-1-第110回 人口・社会統計部会 議事録
1 日 時 令和元年9月10日(火)14:00〜16:00
2 場 所 総務省第2庁舎6階特別会議室
3 出席者
【委 員】
白波瀬 佐和子(部会長)、嶋﨑 尚子、永瀬 伸子
【 専 門 委 員 】
川口 大司(東京大学大学院経済学研究科教授)
【審議協力者(各省等)】
財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省
【調査実施者】
厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室:中原室長ほか
【事務局(総務省)】
統計委員会担当室:櫻川室長、鈴木次長、吉野政策企画調査官
政策統括官(統計基準担当)付統計審査官室:金子審査官、山崎調査官ほか
4 議 題 賃金構造基本統計調査の変更について
5 議事録
○しろまる白波瀬部会長 それでは、定刻となりましたので、ただ今から、第 110 回人口・社会統
計部会を開催いたします。
お忙しい中、出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、
8月 30 日に開催しました前回部会に引き続きまして、
賃金構造基本統計調査の
変更について審議を行います。
本日の部会は、16 時までを予定しておりますけれども、予定の時間を若干過ぎる可能性
もあるかと存じます。そのような場合、御予定がある方は、御退席いただいて結構です。
それでは、本日の配布資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○しろまる伊藤総務省政策統括官(統計基準担当)付 本日の配布資料は、資料1として、前回部
会において整理・報告を求められた事項に対する調査実施者の補足説明資料、資料2-1
として、審査メモ、資料2-2として、審査メモで示した論点に対する調査実施者の回答
をお配りしています。
資料に過不足等ございましたら、事務局にお申し出ください。事務局からの説明は以上
です。
○しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。
続きまして、本日の部会の進め方についてですけれども、始めに、前回部会において、
委員等から整理・報告を求められた事項について、調査実施者からの補足説明を踏まえて-2-審議した後、前回答申における今後の課題への対応状況のうち、個人票における匿名デー
タの提供検討については、平成 30 年度統計法施行状況報告の審議対象とされたため、企画
部会における審議結果を踏まえて、最終的な結論を得ることとしておりましたので、先日
開催された企画部会の審議結果を踏まえまして、審議することとしたいと思います。
それが終了しましたら、答申案の構成や整理の方向性についても確認できればと考えて
おります。
それでは、審議に入ります。
始めに、資料1に基づきまして、前回部会において整理・報告を求められた事項につい
て、審議を行います。
前回部会では、調査実施者に対して、1点目、初任給額を把握する調査事項の削除に関
連して、
調査対象事業所に占める労働者抽出率1/1の事業所とそれ以外の事業所の割合、
個人票を用いた代替集計結果における抽出率1/1とそれ以外の事業所における初任給額
の差異、そして、事業所規模別に見たデータの差異、2点目といたしまして、労働者の「通
勤手当」等3手当の削除に関連して、まず、今後、本調査に代替するとしている一般統計
調査である最低賃金の実態に関する調査のサンプリング方法、そして、3手当を含んだ場
合と除いた場合の未満率・影響率の比較結果等について、調査実施者に整理・報告を求め
たところです。
それでは、これらの事項に対する回答について、厚生労働省から説明をお願いします。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 それでは、資料1に基づきま
して説明させていただきます。
まず、初任給額。
「新規学卒者の初任給額及び採用人員」を削除することについてです。
今回抽出した労働者から調べるといったことをしておりますので、はじめに抽出方法に
ついて、簡単に整理をさせていただければと思っております。
抽出方法でございますが、賃金構造基本統計調査の抽出方法につきましては、事業所を
第1次抽出単位、その事業所に所属しております労働者を第2次抽出単位とする層化二段
抽出法としております。
事業所の方の層化ですが、
これは都道府県、
産業及び事業所規模別で行っておりまして、
まず、都道府県については 47 都道府県ごと、産業につきましては調査産業の中分類、事業
所規模につきましては、別紙1の方で母集団数、サンプル数を出しておりますけれども、
この事業所区分です。規模 10 人以上で言いますと、この7区分でやっています。あと5〜
9人区分がございます。それによって抽出を行っております。
この各層から抽出率、規模の大きいところは1/1というところもございますが、小さ
いところは抽出率も大きくなっておりまして、全体として1/1〜1/116 の抽出率とな
っています。
2段目ですが、調査事業所におきまして、事業所の規模に応じて設定された抽出率、こ
れに基づきまして労働者を抽出しておりまして、
その抽出率、
別紙1の一番下のところに、
これは細かいところまで出しておりませんけれど、その規模ごと、産業ごとに設定してい
まして、例えば1万 5,000 人以上であれば1/90、
5,000〜1万 4,999 人であれば1/20〜-3-1/80 の間、10〜29 人の規模であれば1/1といった形で労働者を抽出しています。
この抽出率の決定方法ですけれども、目標精度は常用労働者の1人平均所定内給与額に
ついて設定しております。基本的に、都道府県、
表章産業、
企業規模別の標準誤差率を5%
以内とするように定めているところです。
続きまして、労働者抽出率別の事業所数、労働者数です。
全体の1/1とそれ以外ですが、これは別紙2の方を御覧いただければと思っておりま
す。まず、一番左が事業所数のサンプルサイズ、次が復元ベース、次が労働者のサンプル
ベース、次が復元ベースということです。1/1のところですが、復元ベースで 65.3%を
占めているというところです。1/1以外のところで 34.7%となっております。
なお、前回、実際に代替集計の場合のどのくらいを把握できていないかという比率を出
しておりましたけれども、それは右側の方に付けております。抽出率1/1ですと、代替
集計で 3.3%抜け落ちという状況で、それよりも、抽出1/1以外のところですと、この
程度の抜け落ち率となっております。
一方で、ここにありますように、ウエイトの問題とかありますので、全体として平均す
ると、抜け落ち率としては高校卒で 37.8%、大学卒で 32.2%といった状況です。
続きまして、現行と代替集計の差異の問題ですが、このように、抽出率ごとに抜け落ち
率が色々ございますので、どのくらい差があるかということを事業所規模別で示したもの
を、別紙3以降で付けております。
現行の初任給額と代替集計につきまして、平成 30 年調査結果を用いまして、事業所規模
別に比較したものがこの表です。その差につきましては高校卒で 3,000〜1万 7,000 円程
度、大学卒で1万 5,000 人のところがマイナスになっておりますけれども、マイナス1万
6,000〜1万 8,000 円という差異になっています。
また、現行の初任給額、代替集計の分布についてが別紙4です。
こちらの分布につきましては、一番左が現行の事業所票による初任給額を集計したもの
を、これは事業所規模別に集計したものです。普通、公表しておりますのは、企業規模別
ですので、事業所規模別で出したものがこの分布となっております。
真ん中が代替集計、この代替集計につきましては、現行の事業所票に記入があったとこ
ろについてです。
一番右の方ですが、通勤手当の影響があるというところがありまして、これはもうざっ
くりとした考え方ですけれども、
平成 27 年就労条件総合調査によりますと、通勤手当は1
人平均 7,500 円ですので、それを控除したもので算出したものが一番右側の分布です。数
字だと分かりづらいので、これをグラフ化したものが、めくっていただいて別紙5です。
分布の出具合としては、似たようなところがあるのですけれども、やはり、一番大きく出
ているところ、高いところについては、差が出ております。それと代替集計の方が、やは
り右方向、金額が高いところに寄っている傾向があります。
続きまして、前回、初任給額の差異のヒストグラムを出させていただきましたが、この
辺について、抽出率が1/1のところとそれ以外のもので出したのが別紙6となります。
別紙6、1 ページは高校卒ですが、上が1/1、下の方が1/1以外のところです。形-4-としては、それほど大きな差異はないと見ております。次のページ、大学卒ですが、同じ
ような状況ではないかと見ているところです。
続きまして、報告者の記入負担について、前回御指摘がございました。これにつきまし
て、事業所に 30 年調査で初任給額及び採用人員に記載があった事業所の一部に対しまし
て、電話及びメールで改めてヒアリングをさせていただきました。
それによりますと、
現行調査票による場合、
現行のやり方は負担が大きいという事業所、
また、システムで自動的に組まれているので今の状況でも大して変わりがないといった事
業所、特に負担は感じないといった事業所がありました。
個人票にマルを付ける方式に変更した場合ですけれども、新卒を特定してさらに集計す
ることが大変だったので、マルを付けるだけであれば作業負担がかなり軽減されるのでは
ないかといった事業所、一方でやはり、これもシステム化しているので、改修が発生する
ので今のままがいいといった御意見の事業所もございました。これは限定的な話ですが、
あくまでもこのような話があったという程度のものとお考えください。
あと、私どもの調査実施の都度、都道府県労働局の方に、負担感として局に寄せられた
意見はどのようなものがあるか聞いております。資料にあるような意見がございました。
いずれにいたしましても、ここの意見はあくまでも一部の意見でございまして、それぞれ
色々な負担感も異なると思いますので、これについては決定的なものではないと理解して
おりますが、このような意見等があったことを踏まえまして、今後どのようにやっていく
か、また今考える新方式になった場合についても、もう負担が変わらないという場合もあ
りますし、
システム改修が生じるという意見もあったことから、
新方式に変わる場合には、
丁寧な説明や事前周知をしっかり行いたいと考えています。例えばシステム会社との色々
な連絡とか情報共有を図るとか、そういったこともやりながら、負担軽減について検討し
ていきたいと考えています。
続きまして、公表時期を遅らせることになると、結果的に個人票の公表時期と同じ時期
になるということですが、このとおり、初任給額のデータにつきましては、色々本日また
示させていただいたところですが、そのほか記入者負担の軽減という観点からも、今後に
つきましては、個人票による集計方法に変更したいと調査実施者としては考えているとこ
ろです。その場合、現在 11 月に公表していますが、その初任給データにつきましては、他
の個人票の集計結果と同じ時期になると、
繰り返しになってしまうことがあります。
現在、
このデータを利用している方については御迷惑をおかけすることにはなりますけれども、
公表が遅れることにつきましては、事前の周知をしっかり行っていくことと、公表の早期
化についても今後とも検討して、
利用者利便の向上に努めてまいりたいと考えております。
以前説明したこの※(注記)のところですが、ここに代替集計と記載していますけれども、○しろまる付
け方式になった場合につきましても、今回事業所票を廃止するという関係もございますの
で、全体の公表時期を前倒しすることが可能と考えておりまして、まず1か月程度の公表
の早期化を図る。更に事務処理の効率化を図りながら、更なる公表の早期化を図っていき
たいと考えております。
続きまして、労働者の「通勤手当」
「精皆勤手当」
「家族手当」を把握する調査項目の削-5-除についてです。
まず、未満率・影響率を、3手当を除いた形で計算しているところですが、前回、この
3手当を除いた場合、また含んだ場合でどの程度数字が変わるかという御指摘がございま
した。それについて計算した結果がこちらのとおりです。平成 30 年で言いますと、未満率
が 1.6%から 1.2%、影響率が 5.1%から 4.3%と変わっております。なお、一番下のとこ
ろ、1〜29 人のところに対する製造業は 99 人までになりますけれども、そちらに対する
未満率・影響率を付けております。
どちらにつきましても、
小規模事業所につきましては、
この全体の規模よりも大きな状況になっているところです。
また続きまして、この3手当を削除することについての考え方の整理として、下のとこ
ろに付けさせていただいております。
こちらの3手当につきましては、これまで最低賃金の審議資料に賃金構造基本統計調査
の結果を活用するという目的で、特定産業の小規模に限り調査を行ってきたところです。
最低賃金につきましては、3手当を算入しないで算定するとなっておりまして、その関係
で調査していたところです。
具体的に賃金構造基本統計調査の3手当を用いました特別集計につきましては、大規模
事業所を含みます系列に関する未満率・影響率の算出、あと都道府県別の時間給当たりの
分布状況といったものを算出するために使っており、その数値につきましては最低賃金引
き上げの影響等を見るための資料の1つとして使われてきておりまして、その利用範囲に
ついてはかなり限定的なものであったところです。
一方で、この調査、政策部局の方としてましては、最低賃金に3手当を算入しないとな
っていることもありますので、できれば全ての産業規模でこの手当が除けるといいという
考え方は持っておりますが、ただ一方で、現状としてそこまでとっていないところも踏ま
えて、今回の3手当廃止の判断としているところです。
その考え方につきましては、このように説明させていただきましたとおり、3手当につ
きましては、政策立案、行政運営上の活用が、最低賃金の審議資料に活用するためのみに
使用してきているものでして、賃金構造基本統計調査の結果として集計・公表は行ってお
りません。そういったところもございまして、これ以外の行政運営及び集計表の利用にお
きます利用実績がなく、また、ほかの調査事項の審査・分析等にも用いていないところが
実際です。
一方で、統計法第 33 条に基づきます調査票の二次利用におきましては、平成 29 年に5
件、平成 30 年度で 13 件という利用実績がございます。このような状況を踏まえまして、
調査実施者としては、当該項目の削除により報告者負担の軽減を図りたいと考えていると
ころです。
以上です。
○しろまる白波瀬部会長 ありがとうございました。
追加で色々データを出していただきましたけれども、この新しい資料も含めまして、審
議させていただきたいと思います。
それでは、まず、初任給額を把握する調査事項の削除に関連して、ただ今の厚生労働省-6-からの説明を踏まえまして、御意見・御質問のある方は、発言をよろしくお願いいたしま
す。
いかがでしょうか。
本件につきましては、今日御欠席であります北村委員につきましても、データを共有さ
せていただいている次第です。北村委員からの御意見は、特にないですね。
○しろまる伊藤総務省政策統括官(統計基準担当)付 はい。
○しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。
○しろまる永瀬委員 細かいことを伺ってよろしいですか。
○しろまる白波瀬部会長 どうぞ。
○しろまる永瀬委員 別紙3で、大学卒の事業規模1万 5,000 人以上で、個人票による代替集計に
すると、
1万 6,000 円と低くなっているということなのですけれども、
別紙1を見ますと、
この1/90 というのは抽出率 100%になっておりますので、
対象が変わったというよりは、
集計してからは、従来、最頻値として出していた大学卒の給料よりも、平均値の方が低か
ったという理解でよろしいのでしょうか。
○しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 個別の事業所になりますので、
なかなかコメントしづらいことがございますけれども、実際にそこの最頻値の人が個人票
の方では出てこなかったというのが事実です。
○しろまる永瀬委員 つまり、最頻値は、この 20 万 5,000 円だったけれども、平均値は、より低い
ところに多かったので下がったと思って良いということですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 これ、統計的には、確率論的
に出てくるような数字ですので、これが平均か、実態かどうかについては、全ての労働者
を見ないとわからないというのが実際ございます。ただ、今回のこの条件で、条件といっ
ても実際に新規学卒者かどうかといったわけではなく、代替集計でヒットした人について
やったものが、成果事実として出てきた数字が、18 万 8,700 円という結果、平均になって
きたということで、最頻値のところが大多数出てきたわけではないといったところです。
○しろまる永瀬委員 同じ事業所を実験的に検証してみたら、こうだったと理解してよろしいので
すか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 そのとおりです。
○しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。
川口委員、何か。よろしいですか。
ここでの審議は、今回、かなりきちんと資料を出していただきまして、分布とかも出し
ていただいて、とても分かりやすくなったと思います。ありがとうございました。ここま
で短期間で準備していただくのは、なかなかの作業だったと想像いたします。
でも、だからやはり見えてきたことが幾つかあるのですけれども、要するに、審議のし
どころとしては、この違いをどう読むのかだと思います。これが1つのデータとして上が
ってきたことなのですけれども、こういう状況、この可能性を踏まえつつも、御提案は、
初任給については、今までどおりに事業所票で最頻値を聞くというやり方については削除-7-したい。それで、今後公表されるのは、個人票のデータにより代替集計された初任給額と
なります。
ですから、シミュレーションではないですけれども、一応、検証してみたことを念頭に
置いて、これから出るであろう個人票の結果がわからないし、何が真なる値か分からない
ところもあります。そことどれぐらい違うかということにはなると思うのですけれども、
一つの理由というのは、やはり、最頻値として、事業所の方に幾つかの条件を付けて数字
を上げてもらうという作業を、どれだけ今後、継続可能なことなのかということは、一つ
考えておこうということで、御提案としては、できれば削除したいということになるかと
思います。
ここでの違いについて、何かコメントとかありますか。これは違いますという御報告ど
おりなのですけれども、この辺りについては、こういう解釈の仕方と言いますか、何かあ
りますか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 1点付け加えたいところがあ
るのですけれども、やはり、私も今回分析していく中で、実際にデータの状況も全部見て
いきました。その中を見た状況では、計量的にお示しすることができなくて、その状況を
お話させていただきますと、やはり、事業所票に記載されているデータと個人票に記載さ
れている初任給額は、本当に一致しているものが非常に多いといった状況はあります。そ
の背景は何かと見ていきますと、やはり、通勤手当を引いてくださいとか説明しているの
ですけれども、そのあたりが適切にされていないところは多分に見受けられると思ってい
ます。これにつきましては、1/1抽出層のところでも出ていましたけれども、大きなと
ころで見ていっても、そういったところはあるのかなと思っておりまして、ただ、どちら
の入れ方にしても、やはり、非標本誤差、そういったものは、今の事業所票でも発生して
いるのではないかなと見ております。
一方で、どういうふうに処理するかは非常に処理法が難しいものですので、何とも言え
ません。これは今後どういう形で考えていくかという話もございますけれども、そういっ
た状況がありましたので、そこからすると、このような手当を抜いて初任給額を記載して
もらうというのは、事業所についてもかなり大変なことではないのかなと感じたところで
す。
○しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。
○しろまる嶋﨑委員 この新しい方式で算出した額は、これまでの最頻値という形で申告してもら
っていた額とは違う指標として算出した値になりますので、その数値を報告する際に、新
卒者の平均値とかという様な、これまでと違うものであるけれども、それで代替して扱う
という表記をすることは、利用者にとって親切で誠実なように考えますけれども、いかが
でしょうか。
○しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 どういった表記がいいかとい
うのは色々あるかと思います。ただ、分かりやすいのは初任給額であろうとは思っていま
す。一方で、この初任給額というのは、今、委員のおっしゃったような新規学卒採用者の-8-所定の給与の平均で、手当分についてはこのような扱いですというところは明確にした形
で出したいと思います。どこまで利用者の方が見ていただけるかは難しいものがあります
けれども、できるだけそういう情報も公開しながら数字を提供していくことは、しっかり
やっていきたいと思っています。
○しろまる白波瀬部会長 初任給額の算出の仕方の違いということですね。
○しろまる嶋﨑委員 そうですね。
○しろまる白波瀬部会長 初任給額自体の言葉使いということではなくて、それは今後、やはり、
算出方法というか、数字をどういう形で算出しているのかというプロセス自体が違います
ので、そこはしっかり分かりやすく明記していただいて、何を真なる値にするのかは別と
しても、差はあるのですけれども、それを今後は、個人ベースで幾つかの条件付きで出し
ていただく。その条件付きの値が正しいかどうかも、もしかしたら分からないというとこ
ろまでは、さすがに踏み込みたくないのですけれども。
ただ、今回、御提案いただいた形で算出する初任給額と単純比較するのは、要するに、
今後は、やはり段差の問題があって、算出方法自体が違う訳ですから、数値としても違う
訳ですよね。その辺りのところを、どのように説明するのかが一番重要になってくると思
いますし、ユーザーサイドに対して、極めて丁寧な、今までもやはり何度か議論は重ねた
のですけれども、その背後にあるものや至った過程については、理解しにくい説明もあり
ましたので、それについては、やはり、十分丁寧な説明と、必要であれば、追加的なバッ
クアップ情報を速やかに出していただいて、公表していただくことに尽きるのではないか
と思うのです。
この点については、課題の中にしっかり入れさせていただくということではないかと思
います。そのような形でよろしいでしょうか。いかがでしょう。
それでは、この初任給につきましては、基本的な統計としては、今、御提案の代替のや
り方についての数値を代わりに出していただくと、表記していただくというようなことに
なるかと思うので、了承したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、そういう形で了承させていただきたいと思います。
次に、通勤手当等3手当の削除についての御説明も先ほどあったのですけれども、この
点については、いかがでしょうか。
川口委員、お願いします。
○しろまる川口専門委員 新しい調査票と古い調査票、参考資料として配られているものを比較さ
せていただいて、この3手当を除くということに関しては、私も問題ないと言いますか、
提案のとおりで良いと思います。この新しい調査票になったときに、古い調査票ですと、
決まって支給する現金給与額の中に、超過労働給与額とか、通勤手当とか、精皆勤手当と
か、家族手当とか、このようなものが全部入っているというのは、これを見ると分かる訳
ですね。新しい調査票だと、超過労働給与額は別の枠に出ているので、これを含めるのだ
なというのが、
2つを比べると分かると思うのですけれども、
例えば、
この通勤手当とか、
精皆勤手当とか、家族手当とかというものを含めるのか含めないのか、新しい調査票だけ
だと分からないと思うのです。-9-まず、質問は、この新しい調査票において、この3手当を含めたものを答えてもらうこ
とを想定していらっしゃるのか、それを除くのかということ。仮に、含めて答えてもらう
ということであれば、もう少し分かりやすいような形で聞かないと、そこを外して答えら
れて、
断層みたいなものが発生してしまうのではないかという懸念があるのですけれども、
何か検討していることがあれば、よろしくお願いします。
○しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 ここの、決まって支給する現
給与額、所定の給与額になるわけですけれども、これについては定義は変えない予定です
ので、当然3手当以外も含んでいますし、その他の手当についても含むと考えています。
ですので、御指摘のように、確かに、今までだと入れなければいけないという意識が働い
て、記載していただいていたというところがありますけれども、それがなくなるというこ
とにつきましては、一つには調査手引書などにしっかり記載するというのもあるのですけ
れども、やはり調査票にダイレクトに記載してあるということが必要なのかなと思います
ので、例えばこの超過給与額の方で、このような手当類を列記しているようなやり方です
か、このようなところを、少し工夫するということは考えたいと思っております。
○しろまる白波瀬部会長 そうですね。段差のところが、大変に気になりますので、具体的に、や
はり、工夫していただいて、記入者が間違わないように、混乱しないように、しっかり記
載していただく方が良いですね。今、川口委員がおっしゃったものを。
ここで何かノイズが発生してしまうと、
せっかくノイズがないように改善しているのに、
新しいノイズが付加されたら、元も子もなくなってしまって、ここまで積み上げた成果に
なりませんので、何か、現時点で考えていることはありませんか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 この辺まだ、内部的にしっか
り検討しなければいけないとは思うのですけれども、右のところに超過労働給与額、時間
外手当、深夜手当等というものが記載してありますけれども、このような例示を調査票の
中に記載しておくといったことはできるかと思っております。
ただ、今回やはり3手当の全てを記載するというのは、スペース的に厳しいところはあ
りますし、あんまりたくさん記載するとかえって分かりづらくなりますので、幾つかのも
のを記載して、そういった手当類も含んだものを記入していただけるようなところを、こ
この中に書き込めるのではないかと考えています。
○しろまる白波瀬部会長 マニュアルは、きちんとあるのですよね。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 手引の方にしっかりそういっ
た記載をいたします。現在でも、手当類には「このようなものを入れてください」という
ことは記載しております。
○しろまる白波瀬部会長 でも、この辺り、ある意味、大きな変更になりますので、質問が来て初
めてお答えするよりも、ここが変更になっているので、くれぐれも御注意願いますという
ような注意喚起を事前に入れてもらうような工夫があった方が良いのではないかと思うの
ですけれども。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 いずれにいたしましても、今
-10-
回また調査票自体がかなり大幅に変わりますので、
従来から調査していた事業所について、
変更点はここですよという簡単な1枚紙なのかどうかわかりませんけれども、何らかの説
明を記載したものを用意して調査したらいいのだろうと考えております。それをしっかり
やっていきたいと思っています。
○しろまる白波瀬部会長 是非、丁寧にお願いします。
あとは、いかがでしょうか。川口委員。
○しろまる川口専門委員 非常に細かい点なのですけれども、やはり、今まで3手当が外に出てい
て、明らかに、この3つは含めるのだということが分かる形になっていたと思うので、も
ちろん、調査票のスペースの関係で、御検討いただかないといけないというのは、よく分
かるのですけれども、可能であれば、同じ3手当をそのまま入れていただいた方が、連続
性という意味では確からしいのかなと思うのですけれども。スペース的に可能であれば、
御検討いただけると良いのかなと思ったのですが。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 確認ですけれども、調査項目
というよりも、この超過労働給与額みたいなこの例示の記載のし方ということでよろしい
のですよね。
○しろまる川口専門委員 はい。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 そこはスペースの関係とか見
やすさの関係等も踏まえながら、できる限りのところまでやりたいと思います。
○しろまる白波瀬部会長 連続性からですね。違う言葉が出ているような感じですので。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 はい。そこはもう少し。
○しろまる白波瀬部会長 いかがでしょうか。永瀬委員ありますか。よろしいですか。
それでは、
これにつきましても、
追加で実査の現場の方のお声も聞いていただきまして、
今後、最低賃金をどのように算出するかにつきましては、やはり、非常に重要になります
ので、あまり安易に一般統計調査により代替というような、そういうことはおっしゃらな
いで、しっかりどのように位置付けて算出するかというのは、今後の課題のところもある
のですけれども、やはり初任給額も含めまして、是非、専門家の方も入って、十分に御検
討を適宜していただけると大変ありがたいと思います。
それでは、この点につきましても、北村委員からの御意見は、何もありませんね。
ありがとうございます。
それでは、これらの件、ただ今の説明に、幾つかの御提案がありましたので、その点に
つきましては、しっかり受けとめていただきまして、3手当を除くというような形で承認
させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、続きまして、前回答申における今後の課題のうち、個人票における匿名デー
タの提供検討に係る対応状況について、審議を行います。
本件につきましては、平成 30 年度統計法施行状況に関する審議項目として、先日8月
30 日に開催されました企画部会において審議が行われたことから、その状況について御紹
介いたします。
-11-
同部会では、
「本調査の匿名データ化に当たっては、事業所票の匿名化もセットで検討す
る必要があるところ、事業所票データの匿名化について、技術的には大変難しく、横断的
課題であるということも想定されることから、慎重に検討すべきである。ついては、統計
研究研修所の支援を受けつつ、統計委員会において一定の結論を得ることとし、厚生労働
省においては、
この検討に積極的に参画していただいて、
その結論が得られた後、
改めて、
本調査における匿名データの作成・提供について検討することが望まれる」と整理された
ところです。
このため、本課題への対応につきましては、今後の企画部会における検討結果を踏まえ
まして、今後の課題として、答申案に盛り込むこととしたいと考えています。
現時点での厚生労働省の対応状況につきましては、資料2-2の 40 ページに基づきま
して、第3回目の部会で厚生労働省から説明していただいたところでありますけれども、
ただ今のような今後の課題として指摘することを含めまして、この件について、御意見・
御質問がある方は、発言をよろしくお願いいたします。
繰り返しですけれども、事業所票の匿名データにつきましては、本調査を超えて、やは
り、事業所データとしてどうすべきかという一つのガイドラインが必要であろうと思いま
す。それについては、企画部会の委員の皆様方にも御了解いただいていることと思うので
すけれども、それと同時に、各調査それぞれの特徴あるいは違いもありますので、個別に
違うのだといった消極的姿勢ではなくて、積極的に、今後、やはり、データの開示という
点から、
事業所データの匿名化について、
御協力・御参画いただくというような整理です。
この点につきまして、何か御意見・御発言ありますでしょうか。よろしくお願いいたし
ます。
川口委員、いかがですか。
○しろまる川口専門委員 検討の状況とかを、よく分かっていないところがあるのですけれども、
やはり、事業所の情報を入れて匿名化するというのは、従来の手法でそのまま行うという
のは、結構難しいところがあると思うのです。なので、ノイズを入れて、100%は特定でき
ないようにするといったことでしょうか。今までの匿名化の手法は、基本的には、情報を
粗くすることによって、特定されないようにするという考え方だと思うのです。都道府県
情報を削除したりですとか、
年齢を5歳階層にするとかですね。
ただ、
事業所データでは、
その方法で行うのが厳しい部分もあると思うので、本当に、このノイズを付加して、個人
が特定できないようにすると、仮に、この人がこの人かなというようなことが思えること
があったとしても、それとは限らないというか、ノイズを加えるという、そういう新しい
考え方を導入して匿名化を実現するということも必要なのではないかと思うのですけれど
も、その辺りについて、何か検討されていることがあれば、教えていただけないでしょう
か。
○しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 匿名データの検討状況につい
ては、
なかなか進んでいなかったという状況でして、
今、
御指摘いただいたところまでも、
たどり着いていないのが実際です。
-12-
ただ、問題として、そういったやり方もあるだろうということと、やはり賃金構造基本
統計調査の場合は、ただ単に「事業所調査だ、個人調査だ」ということではなくて、両方
が融合するといったところで、余計に色々やらなければいけないこととか、色々難しいこ
とがあるのだなと思いながら、どのようにしていくかを悩んでいたところです。
その中で、事業所分については、統計委員会の方で、まずやっていただけるという話に
なっておりますので、答えになっておらず申し訳ございませんが、そこについて積極的に
やっていきたいと考えておりますし、今、御指摘の内容も、十分踏まえながら厚生労働省
でも考えていきたいと思っております。
○しろまる白波瀬部会長 部会長としては、若干越境かもしれないのですけれども、もちろん、や
はり、賃金構造基本統計調査についても、サンプリング等の見直しについては、私は足元
で必要ではないかと御説明を伺って感じたところです。つまり、抽出率の決定の仕方云々
についても、やはりもしかしたら、
専門家の方を入れて御検討いただく。ただ、
その際に、
やはりデータとしての十分な利活用というのは、その段階からも視野に入れて検討してい
ただくのが、私は良いのではないかと思うのですね。つまり、データとして、やはり、事
業所データで、今後、より積極的な分析も可能になるということは、政策的にも非常に重
要だと思いますし、
それは調査を実施していただいている府省の価値なり意味というのも、
国民に還元できるという、とても重要なことだと思うのですね。
今、川口委員からも、匿名化について、少し考え方を変えなければいけないのではない
かということでした。私もそれは本当に同じように考えます。どうしても伝統的に、分か
らない、分からないということになってしまいがちで、匿名化が進まなくなってしまうの
ですが、肝心な分布のゆがみはどうなのだという、非常に基本的な疑問も出てきてしまう
ので、その全体の流れを最初に視野に入れて、サンプリング構造とか匿名化でも検討して
いただけるような、そういう意味では、かなり最新の情報をお持ちの専門家に入っていた
だかなければいけないと思うのですね。
でも、とても良い機会だと思いますし、これから外国人労働も情報として入ってきます
ので、その辺り、積極的に今後の課題として、宿題ではなくて、意味があるということを
含めて、書き込めれば良いかなとは思います。
○しろまる川口専門委員 今まで他の統計の匿名化なのですけれども、永瀬委員と一緒に議論に参
加させていただいたことがあって、ずっと感じているのは、どういう使い方をするのかを
あまり想定しないで、とにかく個人が特定できないようにするとなってしまうのですね。
なので、結局、都道府県の情報を落とすとか、年齢の各歳情報を落とすとかということを
行っていって、結局できたデータは、研究に使用するに耐えないものになってしまって、
今一つ利用が伸びないということになってしまっていると思うのです。
ですので、もちろん、個人が特定されないようにするという、そういう専門家の知見も
必要だと思うのですけれども、そのデータを使っていて、どういう分析をするのかといっ
たユーザー側の声も、十分に専門家の声を反映していただいて、その上で匿名化をどう行
うのかを考えていただけると、ありがたいなと思います。
○しろまる白波瀬部会長 そうですね。大変ありがとうございます。
-13-
永瀬委員、何かありますか。
○しろまる永瀬委員 そうですね。先ほど、川口委員から、例えば、データの入替えで、ノイズを
加えるとか、一定の方法によると、例えば、各歳別にしても個人が特定できないとか、そ
ういったような色々な工夫があり得ますので、そういったことを考えていただいて、より
広い人々が有効に使えるものになっていくと良いなと考えております。
○しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。
嶋﨑委員、何かありますか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、この件につきましても、提案どおりということで、整理させていただきたい
と思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、これで、賃金構造基本統計調査の変更につきまして、一通り、審議が終了い
たしました。
かなり突っ込んだ議論もありましたし、資料の提供につきましても、大変御協力いただ
きまして、ありがとうございました。これまでの審議結果を踏まえまして、答申案の構成
や整理の方向性について、共通認識を得たいと思います。
それでは、事務局の方で作成した答申案骨子を準備させていただきましたので、委員の
皆様方に配布していただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
お配りしているのは、事務局と私の方で整理したものでございます。よろしくお願いい
たします。皆様、お手元に届きましたでしょうか。ありがとうございます。
それでは、お配りした答申案骨子を御覧ください。
お配りした答申案骨子は、前回までの審議結果を踏まえまして、事務局と私の方で整理
させていただいたものです。あくまで案ですので、御了承ください。
答申案の全体的な構成につきましては、これまでの統計委員会答申の構成に準じた形に
したいと考えております。
まず、1(1)の「承認の適否」ですが、今回の変更事項については、一部の事項につ
いて、調査計画の修正が必要なところはありますけれども、全体的におおむね適当と判断
されたものと認識しておりますので、
「変更を承認して差し支えない」
と整理いたしました。
ただその上で、
「ただし」書きの部分で、一部事項については、調査計画の修正が必要で
あることを指摘したいと思っております。この形式については、これまでの答申でも、同
様の形で指摘しているという経緯がございます。
次に、「(2)理由等」のところにつきましては、御審議いただきました審査メモで取り
上げた変更事項の順に、変更内容の適否を記載しております。変更事項については、前回
部会までの審議結果を踏まえまして、特段の御意見もなく、御了承いただいた事項は「適
当」とし、修正等の御意見をいただいたところは「おおむね適当」とした上で、修正内容
を記載しております。
アとして、
「報告を求める事項の変更」のうち、
(イ)及び(カ)については、引き続き
審議することとしておりましたので、一応、ペンディングの(P)がここには付いている
-14-
ということです。これらについては、今日の審議結果を踏まえまして、整理させていただ
きます。
次に、2のところです。3ページの2の前回答申における課題への対応状況及び今後の
課題については、今回の調査計画における対応状況と、それに対する評価を行った上で、
項目(1)及び(3)については、引き続き対応が必要と考えられる点を、今後の課題と
して指摘することを考えております。
(2)につきましても、本日の審議結果を踏まえまし
て整理することとし、現時点では、ペンディングの(P)を付けております。文章として
は、
(1)及び(3)については、一応、このような形で記載しているのですけれども、細
かい検討を今後して、最終案として取りまとめたいということです。
この答申案の構成や整理の方向性等について、御意見・御質問のある方は、発言をお願
いいたします。
特に、今後の課題について、御意見等がございましたら、お願いいたします。今の匿名
データのところは、川口委員からも少し踏み込んだ意見も出ましたので、この点につきま
しては、こちらの方で少し詳し目に課題として記載したいと考えます。
いかがでしょうか。御意見・御質問、よろしくお願いいたします。
まず、では、嶋﨑委員、どうですか。よろしいですか。
○しろまる嶋﨑委員 前回部会でも議論しました、今回、大きな職種のカテゴリーの変更というこ
とについて、2ページの最初の2段落が該当しておりますけれども、
「各職種区分に該当す
る職業について具体的かつ丁寧な説明を」という部分については、これは遡って修正する
ことはしない訳ですね。今回から新しいカテゴリーで提供するので、この丁寧な説明とい
うのが、誰に対する丁寧な説明なのかということが必要ではないかと思います。報告者へ
の説明と同時に、やはり、統計利用者への説明も重要ということを記入してはどうかと思
います。分かりにくくて申し訳ありませんが、2ページのところです。
○しろまる白波瀬部会長 これは報告する方が困らないようにということですけれども、あとは、
集計表との関係ということですか。
○しろまる嶋﨑委員 かなり、私たち自身も、何種類か新しいカテゴリーの整理表を見せていただ
いて、ようやく、その変更の全容がつかめるというところでしたので、データの利用をす
る方たちにも、そういった丁寧な提示というものが求められるとか、そこを触れていただ
けると、これまでの中では一番分かりにくい修正になっていますので、少し気になりまし
たということです。
○しろまる白波瀬部会長 それでは、ここを少し修正します。はい。分かりました。
あとは、よろしいでしょうか。
○しろまる嶋﨑委員 もう1つあるのですけれども、やはり、学歴に今回初めて「不明」という選
択肢をあらかじめ用意しているというのは、恐らく、これまでにない方向だと思いますの
で、その点について、場合によっては、今後も少し検討を継続して回答状況を見るとか、
そういう必要性はあるのかと考えます。
○しろまる白波瀬部会長 今後の課題ということですかね。
○しろまる嶋﨑委員 ええ。
-15-
○しろまる白波瀬部会長 職種変更及びカテゴリーについての変更がありますので、これの効果と
いったことについて、丁寧に継続的に検討・検証していくことを課題の中に盛り込むとい
うことでしょうか。
○しろまる嶋﨑委員 全ては今後、学歴に全部「不明」を入れるという傾向に安易に流れるのも、
いささか問題だと思いますので、その辺への留意を触れると良いかと感じます。
○しろまる白波瀬部会長 うまく記載しないと、
「不明」を入れるということは、承認いたしました
ので、そこが揺れるようなことは記載したくないなとは思うのです。それで、つまり、検
討の上で、その中身について良しとしたことについては、現時点で、それなりに議論を重
ねて、それが一番良いのではないかという結論に達したということですね。
○しろまる嶋﨑委員 はい。それは、ただし、短時間労働者に対しても加えたということでの担保
として「不明」を加えたということで、かつ、調査票の構造をシンプルにするために、一
般労働者についても、あらかじめ設けるということになったと思いますので。
○しろまる白波瀬部会長 はい。それで、この「不明」について。
○しろまる嶋﨑委員 はい。今後その。
○しろまる白波瀬部会長 回答状況を検討するということですかね。
○しろまる嶋﨑委員 そうすると、試験調査をしろという話になってしまいますので。ここの変更
が大きい変更だということを、何か留意しておくことは、必要なように思います。
○しろまる白波瀬部会長 お話はよく分かるのですけれども、今回、色々改善に向かっての変更が
あるので、それは今回これで良しとはしない。これはもう色々なことも含めて、継続的に
検討ということにはなると思うのです。ただ、それについて、後ろ向きの形の答申案には
したくないということですね。
○しろまる嶋﨑委員 そうですね。
○しろまる白波瀬部会長 ですから、そこは注意深くというか、この度の複数の変更については、
その継続審議というか、その妥当性なり、時代も変わっていきますので、それで良しとし
て、後は何も見ないよということではないと思います。
ただ、ここの時点で、将来に向かって様々な出るであろうリスクについて、見直せとい
う文言を入れるべきなのかどうかというのは。
○しろまる嶋﨑委員 見直すというよりも、やはり注視していく必要があるということは。
このまま次の諮問にかかった際に、そのことに触れずにおくというのは、どうかと思う
ので、次の諮問の際には、やはり、確認する必要はあろうかと考えますね。
○しろまる白波瀬部会長 だけど、次の諮問が、自分の専門というか、次の委員会になりますけれ
ども、もちろん問題があれば答申という形で問題提起されますから、その見直しというの
は、
当然あると思うのです。
我々が全てのリスクをここで掌握して入れ込むということは、
現時点での答申についてどうで、その答申自体も新しい試みをそれなりに検討して議論し
てきた訳で、繰り返しですけれども、
「不明」についても、それで一番良いであろうという
結論に至った訳ですね。もちろんそれは、今後、未来永劫的に何もしなくても問題ないと
いうことには、もちろんならないと思います。
ただ、どこまで書き込むかというのは、すみません、ここのカテゴリーの「不明」とい
-16-
うところに入れるということは、私としては、ここまで来たのに今更感があるので、申し
訳ないのですけれども、難しいかなと思います。ただ、もう少し全体的な箇所で、特に選
択肢についての検討を引き続き行うことが必要といったような文言と出来ればと思います。
一旦、引き取らせていただきたいと思います。
○しろまる嶋﨑委員 はい。
○しろまる白波瀬部会長 すみません。ごめんなさい。
○しろまる嶋﨑委員 事情は理解しています。
○しろまる白波瀬部会長 すみません。
あとは、いかがでしょうか。ありますか。永瀬委員。
○しろまる永瀬委員 この答申の中に記載するのか、
どこに記載するかというのは別として、
今回、
新規学卒者の初任給の算出方法が変わりますよね。方向としては、確か、初任給は、きっ
と上がるのですよね。
○しろまる白波瀬部会長 見る限りではということですね。今回の試算については、そういう結果
が出たのであれだと。
○しろまる永瀬委員 今度、新たな復元方法によると、全体的に賃金は下がる方向に、これも3ペ
ージの(3)の調査方法の見直しというところで、
「労働者数の推計方法については、事業
所からの回収率を考慮した推計方法に変更し、平成 18 年調査まで遡って推計結果を公表・
提供する」ということになっておりますので、時系列では、平成 18 年からずっとたどれる
ようになっているので、それは良いと思うのですけれども、そういうことを詳しく見なか
った場合には、片方は少し下がって、初任給は少し上がるということになるので、その辺
りのところを、やはり丁寧に、時系列に変更があったということに対する注意の喚起とい
うのは、必要なのかなと思いました。
あと、この新規学卒者の初任給については、これは遡らないで、今回だけでしたか。新
規学卒者の代替集計というのは、これは遡って過去のものも示すのでしょうか。どうなの
でしょうか。
○しろまる白波瀬部会長 いかがですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 答申文とは関係の無いところ
でコメントさせてください。
考え方としては、全く定義が変わるので、むしろ、違うものになるということになりま
す。ただ、その接続のための係数はどういうものがあるのかと考えますと、今回、私ども
が一番最初に提案させていただいた代替集計がありますけれども、そのベースをどこまで
何でするかなのですけれども、それをやって接続を図るといったところを考えているとこ
ろです。ですから、復元方法をどうするかというのも、そこは併せてきちんと検討させて
いただいて、適切な情報提供の在り方を考えていきたいと思っています。
○しろまる永瀬委員 新聞記者の方とかにも分かりやすいような、よく熟読して初めて分かるとい
うのではなくて、分かりやすい情報提供があると良いのかなと思います。
○しろまる白波瀬部会長 そうですね。分かりやすいというところで、多分、一時的には変わった
ので、その変わったところで単純に比較されるケースがあるので、そういう意味では、必
-17-
然的に、遡りもあるのかと思いますが、どうでしょう。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 いわゆる接続係数みたいな感
じのものでしょうか。そういったものを含めて、傾向としてこうなっていますという示し
方なのかなとは思っています。
○しろまる白波瀬部会長 いや、接続といったそんな複雑なことを言わなくても、同じようなこと
で、遡りをかけて時系列で見ていただければ良い訳ですよね。
○しろまる永瀬委員 今度、全体的に遡るので、そのときに同じ方法で、初任給部分をこう計算し
ますとかは、できないのですか。
○しろまる中原厚生労働省政策統括官付参事官付賃金福祉統計室長 すみません。今回の初任給調
査について、審議の中で個人票の方に新規学卒者であるということをマルを付けるという
形になったと思っておりますので、過去に遡ってそういう項目はないので、それについて
は遡ることはできません。ただ、今回私どもが最初にお示しさせていただいた代替集計、
そのやり方でつなぐという考え方なのかなと思います。だからそういった意味での何か接
続させるためのものも考えているところです。
○しろまる白波瀬部会長 ありがとうございます。数値が下がった、上がったが、一番マスコミに
も取り上げられますので、今、永瀬委員からの御発言にあったように、十分に理論武装し
ていただいて、正確な結果を発信していただきますようにお願いします。
川口委員、いかがですか。
○しろまる川口専門委員 ここの今の点なのですけれども、先ほど嶋﨑委員からの御発言にもあっ
たように、今までと計算方法が違って、接続しないということで、やはり、かなり注意し
て発表しないと、厚生労働者に申し上げるまでもないことなのですけど、色々な疑念を抱
かれている可能性があって、
この計算方法を変えて、
「賃金が上がっているように出そうと
したのではないか」みたいな話が出ないように、慎重に発表していただくのが、よろしい
のではないかなと思います。
余計なことですけれども。
○しろまる白波瀬部会長 余計なことではないと思います。これだけ実査の現場の方は、しっかり
対応していただいているので、
誤解を与えないように、
正確な情報を隠さないで出す方が、
重要なような気がいたします。不都合なことも含めて。
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
繰り返しですけれども、
「不明」のところはかなり難しいのですが、適当な形で表現でき
ればと思っています。
○しろまる嶋﨑委員 はい。
○しろまる白波瀬部会長 嶋崎委員の御提案とは少し違ったものになるかもしれないですけれども、
おっしゃりたかったことは、結構、長い道のりでここまで来たのだけれども、それで良し
としないで、次もありますよと言いますか、引き続き検討して良いものにしてください、
ということを入れることができれば良いかなと思います。
よろしいでしょうか。このような流れで取りまとめさせていただきたいと思います。細
-18-
かいところは、まず、事務局と私の方で案を一任していただいて作成しまして、委員の皆
様方にお送りして確認を取って、最終的なものに取りまとめるということでよろしいでし
ょうか。
ありがとうございます。
それでは、以上、御了承いただきました答申案につきましては、まだ最終的な案があり
ませんので、9月末に開催予定の統計委員会に報告すべく、準備を進めさせていただきた
いと思います。賃金構造基本統計調査の変更に係る審議は以上となります。これまで計5
回もの長きにわたりまして、皆様に御審議いただいた結果、予定していた論点全てにつき
まして、審議を終えまして、本日、答申案の方向性についても、おおむね皆様の同意を得
ることができました。委員・専門委員を始め、審議に御参加いただきました皆様には、厚
く御礼を申し上げます。
なお、本日の部会の議事概要につきましては、後日、事務局から電子メールにて照会さ
せていただきますので、御対応をどうかよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、本部会の審議を終了いたします。
大変ありがとうございました。