【代替案あり】
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(遵守費用)
(行政費用)
(直接的効果(便益))
(副次的・波及的な影響)
備考
利用者が多様で低廉なサービスを利用することが可能となるという影響が生じることが期待される。
費用と効果(便益)の関係 上記のとおり、追加的な遵守費用及び行政費用は限定的である一方で、本件規制が導入された場合には、電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれのある端末代金の補助等や過度な期間拘束契約が禁止されることにより、事業者
間の競争が促進される環境が確保されることが期待される。
以上から、本件規制により得られる便益は、本件規制の導入に伴う費用を上回ることが見込まれるため、本件規制の導入は妥当と考えられる。
その他関連事項 【事前評価の活用状況】
「規制改革推進に関する第4次答申」(平成30年11月19日 規制改革推進会議)において、端末購入補助によって発生する端末購入の有無等による利用者間の不公平感と料金プランの分かりにくさの解消など、通信料金の適正化に向けて、通
信料金と端末料金の完全な分離を図ることが必要である旨が示され、また「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」(平成31年1月17日 モバイル市場の競争環境に関する研究会、ICTサービス安心・安全研究会 消費者保護ルールの
検証に関するWG)((注記))において、通信料金と端末代金の完全分離、行き過ぎた期間拘束の禁止及び合理性を欠く料金プランの廃止が必要である旨が示されたことを踏まえ、今回の改正を行うものである。
(注記) 利害関係者を含み、広く一般からの意見募集(平成30年11月28日から同年12月18日まで)を行った結果を踏まえ、取りまとめられたもの。
総務省は、携帯電話事業者による新たな規律の違反行為を是正する必要が生じるが、現在も携帯電話事業者において不
適切な行為があった場合は指導等を行っており、既存の枠組みの中で対応することが可能であるため、追加的な費用は発
生しないか、あっても限定的である。
規制の効果(便益) 当該規制の場合
一定の範囲の電気通信事業者等に対して電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれのある端末代金の補助
等や過度な期間拘束契約が禁止された場合、利用者が料金プランを正確に理解した上で自らのニーズに沿った合理的な選
択を行うことが可能となり、また、携帯電話事業者を乗り換えることについてのスイッチングコストが低下することにより利用
者の流動性が向上する等の効果が見込まれる。
事後評価の実施時期等 【事後評価の実施時期】
改正法の施行後3年を経過した場合において、改正法の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
【事後評価に向けて把握する指標(費用・効果等)】
電気通信事業者間の適正な競争環境が実現しているかを評価するため、規制の対象となる電気通信事業者の利用者数のシェア、その提供する電気通信役務の料金その他の提供条件等の状況を確認する。
代替案1の場合
契約約款の審査業務が新たに発生し、かつ、現在の携帯電話事業者のサービス展開の速度を鑑みると、審査業務の発
生頻度が高くなることが見込まれることから、追加的な費用が大きくなる。
電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある提供条件を有する契約約款が是正される。
利用者が多様で低廉なサービスを利用することが可能になるという影響が生じることが期待される。一方、携帯電話事業
者は、契約約款を変更する度に審査を受けることになるため、技術の進歩を踏まえた積極的な新サービスの提供が阻害さ
れる可能性がある。
【規制を実施しない場合の将来予測(ベースライン)】
携帯電話分野は、電気通信事業法(以下「法」という。)により整備された公正な競争環境下において、急速な技術の進歩を踏まえた積極的な新サービスの提供等による競争の促進が期待されてきたが、近年携帯電話事業者の次のような事業活
動により、法が想定していた通信サービス面での競争が十分に機能しない((注記))という課題が生じており、規制を実施しない場合には今後も競争が十分に進まない可能性がある。
- 携帯電話サービスの端末の販売等に際しての利用者に対する端末代金の補助等
・ 通信サービスと端末はセットで購入するものとの強い印象を与え、両者が本来は別のものであるという理解を妨げている。
・ 端末購入から一定期間で通信料金の割引が終了し、その後は通信料金が上昇するため、必要以上に新規端末に買い替える誘因が働く。
・ ハイエンド端末を中心に過度な端末購入補助が行われることにより、ハイエンド端末とローエンド端末の実売価格が接近し、市場メカニズムが有効に機能していない。
また、同様の補助ができないMVNOとの競争上のイコールフッティングの問題がある。
・ 「実質0円」というような表示に見られるように、端末代金と通信料金との区分が不分明で、利用者が何に対して幾ら支払っているか理解しづらい。
- 携帯電話サービスの提供に関する契約の締結に際しての当該契約の解除を不当に妨げる提供条件の設定
・ 期間拘束とその自動更新により、事業者乗換えのスイッチングコストが高くなっている。
・ 期間拘束なしの料金プランについて、その料金が高かったり、継続的に同じ事業者と契約しているにもかかわらず長期契約者割引を受けられなかったりするなど、
利用者にとって実質的な選択肢となっていない。
・ 契約途中で解約する際の違約金について、その算定根拠が明らかとなっておらず、また、その水準が高いことが、事業者乗換えの妨げとなっている。
以上のような携帯電話事業者の事業活動により通信サービス面での競争が十分に機能していない状況をベースラインとする。
(注記) 携帯電話市場は大手携帯電話事業者(MNO)3グループの寡占市場となっており、MNOから設備を借りて携帯電話サービスを提供する事業者(MVNO)のシェアは11.3%(平成30年9月末時点)にとどまっている。
また、「平成29年度電気通信サービスに関する内外価格差調査(総務省/平成30年9月19日)」によると、日本の携帯電話料金は欧州等に比べて高く、かつ高止まりの傾向にある。
【課題及びその発生原因】
上記のとおり、携帯電話事業者による事業活動によって法が想定していた通信サービス面での競争が十分に機能しないということが課題であり、こうした事業活動について現行法に規制がない状況がその発生原因である。
【規制の内容及び「規制」手段を選択した理由】
法は、新規参入規制の緩和、料金その他の提供条件に関する事前規制の撤廃等を行うことにより、公正な競争環境下での自由な競争の促進を通じて料金の低廉化と通信サービスの高度化・多様化を実現する枠組みを構築してきた。そこで、総
務省では、端末代金の補助等及び過度な期間拘束契約に当たる事例について非規制手段である行政指導等で是正を求めてきたが、携帯電話事業者においては、個々の行政指導等に対して最低限の見直しをするものの、これに反しない範囲で同
様の行為を行うことで、現在でもこれまでとは異なる形で端末代金の補助等及び過度な期間拘束契約に当たる行為が広く行われている。これに対応するには、携帯電話サービス等の電気通信役務((注記)1)を提供する一定の範囲の電気通信事業者及
びその媒介等業務受託者((注記)2)(以下「電気通信事業者等」という。)に対して、電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれのある端末代金の補助等や過度な期間拘束契約を禁止することが必要であるため「規制」手段を選択した。
(注記)1 禁止対象となる行為は携帯電話サービス以外の電気通信役務(その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供されるものに限る。)においても生じ得ることから、対象となる電気通信役務を携帯電話サービスに限定しないこととする。
(注記)2 電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理の業務及びこれに付随する業務の委託を受けた者(その者から委託(2以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。)をいう。
想定される代替案 【代替案1】
携帯電話サービス等の契約約款を認可制とし、その審査の過程で電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある料金その他の提供条件を是正させること。
規制の費用 当該規制の場合
携帯電話事業者は、今般禁止された行為に該当しないようサービス設計をすることを求められるが、既存のサービス設計
の枠組みの中で対応することが可能であるため、追加的な費用は発生しないか、あっても限定的である。
代替案1の場合
契約約款の認可制は、携帯電話事業者の料金その他の提供条件全般を事前に規制することになり、携帯電話事業者に
おいて認可取得のための多面的かつ総合的な対応が必要になり、また、サービス提供開始までに要する時間が長期化す
ることから、追加的な費用が大きくなる。
規制の事前評価書(要旨)
代替案との比較 電気通信事業分野においては、平成13年法改正までは、携帯電話サービスを含む電気通信役務の提供について、その契約約款を認可にかからしめることによって、行政がその審査の過程で電気通信役務の提供条件の内容に関与することが可
能であった。今般もこれと同様の規制を採用することで同等の効果を得ることができるが、契約約款の規制は、電気通信事業者の料金その他の提供条件全般を事前に規制することとなり、また、行政において契約約款の審査業務が発生するため、
追加的な費用が大きくなることから、それらが発生しない採用案が妥当である。
政策の名称 移動電気通信役務を提供する電気通信事業者等についての禁止行為の制定
担当部局 総務省総合通信基盤局事業政策課
評価実施時期 平成31年3月
規制の目的、内容及び必要性等

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