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規制の事前評価書
法律又は政令の名称: 電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法
の一部を改正する法律(案)
規 制 の 名 称: 第一種指定電気通信設備及び第二種指定電気通信設備の機能
の休止及び廃止の際の周知義務
規 制 の 区 分:新設、改正(拡充、緩和)
、廃止 (注記)いずれかにしろまる印を付す。
担 当 部 局:総務省 総合通信基盤局 事業政策課
評 価 実 施 時 期:平成30年 3月
1 規制の目的、内容及び必要性
1 規制を実施しない場合の将来予測(ベースライン)
「規制の新設又は改廃を行わない場合に生じると予測される状況」について、明確かつ簡
潔に記載する。なお、この「予測される状況」は 5〜10 年後のことを想定しているが、課題
によっては、現状をベースラインとすることもあり得るので、課題ごとに判断すること。
(現状をベースラインとする理由も明記)
固定電話網の IP 網への移行、
携帯電話の3G ネットワークから4G ネットワーク等への移行を
契機として、他の電気通信事業者の事業展開上重要な設備である第一種指定電気通信設備(固定
系)又は第二種指定電気通信設備(移動系)を設置する電気通信事業者(以下「指定設備設置事
業者」という。
)が、これら設備の機能の休廃止をしようとする場合に、指定設備設置事業者は、
当該機能を利用する他の電気通信事業者(以下「接続事業者」という。
)との協議において強い交
渉力を有し、優位な地位に立つものであり、当該機能を維持する費用を抑制する等の観点から当
該機能の休廃止までの期間をなるべく短くする意向が働くと考えられ、
その協議においては立場
の弱い接続事業者の意向が反映されず、
当該機能の休廃止に関する周知が接続事業者及びその利
用者の利益を確保するためには不十分なものとなるおそれがある。
そのため、このような状況に対処するための規制をせず、指定設備設置事業者による当該機能
が事前の周知が十分に行われない状況をベースラインとする。
2 課題、課題発生の原因、課題解決手段の検討(新設にあっては、非規制手段との比較に
より規制手段を選択することの妥当性)
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課題は何か。課題の原因は何か。課題を解決するため「規制」手段を選択した経緯(効果
的、合理的手段として、「規制」「非規制」の政策手段をそれぞれ比較検討した結果、「規
制」手段を選択したこと)を明確かつ簡潔に記載する。
【課題及びその発生原因】
第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備の機能の休廃止に関する接続事業者
との協議において、指定設備設置事業者は強い交渉力を有し、優位な地位に立つものであり、
当該機能を維持する費用を抑制する等の観点から当該機能の休廃止までの期間を長くとる意
向が働きにくいと考えられるところ、
当該休廃止に係る周知の実施を電気通信事業者間の合意
に委ねることとする場合、接続事業者の意向が反映されず、接続事業者及びその利用者の利益
を確保するために必要な周知期間が十分に確保されないおそれがあることが課題である。
【規制の内容】
電気通信事業者の事業展開上重要な設備である第一種指定電気通信設備及び第二種指定電
気通信設備を利用する接続事業者及びその利用者の利益の確保を図るため、
電気通信事業法に
おいて、当該接続事業者に対する周知の実施に関する行為規律を課す必要がある。
なお、
「固定電話網の円滑な移行の在り方」
(平成 29 年 9 月情報通信審議会答申)において、
第一種指定電気通信設備の機能が廃止される場合には他事業者やその利用者に大きな影響が
及ぶことから、他事業者への十分な周知期間を確保することが必要である旨が示されている。
2 直接的な費用の把握
3 「遵守費用」は金銭価値化(少なくとも定量化は必須)
「遵守費用」、「行政費用」について、それぞれ定量化又は金銭価値化した上で推計すること
が求められる。しかし、
全てにおいて金銭価値化するなどは困難なことから、規制を導入した
場合に、国民が当該規制を遵守するため負担することとなる「遵守費用」については、特別な
理由がない限り金銭価値化を行い、少なくとも定量化して明示する。
(遵守費用について)
周知対象を接続事業者に限定しているとともに、
第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気
通信設備の機能の休廃止をする旨を周知させるものであるため、
新たに発生する遵守費用は限定
的であると考える。
(行政費用について)
指定設備設置事業者が接続事業者に対して周知するものであるため、
行政が負担する費用はな
い。
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4 規制緩和の場合、モニタリングの必要性など、
「行政費用」の増加の可能性に留意
規制緩和については、単に「緩和することで費用が発生しない」とするのではなく、緩和
したことで悪影響が発生していないか等の観点から、行政としてモニタリングを行う必要が
生じる場合があることから、当該規制緩和を検証し、必要に応じ「行政費用」として記載す
ることが求められる。
(規制緩和するものでないため、該当せず)
だいやまーく簡素化した評価手法による評価だいやまーく
別に定める要件を満たす場合は、簡素化した評価手法による評価を実施することができる。
詳細は、
「規制に係る政策評価の事務参考マニュアル」第三部参照
3 直接的な効果(便益)の把握
5 効果の項目の把握と主要な項目の定量化は可能な限り必要
規制の導入に伴い発生する費用を正当化するために効果を把握することは必須である。定
性的に記載することは最低限であるが、可能な限り、規制により「何がどの程度どうなるの
か」
、つまり定量的に記載することが求められる。
第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備の機能の休廃止の際の周知義務が導入
された場合には、接続事業者に対する周知が確実に実施されることが期待される。
6 可能であれば便益(金銭価値化)を把握
把握(推定)された効果について、可能な場合は金銭価値化して「便益」を把握すること
が望ましい。
(金銭価値化が可能でないため、該当せず)
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7 規制緩和の場合は、それにより削減される遵守費用額を便益として推計
規制の導入に伴い要していた遵守費用は、緩和により消滅又は低減されると思われるが、
これは緩和によりもたらされる結果(効果)であることから、緩和により削減される遵守費
用額は便益として推計する必要がある。また、緩和の場合、規制が導入され事実が発生して
いることから、費用については定性的ではなく金銭価値化しての把握が強く求められてい
る。
(規制緩和するものでないため、該当せず)
4 副次的な影響及び波及的な影響の把握
8 当該規制による負の影響も含めた「副次的な影響及び波及的な影響」を把握するこ
とが必要
副次的な影響及び波及的な影響を把握し、記載する。
(注記) 波及的な影響のうち競争状況への影響については、
「競争評価チェックリスト」の結
果を活用して把握する。
本件規制の導入により、
接続事業者がその利用者に休廃止に伴う当該接続事業者の対応を周知
させる場合には、
当該接続事業者による当該利用者への周知に関する準備期間が確保されること
が期待される。
5 費用と効果(便益)の関係
9 明らかとなった費用と効果(便益)の関係を分析し、効果(便益)が費用を正当化で
きるか検証
上記2〜4を踏まえ、費用と効果(便益)の関係を分析し、記載する。分析方法は以下の
とおり。
1 効果(便益)が複数案間でほぼ同一と予測される場合や、明らかに効果(便益)の方
が費用より大きい場合等に、効果(便益)の詳細な分析を行わず、費用の大きさ及び負
担先を中心に分析する費用分析
2 一定の定量化された効果を達成するために必要な費用を推計して、費用と効果の関係
を分析する費用効果分析
3 金銭価値化した費用と便益を推計して、費用と便益の関係を分析する費用便益分析
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上記のとおり、指定設備設置事業者において限定的な遵守費用が発生するものの、当該機能の
休廃止に係る指定設備設置事業者による接続事業者への周知が確実に実施されることとなる。
以上から、本件規制により得られる便益は、本件規制の導入に伴う費用を上回っており、本件
規制の導入は妥当と考えられる。
6 代替案との比較
10 代替案は規制のオプション比較であり、各規制案を費用・効果(便益)の観点から
比較考量し、採用案の妥当性を説明
代替案とは、
「非規制手段」や現状を指すものではなく、規制内容のオプション(度合
い)を差し、そのオプションとの比較により導入しようとする規制案の妥当性を説明する。
代替案なし
7 その他の関連事項
11 評価の活用状況等の明記
規制の検討段階やコンサルテーション段階で、
事前評価を実施し、
審議会や利害関係者から
の情報収集などで当該評価を利用した場合は、その内容や結果について記載する。また、評価
に用いたデータや文献等に関する情報について記載する。
「固定電話網の円滑な移行の在り方」
(平成 29 年 9 月情報通信審議会答申)において制度改正
が必要とされた事項を踏まえ、今回の改正を行うものである。
8 事後評価の実施時期等
12 事後評価の実施時期の明記
事後評価については、規制導入から一定期間経過後に、行われることが望ましい。導入した
規制について、費用、効果(便益)及び間接的な影響の面から検証する時期を事前評価の時点
で明確にしておくことが望ましい。
なお、実施時期については、規制改革実施計画(平成 26 年 6 月 24 日閣議決定)を踏まえる
こととする。
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改正法の施行後 3 年を経過した場合において、改正法の規定の施行の状況について検討を加
え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
13 事後評価の際、費用、効果(便益)及び間接的な影響を把握するための指標等をあら
かじめ明確にする。
事後評価の際、どのように費用、効果(便益)及び間接的な影響を把握するのか、その把握
に当たって必要となる指標を事前評価の時点で明確にしておくことが望ましい。規制内容に
よっては、
事後評価までの間、モニタリングを行い、その結果を基に事後評価を行うことが必
要となるものもあることに留意が必要
指定設備設置事業者による第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備の機能の休
廃止の際の周知の実施状況を確認する。

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