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規制の事後評価書(要旨)
【効果(定量化)の把握】
[効果]
事前評価後、令和3年4月の5G用周波数(1.7GHz帯(東名阪以外))及び令和4年5月の5G用周波数(2.3GHz帯)の割当てにおいて、特定基地局開設料の額に関する事項
及び高度既設特定基地局の配置等に関する事項を周波数割当の審査項目として設定する等、本制度に基づいて周波数が割り当てられた。
特定基地局開設料(申請者が申し出る周波数の評価額)を審査項目として追加することにより、周波数の経済的価値を踏まえた総合的な審査が可能となった。認定を受け
た事業者は申し出た金額を国庫に納入することになり、令和3年度には特定基地局開設料として約65億円の収入があった。当該収入は、電波を使用するネットワークの整備
促進、当該ネットワークで流通する情報の活用による付加価値の創出及び社会的課題の解決の促進のために必要な施策に充てるものとされており、新サービス等の社会実
装の促進が期待される。
また、高度既設特定基地局に関する事項も審査項目に追加されたことで、既設の特定基地局との連携といった取組を適切に審査することができるようになった。
現在、割当てを受けた者において基地局の開設に向けた準備が進められ、5Gの迅速かつ円滑な整備に向けた取組が行われている。
[効果予測との比較]
事前評価時からのかい離はない。
【「行政費用」の把握】
[行政費用]
携帯電話等の特定基地局を開設しようとする者が開設計画を総務大臣に提出した場合、総務大臣は、特定基地局開設料の額及び高度既設特定基地局に関する項目の2
項目を審査する費用が新たに発生している。当該費用を一律的に示すことは困難であるが、例えば審査のための事務に3人で24時間を要すると仮定すると、一審査あたり
の費用は、
3人 ×ばつ 24時間 ×ばつ 単価約1,400円((注記)) = 約100,800円/審査
と推計される。
(注記) 令和3年国家公務員給与等実態調査より、行政職俸給表(一)2級職員の平均俸給額228,395円より、1時間当たりの平均俸給額は 228,395[円/月]÷(×ばつ4週間)≒1,400 [円/時間]と計算される。
なお、開設計画の認定審査は、その認定を行う時にのみ生ずる作業であり、審査の頻度は高くない。
上記の定量的な把握と、本制度の導入前においても11項目を審査していたことを踏まえると、発生した追加費用は限定的であるといえる。
[費用推計との比較]
事前評価当時にも上記と同程度の遵守費用を想定していたため、事前評価時からのかい離はない。
【「副次的な影響及び波及的な影響」の把握】
[副次的及び波及的な影響]
特定基地局開設料は、1.7GHz帯の周波数の割当てを受けた事業者によって令和3年度分が納付されたばかりであり、影響について評価することは困難である。なお、特定
基地局開設料の収入見込額に相当する金額については、電波を使用するネットワークの整備促進、当該ネットワークで流通する情報の活用による付加価値の創出及び社会
的課題の解決の促進のために必要な施策に充てるものとされており、新サービス等の社会実装の促進が期待される。また、高度既設特定基地局と連携することにより5G基
地局数((注記)1)が増加し、5Gサービスの契約数((注記)2)の増加が見込まれる。
(注記)1 753局(令和元年度末)→21,098局(令和2年度末)
(総務省「携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の評価結果」(令和3年2月、令和4年5月))
(注記)2 3,642万契約(令和3年度第3四半期)→4,502万契約(令和3年度第4四半期)
(総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」(令和3年度第4四半期(3月末)))
[費用推計との比較]
事前評価時からのかい離はない。
【便益(金銭価値化)の把握】
[便益]
特定基地局開設料については、開設計画に関する状況により変動するものであるが、令和3年度には約65億円の収入があった。
[便益推計との比較] -費用、効果(便益)及び間接的な影
響の把握
政策の名称 特定基地局の開設計画の認定に係る制度の整備
担当部局 総務省 総合通信基盤局 電波政策課
評価実施時期 令和 4年 6月
備考
事前評価時の想定との比較 【課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び想定外の影響の発現の有無】
事前評価時点では、飛躍的に拡大する5Gの利用ニーズに対応し、5Gを迅速かつ円滑に整備していくためには、事業者の創意工夫や既設の特定基地局との連携といった
電波の有効利用をより一層図る取組が必要であった。そのため、電波の有効利用をより一層図る観点から、携帯電話等の周波数割当てに当たって必要となる特定基地局の
開設計画の認定に係る審査項目に、事業者の創意工夫を審査する項目として、特定基地局で使用する周波数の電波の経済的価値について開設計画の申請者が自ら金銭
的に評価した額である「特定基地局開設料」(認定を受けた場合には納付すべき額となる。)を追加するとともに、高度化(5G基地局と5G無線局との間の通信を確保するた
めの機能を無線設備に付加)する既設基地局(以下「高度既設特定基地局」という。)と連携させる方法を採用する開設計画の認定を適切に行うために、既設の特定基地局
との連携を審査する項目として高度既設特定基地局の配置等に関する事項を追加する等の措置(以下「本制度」という。)を講じた。
本制度に関して、事前評価後、現在に至るまで、課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び事前評価時に想定していなかった影響は発現していない。
【事前評価時におけるベースラインの検証】
事前評価時点では、利用ニーズが拡大することが見込まれる5Gを含む携帯電話等の周波数の割当てにおいて、事業者の創意工夫や既設の特定基地局との連携といっ
た電波の有効利用をより一層図る取組を適切に審査することができない状況であった。そのような中、仮に本制度を導入しなかった場合、有限希少な電波が有効利用され
ず、5Gの迅速かつ円滑な整備を図ることが困難になる状況をベースラインとして想定していた。
事前評価後、令和2年3月から5Gの商用サービスが開始された。5Gの利用ニーズは引き続き拡大傾向であり、5G基地局数も増加している((注記))。
(注記) 753局(令和元年度末)→21,098局(令和2年度末)
(総務省「携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の評価結果」(令和3年2月、令和4年5月))
よって、課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響及び事前評価時に想定していなかった影響は生じておらず、事前評価時におけるベースラインに変化は
ない。
【規制(緩和)を継続する必要性】
電波の有効利用をより一層図る観点からは、事業者の創意工夫や、既設の特定基地局との連携といった取組を適切に審査する必要があるところ、特定基地局開設料や高
度既設特定基地局に関する事項を開設計画の認定制度の審査事項に追加することにより、これらを総務大臣が審査することができることとなった。
一方、上記のとおり、事前評価後、本制度の必要性に大きな影響を与える社会経済情勢や科学技術の変化は特段認められていない。
よって本制度は、電波の有効利用をより促進していくため、引き続き必要な制度であると考えられる。
【「遵守費用」の把握】
[事前評価時の測定指標]
本件規制の導入は、現行の特定基地局の開設計画の認定制度の審査項目に2項目を追加するものであり、新たに発生する遵守費用は限定的であると考える。
[遵守費用]
本制度は、従来の特定基地局の開設計画の認定制度において、審査項目に2項目を追加するものであり、開設計画の作成に関して、追加された項目を記載するための新
たな事務作業費用が発生すると考えられる。
当該費用を一律的に示すことは困難であるが、例えば追加された事項の記載のための事務に5人で14時間を要すると仮定すると、一者あたりの費用は、
5人 ×ばつ 14時間 ×ばつ 単価約2,900円((注記)) = 約203,000円/者
と推計される。
(注記) 約2,900円=(令和2年分民間給与実態統計調査(国税庁)の平均給与額(正規、年間))4,957千円÷(労働統計要覧(厚生労働省)の年間総労働時間(実労働時間数)事業所規模30人以上)1,685時間(令和2年) なお、開設計画の作成は、その認定を受けようとする時にのみ生ずる作業であり、遵守費用は限定的であるといえる。
[費用推計との比較]
事前評価当時にも上記と同程度の遵守費用を想定していたため、事前評価時からのかい離はない。
考察 特定基地局開設料や高度既設特定基地局に関する事項が開設計画の認定制度の審査事項に追加され、事業者の創意工夫によって一層電波を有効利用する取組につい
て総務大臣が審査することができることとなったほか、高度既設特定基地局と連携する形での5G基地局の整備について審査することができることとなった。
本制度により、新サービス等の社会実装の促進に加え、5Gのサービス提供エリアの拡大や、5Gサービスのユーザ数の増加といった便益が発生することとなる一方、遵守
費用や行政費用は限定的である。
以上から、本制度による費用等は限定的であるが、一定の効果があると認められ、間接的影響も認められないため、本制度を継続することが妥当であると考えられる。

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