第120回人口・社会統計部会(書面開催)議事結果
1 日 付 令和3年1月25日(月)〜 2月5日(金)
2 審議参加者
【委 員】
津谷 典子(部会長)
、佐藤 香
【臨時委員】
宇南山 卓、川口 大司
【審議協力者】
内閣府、畑本 郁彦(日本内航海運組合総連合会調査企画部副部長)
【調査実施者】
国土交通省総合政策局情報政策課交通経済統計調査室:内田室長ほか
【事務局】
統計委員会担当室:萩野室長ほか
政策統括官(統計基準担当)付審査官室:中村参事官、宮内国際統計企画官ほか
3 議 事 船員労働統計調査の変更について
4 議事の状況
「新型コロナウイルス感染症対策の総務省対処方針」
(令和3年1月7日最終改正、新
型コロナウイルス感染症総務省対策本部決定)において、
「総務省主催の(略)有識者会
議については、できる限り遠隔開催により行う。特に、特定都道府県において実施する
ものについては、遠隔開催以外は開催しないものとする。
」と定められたことに伴い、第
120 回人口・社会統計部会は書面開催として行われた。
今回は、第 118 回人口・社会統計部会に引き続き、調査実施者から申請のあった変更
点及び公的統計の整備に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。
)等に記載され
た課題の検討状況について審議が行われた。
その結果、今回、変更申請のあった「調査事項」については、賛成の意見が多くみら
れ、修正意見等はなかったことから、変更内容は適当とされた。
また、基本計画等に記載された課題の検討状況については、調査実施者の調査計画の
見直しに向けた検討を続ける意向が確認されたほか、委員等から改善を検討すべき点に
ついて、期限を区切って検討を進めるべきとの指摘がなされたことを踏まえ、次回部会
で審議される予定の「船員労働統計調査の変更にかかる答申について(案)
」において、
委員等から指摘された点を「今後の課題」として整理する方向で、おおむね了承を得ら
れた(委員等から提出された意見・質問と、それに対する調査実施者の回答は、別紙の
とおり)。別紙
第 120 回人口・社会統計部会 配布資料の内容等に対する質問・意見及び回答
委員等お名前 津谷 典子
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
資料3 1-5 調査事項を現行の「6月に支払われた特別な報酬(賞与等)
」から「昨
年1年間の賞与、
期末手当等特別に支払われた報酬」
に変更することは、
第 118 回部会の配布資料の内容等に対する意見で既に述べたように、適切であると考える。ただ、この変更が第1号調査のみを対象としたもの
で、
第3号調査については同様の変更が計画されていないことについて
は、今後の課題として、具体的に時期や方法を明記して前向きに検討す
るということであれば、了解したい。
第3号調査についても第1号調査と同様に「昨年1年間の賞与、期末手
当等特別に支払われた報酬」
に変更するとの点については、
現在休止(統計法第 21 条第3項に基づき中止)している母集団調査の再開時期(令
和5年度(平成 25 年度を始点とした場合の母集団調査の実施周期)若
しくは令和6年度
(船員労働統計予備調査から5年間隔とした場合の実
施周期)
)に併せて検証できるように検討を進めて参ります。
現時点での具体的な検討方法としましては、関係府省との調整、報告者
に対する負担感等のヒアリングや、
必要に応じて試験的な調査等の実施
を考えております。
資料3 10-13 前回の第 118 回部会における意見でも述べたが、
第1号調査を定期的に
(少なくとも5年に一度)全数調査として実施することを、今回の審議
結果に基づく「今後の課題」として明記することを提案する。第1号調
査が全数調査として実施されれば、
標本抽出のための層化が不要となる
ため、船舶・船員単位のみならず事業所を単位とした情報を得ることが
可能となり、基本計画における課題として示された具体的措置(第1号
調査について、
事業所を単位とした標本設計の採用を含めた抜本的な見
直しを行うこと)への対応が可能となるのではないか。また、第1号調
査において、
毎月定期的に支払われている報酬についても年間報酬の把
握ができる可能性も考えられる。国土交通省では現在、5年に一度、一
般統計調査として第1号調査の母集団調査が実施されており、
また予備
調査も悉皆で実施されたことから、
第1号調査を悉皆で実施することの
ハードルは高すぎるということはないのではないか。
第1号調査を全数
第1号調査は、一般船舶の用途別・トン数階級別に職種別の給与や経験
年数等を標本調査により実施していますが、今回の分析結果から、当該
調査内容を維持しつつ船舶単位ではなく、
事業所単位で標本設計するこ
とは困難であるとの結果が得られたところです。
また、当該調査内容を維持しつつ毎年、悉皆調査を実施することになる
と、これまでの母集団調査では、標本設計の見直しに必要な事項である
職種別の報酬の合計値のみ(経験年数等や労働時間等の詳細は未調査)
を調査していましたが、
詳細な内容まで調査を行うことになると報告者
の負担が著しく増加することになります。
一方、これまで5年毎に実施してきた母集団調査は、全船舶を調査対象
とした悉皆調査であるため、
事業者を単位とした情報を得ることが可能
であると考えております。
そのため、
母集団調査の企画にあたっては、
従来の母集団調査の目的(標1
調査とすることで、複数の課題への対応が同時に可能になることから、
是非前向きに検討されるよう期待する。
本設計の見直し)及び年間報酬の把握に向けた検討に加えて、左記の指
摘や今回の審議において御指摘・御意見頂いた様々な点、また、目的や
位置付けを含めてしっかりと対応して参ります。
委員等お名前 佐藤 香
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
資料1-13 調査事項として「特別に支払われた報酬(6月)
」を「昨年1年間の賞
与、期末手当等特別に支払われた報酬」に変更することに賛成します。
統計委員会で6月の特別な報酬も継続して調査することが提案されま
したが、すでに「0円」出現率が8〜9割と高いことが明らかにされて
いることから、継続することに自体に大きな価値はないと考えられま
す。継続性は重要ですが、スクラップ・アンド・ビルドも必要だと思い
ます。
御意見ありがとうございます。
今後も、
調査計画の見直しにあたっては、
統計の有用性向上とともに、
報告者負担にも配慮して検討を行って参り
ます。
資料3 5 第3号調査では上記の変更は適用されないことについて、
議論がなされ
ました。
事業所調査であることから調査が困難だという理由については
一定の納得が得られましたが、利活用の面からみるなど、第3号調査の
ありかたについては、
抜本的に検討する必要があるのではないでしょう
か。
御指摘のとおり、
調査計画の見直しにあたっては、
調査種別を限定せず、
検討を進めて参ります。
資料3 8 「調査計画は今後も継続的に見直しを検討」について、
「次回調査まで
に」
「次々回調査までに」など、時期と課題を明確にしていただく必要
があると考えます。それがなされないままの「検討」は「検討」とは認
められない状況にあることを十分に認識していただきたく存じます。
資料3「国土交通省 説明資料」8頁に記載した調査計画の継続的な見
直しについては、
国土交通省における統計調査の企画に係る考え方とし
て記載したものです。
今回の審議において御指摘頂いた様々な点については、現在休止(統計
法第 21 条第3項に基づき中止)している母集団調査の再開時期(令和
5年度(平成 25 年度を始点とした場合の母集団調査の実施周期)若し
くは令和6年度
(船員労働統計予備調査から5年間隔とした場合の実施
周期)
)の調査に併せて検証できるように検討を進めて参ります。2委員等お名前 宇南山 卓
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
資料4 3 第 118 回部会での私の質問に対し、
「調査票作成にあたって、所有する
特殊船に乗り組むすべての船員について「船長及び職員」、「部員」毎及
び「うち女性船員」、「うち外国人船員」毎に年間の特別に支払われた報
酬額を新たに報告者が集計する必要があり」とあるが、これが一般船舶
向けの第1号調査と比較して過度な負担になる理由が明確ではない。第1号調査との違いを明示してほしい。
第1号調査は、
船舶単位で、
船舶に乗り組む船員について職種別
(船長、
航海士、機関士等)に船員個々の実績を調査しています。対して第3号
調査は、事業者単位で、船舶に乗り組む船員について船員の合計値の実
績を調査しています。
母集団構造として大きく異なるのは、第1号調査は、1つの事業者であ
っても複数の用途を所有する場合がありますが、第3号調査では、基本
的に引き船、
はしけ及び官公署船のうちいずれか1つの用途を所有して
いる点です。
第1号調査の調査票作成にあたっては、用途別(旅客船、貨物船、油送
船等の別)や総トン数階層別(200 トン〜499 トン、1,000 トン〜1,599
トン等の別)に、職種別(船長、航海士、機関士等)の実態を把握する
ため船舶単位で調査を実施しており、船員個々の情報を転記できます
が、第3号調査では、資料4「第 118 回人口・社会統計部会において部
会構成員等から提出された質問・意見及び国土交通省からの回答」3頁
において回答させて頂きましたとおり、
報告者において集計値の作成業
務が生じるため、負担が増加します。
また、例えば、第3号調査のうち、引き船では 233 事業者中 132 事業者
が、官公署船では 238 事業者中 96 事業者が複数隻を所有しており、集
計値作成にあたって、引き船では1事業者で最大 224 人の船員分を、官
公署船では1事業者で最大 947 人の船員分を作成頂いています。
特にこ
のような事業者にとっては、
集計値の作成に係る負担は大きいと考えま
す(記載の数値は令和2年調査実績)。3
資料4 4 事業所であれば、船単位で労働時間の合計、報酬の合計を把握している
と考える。もし、毎月勤労統計のように、船単位での合計の労働時間・
報酬の統計とするような変更をするとしたら、
どのような不都合がある
か教えてほしい。
第1号調査では、用途別(旅客船、貨物船、油送船等の別)及び総トン
数階層別(200 トン〜499 トン、1,000 トン〜1,599 トン等の別)で、職
種別(船長、航海士、機関士等)の年齢や経験年数別の実態を把握すべ
く調査を実施しており、船舶単位での合計値の報告では、船員個々の実
態把握ができなくなります。
また、労働時間については、資料4「第 118 回人口・社会統計部会にお
いて部会構成員等から提出された質問・意見及び国土交通省からの回
答」4頁において回答させて頂きましたとおり、船内記録簿を事業所単
位ではなく船舶単位で管理しており、
電子化されていないケースも一定
数存在することから、
事業所単位で合計値の報告を求めることは困難で
あると考えます。
資料4 4 悉皆調査への取り組みについては、
きちんと取り組み一定の期間で対応
をしてほしい。
今回の審議において御指摘頂いた様々な点については、現在休止(統計
法第 21 条第3項に基づき中止)している母集団調査の再開時期(令和
5年度(平成 25 年度を始点とした場合の母集団調査の実施周期)若し
くは令和6年度
(船員労働統計予備調査から5年間隔とした場合の実施
周期)
)の調査に併せて、目的や位置付けの整理を含めて検証できるよ
うに検討を進めて参ります。4委員等お名前 畑本 郁彦
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
資料4 6 【萩野室長の質問に対する府省庁の回答について】
1990 年代に外航海運会社
(海員組合加盟)
に所属し、
日本籍船及び便宜
置籍船に船員として乗船しました。その時は、便宜置籍船(フィリピン
人と日本人の混乗船)に乗船すると、独自の手当(混乗派遣手当,混乗
船雑手当,混乗船食料金補助など)が支給されていました。現在は、ど
うなのか分かりかねますが、その辺りを把握した上で、外国船籍の船舶
に乗船する船員の調査を行うか否かの判断を行う必要があると考えら
れます。
報告者である大手海運会社に確認したところ、乗船する船籍による手当・
処遇差はないとのことでしたが、
報告者へのヒアリングを更に進め、
実態の把握に努めて参ります。
資料4 5 第1号調査において、
年間報酬の実現に向けて検討を進めて頂くという
ご回答を頂き、ありがとうございます。出来れば、いつまでに実現する
お考えであるかをお示し頂ければ幸いです。
今後実施する母集団調査の企画にあたっては、
従来の母集団調査の目的
(標本設計の見直し)に加えて、年間報酬の把握に向けた検討及び今回
の審議において御指摘・御意見頂いた様々な点を含めて、また、目的や
位置付けの整理をしっかりと対応して参ります。
母集団調査の再開時期(令和5年度(平成 25 年度を始点とした場合の
母集団調査の実施周期)若しくは令和6年度(船員労働統計予備調査か
ら5年間隔とした場合の実施周期)
)の調査に併せて検証できるように
検討を進めて参ります。
資料4 4 【宇南山委員の質問(資料3,P10)に対する府省庁の回答に関連して】
交通政策審議会 海事分科会 船員部会の検討結果である
『船員の働き方
改革の実現に向けて』
(令和2年9月)においては、今後、陸上の事務
所において船員の労働時間等の記録を保存・管理することとし、使用者
の下で一元的な労務管理を推進すべきとしており、また、労働時間管理
に関して、
ソフトウェアやシステムを活用した労働時間の記録方法の導
入可能性について検討を行っていくべきとしています。その実現は、ま
だ先になると考えられますが、これらの実現に合わせて、船員労働統計
現在においては、
船内記録簿を事業所単位ではなく船舶単位で管理して
おり、電子化されていないケースも一定数存在することから、事業所単
位で合計値の報告を求めることは困難であると考えますが、
左記の取り
組みを含めて、情勢の変化に応じて、調査計画の変更を検討して参りま
す。5の効率化等も進めて頂きたいと思います。
委員等お名前 萩野 覚
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
参考1 2 第 158 回統計委員会におきまして、川﨑委員から、
「本統計の目的や利
用状況を踏まえて、
本調査における調査対象の範囲や母集団情報が適切
に設定されているかどうか、例えば、日本人船員の乗船している外国船
籍の船舶を調査対象に含めるべきか否か、
GDPに用いるのであればど
こまでカバーできているのか等についても、ご議論いただきたい。
」と
の意見が表明されました。この点について、国土交通省に事実関係を確
認しながら検討した結果、
日本企業の便宜置籍船で働く船員を含む予備
船員全体(休暇中や陸上勤務の船員を含む)について、賃金の統計的把
握がなされていないことが分かりました(別添資料を参照)
。JSNA
での統計データの活用や、船員労働統計の体系的整備の観点から、予備
船員賃金の統計整備が必要であると考えられます。この際、現行のよう
に船を単位として統計調査を行うと、
便宜置籍船で働く船員や休暇中や
陸上勤務の船員が把握されないことから、
事業所を単位とする形に変更
することによって、
予備船員全体を包括的に把握することが適当と考え
られます。
第1号調査は、一般船舶の用途別・トン数階級別に職種別の給与や経験
年数等を標本調査により実施していますが、今回の分析結果から、当該
調査内容を維持しつつ船舶単位ではなく、
事業所単位で標本設計するこ
とは困難であるとの結果が得られたところです。
また、当該調査内容を維持しつつ毎年、悉皆調査を実施することになる
と、これまでの母集団調査では、標本設計の見直しに必要な事項である
職種別の報酬の合計値のみ(経験年数等の詳細や労働時間等は未調査)
を調査していましたが、
詳細な内容まで調査を行うことになると報告者
の負担が著しく増加することになります。
一方、これまで5年毎に実施してきた母集団調査は、全船舶を調査対象
とした悉皆調査であるため、
事業者を単位とした情報を得ることが可能
であると考えております。
そのため、
母集団調査の企画にあたっては、
従来の母集団調査の目的(標本設計の見直し)に加えて、左記の指摘や今回の審議において御指摘・
御意見頂いた様々な点を含めて検討して参ります。6委員等お名前 内閣府
配布資料
資料番号
ページ 委員の御質問・御意見 府省庁の回答
資料4 6 内閣府では、雇用者報酬の推計において、雇用者数は『国勢統計』等を
ベンチマークとして『労働力統計』等を用いて補間・延長推計、一人当
たり賃金は『毎月勤労統計』を用いて推計しているが、この推計におい
て、
『毎月勤労統計』の調査対象外である船員の雇用者数(船員数)及
び一人当たり賃金については
『船員労働統計』
を利用して推計している。
したがって、
『船員労働統計』の調査対象外である便宜置籍船の船員の
雇用者数(船員数)及び一人当たり賃金については、他の一般産業と同
様に産業大分類「運輸・郵便業」の情報によって推計していることとな
る。船員賃金に関する基礎データが拡充されれば、より精緻な推計は可
能となる。
便宜置籍船に乗り組む日本人船員の給与水準は、
日本籍船に乗り組む日
本人船員と差違はないと考えられるため、
船員労働統計と行政記録情報
を活用することにより、現時点においても、一定の推計は可能であると
考えますが、今後行う母集団調査の企画にあたっては、左記の御意見や
今回の審議において御指摘・御意見頂いた様々な点を含めて検討して参
ります。7別添
国民経済計算の船員賃金に係る基礎データの整備状況
対象外 国際収支統計の対象1、2
雇主は日本企業 同外国企業3
被用者は居住者 同非居住者 同居住者
船員労働統計
の対象1
日本籍船乗務中の
船員
○しろまる
<GDP>
― ×ばつ4
<GDP>
(○しろまる)
<GNI>
○しろまる
<GNI>
休暇中の船員
陸上勤務中の船員
国際取引
※(注記) 国民経済計算では、国内取引を船員労働
統計、国際取引を国際収支統計により推計
国内取引
1:船員労働統計は日本人/外国人で区分(海外在住の日本人及び外国人を含む)。一方、国際収支統計及び国民経済計算は居住者/非居住者で区分(居住者は海外在
住の日本人を除き日本在住の外国人を含む)。
2:国際収支統計及び国民経済計算では、日本企業が便宜置籍船とした外国船籍の船でも、日本企業が運航する船舶は居住者(日本国内に存在)扱い。
3:外国企業の本邦内支店・代理店を通じ支払われるものを記録(海外の本社等から直接送金の形で支払われる場合は把握不可)。
4:1日本企業・居住者・外国籍船(便宜置籍船等)乗務中の船員、2休暇中の船員、3陸上勤務中
の船員に関するデータがない。
存否
未詳8