- 1 -
規制の事後評価書
法律又は政令の名称:電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する
法律
規 制 の 名 称:電気通信業務の休止及び廃止の際の周知に関する届出義務
規 制 の 区 分:新設、改正(拡充、緩和)
、廃止 (注記)いずれかにしろまる印を付す。
担 当 部 局:総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政第一課
評 価 実 施 時 期 :令和4年 7月
1 事前評価時の想定との比較
1 課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び想定外の影響の発現
の有無
規制の事前評価後、課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響が生じて
いる場合、その影響について記載する。また、規制の事前評価時には想定していなかった影
響が発現していないかを確認し、発現の有無及びその内容を記載する。
事前評価後、
現時点においては課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び
想定外の影響は生じていない。
2 事前評価時におけるベースラインの検証
規制の事前評価後、大幅な社会経済情勢等の変化による影響があった場合は、これを差
し引いた上で、事後評価のためのベースライン(もし当該規制が導入されなかったら、ある
いは緩和されなかったらという仮想状況)を設定する。
事前評価時においては、固定電話網のIP網への移行等に伴い、様々な電気通信サービスの終
了が予定されている中、このような状況に対処するための規制をせず、電気通信事業者による利
用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務が休廃止されるにもか
かわらず、利用者への事前の周知が十分に行われない状況が生じることを想定していたところ、
事前評価後、
現時点においては課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び想
定外の影響は生じておらず、ベースラインに変更はない。
- 2 -
3 必要性の検証
規制の事前評価後に生じた、課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響又
は想定していなかった影響の発現を踏まえた上で、当該規制の必要性について改めて検証
し、記載する。
規制の事前評価後、
現時点においては当該規制の必要性に大きく影響を与えるような社会経済
情勢や科学技術の変化は特段認められなかった。よって、利用者の利益を保護するためには、引
き続き当該規制は必要である。
2 費用、効果(便益)及び間接的な影響の把握
4 「遵守費用」の把握
「遵守費用」、「行政費用」について、それぞれ定量化又は金銭価値化した上、把握すること
が求められるが、特に「遵守費用」については、金銭価値化した上で把握することが求められ
る。その上で、事前評価時の費用推計と把握した費用を比較し、かい離がある場合、その理由
を記載する。
電気通信事業者は、
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務
の休廃止については、定められた様式により事前に総務大臣に届け出なければならない。
届出に係る費用については、事前評価時点において、遵守費用を定量化していないため、事後
評価時点と比較することはできないが、電気通信事業者が届出を行う場合、届出様式への記載に
担当者2名で1時間を要すると仮定して試算すると、届出に要する費用は 5,884 円((注記))
/件であ
る。なお、令和元年5月から令和4年6月までの届出件数は4件であったため、仮に、それぞれ
5,884 円を要したとすると、その費用の合計は約 23,536 円と試算される。
((注記))
年間平均給与額÷年間総労働時間=担当者の時給
4,957,000 円÷1,685 時間≒2,942 円
(年間平均給与額については、国税庁「民間給与実態統計調査」
(令和2年)の平均給与
(正規)
、年間総労働時間については、厚生労働省「労働統計要覧」
(令和2年)の実労働
時間数(事業所規模 30 人以上)による。以下同じ。
)×ばつ届出に要する時間=届出に要する費用
2,942 ×ばつ1時間=5,884 円
- 3 -
5 「行政費用」の把握
行政費用については、定量化又は金銭価値化した上、把握することが求められる。特に規
制緩和については、緩和したことで悪影響が発生していないか等の観点から、行政としてモ
ニタリングを行う必要が生じる場合があることから、当該規制緩和に基づく費用を検証し
「行政費用」として記載することが求められる。また、事前評価時の費用推計と把握した費
用を比較し、かい離がある場合、その理由を記載する。
事前評価時点において、行政費用を定量化していないため、事後評価時点と比較することはで
きないが、届出の受付に係る事務に2人で1時間を要すると仮定して試算すると、届出の受付に
要する費用は 5,884 円((注記))
/件である。
なお、令和元年5月から令和4年6月までの届出の件数は4件であったため、仮に、それぞれ
5,884 円を要したとすると、その費用の合計は約 23,536 円と試算される。
((注記))
年間平均給与額÷年間総労働時間=担当者の時給
4,957,000 円÷1,685 時間≒2,942 ×ばつ届出の受付に要する時間=届出の受付に要する費用
2,942 ×ばつ1時間=5,884 円
6 効果(定量化)の把握
規制の事前評価時に見込んだ効果が発現しているかの観点から事前評価時に設定した指標
に基づき効果を可能な限り定量的に把握する。また、事前評価時の効果推計と把握した効果
を比較し、かい離がある場合、その理由を記載する。
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務の休廃止の際の事
前届出制度が導入された結果、
総務大臣が当該休廃止の周知の実施に関する情報をあらかじめ取
得し、事業者が行おうとする周知では利用者の利益を保護する観点から明らかに不適切・不十分
であると認められる場合には、
周知が実際に開始される前に総務大臣から是正措置を講ずること
により、利用者の利益が保護されない事態が生じないようにすることが可能となった。
当該規制により、
各電気通信事業者における利用者への周知の適切かつ十分な実施が担保され
たが、未然に防止された利用者被害の件数と、それによる利用者の利益の保護の効果を定量的に
把握することは困難である。
- 4 -
7 便益(金銭価値化)の把握
把握された効果について、可能な限り金銭価値化して「便益」を把握することが望まし
い。なお、緩和により削減された遵守費用額は便益として把握する必要がある。また、事前
評価時の便益推計と把握した便益を比較し、かい離がある場合、その理由を記載する。
上記のとおり、当該規制の効果について定量的に把握することは困難であり、そのため金銭価
値化も困難である。
8 「副次的な影響及び波及的な影響」の把握
副次的な影響及び波及的な影響を把握し、記載する。また、規制の事前評価時に意図して
いなかった負の影響について把握し、記載する。さらに、事前評価時に想定した影響と把握
した影響を比較し、かい離がある場合、その理由を記載する。
(注記) 波及的な影響のうち競争状況への影響の把握・分析の方法については、公正取引委員会
が作成するマニュアルを参照のこと。
(注記) 規制の事前評価時に意図していなかった負の影響の把握については、ステークホルダー
からの情報収集又はパブリックコメントなどの手法を用いることにより幅広く把握するこ
とが望まれる。
副次的な影響及び波及的な影響は確認できない(認められない)。3 考察
9 把握した費用、効果(便益)及び間接的な影響に基づく妥当性の検証
把握した費用、効果(便益)及び間接的な影響に基づき、規制の新設又は改廃の妥当性につ
いて考察を行う。また、考察に基づき、今後の対応について検討し、その結果を記載する。
上記のとおり、遵守費用及び行政費用として一定の費用が生じているが、その費用はいずれも
軽微である。
一方で、各電気通信事業者による周知が適切かつ十分に行われることで、利用者の利益の保護
が図られている。
以上から、本規制による費用は限定的であるが、一定の効果があると認められ、間接的影響も
認められないため、本規制を継続することが妥当であると考えられる。
(注記) 当該規制に係る規制の事前評価書を添付すること。
- 5 -
規制の事前評価書
法律又は政令の名称: 電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法
の一部を改正する法律(案)
規 制 の 名 称: 電気通信業務の休止及び廃止の際の周知に関する届出義務
規 制 の 区 分:新設、改正(拡充、緩和)
、廃止 (注記)いずれかにしろまる印を付す。
担 当 部 局:総務省 総合通信基盤局 事業政策課
評 価 実 施 時 期 :平成30年 3月
1 規制の目的、内容及び必要性
1 規制を実施しない場合の将来予測(ベースライン)
「規制の新設又は改廃を行わない場合に生じると予測される状況」について、明確かつ簡
潔に記載する。なお、この「予測される状況」は 5〜10 年後のことを想定しているが、課題
によっては、現状をベースラインとすることもあり得るので、課題ごとに判断すること。
(現状をベースラインとする理由も明記)
近年、電気通信設備の老朽化等を背景に、電気通信事業者において国民に幅広く利用されてい
る電気通信サービスを終了し、又は終了することを予定している。そうした中、情報通信技術の
進展等により、電気通信サービスが高度化・多様化・複雑化し、高齢者を含めて電気通信サービ
スの利用者層が広がり、利用者と電気通信事業者との情報の非対称性が拡大していることから、
利用者が、サービス終了までの限られた期間に、移行先の選択肢となり得るサービス(以下「移
行先サービス」という。
)の内容等を把握・理解した上で選択することは容易でなく、サービス利
用の空白が生じるおそれが高まっている。
他方、
現行制度において電気通信事業者が電気通信サービスを終了する場合は事後届出を行う
こととなっており、電気通信事業者による周知の取組が適切かつ十分でないときに、行政が事前
にその事実を把握し、その電気通信事業者に対応を促すことは困難である。
今後、固定電話網のIP網への移行(2025 年 1 月頃を予定)等に伴い、様々な電気通信サービ
スの終了が予定されている中、このような状況に対処するための規制をせず、電気通信事業者に
よる利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務が休廃止される
にもかかわらず、利用者への事前の周知が十分に行われない状況をベースラインとする。
- 6 -
2 課題、課題発生の原因、課題解決手段の検討(新設にあっては、非規制手段との比較に
より規制手段を選択することの妥当性)
課題は何か。課題の原因は何か。課題を解決するため「規制」手段を選択した経緯(効果
的、合理的手段として、「規制」「非規制」の政策手段をそれぞれ比較検討した結果、「規
制」手段を選択したこと)を明確かつ簡潔に記載する。
【課題及びその発生原因】
固定電話網が IP 網に移行するなど情報通信技術の進展等により、電気通信サービスが高度
化・多様化・複雑化するとともに利用者層が広がり、利用者と電気通信事業者との情報の非対
称性が拡大する中で、
休廃止する電気通信サービスについて電気通信事業者による周知が適切
かつ十分でない可能性があることが課題であり、現行の事後届出制においては、行政が電気通
信サービスの休廃止前に電気通信事業者による周知の取組状況を確認し、
必要に応じて電気通
信事業者に適切な対応を促すことができないことがその発生原因である。
【規制の内容】
現行制度において、電気通信事業者が電気通信サービスの休廃止に当たり、義務付けられて
いる利用者に対する周知の内容に関し、行政が、あらかじめその情報を確実に得られるように
するために事前届出制を新たに導入する必要がある。
なお、
「固定電話網の円滑な移行の在り方」
(平成 29 年9月情報通信審議会答申)において、
電気通信事業者による利用者利益の保護に関する取組状況をあらかじめ総務大臣が確認する
など、電気通信サービスの終了に向けた適切な取組を確保するためのルールの導入について、
制度的担保を含め検討することが必要である旨が示されている。
2 直接的な費用の把握
3 「遵守費用」は金銭価値化(少なくとも定量化は必須)
「遵守費用」、「行政費用」について、それぞれ定量化又は金銭価値化した上で推計すること
が求められる。しかし、
全てにおいて金銭価値化するなどは困難なことから、規制を導入した
場合に、国民が当該規制を遵守するため負担することとなる「遵守費用」については、特別な
理由がない限り金銭価値化を行い、少なくとも定量化して明示する。
(遵守費用について)
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務の休廃止について
定められた様式により事前に届け出る制度であり、
新たに発生する遵守費用は限定的であると考
える。
- 7 -
(行政費用について)
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務の休廃止について
定められた様式により事前に届け出る制度であり、
新たに発生する行政費用は限定的であると考
える。
4 規制緩和の場合、モニタリングの必要性など、
「行政費用」の増加の可能性に留意
規制緩和については、単に「緩和することで費用が発生しない」とするのではなく、緩和
したことで悪影響が発生していないか等の観点から、行政としてモニタリングを行う必要が
生じる場合があることから、当該規制緩和を検証し、必要に応じ「行政費用」として記載す
ることが求められる。
(規制緩和するものでないため、該当せず)
だいやまーく簡素化した評価手法による評価だいやまーく
別に定める要件を満たす場合は、簡素化した評価手法による評価を実施することができる。
詳細は、
「規制に係る政策評価の事務参考マニュアル」第三部参照
3 直接的な効果(便益)の把握
5 効果の項目の把握と主要な項目の定量化は可能な限り必要
規制の導入に伴い発生する費用を正当化するために効果を把握することは必須である。定
性的に記載することは最低限であるが、可能な限り、規制により「何がどの程度どうなるの
か」
、つまり定量的に記載することが求められる。
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務の休廃止の際の事
前届出制度が導入された場合には、総務大臣が当該休廃止の周知事項をあらかじめ取得し、電気
通信事業者に対する是正措置を必要に応じて講ずることが可能となり、
各電気通信事業者におけ
る利用者への周知が適切かつ十分に行われることが期待される。
6 可能であれば便益(金銭価値化)を把握
把握(推定)された効果について、可能な場合は金銭価値化して「便益」を把握すること
が望ましい。
(金銭価値化が可能でないため、該当せず)
- 8 -
7 規制緩和の場合は、それにより削減される遵守費用額を便益として推計
規制の導入に伴い要していた遵守費用は、緩和により消滅又は低減されると思われるが、
これは緩和によりもたらされる結果(効果)であることから、緩和により削減される遵守費
用額は便益として推計する必要がある。また、緩和の場合、規制が導入され事実が発生して
いることから、費用については定性的ではなく金銭価値化しての把握が強く求められてい
る。
(規制緩和するものでないため、該当せず)
4 副次的な影響及び波及的な影響の把握
8 当該規制による負の影響も含めた「副次的な影響及び波及的な影響」を把握するこ
とが必要
副次的な影響及び波及的な影響を把握し、記載する。
(注記) 波及的な影響のうち競争状況への影響については、
「競争評価チェックリスト」の結
果を活用して把握する。
利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信サービスに係る電気通信業務の休廃止の際の事
前届出制度が導入されることにより、
各電気通信事業者における利用者への周知が適切かつ十分
に行われ、サービス利用の空白が生じず、利用者の利益が保護されることとなる。
5 費用と効果(便益)の関係
9 明らかとなった費用と効果(便益)の関係を分析し、効果(便益)が費用を正当化で
きるか検証
上記2〜4を踏まえ、費用と効果(便益)の関係を分析し、記載する。分析方法は以下の
とおり。
1 効果(便益)が複数案間でほぼ同一と予測される場合や、明らかに効果(便益)の方
が費用より大きい場合等に、効果(便益)の詳細な分析を行わず、費用の大きさ及び負
担先を中心に分析する費用分析
2 一定の定量化された効果を達成するために必要な費用を推計して、費用と効果の関係
を分析する費用効果分析
3 金銭価値化した費用と便益を推計して、費用と便益の関係を分析する費用便益分析
- 9 -
上記のとおり、
新たに発生する追加的な遵守費用及び行政費用は限定的であると考えられる一
方で、本件規制が導入された場合には、各電気通信事業者による周知が適切かつ十分に行われる
こととなる。
以上から、本件規制により得られる便益は、本件規制の導入に伴う費用を上回っており、本件
規制の導入は妥当と考えられる。
6 代替案との比較
10 代替案は規制のオプション比較であり、各規制案を費用・効果(便益)の観点から
比較考量し、採用案の妥当性を説明
代替案とは、
「非規制手段」や現状を指すものではなく、規制内容のオプション(度合
い)を差し、そのオプションとの比較により導入しようとする規制案の妥当性を説明する。
電気通信業務の休廃止に係る周知の状況を電気通信事業法上の報告徴求において把握するこ
とも考えられるが、
一定期間ごとに当該休廃止の有無にかかわらず全電気通信事業者に対して報
告義務を課すこととなるとともに、
定期的に報告徴求を行うことでその都度遵守費用及び行政費
用が発生することとなり、本件規制と比較して、得られる便益は同じである一方、費用は増大す
ることになるため、この代替案を採ることは適切ではない。
7 その他の関連事項
11 評価の活用状況等の明記
規制の検討段階やコンサルテーション段階で、
事前評価を実施し、
審議会や利害関係者から
の情報収集などで当該評価を利用した場合は、その内容や結果について記載する。また、評価
に用いたデータや文献等に関する情報について記載する。
「固定電話網の円滑な移行の在り方」
(平成 29 年 9 月情報通信審議会答申)において制度改正
が必要とされた事項を踏まえ、今回の改正を行うものである。
- 10 -
8 事後評価の実施時期等
12 事後評価の実施時期の明記
事後評価については、規制導入から一定期間経過後に、行われることが望ましい。導入した
規制について、費用、効果(便益)及び間接的な影響の面から検証する時期を事前評価の時点
で明確にしておくことが望ましい。
なお、実施時期については、規制改革実施計画(平成 26 年 6 月 24 日閣議決定)を踏まえる
こととする。
改正法の施行後 3 年を経過した場合において、改正法の規定の施行の状況について検討を加
え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
13 事後評価の際、費用、効果(便益)及び間接的な影響を把握するための指標等をあら
かじめ明確にする。
事後評価の際、どのように費用、効果(便益)及び間接的な影響を把握するのか、その把握
に当たって必要となる指標を事前評価の時点で明確にしておくことが望ましい。規制内容に
よっては、
事後評価までの間、モニタリングを行い、その結果を基に事後評価を行うことが必
要となるものもあることに留意が必要
各電気通信事業者による電気通信業務の休廃止に係る周知の実施状況を確認する。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /