、
該当する要件を明らかにした上、
当該要件を満たし
ていることをいずれかの項目において説明すること。
該当要件: ii
(注記) 以下の表1を確認の上、該当する要件の番号を記載すること。
表1:簡素化した規制の事前評価の該当要件
番号 該当要件i規制の導入に伴い発生する費用が少額
遵守費用が年間 10 億円((注記))未満と推計されるもの。
(注記) 設備投資に関しては、一定の設備投資を伴う規制の場合は、初年度を中心とした設備投
資額の総額を対象とする。また、初期の設備投資を必要としない規制の場合は、10 年間程
度の設備の維持管理費用の総額を目安とする。
くろまる 「3. 直接的な費用の把握」4において、金銭価値化した遵守費用を記載するこ
と。ii規制緩和措置であり、副次的な影響が無視できるもの
・ 副次的な影響が十分に小さいことが予想されるもの。
・ 副次的な影響を小さくするための行政による監視措置が十分に考慮されているも
の。ただし、行政費用が大きく増加することが予想される場合は、簡素化した評価の
中で、行政費用は可能な限り定量化して推計することが望まれる。
くろまる 「4.副次的な影響及び波及的な影響の把握」6において、副次的な影響(社会に
対する負の影響)が小さいことを記載すること。
- 2 -iii国際条約批准に伴う規制であって裁量余地のないもの
国際条約の批准に伴い、我が国において履行するため導入することとした規制であ
って、批准国として裁量の余地がなく機械的に整備するものであるもの。
くろまる 「2.規制の目的、内容及び必要性」3において裁量余地がないこと及び「3. 直
接的な費用の把握」4において金銭価値化した遵守費用の推計を記載すること。iv国内法に基づく下位法令により導入される規制であって裁量余地のないもの
我が国の法律により規制を導入されることが決定されているものの、具体的要件に
ついては政令に委任されていることに伴い導入される規制であって、裁量の余地がな
く機械的に整備するものであるもの。
くろまる 「2. 規制の目的、内容及び必要性」3において裁量余地がないこと及び「3. 直
接的な費用の把握」4において金銭価値化した遵守費用の推計を記載することv科学的知見に基づき導入される規制であって、行政裁量の余地がないもの
研究者等専門家の知見や実証実験結果といった科学的知見を根拠に導入される規制
であって、その内容、度合い等について行政の裁量余地がないもの。
ただし、規制の導入により副次的な影響(重要な効果(便益)の喪失、重要な行動変
容(代替)等)
((注記))が発生する可能性があるものについては適用しない。
(注記) 例えば、ある物質を規制することで、これまで医療用途など有益な用途に使っていたもの
が使えなくなる、代替された別物質がまた異なる影響を及ぼす可能性が高いなどが想定され
る。
くろまる 「2. 規制の目的、内容及び必要性」3において科学的知見の根拠並びに裁量余地
がないこと及び「4.副次的な影響及び波及的な影響の把握」6において副次的な影
響(重要な効果(便益)の喪失、重要な行動変容(代替)等)がないことを記載する
こと。vi何らかの理由により緊急時に導入することとされたもの
事前評価に時間を割けない合理的理由がある場合に、
避難的措置として、
簡素化した
評価を実施し、最低限の説明責任を果たすもの。ただし、一定期間(3 か月〜半年程度
経過)後に、本来行われるべき事前評価を行うものとする。
くろまる 「2.規制の目的、内容及び必要性」3において、緊急的に導入する理由を記載す
ること。vii規制を導入する時点では、規制の対象・範囲が予測又は特定できないもの
・ 災害発生時に発動される規制のように、
事態発生を想定して事前に導入する規制の
場合、これは、発生しない限りはその適用度合い等が予測できず、十全の事前評価を
行うことに限界があるもの。
・ 消費者や商取引者の保護のため、
適切な商取引を確保することを意図した規制のよ
うに、規制の導入の際にあらかじめ違法又は脱法による商取引を行っている者の総
数等を把握することが困難なもの。
くろまる 「2.規制の目的、内容及び必要性」3において、規制の対象・範囲が予測又は特
定できない理由を記載すること。
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2 規制の目的、内容及び必要性
2 規制を実施しない場合の将来予測(ベースライン)
「規制の新設又は改廃を行わない場合に生じると予測される状況」について、明確かつ簡
潔に記載する。なお、この「予測される状況」は 5〜10 年後のことを想定しているが、課題
によっては、現状をベースラインとすることもあり得るので、課題ごとに判断すること。
(現状をベースラインとする理由も明記)
現在、放送法(昭和 25 年法律第 132 号。以下「法」という。
)では、経営困難な状態に陥って
いる基幹放送事業者を支援するため、放送サービスに対する需要が減少している地域において
も、基幹放送事業者が経営を継続し、中長期的に国内基幹放送を維持することができるよう、経
営基盤強化計画認定制度を設けている(法第 116 条の2から第 116 条の6まで)
。同制度は、基
幹放送事業者が総務大臣に収益性向上に関する計画(経営基盤強化計画)を提出し、総務大臣が
これを認定した場合、当該基幹放送事業者に対し、1特定放送番組同一化(法第 116 条の3第2
項第5号イ、以下「放送番組の同一化」という。
)及びそれに伴う放送番組審議機関の共同設置、
2基幹放送の業務の認定の更新時又は特定地上基幹放送局の再免許時における経理的基礎
(経理
的な事業遂行能力)審査の免除等の特例を認めるものである。
昨今、人口減少、若者のテレビ離れ、インターネット動画配信サービスの伸張等により、特に、
地方における地上基幹放送事業者の経営は年々厳しさを増しつつあるが、
地上基幹放送は地域住
民の生活にとって重要な基幹メディアであるため、地方に限らず、地上基幹放送事業者が将来的
に経営困難に陥ることを回避し、地上基幹放送を中長期的に維持する必要がある。
そこで今回は、経営困難状態の基幹放送事業者を対象とした現行制度を維持することにより、
中長期的に地上基幹放送の維持が困難となる場合をベースラインとする。
3 課題、課題発生の原因、課題解決手段の検討(新設にあっては、非規制手段との比較に
より規制手段を選択することの妥当性))
課題は何か。課題の原因は何か。課題を解決するため「規制」手段を選択した経緯(効
果的、合理的手段として、「規制」「非規制」の政策手段をそれぞれ比較検討した結果、
「規制」手段を選択したこと)を明確かつ簡潔に記載する。
【課題及び課題の発生原因】
・ 昨今の人口減少、インターネット動画配信サービスの伸張、視聴スタイルの多様化によるテ
レビ離れ等、放送を取り巻く環境が大きく変化しており、地方における地上基幹放送事業者の
経営状況は年々厳しくなってきている。
・ 現在、既に経営困難状態にある基幹放送事業者の収益性向上の取組支援を目的として、経営
基盤強化計画認定制度を設けている。
当該制度を利用すると放送番組の同一化を行うこと等が
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可能となり、固定的経費を抑制する効果があるが、基幹放送事業者としては、当該認定制度の
利用申請をすることで自社が経営危機状況にあることを自認することとなり、また、総務省に
おいて当該制度を利用したことが公表されるため、
出資先や取引先に悪影響を与えかねない等
の理由から、当該制度の創設後 10 年弱が経過した現在も申請の実績がない。
・ また、
基幹放送事業者からは、
地上基幹放送業務に係る設備維持、
運用費用等を考慮すると、
現在、経営困難状態にない基幹放送事業者であっても、経営基盤強化計画認定制度の一部であ
る放送番組の同一化については経営改善を目的として利用したいという声もあるが、
現行制度
は、実際に経営困難状態にならないと利用できない。
・ よって、地上基幹放送を中長期的に維持するためには、経営困難な基幹放送事業者の支援の
ために創設した現行制度を見直す必要がある。
【課題解決手段の検討】
・ 当該制度創設時から放送を取り巻く環境は変化しているが、地上基幹放送が地域住民の生活
にとって重要な基幹メディアであることは変わらず、同放送が引き続き、その社会的役割を果
たす必要がある。
そのためには、
基幹放送事業者が出資先等へ与える影響を懸念することなく、
将来的な経営効率化に有効な放送番組の同一化を活用しやすい制度にする必要がある。
(また、放送設備の更新も含めたランニングコスト等に対する支援を設けることも考えられる
が、
基幹放送事業者における自律し持続可能な経営を促すという観点とは必ずしも相容れない
ため、当該支援のための補助金や租税特別措置等の非規制手段ではなく、本規制緩和が適当で
あると考える。)1 放送番組の同一化を活用しやすくするためには、
経営状況にかかわらず制度を利用可能とす
ることが考えられるが、現行制度の認定条件には経理的審査への適合が含まれているため、当
該制度を利用する事業者名が公表された時点で、
当該認定を受けた基幹放送事業者が経営困難
に陥っていることが周知されることになる。
2 現行制度は、経営困難な基幹放送事業者による経営改善(収益性向上)のために例外的に放
送番組の同一化を認めるものであり、放送法第 91 条に規定する放送対象地域の範囲(原則都
道府県単位)を大幅に超えることは想定していないが、将来的な経営リスクに対応する観点か
らほかの基幹放送事業者にも放送番組の同一化の利用を可能とする場合、
当該対象地域の範囲
を大幅に超過することも考え得ることから、
地域住民の生活にとって重要な情報を提供できる
基幹メディアとしての役割が果たせる範囲内で放送番組の同一化が行われるよう、
放送番組の
同一化の対象地域について制限する必要がある。
・ よって、次のとおり規制する必要がある。
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【規制の内容】
1 現行制度の認定条件から経営基盤強化に係る要件を撤廃し、
特定地上基幹放送局の再免許時
(又は認定基幹放送事業者の認定の更新時)の「経理的基礎」の審査免除特例を撤廃。
2 1に伴い、放送番組の同一化を行う放送対象地域を自然的・経済的・社会的・文化的諸事情
が相互に相当程度共通していると認められる地域(例えば、隣接する県)に限定し、同一化す
る放送対象地域の数の上限を総務省令で規定。
3 直接的な費用の把握
4 「遵守費用」は金銭価値化(少なくとも定量化は必須)
「遵守費用」、「行政費用」について、それぞれ定量化又は金銭価値化した上で推計すること
が求められる。しかし、全てにおいて金銭価値化することなどは困難なことから、規制を導入
した場合に、国民が当該規制を遵守するために負担することとなる「遵守費用」については、
特別な理由がない限り金銭価値化を行い、少なくとも定量化して明示する。
今回の改正は、経営基盤強化計画の認定制度を見直し、基幹放送事業者の個別の経営状態にか
かわらずに放送番組の同一化を実施可能とするものである。
基幹放送事業者が本制度を利用する
際の手続に変更はなく、現行制度で必要な記載事項の一部(法第 116 条の4第2項第1号〜第4
号)が記載不要となるため、遵守費用は減少すると考える。
5 規制緩和の場合、モニタリングの必要性など、
「行政費用」の増加の可能性に留意
規制緩和については、単に「緩和することで費用が発生しない」とするのではなく、緩和
したことで悪影響が発生していないか等の観点から、行政としてモニタリングを行う必要が
生じる場合があることから、当該規制緩和を検証し、必要に応じ「行政費用」として記載す
ることが求められる。
放送番組の同一化に係る審査は、現行制度下においても実施するものであり、放送対象地域の
数の上限を含め、行政上の手続に変更はない。また、現在と同様に、改正後においても基幹放送
事業者に対し、本件制度の実施状況について報告を求めることが可能であり、その行政上の手続
にも変更はないため、新たなモニタリング費用が生じるものではない。よって、今回の改正によ
り行政費用の増加が発生することは想定されない。
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4 副次的な影響及び波及的な影響の把握
6 当該規制による負の影響も含めた「副次的な影響及び波及的な影響」を把握するこ
とが必要
副次的な影響及び波及的な影響を把握し、記載する。
(注記) 波及的な影響のうち競争状況への影響については、
「競争評価チェックリスト」の結
果を活用して把握する。
放送番組の同一化により放送対象地域の地域住民等に届く情報の多様性が減少しうるが、
放送
番組の同一化に当たっては基幹放送事業者が地域性確保措置をとらなければならないと定めら
れている(放送法第 116 条の4第2項第2号)ことから、必要な地域情報の発信は担保できるも
のと考えられるため、副次的な影響や波及的影響は小さいものと考えられる。
5 その他の関連事項
7 評価の活用状況等の明記
規制の検討段階やコンサルテーション段階で、
事前評価を実施し、
審議会や利害関係者から
の情報収集などで当該評価を利用した場合はその内容や結果について記載する。
また、
評価に
用いたデータや文献等に関する情報について記載する。
本規制緩和は、総務省主催の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」での
検討結果を取りまとめた
「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまと
め」の内容を踏まえて実施するものである。
・デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital_hososeido/index.html
6 事後評価の実施時期等
8 事後評価の実施時期の明記
事後評価については、規制導入から一定期間経過後に、行われることが望ましい。導入した
規制について、費用及び間接的な影響の面から検証する時期を事前評価の時点で明確にして
おくことが望ましい。
なお、実施時期については、規制改革実施計画(平成 26 年 6 月 24 日閣議決定)を踏まえる
こととする。
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本改正の施行状況を踏まえ、施行後概ね5年以内に事後評価を実施し、必要があると認めると
きは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
9 事後評価の際、費用及び間接的な影響を把握するための指標等をあらかじめ明確に
する。
事後評価の際、
どのように費用及び間接的な影響を把握するのか、
その把握に当たって必要
となる指標を事前評価の時点で明確にしておくことが望ましい。
規制内容によっては、
事後評
価までの間、
モニタリングを行い、
その結果を基に事後評価を行うことが必要となるものもあ
ることに留意が必要
・ 放送番組の同一化制度の申請者数
・ 放送番組の同一化を実施する基幹放送事業者の数
(なお、放送番組の同一化を実施している基幹放送事業者に対し、その実施状況を求める規定に
基づき、当該同一化に基づく副次的影響等を把握することも考えられる。)

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