0平成 28 年度
地方公務員の過労死等に係る
公務災害認定事案に関する調査研究事業
調査研究報告書
A research report on basic investigations for compensated cases of
overwork-related health disorders, "KAROSHI", among local public service
personnel 2010-2014
March 2017
平成 29 年3月
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
過労死等調査研究センター
Research Center for Overwork-Related Disorders (RECORDs)
National Institute of Occupational Safety and Health, Japan (JNIOSH) 1 1
目次
目次............................................................................................................................................. 1
調査報告要約.............................................................................................................................. 3
(注記)用語について .......................................................................................................................... 5
A. 目的.................................................................................................................................. 6
B. 方法.................................................................................................................................. 8
1 資料収集とデータベース構築 ............................................................................................. 8
(1)資料の収集 ................................................................................................................... 8
(2)データベースの構築..................................................................................................... 8
(3)データベース構築手順................................................................................................. 9
(4)データベース構築手法に関する具体的手順.............................................................. 10
(5)分析しやすいデータベース構築に関する工夫 .......................................................... 10
2 調査項目と分析 ..................................................................................................................11
(1)調査項目......................................................................................................................11
(2)分析方法......................................................................................................................11
(3)多層的な分析及び考察について ................................................................................ 12
(4)調査研究報告書の作成............................................................................................... 12
(5)研究倫理及び個人情報管理........................................................................................ 12
C. 結果及び考察 ................................................................................................................. 14
1 脳・心臓疾患..................................................................................................................... 14
(1)基本集計結果(脳・心臓疾患) ................................................................................ 14
1 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時) ............................................... 14
2 決定時疾患名.......................................................................................................... 16
3 発症時の前駆症状................................................................................................... 18
4 都道府県及び市区町村等別の認定件数.................................................................. 22
5 職種別の認定件数の分布........................................................................................ 24
6 休暇等の取得状況について.................................................................................... 26
7 健康診断、面接指導、既往歴について.................................................................. 28
8 職務従事状況(強度の精神的、肉体的過重性が認められる場合)...................... 30
9 発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状況 ................................................... 32
(2)クロス集計結果(脳・心臓疾患)............................................................................. 34
10 決定時の疾患名と男女別・年齢別・職種別のクロス集計..................................... 34
2 精神疾患............................................................................................................................ 40
(1)基本集計結果(精神疾患・自殺)............................................................................. 40 21 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時)
、決定時疾患名、既往歴 ......... 40
2 都道府県及び市区町村等別の認定件数.................................................................. 44
3 被災者の職種、出退勤の管理状況等及び業務負荷の類型(出来事) .................. 46
4 「仕事の量(勤務時間の長さ)
」による認定事案における発症前1〜6か月の休暇
等の取得状況及び時間外労働時間数 ..................................................................... 50
(2)クロス集計結果(精神疾患・自殺)......................................................................... 52
D. 今後の課題..................................................................................................................... 61
E. まとめ............................................................................................................................ 63
<調査研究担当者>
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所
過労死等調査研究センター
しろまる吉川 徹、医師、博士(医学)
、産業安全保健学、国際保健学
佐々木毅、修士(理学)
、職業疫学
松元 俊、学士(文学)
、労働衛生学
山内貴史、博士(学術)
、認知行動科学・疫学
久保智英、博士(医学)
、産業保健心理学
高橋正也、博士(医学)
、睡眠衛生学
にじゅうまる茅嶋康太郎、医師、博士(医学)
、産業医学
(しろまる報告書統括、にじゅうまる監督者) 3調査報告要約
【はじめに】
本調査研究報告書は、平成 28 年度総務省「地方公務員の過労死等に係る公務災害
認定事案に関する調査研究事業の請負
(調達番号 28-0049-0196)」の仕様書に基づ
き、
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究セン
ターが調査研究・分析を実施し、取りまとめたものである。
【調査研究の目的・背景】
近年、わが国において過労死等((注記)用語参照、5ページ)が多発し大きな社会問題
となっており、過労死等として公務災害認定された事案について、公務の遂行状況に
注目して事案分析を行い、過労死等の実態の解明と、その防止対策の検討を行うこと
が求められている。
【調査研究の方法】
総務省は、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)第8条第1項の
規定に基づく調査研究の実施にあたり、地方公務員災害補償基金(以下「基金」とい
う。)に対して、基金が保有する平成 22 年1月から平成 27 年3月までの期間におい
て公務上と判断された合計 190 事案(脳・心臓疾患事案 84 件、精神疾患・自殺事案
106 件)
に関する公務災害認定理由書、
裁決書、
判決文及び関連資料の提供を依頼し、
これを受けて基金が総務省に提出した当該資料を本調査研究における調査分析資料
とした。基金より発出されている各種通知資料を参考とし、収集した 190 事案につい
て、被災者の個人属性、被災傷病名、所属地方公共団体等名(都道府県及び市区町村
等)、職種、健康診断の実施の有無、過重労働者に対する支援・協力等の有無、休暇
等の取得状況、発症前概ね6か月間の時間外労働時間、強度の精神的・肉体的過重性
が認められる職務従事状況等の負荷要因の有無等について、データベース化を行っ
た。作成されたデータベースを用いて、脳・心臓疾患事案、精神疾患・自殺事案につ
いて基本集計、クロス集計を中心とした分析を行い、報告書を取りまとめた。調査研
究は平成 28 年 12 月から平成 29 年3月までに実施した。調査研究の実施に当たり、
労働安全衛生総合研究所の研究倫理審査委員会の審査を受け承認を得た(受理番号
H2821)。
【結果及び考察】
(1) 脳・心臓疾患:
本調査の対象期間中(約5年)の脳・心臓疾患による公務災害認定事案 84 件(う
ち死亡事案 37 件(44%))のうち、心・血管疾患は 29 件、脳血管疾患は 55 件であ 4った。脳・心臓疾患全体では男性が9割(89.3%)、女性が1割(10.7%)であった。
決定時疾患名は、心・血管疾患は心筋梗塞 11 件、心停止(心臓性突然死を含む。)
6件、大動脈瘤破裂(解離性大動脈瘤を含む。)6件、重症の不整脈(心室細動等)
4件、狭心症1件、その他の心・血管疾患1件であった。肺塞栓症による認定事案は
なかった。脳血管疾患は、脳出血 22 件、くも膜下出血 21 件、脳梗塞(脳血栓症、脳
梗塞症、ラクナ梗塞)10 件で、高血圧性脳症はなかった。脳出血・くも膜下出血の両
病名がついた重複病名例が2例認められた。
所属地方公共団体等名別の認定件数の分
布では、34 都道府県で過労死等の認定事案があり、東京都が全体の 17.9%(15 件)
を占め、13 県は事案がなかった。
職種別では、「その他の職員(一般職員等)」が最も多く 26 件(31.0%)、義務
教育学校職員 24 件(28.6%)、警察職員 20 件(23.8%)であった。死亡事案は義務
教育学校職員、
義務教育学校職員以外の教育職員、
消防職員で生存事案より多かった。
電気・ガス・水道事業職員、運輸事業職員、清掃事業職員、船員の認定事案はなかっ
た。認定事由として評価された職務従事状況は、
「異常な出来事・突発的事態に遭遇
したこと」
は4件、
「通常の日常の職務に比較して特に過重な職務に従事したこと(長時間の長時間労働)」は 67 件(全事案の約 8 割)であった。また、認定にあたって
考慮された職務従事状況として、精神的緊張を伴う職務が 18 件、交替制勤務職員の
深夜勤務・仮眠時間は 4 件が該当した。発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状
況についてもまとめた。
(2)精神疾患・自殺事案:
対象期間中の精神疾患・自殺による公務災害の認定事案 106 件(うち自殺事案 33
件)のうち、男性は全体の約6割、自殺事案に限れば約8割を占めていた。年齢別に
見ると、男女総数では 30〜39 歳が全事案数の約3割を占め最も多かった。決定時疾
患名については、男性では「気分[感情]障害(F3)」が、女性では「神経症性障害、
ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)」が多かったが、自殺事案に限れば全事
案が F3 で公務災害認定されていた。
職種別では、男女を問わず「その他の職員(一般職員等)」、次いで「義務教育学校
職員」が多く、自殺事案についても同様の傾向がみられた。業務負荷(出来事)別で
は、男性では「仕事の量(勤務時間の長さ)」に、女性では「異常な出来事への遭遇」
に該当した事案が最も多かった。また、男性の自殺事案の約6割が「仕事の量(勤務
時間の長さ)」に該当していた。「仕事の量(勤務時間の長さ)」に関連して、発症
前1〜6か月の時間外労働時間数については、事案により、暦月単位である場合と、
発症時期が日まで、あるいは上旬等と特定でき、その発症日を起算とする 30 日毎を
算定単位とする場合の2種類があることのほか、
仮にその6か月のうちに勤務歴がな
い期間があればその1か月については空白になるなどといった留意点はあるものの、
「仕事の量(勤務時間の長さ)」に該当した事案の多くが数か月の期間に渡り1か月 5当たり 100 時間前後の時間外労働を行っていたことがうかがわれた。
また、職種により認定要件を満たした出来事への該当状況は大きく異なっていた。
事案数が最も多かった「その他の職員(一般職員等)」では「仕事の量(勤務時間の
長さ)」に該当した事案が多かった。一方、「義務教育学校職員」においては「住民
等との公務上での関係」に該当した事案が最も多く、このような傾向は自殺事案に限
った場合においてもうかがわれた。「消防職員」や「義務教育学校職員以外の教育職
員」では「異常な出来事への遭遇」が多い傾向がみられた。
なお、
今回の調査研究手法は公務災害認定理由書等に記載された文章から当該調査
項目を読み取り、
データベースを作成し、
基本集計及びクロス集計の結果を提示した。
従って、
公務災害認定理由書等に記載されていない事象や抽出項目として設定した以
外の情報についてはデータベース化されていない。過重労働面談の実施状況等、入手
した資料からは十分読み取れない情報もあることから、
今回提示したデータの結果を
解釈する際には、調査研究手法を踏まえた解釈が必要である。
(3)今後の課題:
今回の分析では、過労死等として公務災害認定された事案には、公務に特徴的な被
災状況がみられたものもあり、今後さらに掘り下げた事案分析を行うことで、過労死
等防止対策に有用な知見を得ることも可能となると思われる。
(注記)用語について
過労死等 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする
死亡や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自
殺による死亡、死亡には至らないが、これらによる脳血管疾患・心
臓疾患と精神障害(過労死等防止対策推進法(平成 26 年法律第
100 号)の定義による)
過労死防止法 過労死等防止対策推進法(平成 26 年法律第 100 号)
大綱 過労死等の防止のための対策に関する大綱(平成 27 年7月 24 日閣
議決定)
過労死センター 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等
調査研究センター
基金 地方公務員災害補償基金
公務災害認定事案 地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案
公務災害認定理由
書等
公務災害認定理由書、裁決書、判決文 190 件(脳・心臓疾患事案
84 件、精神障害・自殺事案 106 件)及び関連資料
データベース1 公務災害認定理由書等のデータリストを基にして、今後データベー
ス分析が可能な準備データベース
データベース2 公務災害認定事案に関する詳細な分析ができる分析用データベース 6A. 目的
近年、わが国において業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死
亡や業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡、
死亡には至ら
ないが、これらによる脳血管疾患・心臓疾患と精神障害(以下「過労死等」という。
)が多発し
大きな社会問題となっている。過労死等は、本人はもとより、その遺族又は家族の計り知れな
い苦痛であるとともに社会にとっても大きな損失である。
過労死等として民間労働者が労働災害認定された件数は、脳・心臓疾患では年平均 300 件、
精神障害では 400 件を超え、年々その労働災害認定件数は増加傾向にある。一方、地方公務員
の公務災害については、過去 10 年間において、受理件数は、脳・心臓疾患が 24 件から 61 件
の間で、精神疾患等が 40 件から 75 件の間で推移しており、認定件数は、脳・心臓疾患が9
件から 21 件の間で、精神疾患等が 15 件から 37 件の間で推移している。脳・心臓疾患の平
成 26 年度の状況をみると、受理件数は 29 件(平成 25 年度 24 件)であり、認定件数は 21
件(同 16 件)となっている。職種別では、受理件数は、義務教育学校職員が8件(同3件)、次いでその他の職員(一般職員等)が7件(同7件)などとなっており、認定件数は、その他
の職員(一般職員等)が9件(同4件)
、次いで義務教育学校職員が6件(同2件)などとな
っている。また、精神疾患等の平成 26 年度の状況をみと、受理件数は 49 件(平成 25 年度
70 件)であり、認定件数は 37 件(同 17 件)となっている。職種別では、受理件数は、その
他の職員(一般職員等)が 24 件(同 41 件)
、次いで義務教育学校職員が8件(同6件)など
となっており、認定件数は、その他の職員(一般職員等)が 19 件(同 12 件)
、次いで消防職
員が6件(同0件)などとなっている。
平成 26 年6月に過労死等防止対策推進法(以下「過労死防止法」という。
)が成立し、同年
11 月に施行された。過労死防止法第7条の規定により、過労死等の防止のための対策に関す
る大綱(以下「大綱」という。
)が策定され、過労死等の防止のための基本的な考え方が示さ
れた。過労死防止法では、基本理念として、
「過労死等の防止のための対策は、過労死等に関
する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、
過労死等に関する調査研究を行う
ことにより過労死等に関する実態を明らかにし」と定められている。また、大綱では、
「過労
死等の実態の解明のためには、
疲労の蓄積や、
心理的負荷の直接の原因となる労働時間や職場
環境だけでなく、
(中略)複雑で多岐にわたる要因及びそれらの関連性を分析していく必要が
ある」、「過労死等の実態を多角的に把握するため、
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
(現:
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)
に設置されている過労死等調査研
究センター等において、過労死等に係る労災認定事案、公務災害認定事案を集約し、その分析
を行う。
」とされている。
過労死等については、
これまで主に労働災害認定や公務災害認定を行う際の業務起因性やそ
の基準について議論されてきたが、
そこから一歩進めた発生要因や機序等には不明な部分が多
く、効果的な防止対策のためには、大綱にも述べられている通り、その実態の解明が喫緊の課 7題であり、
過労死等として公務災害認定された事案について、
公務の遂行状況に注目して事案
分析を行うことにより、
過労死等の実態の解明と、
その防止対策の検討を行うことが必要とさ
れている。
以上のことから、
地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案
(以下
「公務災害認定事案」
という。
)について、実態を把握するための調査研究・分析が内外で切望されているものであ
り、倫理的に適切な手順を経た科学的な調査研究が必要である。
そこで、
独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センタ
ー(以下「過労死センター」という。
)は、過労死センターに所属する研究員により、総務省
「地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案に関する調査研究事業の請負(調達番号 28
-0049-0196)
」の仕様書に基づき調査研究・分析を実施した。具体的には、公務災害認定事
案について、基金が保有する平成 22 年1月から平成 27 年3月までの期間における公務災害
認定理由書、裁決書、判決文 190 件(脳・心臓疾患事案 84 件、精神疾患・自殺事案 106 件)
及び関連資料(以下「公務災害認定理由書等」という。
)に基づき、公務災害認定事案の実態
を把握するための調査研究・分析を実施した。本報告書は、平成 28 年度に実施した調査研究・
分析の結果をまとめたものである。 8B. 方法
本調査研究は、以下の手順に従って、調査研究・分析結果を取りまとめ、公務災害認定事案
のデータベースを構築し、データベースを用いて事案を分析し、調査研究報告書を作成した。
調査分析は、複数の過労死等に関する専門研究者で構成される過労死センターが行った。
1 資料収集とデータベース構築
(1)資料の収集
(ア) 過労死センターは、総務省よりCD-ROMに記録された電子情報となった公務災害
認定理由書等及び関連資料を受け取り、外部と接続されていない過労死センターの専
用のPCにデータを保管した。
(イ) 公務災害認定理由書等は、3種類の書式より構成されていた。3種類の書式は、1公
務災害認定理由書、2裁決書、3判決文で、合計 190 件であった。
(ウ) 関連資料としては、190 事案の疾患別にまとめられたリスト3種類(心・血管疾患 29
件、脳血管疾患 55 件、精神疾患・自殺事案 106 件)を入手した。関連資料として入手
したリストは、支部名、性別、地方公共団体名、役職、9職種名、生年月日、請求年月
日、認定年度、生存・死亡の状況、発症時年齢、備考情報で構成されていた。
(エ) 上記の資料を基に、個人が特定できる情報を除去したデータベースを作成するため、
専用のPCに保管し、分析に利用した。
(2)データベースの構築
受け取ったCD-ROMに記録された電子データによりデータベースを構築した。
項目とし
ては、被災者の個人属性、被災傷病名、所属地方公共団体等名(都道府県及び市区町村等)、職種、休暇等の取得状況、出退勤の管理状況、健康診断の実施の有無、過重労働者に対する支
援・協力等の有無、不規則な勤務や拘束時間の長い勤務・出張の多い勤務などの負荷要因の有
無、発症前概ね6か月間の時間外労働時間等について、全事案についてデータベース化した。
なお、脳・心臓疾患の負荷要因の有無については、図表0-1の通達「イ 心・血管疾患及び
脳血管疾患の公務上災害の認定について
(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 239 号)」を参照
して負荷要因について整理を行った。また、精神疾患・自殺事案については、さらに、生存・
死亡の別、
被災者が発症した精神疾患名の分布、
認定基準の業務負荷の類型に関してデータベ
ース化を行った。 9図表0-1 公務災害認定事案の分析のための基礎資料
ア 公務上の災害の認定基準について(平成 15 年9月 24 日付け地基補第 153 号)
イ 心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 239 号)
ウ 「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」の実施及び公務起因性判断のための調査事項について
(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 240 号)
エ 精神疾患等の公務災害の認定について(平成 24 年3月 16 日付け地基補第 61 号)
オ 「精神疾患等の公務災害の認定について」の実施について(平成 24 年3月 16 日付け地基補第 62 号)
カ 精神疾患等の公務起因性判断のための調査要領について(平成 24 年3月 16 日付け地基補第 63 号)
データベース作成の際は、個人の氏名、住所、電話番号等、個人の特定に繋がりうる情報が
一切含まれない状態で作成した。
なお、データベースについては、被災者氏名、生年月日及び住所等、個人情報が特定できる
情報は除去した上で通し番号を付け、オプトアウト((注記))用情報として通し番号及び被災者氏
名を入力した別ファイルを作成した。
((注記))
オプトアウト...被災者本人、
家族等の請求人より該当事案を分析対象から除外してほしいという希望や
質問のことをいう。
(3)データベース構築手順
本研究計画におけるデータベース構築のための手順を図表0-2に示した。
公務災害認定理由書等を利用した分析項目として選別される項目は相当数想定されるが、過労死センターがこれまで行ってきた労働災害事案を通じた過労死等の調査分析研究の経験を
活かし、その収集、データベース化項目の選定、データベース化の手続き等については最も適
切と考えられるステップにより行い、データベースの構築を行った。
ステップ1では、公務災害認定理由書等のデータリストを基にして、今後データベース分析
が可能な準備データベース(以下「データベース1」という。
)の作成を行った。
ステップ2では、
公務災害認定事案に関する詳細な分析ができる分析用データベース
(以下
「データベース2」という。
)の作成を行った。ステップ2では、入手した公務災害認定理由
書等から、
仕様書で指示されるデータベース作成及び分析に必要と考えられる項目を記録シー
トに読み取る作業を行い、記録シートを基に、データベース2に入力する作業を行った。今回
の調査では資料を利用して分析できる期間が限られていたことから、
仕様書で定められている
項目を中心に項目を厳選した。厳選された項目を記録シートに手書きで読み取る作業を行い、
手書きの記録シートを基に、
研究員により入力漏れなどを確認し入力作業を行い、
データベー
ス2を完成した。
ステップ3では、データベース2を用いた分析、調査研究報告書の作成を行った。 10図表0-2 収集された当該電子データによるデータベースの構築手順
<段階> <データベースの
名称>
<具体的な手順>
ステップ1 データベース1の
構築(分析準備デ
ータベース)
(1) 公務災害認定理由書等の電子情報(PDFファイル)
(2) 個別事案に割り振られたIDが連結できるリスト
(3) オプトアウト用リスト、オプトアウト用資料の作成↓ステップ2 データベース2の
構築(本分析デー
タベース)
(1)公務災害認定理由書等から、仕様書等の分析項目を記
録シートに読み取る作業
(2)記録シートから Microsoft ExcelTM
への入力作業、及び
研究員による記入漏れのチェック
(3) Microsoft ExcelTM
等の表計算・統計分析ソフトを用い
て分析できるデータベースの作成↓ステップ3 データベースを用
いた本分析と報告
書作成
(1) データベースを活用した分析の実施
(2) 調査研究報告書の作成、納入成果物の作成
(4)データベース構築手法に関する具体的手順
データベース作成に当たり、基にした資料は、公務災害認定理由書、裁決書、判決文 190 件
(脳・心臓疾患事案 84 件、精神疾患・自殺事案 106 件)であった。これらの書類は、一太郎TM、Microsoft WordTM
、PDFの3種類の電子媒体情報で記録されていた。そこで、今回の調査
研究手法では、公務災害認定理由書等に記載された文章から当該調査項目を読み取り、入力項
目として想定される情報を読み取り、記録シートに手書きにて複写した。その記録シートを用
いて、
PC上で Microsoft ExcelTM
にデータを入力しデータベース2を作成した。
したがって、
公務災害認定理由書等に記載されていない事象や、
抽出項目として今回設定した以外の過労死
等の実態の情報についてはデータベース化を行わなかった。
(5)分析しやすいデータベース構築に関する工夫
データベース1は、所属地方公共団体等名(都道府県及び市区町村等)
、認定年度等の最小
の情報のラベリングがされたデータベースとした。これは、オプトアウト用情報として、被災
者氏名が照合できる通し番号(ID)のみの別ファイル(以下「オプトアウト用リスト」とい
う。
)を作成した。
データベース2は、Microsoft ExcelTM
等の表計算・統計分析ソフトを用いて、個人属性、被
災傷病名、所属地方公共団体等名(都道府県及び市区町村等)
、職種、休暇等の取得状況、出
退勤の管理状況、健康診断の実施の有無、過重労働者に対する支援・協力等の有無、負荷要因
の有無、
発症前概ね6か月間の時間外労働時間などについて情報が入力されたものとした。精神疾患・自殺事案については、
さらに、
生存・死亡の別、
被災者が発症した精神疾患名の分布、 11認定基準の業務負荷の類型に関して分析可能となるようなデータベースとした。
このデータベ
ース2は、今後、仕様書以上の課題の検討及び分析が必要となった際に、追加情報を加えるこ
とができるものとして作成した。なお、データベース2は、個人の氏名、住所、電話番号等、
個人の特定に繋がりうる情報が一切含まれない状態で作成した。
データベース2は、
Microsoft
ExcelTM
で作成した。
2 調査項目と分析
(1)調査項目
公務災害認定事案の分析項目については、
図表0-2に示すデータベース2を用いて図表0
-3に掲げる項目による集計・クロス集計・分析を行った。脳・心臓疾患と精神疾患・自殺案
件については、
図表0-3の項目のうち
「ア〜サ」
を分析し、
精神疾患・自殺事案については、
図表0-3の項目のうち、
「シ、ス、セ」の項目についても分析を行った。
図表0-3 公務災害認定事案等の分析項目例
ア 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時)
イ 決定時の疾患名の分布
ウ 発症時の前駆症状、既往歴の有無
エ 所属地方公共団体等名(都道府県及び市区町村等)別の被災者数(認定件数)の分布オ 職種別の被災者数(認定件数)の分布
カ 休暇等の取得状況について
キ 健康診断の実施状況について
ク 過重労働者に対する支援・協力等の実施状況について
ケ 不規則な勤務や拘束時間の長い勤務、出張の多い勤務、交代勤務・深夜勤務、精神
的緊張を伴う業務等の職務従事状況について
コ 発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状況
サ 決定時の疾患名と男女別・年齢別・職種別のクロス集計
シ 被災者が発症した精神疾患名の分布 ((注記)1)
ス 認定基準の業務負荷の類型及び出来事に関すること((注記)2)
セ 生存・死亡状況について(決定時に生存していた若しくは自殺により死亡していた)
(注記)1 被災者が発症した精神疾患名の分布については、通知内に記載されている「ICD-10 国際疾病分類第 10
版(2003 年改訂)
」の第5章「精神及び行動の障害(F00-F99)
」に基づいて分類
(注記)2 認定基準の出来事に関することについては、図表3の通知内に記載されている「別表 業務負荷の分析
表」に基づいて分類する。
(2)分析方法
構築したデータベースを用いて、
図表0-3の調査項目について単純集計及びクロス集計を
行った。なお、分析にあたって、参考とする資料は図表0-1のものとし、その他、業務を進 12めていく上で必要に応じて基金のホームページ
(http://www.chikousai.jp/)
に掲載されてい
る法令・通達集等を確認した。
(3)多層的な分析及び考察について
過労死等の事案の調査研究には医学、
疫学、
統計、
社会科学等の知見が必要であることから、
過労死センターに在籍する過労死等の調査研究の経験のある調査研究事業担当研究者による
検討を定期的に開催し、
公務災害認定事案として精査すべき課題、
調査分析方法について定期
的に協議を行った。
具体的には定例で行われる過労死センター会議にて、
分析状況の進捗を管
理するとともに、3月末の納品に向けての手順を作成した。また、地方公務員の健康安全の確
保に関して産業医等として実務経験のある医師
(茅嶋、
吉川)
が本調査研究に参画した。
また、
分析手法、項目の抽出、分析視点等については、過労死防止法成立後より、定期的に開催され
ている過労死等防止対策推進協議会における公務災害認定事案の分析に関する識者の発言や
意見なども参考にした。
(4)調査研究報告書の作成
調査項目について分析した結果を取りまとめた調査研究報告書を作成した。
調査研究報告書
の作成に当たっては、グラフや表、図を用いるなど、わかりやすさに配慮した構成を試みた。
(5)研究倫理及び個人情報管理
1 調査研究における倫理面への配慮として、
公務災害認定された本人、
遺族へは特段の配
慮を行った。具体的には、公務災害認定事案の分析に際しては、過労死センターのホーム
ページを通じて過労死等調査研究の一環として公務災害認定理由書等の分析を行うこと
を公表するとともに、
被災者本人、
家族等の請求人より該当事案を分析対象から除外して
ほしいという希望や質問があった場合、
請負者の専用窓口に連絡するよう明示して倫理的
な配慮を行った。
2 本事業については労働安全衛生総合研究所の研究倫理審査委員会に諮り、個人情報の
取扱いと安全管理措置等について外部委員である専門家によるチェックを受け(受付番
号 平成28年1月22日、通知番号 H2821)承認を得たうえで実施した。
3 公務災害認定理由書等には、個人情報が含まれていることから、取り扱いには十分注
意し、情報漏洩を確実に防ぐための対策を講じた。公務災害認定事案のデータは、外部
インターネットの端末から物理的に隔離された専用の端末で取り扱うこととし、侵入者
からの保護のため、関係資料はカード認証システムにより本研究業務に従事する研究者
以外は入室できない専用の保管庫に保管することとした。
4 当法人の情報セキュリティ管理規程においては、情報セキュリティ対策を講じるため
の組織及び体制の整備、情報セキュリティの分類と対策等を定めているが、同規程に基 13づき、障害等の発生時における報告と応急措置、障害等の原因調査と再発防止対策を講
じ、調査研究を実施した。 14C. 結果及び考察
1 脳・心臓疾患
(1) 基本集計結果(脳・心臓疾患)
1 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時)
脳・心臓疾患(心・血管疾患 29 件、脳血管疾患 55 件)の公務災害認定事案について、図表
1-1-1に被災者の性別、請求時、発症時、死亡時の平均年齢を表に示した。図表1-1-
2には図表1-1-1に示したデータを用いて、
発症時年齢区分と被災者の性別による集計値
を棒グラフとして示した。発症者の性別発症時、死亡時の年齢については、10 歳単位でその
区分を示した。
男女別にみると、脳・心臓疾患事案は、男性が9割(89.3%)
、女性が1割(10.7%)であ
った。
発症年齢別にみると、男性では 40〜49 歳と 50〜59 歳、女性では 50〜59 歳の事案が多く、
男女総数では、40〜49 歳の事案が 32 件(38.1%)
、50〜59 歳の事案が 31 件(36.9%)で、事
案の4件に3件を占めた。
生存・死亡別では、死亡事案は 37 件で、全体の半数弱(44.0%、37/84)であった。男性の
半数(48.0%、36/75 件)は死亡事案であり、女性の死亡事案は9件中1件であった。女性の
死亡例は、50 歳代だった。
請求時年齢の平均年齢は、男性は 47.6 歳(標準偏差 8.6 歳)
、女性は 45.0 歳(標準偏差 8.1
歳)で、発症時年齢の平均年齢は、男性で 46.9 歳(標準偏差 8.7 歳)
、女性で 44.7 歳(標準
偏差 8.3 歳)であった。発症後、あまり時間をおかずに請求されていると思われた。
死亡時年齢の平均年齢は、男性は 44.3 歳(標準偏差 9.2 歳)であった。発症時年齢よりや
や若年であった。女性は 50 歳代が一事案のみであった。 15図表1-1-1 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時) *
*M: mean, 平均年齢、SD: standard deviation, 標準偏差
n (%) n (%) n (%)
性別 75 9 84
(89.3) (10.7) (100)
請求時年齢(M, SD) 47.6 8.6 45.0 8.1 47.3 8.5
発症時年齢(M, SD) 46.9 8.7 44.7 8.3 46.7 8.6
19-29歳 2 (2.7) 1 (11.1) 3 (3.6)
30-39歳 12 (16.0) 2 (22.2) 14 (16.7)
40-49歳 30 (40.0) 2 (22.2) 32 (38.1)
50-59歳 27 (36.0) 4 (44.4) 31 (36.9)
60-69歳 4 (5.3) 0 (0.0) 4 (4.8)
70歳以上 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)
死亡時年齢(M, SD) 44.3 9.2 53.0 - 44.6 9.2
20-29歳 2 (5.6) 0 (0.0) 2 (5.4)
30-39歳 8 (22.2) 0 (0.0) 8 (21.6)
40-49歳 14 (38.9) 0 (0.0) 14 (37.8)
50-59歳 12 (33.3) 1 (100.0) 13 (35.1)
60-69歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
70歳以上 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 36 (100) 1 (100) 37 (100)
男性 女性 全体212302740122400 10 20 30 40
19-29歳
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
70歳以上
図表1-1-2 被災者の性別、発症時年齢
男性 女性 162 決定時疾患名
図表1-2-1に、心・血管疾患の請求時・認定時に公務災害認定理由書等に記載されてい
た主な疾患名を列挙したものを示した。
公務災害認定理由書等より読みとれる請求時・認定時
の疾患名は、基金が発出している「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について
(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 239 号)
」に記載の疾患名を用いているとは限らなかっ
た。そこで、心・血管疾患では図表1-2-1の主な疾患名について、脳血管疾患についても
同様に公務災害認定理由書等に記載された内容を精読し、
上記の通達の疾患名に置き換え集計
したもの(以下「決定時疾患名」という。
)を図表1-2-2、図表1-2-3に示した。
決定時疾患名による分類の結果、心・血管疾患 29 件、脳血管疾患 55 件、合計 84 件であっ
た。女性の事案9件はすべて脳血管疾患で、心・血管疾患はなかった。
心・血管疾患は、心筋梗塞 13.1%(11/29)、心停止(心臓性突然死を含む)7.1%(6/29)、
大動脈瘤破裂
(解離性大動脈瘤を含む。)7.1%
(6/84)
重症の不整脈
(心室細動等)4.8%(4
/84)であった。狭心症、その他の心・血管疾患はそれぞれ1件であった。肺塞栓症による認
定事案はなかった。その他の心・血管疾患事案は、熱中症後に急性心不全を来たし死亡した事
案であった。地基補第 239 号の疾患名には「急性心不全」の疾患名はないため、その他の心・
血管事案というカテゴリに分類した。
脳血管疾患は、
脳出血 26.2%
(22/84)、くも膜下出血 25.0%
(21/84)、脳梗塞 11.9%
(10/84)
で、高血圧性脳症はなかった。脳出血・くも膜下出血の両病名がついた重複病名例が2例あっ
た。なお、労働災害認定事案の脳血管疾患では、脳出血が最も多く 28.6%(447/1564)
、次に
くも膜下出血 18.5%(289/1564)
、脳梗塞 14.5%(226/1564)である。
図表1-2-1 請求時・認定時の心・血管疾患で用いられていた疾患名の分布*
疾患名(括弧内は同じ病名の件数)
1 急性大動脈解離(2)
2 急性大動脈解離、Stanford A 型
3 急性大動脈解離による心タンポナーデ
4 解離性大動脈瘤
5 胸部大動脈解離
6 急性心筋梗塞(4)
7 急性心筋梗塞疑
8 急性心筋梗塞、左心室瘤
9 急性心筋梗塞、心肺停止蘇生後低酸素脳症
10 急性前壁中隔心筋梗塞
11 心筋梗塞
12 陳旧性心筋梗塞、不整脈、心室頻拍、心室細動
13 虚血性心血管疾患
14 急性虚血性心不全
15 心室細動、拡張型心筋症
16 心室細動、冠攣性狭心症
17 特発性心室細動、低酸素脳症
18 心臓性突然死
19 急性心臓死
20 急性心不全(2)
21 急性心不全の疑い
22 致死性不整脈(推定)
23 低酸素性脳症
24 左右大葉性肺炎
*認定理由書等に記載の請求時または認定時の疾
患名(n=29)、かっこ内の数字は2件以上のもの 17図表1-2-2 決定時の疾患名の分布
n (%) n (%) n (%)
決定時疾患名*1
心・血管疾患 29 (38.7) 0 (0.0) 29 (34.5)
狭心症 1 (1.3) 0 (0.0) 1 (1.2)
心筋梗塞 11 (14.7) 0 (0.0) 11 (13.1)
心停止(心臓性突然死を含む。) 6 (8.0) 0 (0.0) 6 (7.1)
重症の不整脈(心室細動等) 4 (5.3) 0 (0.0) 4 (4.8)
肺塞栓症 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
大動脈瘤破裂(解離性大動脈瘤を含む。) 6 (8.0) 0 (0.0) 6 (7.1)
その他の心疾患*2 1 (1.3) 0 (0.0) 1 (1.2)
脳血管疾患 46 (61.3) 9 (100.0) 55 (65.5)
くも膜下出血 18 (24.0) 3 (33.3) 21 (25.0)
脳出血 18 (24.0) 4 (44.4) 22 (26.2)
脳梗塞(脳血栓症、脳塞栓症、ラクナ梗塞) 8 (10.7) 2 (22.2) 10 (11.9)
高血圧性脳症 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
脳血管疾患の重複事例*3 2 (2.7) 0 (0.0) 2 (2.4)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)
*1 ICD-10及び公務災害認定基準の疾患名 *2「その他の心疾患」は急性心不全を1例含む
*3「くも膜下出血」と「脳出血」の重複例
男性 女性 全体1116461181882034200 5 10 15 20 25
狭心症
心筋梗塞
心停止(心臓性突然死を含む。)
重症の不整脈(心室細動等)
肺塞栓症
大動脈瘤破裂(解離性大動脈瘤を含む。)
その他の心疾患
くも膜下出血
脳出血
脳梗塞(脳血栓症、脳塞栓症、ラクナ梗塞)
高血圧性脳症
脳血管疾患の重複事例
図表1-2-3 決定時の疾患名の分布(実数)
男性 女性 183 発症時の前駆症状
図表1-3-1、1-3-2に発症前の前駆症状についてまとめたものを示した。
公務災害認定理由書に前駆症状の項目に
「なし」
と記載されていたものは 29 件であった。
一方、前駆症状が「あり」と読み取れたものは 37 件であった。前駆症状については、心・
血管疾患と脳血管疾患の発症に直接的に関係していると考えられた症状以外にも、不定愁
訴(だるい、疲れ、特定の臓器に関連しないと考えられる痛みなど)
、高血圧症や糖尿病と
いった基礎疾患またはそれらの基礎疾患が関連したと考えられる自覚・他覚所見の記載が
あったが、今回の調査研究では十分に分類できなかった。また、公務災害認定事由書等に前
駆症状の記載が不明であったもの、
「なし」とされていても、疲れやだるさなどの訴えが書
類に記載されているものもあり、記載なし/不明のカテゴリを設け、
「前駆症状あり」以外の
件数も示すこととした。その件数は 47 件であった(総数 84 件より「前駆症状あり」とされ
た事案以外の件数)。前駆症状ありとして記載されていた症状は、頭痛 17 件、胸部痛3件、その他 28 件であっ
た。図表1-3-3に、公務災害認定理由書等から読み取った、前駆症状の記載のあった例
を示した。公務災害認定理由書等より読み取れた明らかな前駆症状は 37 件であったが、図
表1-3-3に例を示している通り、前駆症状の記述の方法が公務災害認定理由書等では
多様になっており、
十分な読み取りには、
専門研究員による調査を再度確認する必要がある。
なお、図表0-1に示した資料のうち、
「ウ 「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災
害の認定について」
の実施及び公務起因性判断のための調査事項について
(平成 13 年 12 月
12 日付け地基補第 240 号)
」には、調査事項として、
「発症前の被災職員の前駆症状又は警
告症状の有無及びその詳細」が挙げられている。公務災害認定理由書等の記述は、この調査
事項に沿った記載と考えられるが、特に「裁決書」と「判決文」では、前駆症状の記述が削
除されていた、その判断のために不要とされていた等の理由で記載されていなかった可能
性も推測され、
公務災害認定事案における各事案の実態としての前駆症状としては、
精緻な
検討が必要と考えられる。
前駆症状には心・血管疾患、脳血管疾患に特異的な症状、所見以外にも、疲れやだるさな
どの不定愁訴に含まれる症状も確認された。 19図表1-3-1 発症時の前駆症状*
n (%) n (%) n (%)
前駆症状
なし 26 (34.7) 3 (33.3) 29 (34.5)
あり 34 (45.3) 3 (33.3) 37 (44.0)
頭痛 15 (20.0) 2 (22.2) 17 (20.2)
胸部痛 3 (4.0) 0 (0.0) 3 (3.6)
その他 25 (33.3) 3 (33.3) 28 (33.3)
記載なし/不明 41 (54.7) 6 (66.7) 47 (56.0)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)
*それぞれの項目の割合(%)は列の合計(男性、女性、全体)を分母として算出した
男性 女性 全体26341532541332360 10 20 30 40 50
前駆症状なし
前駆症状あり
頭痛
胸部痛
その他
記載なし/不明
図表1-3-2 発症時の前駆症状(実数)
男性 女性 20図表1-3-3 認定理由書等に記載されている前駆症状の例(注記)
<脳血管疾患>
- 前夜にめまい
- ×ばつ日めまいで自宅の2階の階段から転落し、足首を骨折。
- 当日の朝、
頭が痛いと訴えていた。
当日の正午ごろ、
「頭痛薬ある」
と保健室を訪れた。
- 既往歴に両側大脳白質に脳梗塞所見あり。
- 既往歴に糖尿病、両屈折異常、両糖尿病網膜症等あり。発症時に前駆症状として「被災
当日の朝、何度も声をかけてもベッドから出られなかった。」「手足のむくみ、歩くのが
きつい、頭が重い」などの訴えがあった。
- 数日前から後頭部痛あり2、3日前からグルグル回るような眩暈があった。
- 前日、よほど疲れたていたのか、おやすみの言葉もなく、床についた。
- 右側の非拍動性頭痛(非突発)
、右半身のビリビリした異常感覚が出現し、視野の左側
が見えにくくなった。
- なかなか起床できなかった。
- 4月下旬から徐々に頭痛、食欲減退、いびき、手足のしびれ、首肩腰の痛みが強まる。
- 4月の下旬に頭痛と吐き気を訴えた。
- ×ばつ日、帰宅時に自宅への帰路を間違える。
- 疲労感がある。脳に瘤あり、今年になって、頭が痛い、肩がこる。
- 1起床の声かけをしてもしばらくは起きず、
2今日は、
しんどいから電車で行きたい。
駅まで送って欲しい。
- 突然の頭痛を訴え、嘔吐しだした。
- 被災日の朝、寝汗をかいた。
- 亡くなる1週間くらい前から頭が痛いということは言っており、
それが、
続いていると
言っていた。
- 当日9時 30 分頃出勤前から頭痛があり、薬を飲んだがまだ痛い。
- 発病の1週間前ぐらいから頭が痛い、身体が重いということをたびたび口にしていた。
- 金属バットで殴られたように頭が痛い。こんな痛みは初めて。
- 10 月中旬1日に数百kmも車で走るし、未舗装の山道も多く走るので、さすがに疲れが
溜まってきた。10 ×ばつ日胃のあたりがキリキリ痛む。
- 強い疲労感があったようで、夕食もほとんど食べないで入浴、就寝。
- 左耳の痛みを訴える。
- 救急車内では、頭痛を訴えていたが、生年月日や住所、練習の様子などに自分で答えて
いた。
- 高血圧症は検診にて以前より指摘を受けていたようだが、内服薬等によるコントロー
ル、
治療は行っておらず、
脳内出血を引き起こしかねない状況下にあったと思われる。 21- 頭痛、吐き気。
<心・血管疾患>
- 動悸を覚え、突然意識を失い転倒し、顔面を強打。
- 12 月中旬、4時 50 分ごろ、痙攣を起こし、意識がなくなり、呼吸停止に陥った。
- 11 月上旬、初診1週間以上、腹痛があったとのことで来院。頭痛は軽減しておりまし
たが、下腹部痛、下痢は継続。
- 職場での状況 10 月中旬:少し痩せてきているように思えたので、体調を伺うと疲れて
いるが、何とかできそうですと返事があった。
- 2月上旬、
本人が頭痛を訴え、
頭部MRI等検査し問題なく肩こりからくるものであろ
うと診断された。
- 7月上旬、
9時〜19 ×ばつ日、
胸背部痛は持続していた。
- 本人によれば、発症2日前(4月上旬)早朝に心臓が締め付けられるような痛みを感じ
たが、5分程度で治まり、気にはなったが通常通り出勤した。
- 倒れる 20 分前に胸痛を訴えていた。
- 腿、ふくらはぎ、腰辺りが痛い。
- 所属によれば、
被災前日に風邪気味でマスクを着用とされているが、
その他は特になし。
- 発症する半年単位前から家であまり笑顔がなくなり、常に疲れた感じ平日は夜 11 ×ばつ年 12 ×ばつ年 4月頭痛、発熱、近医で受診、有給休暇を取得し自宅静養。
- 夕食前にしばらく胃痛。
(注記)個人や年月日が特定出来る情報は削除又は修正した、
平成 29 年3月 31 日→3月下旬、
等。
また、
記載例については、
前駆症状として数行にわたって記載があったもののうち、一部を抜き出して掲載したものもある。 224 都道府県及び市区町村等別の認定件数
図表1-4-1に都道府県別及び市区町村等別の認定件数の分布を、男女別でまとめた
ものを示した。なお、市区町村等については、その存する都道府県に計上した。
対象調査期間では東京都が 15 件と最も多く、全体の 17.9%を占めた。他にも首都圏の2
県(千葉、神奈川)
、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県は、5年間の事案は4件以上であっ
た。また、34 都道府県で過労死等の認定事案があり、事案のなかったのは 13 県であった。
全国で過労死等の認定事案が発生していることが確認されたが、公務災害の対象となる職
員総数の相違は考慮しつつも、公務災害の発生には地域差の存在が推測された。
都道府県別で算出された公務災害の発生実態は、精神疾患・自殺事案の疾患別や、外傷や
通勤災害等の公務災害の発生状況と比較することができると思われる。
今後、
勤務している
職員総数を利用して、
単位人数当たりの認定率を算出することなども可能と考えられる。都道府県別では、その認定事案数が限られるので、西日本、東日本、大都市圏、大都市圏以外
などの地域などを区分して、集計を行うこともできると思われる。 23図表1-4-1 都道府県及び市区町村等別の認定件数
(注記)市区町村等については、その存する都道府県に計上した。
男性 女性 全体 男性 女性 全体
北海道 1 1 2 滋賀県 2 0 2
青森県 0 0 0 京都府 3 1 4
岩手県 0 0 0 大阪府 5 0 5
宮城県 1 1 2 兵庫県 3 2 5
秋田県 0 0 0 奈良県 1 0 1
山形県 0 0 0 和歌山県 1 0 1
福島県 2 0 2 鳥取県 1 0 1
茨城県 1 0 1 島根県 1 0 1
栃木県 2 0 2 岡山県 3 0 3
群馬県 0 0 0 広島県 2 0 2
埼玉県 1 0 1 山口県 0 1 1
千葉県 4 0 4 徳島県 0 0 0
東京都 14 1 15 香川県 0 0 0
神奈川県 5 1 6 愛媛県 1 0 1
新潟県 1 0 1 高知県 1 0 1
富山県 0 0 0 福岡県 4 0 4
石川県 1 0 1 佐賀県 0 0 0
福井県 2 0 2 長崎県 0 0 0
山梨県 0 0 0 熊本県 0 0 0
長野県 1 0 1 大分県 1 0 1
岐阜県 0 0 0 宮崎県 1 0 1
静岡県 2 0 2 鹿児島県 2 0 2
愛知県 1 0 1 沖縄県 2 0 2
三重県 2 1 3
合計 75 9 84 245 職種別の認定件数の分布
認定件数 84 件の職種別の内訳をみると(図表1-5-1、図表1-5-2)、「その他の
職員(一般職員等)
」が最も多く、男女総数で 26 件(31.0%)該当していた。次いで、
「義
務教育学校職員」24 件(28.6%)、「警察職員」20 件(23.8%)、「義務教育学校職員以外の
教育職員」11 件(13.1%)であった。電気・ガス・水道事業職員、運輸事業職員、清掃事業
職員、船員の認定事案はなかった。
「義務教育学校職員」と「警察職員」で全体の半数を占
め、公務災害認定事案は、おおよそ4件に1件は義務教育学校職員であり、同様に4件に1
件は警察職員であるといえる。今後、各職種の総人数を分母として、100 万人当たりの認定
率を算出することで、認定率等を比較することが可能である。
なお、役職も部長、課長等の管理職級の被災者も相当数含まれ、労働時間を管理すべき立
場、
あるいは長時間残業の申告や規制などがかかりにくい役職の被災者が含まれており、公務特有の過労死等の発生実態について、職位や専門職に注目した事案の質的解析が望まれ
る。また、その他の職員に含まれる職種については、さまざまな職種があるため、より職種
を細分化して事案を検討することも必要と考えられる。
図表1-5-3には、性別に加え、生存・死亡の情報に基づき分類したものを示した。業
種によって、生存と死亡の割合が異なっている傾向があった。
図表1-5-1 職種別の認定件数の分布
(注記)その他の職員(一般職員等)には、医師等の専門職も含まれる
男性 女性 全体
n (%) n (%) n (%)
業種(大分類)
義務教育学校職員 19 (25.3) 5 (55.6) 24 (28.6)
義務教育学校職員以外の教育職員 10 (13.3) 1 (11.1) 11 (13.1)
警察職員 20 (26.7) 0 (0.0) 20 (23.8)
消防職員 3 (4.0) 0 (0.0) 3 (3.6)
電気・ガス・水道事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
運輸事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
清掃事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
船員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 23 (30.7) 3 (33.3) 26 (31.0)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100) 25図表1-5-3 過労死事案(脳心疾患)における生存死亡別・性別の業種分類19102030000235100003
0 10 20 30
義務教育学校職員
義務教育学校職員以外の教育職員
警察職員
消防職員
電気・ガス・水道事業職員
運輸事業職員
清掃事業職員
船員
その他の職員(一般職員等)
図表1-5-2 職種と男女
男性 女性
業種(大分類) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
義務教育学校職員 8 (20.5) 4 (50.0) 11 (30.6) 1 (100.0) 24 (28.6)
義務教育学校職員以外の教育職員 2 (5.1) 1 (12.5) 8 (22.2) 0 (0.0) 11 (13.1)
警察職員 11 (28.2) 0 (0.0) 9 (25.0) 0 (0.0) 20 (23.8)
消防職員 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (8.3) 0 (0.0) 3 (3.6)
電気・ガス・水道事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
運輸事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
清掃事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
船員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等)* 18 (46.2) 3 (37.5) 5 (13.9) 0 (0.0) 26 (31.0)
合計 39 (100.0) 8 (100.0) 36 (100.0) 1 (100.0) 84 (100.0)
*その他の職員(一般職員等)には、医師等の専門職も含まれる
生存 死亡 全体
(N=84)
男(n=39) 女(n=8) 男(n=36) 女(n=1) 266 休暇等の取得状況について
図表1-6-1に、休暇などの取得状況の全 84 件を示した。休暇は、発症前1か月から
6か月までの各月について日、時、分の記録があった。記載が時間単位のもの、日単位のも
のがあり、基本集計として実際のデータを示すにとどめた。
休暇の記載がないものが 26 件(31.0%)あった。休暇の回数については、入手した資料
からは正確に算定できなかった。 27図表1-6-1 休暇等の取得状況について(注記)
(注記)表中の網掛け(空白)は公務災害認定理由書等に該当する期間における休暇取得の有無の情報が確認で
きなかった(記載なし)ものである。
発症 発症 発症 発症 発症日時間分 日時間
分 日時間
分 日時間
分 日時間
分 日時間分1 2.5 0.5
2 0 0 0
3 0 0 0
4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 4 0 0 0 0 0
5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 0 0
6 1 0 0 0 5 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
7 0 0 0
8 0 0 0
9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4 0 0 0 0 0 0 0101112 113 0 0 0 2 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 01415
16 0 6 0 1 1 0 1 6 0 3 0 0 0 0 0 1 4 01718 0 0 0 4 0 0 0 6 0 0 0 0 1 0 0 5 2 0
19 0 0 0 0 4 0 10 9 0 0 26 0 0 6 0 0 0 0
20 0 5 45 0 0 0 0 3 0 0 2 0 1 0 0 0 3 0
21 1 3 0
22 2 0 0 1 0 0 1 3 0 1 0 0 2 0 0 0 0 0
23 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 8 0
24 1 7 0 1 10 0 0 5 0
25 1 1 0 1 5 0 2 7 0 1 5 0 1 3 0 0 8 0
26 0 0 0 0 2 0
27 3 4 0 2 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0
28 6 4 0 0 3 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0
29 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
30 4 0 03132 2 0 0 2 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 03334 0 4 0 0 4 0 0 4 0 1 3 0 1 1 0 1 5 0
35 0 27.5 0 0 26.5 0 0 19.5 0 0 4 0 0 11.5 0 0 19.5 0
36 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 3 0 0 2 3 0
37 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0
38 2 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0
39 2 0 0 1 3 0 1 3 0 1 7 0 1 4 0 0 5 0
40 0 0 0 0 3 0 0 1 0 0 5 0 0 2 0 4 0 0
41 2 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 04243 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
44 0 0 0 2 0 0 0 5 0 2 2 0 1 0 0 1 0 0
45 0 6 0 3 0 0 1 1 0 0 1 0 0 11 0 0 3 0
46 1 0 0 4 0 0 0 3 0 0 0 0 1 2 15
47 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 7 0
48 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
49 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 45 0 0 0 0 0 0
50 0 2 0 2 2 0 0 7 0 0 4 0 0 12 0 0 7 0
51 2 0 0 1 0 0 1 8 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0
52 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0
53 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
54 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
55 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
56 0 0 0
57 1 0 0 0.55859 5 0 0 0 0 0 1 0 0 1 4 0 0 0 0 2 4 0
60 2 0 0 0 0 0 2.5 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0
61 0 0 0
62 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
63 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 06465 0 7 0 0 6 0 0 4 0 10 0 0 1 0 0 0 0 0
66 4.5 0 0 3.5 0 0 2.5 4 0 2.5 2 0 1.5 0 0 3.5 0 0
67 0 2 0 2 0 0 1 0 0 0 4 0 0 0 0 0 3 0
68 0.5 0 0 5 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
69 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0
70 0 12 0
71 2 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 1 5 0 1 4 07273 0 6 07475 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
76 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
77 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 0 0 0 07879 0 0 0 4 6 0 2 0 0 2 5 0 1 11 0 0 4 0
80 0 3 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0
81 1 5 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
82 2 4 0 0 7 0 0 12 0 0 13 0 1 7 0 1 9 158384 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 0 0 1 0 0 0 4 0
休暇の取得状況
発症前6か月
事例No 28
7 健康診断、面接指導、既往歴について
図表1-7-1、図表1-7-2に健康診断、面接指導、既往歴について公務災害認定理
由書等より読み取ることができた情報を示した。
定期健康診断については、被災前に受けていた割合は9割以上(92.9%)であった。男性
は 92%が受診し、女性は 100%であった。受診していない事案は男性では4件であった。
長時間労働者への医師による面接指導実施状況については、
認定に際し、
被災直前の長時
間労働により認定基準に該当していれば、面接指導の有無を確認する必要がないことから
公務災害認定理由書に記載がなかったものは 83 件(98.8%)であった。一般的に、公務職
場においては 100 時間以上の時間外労働を行った職員への医師面接を制度化している地方
公共団体も多いが、今回の事案 84 件はそれ以前の被災者が含まれていることもあり、認定
理由書からはどの程度医師面接を受けているかについては判明できない。
なお、
図表0-1
に示した「ウ 「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」の実施及び公
務起因性判断のための調査事項について(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 240 号)
」の
別添2「心・血管疾患及び脳血管疾患の認定調査票」には、過重労働者への医師面接の実施
の有無について調査する項目は含まれていないため、
今回の調査においては、
過重労働者へ
の医師面接の実態は明らかにならなかった。
既往歴について、ありと記載のあったものは、64 件(76.2%)であった。既往歴について
は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症など、脳血管疾患、心・血管疾患の発症のリスクファク
ターとなる基礎疾患などについて今回の資料に記載されている情報もあり、今後のデータ
ベース化、分析などが期待される。 29図表1-7-1 健康診断、面接指導の実施状況、既往歴の有無
男性 女性 全体
n (%) n (%) n (%)
健康診断
あり 69 (92.0) 9 (100.0) 78 (92.9)
なし 4 (5.3) 0 (0.0) 4 (4.8)
記載なし/不明 2 (2.7) 0 (0.0) 2 (2.4)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)
面接指導
あり 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
なし 1 (1.3) 0 (0.0) 1 (1.2)
記載なし/不明 74 (98.7) 9 (100.0) 83 (98.8)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)
既往歴
あり 58 (77.3) 6 (66.7) 64 (76.2)
なし 17 (22.7) 3 (33.3) 20 (23.8)
記載なし/不明 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 75 (100) 9 (100) 84 (100)694201745817099630 20 40 60 80 100
健康診断 あり
健康診断 なし
健康診断 記載なし/不明
面接指導 あり
面接指導 なし
面接指導 記載なし/不明
既往歴 あり
既往歴 なし
既往歴 記載なし/不明
図表1-7-2 健康診断、面接指導の実施状況、
既往歴の有無
男性 女性 308 職務従事状況(強度の精神的、肉体的過重性が認められる場合)
図表1-8-1、図表1-8-2に、職務従事状況(強度の精神的、肉体的過重性が認め
られる場合)(注記)に関して、公務災害認定理由書等の記載から確認されたものを示した。認定
要件のいずれにも明確に当てはまらない記述については不明としてカウントした。
なお、図表に示したカウント数は重複事案があり、総計で 84 件を超えた。
異常な出来事・突発的な事態への遭遇により発症としたと判断された事案は4件
(4.8%,
4/84)であった。
日常の職務に比較して特に過重な職務
(長時間の時間外労働)
であったと判断された事案
は 67 件(79.8%, 67/84)であった。長時間の時間外労働による認定が全体の8割を占めて
いたが、
そのうち、
時間数には反映されないものの自宅作業を行っていたことが認められた
事案が6件あった。女性の脳・心臓疾患の認定事案9件のうちすべてに、日常の職務に比較
して特に過重(長時間の時間外労働)な業務があったと認められた。
事案の 18 件(21.4%, 18/84)に精神的緊張を伴う職務が認定事由としてあげられてい
た。うち、男性が 16 件(19.0%, 16/84)であった。
異常な出来事・突発的事態や時間外労働、
認定要件における評価要因等が公務災害認定理
由書等に記載されているが、
職務従事状況が総合的に評価されて強度の精神的、
肉体的過重
性が認められるとされたものは 14 件(16.7%, 14/84)あり、すべて男性であった。
(注記) 職務従事状況(強度の精神的、肉体的過重性が認められる場合)には、不規則な勤務や
拘束時間の長い勤務、出張の多い勤務、交代勤務・深夜勤務、精神的緊張を伴う業務等の
職務従事状況について、が含まれる。図表0-1に示した「イ 心・血管疾患及び脳血管
疾患の公務上災害の認定について(平成 13 年 12 月 12 日付け地基補第 239 号)
」に記載
がある、以下の3の(1)から(4)について、調査が行われたものである。
1 「異常な出来事・突発的事態に遭遇したこと」
2 「通常の日常の職務に比較して特に過重な職務に従事したこと」
3 「次に掲げる職務従事状況等を評価要因」
(1) 交替制勤務職員の深夜勤務(22 時から翌朝5時までの勤務)中の頻回出動及び深夜勤務時間数の
著しい増加・仮眠時間の著しい減少等の職務従事状況
(2) 著しい騒音、寒暖差、頻回出張等不快、不健康な勤務環境下における職務従事状況
(3) 緊急呼出等公務の性質を有する出勤の状況
(4) 精神的緊張を伴う職務への従事状況(特に精神的緊張の程度が著しいと認められるものについて、
その実態を検討し、医学経験則に照らして評価すること。)
4 特に過重な職務等への従事状況の評価については、被災職員と職種、職、職務経験及び年齢等が同
程度の職員(以下「同種職員等」という。)にとっても、特に過重な精神的、肉体的負荷と認められ
るか否かについて客観的に行う必要がある。 31図表1-8-1過労死等事案(脳心疾患)における職務従事状況(注記)
(注記)公務災害認定理由書等に記載された過重な負荷要因として認定事由に記載された職務従事状況を集計した。事案数は
84 件であるが認定の事由となった負荷要因が複数ある事案があるため、合計で事案数(男性 75 件、女性9件、全体
84 件)を上回る。
決定時疾患名a) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
1.異常な出来事・突発的事態に遭遇 2 (5.1) 0 (0.0) 2 (5.6) 0 (0.0) 4 (4.8)
2.日常の職務に比較して特に過重な職務に従事
(長時間の時間外労働)
32 (82.1) 8 (100.0) 26 (72.2) 1 (100.0) 67 (79.8)
3.次に掲げる職務従事状況等を評価要因
(1)交替制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間 2 (5.1) 0 (0.0) 2 (5.6) 0 (0.0) 4 (4.8)
(2)不快、不健康な勤務環境下 1 (2.6) 0 (0.0) 1 (2.8) 0 (0.0) 2 (2.4)
(3)緊急呼出等公務の性質 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
(4)精神的緊張を伴う職務 9 (23.1) 2 (25.0) 7 (19.4) 0 (0.0) 18 (21.4)
4.その他* 6 (15.4) 0 (0.0) 8 (22.2) 0 (0.0) 14 (16.7)
合計 52 (133.3) 10 (125.0) 46 (127.8) 1 (100.0) 109 (129.8)
*「その他」異常な出来事・突発的事態や時間外労働、認定要件における評価要因等が公務災害認定理由書等に記載されているが、職務従事状況
が総合的に評価されて強度の精神的、肉体的過重性が認められるとされたもの
生存 死亡
全体
(N=84)
男(n=39) 女(n=8) 男(n=36) 女(n=1)4584201614920 20 40 60 80
異常な出来事・突発的事態
日常の職務に比較して特に過重
(長時間の時間外労働)
交代制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間
不快、不健康な執務環境下
緊急呼出等の公務の性質
精神的緊張を伴う職務
その他
図表1-8-2 過労死等事案(脳心疾患)における
職務従事状況
男性 女性 329 発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状況
図表1-9-1と図表1-9-2に、発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状況を
示した。
時間外労働時間は、発症前1か月単位で算出されたもの(図表1-9-1)と、発症前4
週間単位で算出されたもの(図表1-9-2)に分けて表示した。
時間外労働時間による過重性は、
「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定につ
いて」の実施及び「公務起因性判断のための調査事項について(平成 13 年 12 月 12 日付け
地基補第 240 号)
」において、
「通常の日常の職務に比較して特に過重な職務に従事したこ
と」が判断基準となっており、特に、発症前1か月前後の過重性の判断は、1発症前1か月
を超える、
過重で長時間に及び時間外労働
(発症日から起算して、
週当たり平均 25 時間(月当たり平均 100 時間)程度以上の連続)を行っていた場合と、2発症前1か月を超える、過
重で長時間に及び時間外労働(発症日から起算して、週当たり平均 20 時間(月当たり平均
80 時間)程度以上の連続)を行っていた場合が判断材料となっている。公務災害認定理由
書等には、発症前1か月の時間外労働の評価は、月単位と、週単位での記載の両方があり、
これらは合算できなかったため、2つの表に分けて示した。
発症前1か月間の時間外労働時間は、平均で 90.0 時間であり、最大は 192.0 時間であっ
た。発症前2か月間の時間外労働時間は、平均で 87.2 時間であり、最大は 205.8 時間であ
った。
発症前3か月〜6か月のそれぞれの時間外労働時間の平均値は、
発症前2か月の平均
値を超えなかった。
発症前4週間の時間外労働時間は、
平均で 84.7 時間であり、
最大は 154.0 時間であった。
発症前5週間〜8週間の時間外労働時間は、平均で 73.4 時間であり、最大は 171.3 時間で
あった。発症前9週間〜24 週間での4週間単位の時間外労働時間の平均値は、発症前5週
間〜8週間の平均値を超えなかった。 33図表1-9-1 発症前の概ね6か月間の時間外労働時間の状況
図表1-9-2 発症前の概ね 24 週間の時間外労働時間の状況
男性 女性 全体
n M n M n M
発症前1か月の時間外労働時間数
(n, M) 40 89.0 3 102.5 43 90.0
(Max) 192.0 114.4 192.0
発症前2か月の時間外労働時間数
(n, M) 36 86.8 2 94.0 38 87.2
(Max) 205.8 98.0 205.8
発症前3か月の時間外労働時間数
(n, M) 34 79.1 2 50.5 36 77.5
(Max) 145.0 65.0 145.0
発症前4か月の時間外労働時間数
(n, M) 32 72.1 2 61.5 34 71.5
(Max) 160.0 75.0 160.0
発症前5か月の時間外労働時間数
(n, M) 32 79.8 2 81.0 34 79.9
(Max) 162.5 94.0 162.5
発症前6か月の時間外労働時間数
(n, M) 31 73.5 2 82.5 33 74.0
(Max) 155.0 100.0 155.0
事例数 40 3 43
*n=件数、M=平均値(時間)、Max=最大値(時間)
男性 女性 全体
発症前4週間の時間外労働時間数
(n, M) 31 84.0 6 88.3 37 84.7
(Max) 138.2 154.0 154.0
発症前5〜8週間の時間外労働時間数
(n, M) 30 70.5 5 90.9 35 73.4
(Max) 171.3 100.6 171.3
発症前9〜12週間の時間外労働時間数
(n, M) 29 65.2 4 65.6 33 65.3
(Max) 116.0 118.5 118.5
発症前13〜16週間の時間外労働時間数
(n, M) 28 66.3 4 34.0 32 62.2
(Max) 139.4 108.0 139.4
発症前17〜20週間の時間外労働時間数
(n, M) 28 58.5 4 44.7 32 56.7
(Max) 132.5 132.0 132.5
発症前21〜24週間の時間外労働時間数
(n, M) 28 66.3 3 39.0 31 63.6
(Max) 146.1 102.3 146.1
事例数 31 6 37
*n=件数、M=平均値(時間)、Max=最大値(時間) 34(2)クロス集計結果(脳・心臓疾患)
10 決定時の疾患名と男女別・年齢別・職種別のクロス集計
図表1-10-1から図表1-10-6まで、データベースを基にクロス集計を実施したも
のを示した。
疾患名と生存死亡・性別の脳・心臓疾患の該当状況のクロス集計結果から(図表1-10-1)、男性の死亡事案 36 件を疾患名でみると、くも膜下出血が最も多く 36 件中 10 件(約3
割弱)を占め、次に心筋梗塞、心停止(心臓性突然死を含む。
)の順であった。男性の生存
事案 39 件では、脳出血が最も多く 39 件中 15 件(約4割弱)を占め、くも膜下出血、脳梗
塞の順であった。女性の認定事案はすべて脳血管疾患であった。
職種と生存死亡・性別・年齢の脳・心臓疾患のクロス集計結果からは
(図表1-10-2)、男性の死亡事案は義務教育学校職員が 36 件中 11 件(3割)を占め最も多く、警察職員9
件、義務教育学校職員以外の学校職員8件と続いた。男性の生存事案は、その他の職員(一
般職員等)が最も多く 39 件中 18 件(約半数)を占め、警察職員、義務教育学校職員と続い
た。
脳・心臓疾患の発症に関する負荷要因と年齢のクロス集計結果
(図表1-10-3)
からは、
負荷要因として、
「日常の職務に比較して特に過重な業務(長時間労働)
」と「精神的緊張を
伴う職務への従事」が 40 歳代と 50 歳代に多く認められた。負荷要因と職種では(図表1-
10-4)
、長時間労働に加えて義務教育学校職員には精神的緊張、警察職員には深夜勤務・
仮眠時間と精神的緊張、その他の職員(一般職員等)には精神的緊張などが認定要件に該当
するとして記載されていた。
都道府県と性別・職種のクロス集計結果(図表1-10-5)では、それぞれの都道府県で
どのような職種が認定されているかの状況がわかった。
また、発症時性別・年齢・業種と決定時疾患名のクロス集計を1-10-6に示した。これ
により脳・心臓疾患で業務上認定された事案の性別、
職種の状況の詳細が明らかになった。
今後、データベースを活用して、目的としたクロス集計を実施することで、より目的に合
致した集計結果が得られると考えられるが、継続的に事案がデータベース化されることで、
現状の確認と対策の検討につながると考えられる。 35図表1-10-1 ×ばつ生存死亡・性別の脳・心臓疾患の該当状況
決定時疾患名a) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
1 心・血管疾患 9 (23.1) 0 (0.0) 20 (55.6) 0 (0.0) 29 (34.5)
(1)狭心症 1 (2.6) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (1.2)
(2)心筋梗塞 3 (7.7) 0 (0.0) 8 (22.2) 0 (0.0) 11 (13.1)
(3)心停止(心臓性突然死) 0 (0.0) 0 (0.0) 6 (16.7) 0 (0.0) 6 (7.1)
(4)重症の不整脈(心室細動) 3 (7.7) 0 (0.0) 1 (2.8) 0 (0.0) 4 (4.8)
(5)肺塞栓症 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
(6)大動脈瘤破裂 2 (5.1) 0 (0.0) 4 (11.1) 0 (0.0) 6 (7.1)
(7)その他の心疾患b) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (2.8) 0 (0.0) 1 (1.2)
2 脳血管疾患 30 (35.7) 8 (9.5) 16 (19.0) 1 (1.2) 55 (65.5)
(1)くも膜下出血 8 (20.5) 3 (37.5) 10 (27.8) 0 (0.0) 21 (25.0)
(2)脳出血 15 (38.5) 3 (37.5) 3 (8.3) 1 (100.0) 22 (26.2)
(3)脳梗塞 6 (15.4) 2 (25.0) 2 (5.6) 0 (0.0) 10 (11.9)
(4)高血圧脳症 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
(5)くも膜下出血、脳出血c) 1 (2.6) 0 (0.0) 1 (2.8) 0 (0.0) 2 (2.4)
合計 39 (100.0) 8 (100.0) 36 (100.0) 1 (100.0) 84 (100.0)
a) 疾患名はICD-10及び「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について(平成13年12月12日地基補
第239号)」によった
b) 「その他」には上記a)の疾患名は用いられていないが、脳心臓疾患として認定された診断名が含まれる(心不全等)
c)決定時疾患名が2つあったものは、どちらかに分けず、一つのカテゴリとした
女(n=1)
男(n=36)
女(n=8)
男(n=39)
全体
(N=84)
死亡
生存 36図表1-10-2 ×ばつ性別・年齢別の事案数 a)29歳以下30-39歳40-49歳50-59歳60-69歳29歳以下30-39歳40-49歳50-59歳60-69歳
n n n n n n (%) n n n n n n (%)
脳心臓疾患 生存(発症時年齢)
義務教育学校職員 0 0 3 4 1 8 (20.5) 1 0 1 2 0 4 (50.0)
義務教育学校職員以外の教育職員 0 0 2 0 0 2 (5.1) 0 1 0 0 0 1 (12.5)
警察職員 0 2 2 7 0 11 (28.2) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
消防職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
電気・ガス・水道事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
運輸事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
清掃事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
船員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 0 2 8 5 3 18 (46.2) 0 1 1 1 0 3 (37.5)
全職種計 0 4 15 16 4 39 (100.0) 1 2 2 3 0 8 (100.0)
(%) (0.0) (10.3) (38.5) (41.0) (10.3) (100.0) (12.5) (25.0) (25.0) (37.5) (0.0) (100.0)
脳心臓疾患 死亡(死亡時年齢)
義務教育学校職員 1 2 5 3 0 11 (30.6) 0 0 0 1 0 1 (100.0)
義務教育学校職員以外の教育職員 0 2 2 4 0 8 (22.2) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
警察職員 0 4 2 3 0 9 (25.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
消防職員 1 0 2 0 0 3 (8.3) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
電気・ガス・水道事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
運輸事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
清掃事業職員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
船員 0 0 0 0 0 0 (0.0) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 0 0 3 2 0 5 (13.9) 0 0 0 0 0 0 (0.0)
全職種計 2 8 14 12 0 36 (100.0) 0 0 0 1 0 1 (100.0)
(%) (5.6) (22.2) (38.9) (33.3) (0.0) (100.0) (0.0) (0.0) (0.0) (100.0) (0.0) (100.0)
「発症時年齢」に基づく男性の死亡事案数の合計は、40-49歳代は15件、50-59歳代は11件である。「発症時年齢」に基づく男性の事案総数は、
40-49歳代は30件、50-59歳代は27件である(図表1-1-1)。
したがって、「死亡時年齢」に基づく男性の死亡事案数の合計は、40-49歳代は14件、50-59歳代は12件(本図表1-10-2に示す通り)であるが、
a) 生存事案は発症時の年齢、死亡事案は死亡時の年齢に基づく年齢別区分による。
男 女全年齢計全年齢計
なお、発症時年齢区分と死亡時年齢区分が異なる事案(男性、義務教育学校職員以外の教育職員、発症時40歳代、死亡時50歳代)が1件ある。 37図表1-10-3 ×ばつ職務従事状況(極度の精神的、肉体的過重性)
図表1-10-4 ×ばつ職務従事状況(極度の精神的、肉体的過重性)29歳以下30-39歳40-49歳50-59歳60-69歳全年齢計負荷要因* n n n n n n
1. 異常な出来事・突発的事態への遭遇 0 0 1 2 1 4
2. 日常の職務に比較して特に過重な業務(長時間労働) 2 13 25 24 3 67
3. 強度の精神的、肉体的過重性が認められる職務従事状況
(1)交替制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間 0 1 1 2 0 4
(2)不健康な勤務環境下 1 0 0 1 0 2
(3)緊急呼出等公務の性質 0 0 0 0 0 0
(4)精神的緊張を伴う職務への従事状況 0 0 9 9 0 18
4. その他 1 0 8 4 1 14
合計 4 14 44 42 5 109
*心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について(平成13年12月12日地基補第239号)の基準による分類
負荷要因*義務教育学校職員義務教育学校職員以外の教育職員警察職員消防職員その他の職員総計1. 異常な出来事・突発的事態への遭遇 0 0 1 1 2 4
2. 日常の職務に比較して特に過重な業務(長時間労働) 22 8 18 0 19 67
3. 強度の精神的、肉体的過重性が認められる職務従事状況
(1)交替制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間 0 0 4 0 0 4
(2)不健康な勤務環境下 0 0 1 1 0 2
(3)緊急呼出等公務の性質 0 0 0 0 0 0
(4)精神的緊張を伴う職務への従事状況 5 1 4 0 8 18
4. その他 4 3 1 2 4 14
合計 31 12 29 4 33 109
*心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について(平成13年12月12日地基補第239号)の基準による分類 38図表1-10-5 地方公共団体(都道府県別)×ばつ性別・職種の事案数
都道府県 義務教育学校職員義務教育学校職員以外の教育職員警察職員消防職員その他の職員(一般職員等)義務教育学校職員義務教育学校職員以外の教育職員警察職員消防職員その他の職員(一般職員等)総計北海道 1 1 2
青森県
岩手県
宮城県 1 1 2
秋田県
山形県
福島県 1 1 2
茨城県 1 1
栃木県 2 2
群馬県
埼玉県 1 1
千葉県 1 1 2 4
東京都 6 2 4 2 1 15
神奈川県 2 1 1 1 1 6
新潟県 1 1
富山県
石川県 1 1
福井県 2 2
山梨県
長野県 1 1
岐阜県
静岡県 1 1 2
愛知県 1 1
三重県 1 1 1 3
滋賀県 1 1 2
京都府 1 1 1 1 4
大阪府 3 1 1 5
兵庫県 1 2 1 1 5
奈良県 1 1
和歌山県 1 1
鳥取県 1 1
島根県 1 1
岡山県 1 1 1 3
広島県 2 2
山口県 1 1
徳島県
香川県
愛媛県 1 1
高知県 1 1
福岡県 1 1 2 4
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県 1 1
宮崎県 1 1
鹿児島県 2 2
沖縄県 1 1 2
合計 19 10 20 3 23 5 1 0 0 3 84
男 女 39図表1-10-6 発症時性別・年齢・業種と決定時疾患名*(上から全体 84 名、男性 75 名、女性9名)
<全体 n=84>
<男性 n=75>
<女性 n=9>
狭心症 心筋梗塞
心停止
(心臓性突然死を
含む。)
解離性
大動脈瘤
くも膜下出血
脳内出血
(脳出血)
脳梗塞
くも膜下出血
脳出血
その他 合計
n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
性別
男 1 (100.0) 11 (100.0) 6 (100.0) 4 (100.0) 6 (100.0) 18 (85.7) 18 (81.8) 8 (80.0) 2 (100.0) 1 (100.0) 75 (89.3)
女 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (14.3) 4 (18.2) 2 (20.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 9 (10.7)
合計 1 (100) 11 (100) 6 (100) 4 (100) 6 (100) 21 (100) 22 (100) 10 (100) 2 (100) 1 (100) 84 (100)
発症時年齢
20-29歳 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (4.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (100.0) 3 (3.6)
30-39歳 0 (0.0) 1 (9.1) 3 (50.0) 1 (25.0) 0 (0.0) 5 (23.8) 0 (0.0) 4 (40.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 14 (16.7)
40-49歳 1 (100.0) 5 (45.5) 1 (16.7) 1 (25.0) 2 (33.3) 10 (47.6) 7 (31.8) 4 (40.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 32 (38.1)
50-59歳 0 (0.0) 4 (36.4) 1 (16.7) 2 (50.0) 4 (66.7) 6 (28.6) 12 (54.5) 2 (20.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 31 (36.9)
60-69歳 0 (0.0) 1 (9.1) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (9.1) 0 (0.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 4 (4.8)
合計 1 (100.0) 11 (100.0) 6 (100.0) 4 (100.0) 6 (100.0) 21 (100.0) 22 (100.0) 10 (100.0) 2 (100.0) 1 (100.0) 84 (100.0)
業種(大分類)
義務教育学校職員 0 (0.0) 2 (18.2) 3 (50.0) 0 (0.0) 3 (50.0) 7 (33.3) 7 (31.8) 2 (20.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 24 (28.6)
義務教育学校職員以外の教育職員 1 (100.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (9.5) 2 (9.1) 2 (20.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 11 (13.1)
警察職員 0 (0.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 1 (25.0) 1 (16.7) 7 (33.3) 5 (22.7) 2 (20.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 20 (23.8)
消防職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (4.8) 0 (0.0) 1 (10.0) 0 (0.0) 1 (100.0) 3 (3.6)
電気・ガス・水道事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
運輸事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
清掃事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
船員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 0 (0.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 3 (75.0) 2 (33.3) 4 (19.0) 8 (36.4) 3 (30.0) 2 (100.0) 0 (0.0) 26 (31.0)
合計 1 (100.0) 11 (100.0) 6 (100.0) 4 (100.0) 6 (100.0) 21 (100.0) 22 (100.0) 10 (100.0) 2 (100.0) 1 (100.0) 84 (100.0)
a)発症時年齢区分は、発症時の年齢に基づく
重症の不整脈
(心室細動)
狭心症 心筋梗塞
心停止
(心臓性突然死を
含む。)
解離性
大動脈瘤
くも膜下出血
脳内出血
(脳出血)
脳梗塞
くも膜下出血
脳出血
その他 合計
n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
発症時年齢
20-29歳 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (100.0) 2 (2.7)
30-39歳 0 (0.0) 1 (9.1) 3 (50.0) 1 (25.0) 0 (0.0) 5 (27.8) 0 (0.0) 2 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 12 (16.0)
40-49歳 1 (100.0) 5 (45.5) 1 (16.7) 1 (25.0) 2 (33.3) 9 (50.0) 6 (33.3) 4 (50.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 30 (40.0)
50-59歳 0 (0.0) 4 (36.4) 1 (16.7) 2 (50.0) 4 (66.7) 4 (22.2) 10 (55.6) 2 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 27 (36.0)
60-69歳 0 (0.0) 1 (9.1) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (11.1) 0 (0.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 4 (5.3)
合計 1 (100.0) 11 (100.0) 6 (100.0) 4 (100.0) 6 (100.0) 18 (100.0) 18 (100.0) 8 (100.0) 2 (100.0) 1 (100.0) 75 (100.0)
業種(大分類)
義務教育学校職員 0 (0.0) 2 (18.2) 3 (50.0) 0 (0.0) 3 (50.0) 5 (27.8) 4 (22.2) 2 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 19 (25.3)
義務教育学校職員以外の教育職員 1 (100.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (11.1) 2 (11.1) 1 (12.5) 0 (0.0) 0 (0.0) 10 (13.3)
警察職員 0 (0.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 1 (25.0) 1 (16.7) 7 (38.9) 5 (27.8) 2 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 20 (26.7)
消防職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (5.6) 0 (0.0) 1 (12.5) 0 (0.0) 1 (100.0) 3 (4.0)
電気・ガス・水道事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
運輸事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
清掃事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
船員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 0 (0.0) 3 (27.3) 1 (16.7) 3 (75.0) 2 (33.3) 3 (16.7) 7 (38.9) 2 (25.0) 2 (100.0) 0 (0.0) 23 (30.7)
合計 1 (100.0) 11 (100.0) 6 (100.0) 4 (100.0) 6 (100.0) 18 (100.0) 18 (100.0) 8 (100.0) 2 (100.0) 1 (100.0) 75 (100.0)
重症の不整脈
(心室細動)
狭心症 心筋梗塞
心停止
(心臓性突然死を
含む。)
解離性
大動脈瘤
くも膜下出血
脳内出血
(脳出血)
脳梗塞
くも膜下出血
脳出血
その他 合計
n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
発症時年齢
20-29歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (11.1)
30-39歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (100.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (22.2)
40-49歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (33.3) 1 (25.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (22.2)
50-59歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (66.7) 2 (50.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 4 (44.4)
60-69歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (100.0) 4 (100.0) 2 (100.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 9 (100.0)
業種(大分類)
義務教育学校職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 2 (66.7) 3 (75.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 5 (55.6)
義務教育学校職員以外の教育職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (11.1)
警察職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
消防職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
電気・ガス・水道事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
運輸事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
清掃事業職員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
船員 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
その他の職員(一般職員等) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 1 (33.3) 1 (25.0) 1 (50.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (33.3)
合計 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 3 (100.0) 4 (100.0) 2 (100.0) 0 (0.0) 0 (0.0) 9 (100.0)
重症の不整脈
(心室細動) 402 精神疾患
(1)基本集計結果(精神疾患・自殺)
1 被災者の性別、年齢(請求時、発症時、死亡時)
、決定時疾患名、既往歴
精神疾患等(精神疾患及び自殺)による公務災害の認定件数 106 件のうち、男性は 64 件
(60.4%)、女性は 42 件
(39.6%)
であった
(図表2-1-1)。このうち、
男性 27 件
(42.2%)、女性6件(14.3%)が自殺事案であった。
発症時年齢別にみると、男性では 29 歳以下から 50〜59 歳のすべての区分で 10 件以上と
なっており、女性では 30〜39 歳以下の区分で 10 件以上であった。男女総数では 29 歳以下
から 50〜59 歳のすべての区分で 20 件以上となっている。
なお、自殺事案については(図表2-1-1、図表2-1-2)
、男性で 13 件(48.1%)
が死亡時に 50〜59 歳であったのに対し、
女性では6件中5件が 39 歳以下の事案であった。
決定時疾患名については(図表2-1-1)
、男性では「気分[感情]障害(F3)
」が多く、
女性では「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
」が多かった。自殺
事案については(図表2-1-3.後述の「
(2)クロス集計結果」における図表2-5-
1も併せて参照のこと)
、男女を問わず全事案が F3 で公務災害と認定されていた。なお、精
神疾患の既往の有無については分析対象の資料からは不明の事案も多かったが、男女とも
に既往歴ありと判断される事案が数件みられた。 41図表2-1-1 被災者の性別、年齢、決定時疾患名、既往歴
n (%) n (%) n (%)
認定数(n) 64 (60.4) 42 (39.6) 106 (100)
請求時年齢(M, SD) 41.9 10.5 37.5 9.5 40.2 10.3
発病時年齢(M, SD) 41.6 10.2 36.6 9.5 39.6 10.2
29歳以下 11 (17.2) 13 (31.0) 24 (22.6)
30-39歳 16 (25.0) 17 (40.5) 33 (31.1)
40-49歳 18 (28.1) 7 (16.7) 25 (23.6)
50-59歳 19 (29.7) 5 (11.9) 24 (22.6)
60-69歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 64 (100) 42 (100) 106 (100)
死亡時年齢(M, SD) 45.6 8.8 34.8 12.0 43.6 10.2
29歳以下 1 (3.7) 2 (33.3) 3 (9.1)
30-39歳 7 (25.9) 3 (50.0) 10 (30.3)
40-49歳 6 (22.2) 0 (0.0) 6 (18.2)
50-59歳 13 (48.1) 1 (16.7) 14 (42.4)
60-69歳 0 (0.0) 0 (0.0) 0 (0.0)
合計 27 (100) 6 (100) 33 (100)
決定時疾患名 a)
F3(気分[感情]障害) 36 56.3% 12 28.6% 48 45.3%
- F32(うつ病エピソード) 33 51.6% 11 26.2% 44 41.5%
- F33(反復性うつ病性障害) 1 1.6% 0 0.0% 1 0.9%
F4(神経症性障害、ストレス関連障害及び
身体表現性障害)
26 40.6% 28 66.7% 54 50.9%
- F43(重度ストレス反応および適応障害)
-- F43.0(急性ストレス反応) 9 14.1% 10 23.8% 19 17.9%
-- F43.1(心的外傷後ストレス障害) 10 15.6% 4 9.5% 14 13.2%
-- F43.2(適応障害) 6 9.4% 2 4.8% 8 7.5%
- F45(身体表現性障害) 0 0.0% 1 2.4% 1 0.9%
その他 b) 3 4.7% 2 4.8% 5 4.7%
既往歴(精神疾患)
既往あり 4 6.3% 6 14.3% 10 9.4%
既往なし 49 76.6% 31 73.8% 80 75.5%
不詳・記載なし 11 17.2% 5 11.9% 16 15.1%
a) 複数の疾患に該当した重複事案を含む。
また、F3およびF4の行には下位コードについての記載がなかった事案が含まれる。
よって合計の事案数が認定数(n)と一致しない場合がある。
b) 「その他」に該当する事案には、ICD-10に基づかない疾患名が記載されていた事案が含まれる。
総数
男 女 42図表2-1-2 被災者の性・年齢の構成割合1116181901317750
0 10 20 30 40
19-29歳
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
精神疾患事案数
男性 女性17613023010
0 10 20 30 40
19-29歳
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
うち自殺事案数
男性 女性 43図表2-1-3 被災者の決定時疾患名(重複を含む)3319106362611104211228
0 20 40 60
F32: うつ病エピソード
F33: 反復性うつ病性障害
F43.0: 急性ストレス反応
F43.1: 心的外傷後ストレス障害
F43.2: 適応障害
F45: 身体表現性障害
F3計
F4計
精神疾患事案数
男性 女性260000027050000060
0 20 40 60
F32: うつ病エピソード
F33: 反復性うつ病性障害
F43.0: 急性ストレス反応
F43.1: 心的外傷後ストレス障害
F43.2: 適応障害
F45: 身体表現性障害
F3計
F4計
うち自殺事案数
男性 女性 442 都道府県及び市区町村等別の認定件数
都道府県及び市区町村等別の認定件数では(図表2-2-1)
、兵庫県が 11 件と最も多
く、他にも首都圏の都県、大阪府、福岡県など都市部で認定件数が多かった。その一方で、
対象期間中の公務災害認定事案がなかった地域も見られ、公務災害の対象となる職員総数
の違いは考慮しつつも、公務災害の認定状況には地域差が見られる可能性が示唆された。
なお、市区町村等については、脳・心臓疾患事案と同様に、その存する都道府県に計上し
た。 45図表2-2-1 都道府県別及び市区町村等別の認定件数
男 女 総数 男 女 総数
北海道 3 1 4 鳥取県 0 0 0
青森県 0 0 0 島根県 1 0 1
岩手県 3 3 6 岡山県 0 1 1
宮城県 3 1 4 広島県 1 0 1
秋田県 0 0 0 山口県 2 0 2
山形県 0 1 1 徳島県 1 0 1
福島県 4 0 4 香川県 0 1 1
茨城県 0 0 0 愛媛県 1 1 2
栃木県 2 0 2 高知県 0 0 0
群馬県 1 1 2 福岡県 8 1 9
埼玉県 2 3 5 佐賀県 0 0 0
千葉県 1 1 2 長崎県 2 0 2
東京都 3 3 6 熊本県 0 0 0
神奈川県 3 4 7 大分県 1 0 1
新潟県 1 1 2 宮崎県 0 2 2
富山県 0 0 0 鹿児島県 1 1 2
石川県 0 0 0 沖縄県 1 0 1
福井県 1 0 1 総計 64 42 106
山梨県 0 0 0
長野県 0 0 0
岐阜県 1 1 2
静岡県 1 2 3
愛知県 0 1 1
三重県 1 0 1
滋賀県 1 0 1
京都府 3 2 5
大阪府 4 5 9
兵庫県 6 5 11
奈良県 0 0 0
和歌山県 1 0 1 463 被災者の職種、出退勤の管理状況等及び業務負荷の類型(出来事)
認定件数 106 件の職種別の内訳を見ると(図表2-3-1)
、男女を問わず「その他の職
員(一般職員等)
」が多く、男女総数で 61 件(57.5%)が該当していた。次いで、男女とも
に「義務教育学校職員」が多く、男女総数で 21 件(19.8%)であり、以下、
「消防職員」9
件、
「義務教育学校職員以外の教育職員」及び「警察職員」が7件であった。
自殺事案については(図表2-3-2.後述の「
(2)クロス集計結果」における図表2
-5-2も併せて参照のこと)
、男性 27 件中 20 件(74.1%)が「その他の職員(一般職員等)」であった。女性では6件中3件が「義務教育学校職員」の事案であった。
なお、
「その他の職員
(一般職員等)」の多くは一般事務関係職であったが、
医師、
看護師、
保健師などの専門職も含まれていることに留意する必要がある。
業務負荷の類型(出来事)についてみると(図表2-3-1)
、男性では「仕事の量(勤
務時間の長さ)
」が最も多く 25 件(39.1%)が、女性では「異常な出来事への遭遇」が最も
多く 17 件(40.5%)が該当していた。次いで該当事案数が多かったのは、男性では「異常
な出来事への遭遇」が 20 件(31.3%)
、女性ではクレーム対応などを含めた「住民等との公
務上での関係」が 14 件(33.3%)であった。男女総数では「異常な出来事への遭遇」が最
も多く 37 件(34.9%)
、以下、
「仕事の量(勤務時間の長さ)
」が 30 件(28.3%)、「住民等
との公務上での関係」が 24 件(22.6%)、「対人関係等の職場環境」が 15 件(14.2%)の順
であった。
自殺事案については(図表2-3-3.後述の「
(2)クロス集計結果」における図表2
-5-3も併せて参照のこと)
、男性 27 件中 16 件(59.3%)が「仕事の量(勤務時間の長さ)」に該当していた。一方、女性では「仕事の量」に該当した事案は6件中1件で、ほか
4件は「住民等との公務上での関係」であった。
男女総数で最も該当事案数の多かった「異常な出来事への遭遇」については、看護師を中
心に医療機関などにおける暴力被害による精神疾患事案もみられたが、保育士については、
児童・生徒からの、もしくはその保護者からの暴力・暴言などに起因する精神疾患事案も多
かった。また、自然災害への遭遇に関連した事案もみられた。このように、公務災害事案の
中でも、職種などにより該当した出来事の内容には相違がみられることが示唆された。
自殺事案では、男性の自殺事案の約6割が「仕事の量(勤務時間の長さ)
」に該当してい
た。 47図表2-3-1 被災者の職種、出退勤の管理状況等及び業務負荷の類型(出来事)
n (%) n (%) n (%)
職種
義務教育学校職員 10 15.6% 11 26.2% 21 19.8%
義務教育学校職員以外の教育職員 3 4.7% 4 9.5% 7 6.6%
警察職員 5 7.8% 2 4.8% 7 6.6%
消防職員 9 14.1% 0 0.0% 9 8.5%
電気・ガス・水道事業職員 1 1.6% 0 0.0% 1 0.9%
運輸事業職員 0 - 0 - 0 -
清掃事業職員 0 - 0 - 0 -
船員 0 - 0 - 0 -
その他の職員(一般職員等) 36 56.3% 25 59.5% 61 57.5%
出退勤の管理状況
記載あり 11 17.2% 9 21.4% 20 18.9%
記載なし/不明 53 82.8% 33 78.6% 86 81.1%
健康診断
あり 45 70.3% 30 71.4% 75 70.8%
なし 2 3.1% 3 7.1% 5 4.7%
記載なし・不明 17 26.6% 9 21.4% 26 24.5%
面接指導
あり 1 1.6% 0 0.0% 1 0.9%
なし 1 1.6% 0 0.0% 1 0.9%
記載なし・不明 62 96.9% 42 100.0% 104 98.1%
業務負荷の類型(出来事) a)
1異常な出来事への遭遇 20 31.3% 17 40.5% 37 34.9%
2仕事の質・量
1. 仕事の内容 6 9.4% 1 2.4% 7 6.6%
2. 仕事の量(勤務時間の長さ) 25 39.1% 5 11.9% 30 28.3%
3. 勤務形態 0 - 0 - 0 -
3役割・地位等の変化
1. 異動 4 6.3% 0 0.0% 4 3.8%
2. 昇任 3 4.7% 0 0.0% 3 2.8%
4業務の執行体制 6 9.4% 2 4.8% 8 7.5%
5仕事の失敗、責任問題の発生・対応
1. 仕事の失敗 1 1.6% 1 2.4% 2 1.9%
2. 不祥事の発生と対処 3 4.7% 0 0.0% 3 2.8%
6対人関係等の職場環境 7 10.9% 8 19.0% 15 14.2%
7住民等との公務上での関係 10 15.6% 14 33.3% 24 22.6%
男(n=64) 女(n=42) 総数(n=106)
a) 複数の出来事に該当すると判断された事案が含まれるため、各列の該当した出来事の総計と認定数(n)
とは一致しない。 48図表2-3-2 被災者の職種の構成割合10359100036114200025
0 20 40 60 80
義務教育学校職員
義務教育学校職員以外の教育職員
警察職員
消防職員
電気・ガス・水道事業職員
運輸事業職員
清掃事業職員
船員
その他の職員(一般職員等)
精神疾患事案数
男性 女性42100002031100001
0 20 40 60 80
義務教育学校職員
義務教育学校職員以外の教育職員
警察職員
消防職員
電気・ガス・水道事業職員
運輸事業職員
清掃事業職員
船員
その他の職員(一般職員等)
うち自殺事案数
男性 女性 49図表2-3-3 被災者の経験した業務負荷、出来事(重複を含む)2062543613710171500210814
0 5 10 15 20 25
1. 異常な出来事
2-1. 仕事内容
2-2. 仕事の量
3-1. 異動
3-2. 昇任
4. 業務執行体制
5. 仕事の失敗
6. 不祥事
7. 対人関係等
8. 住民等との関係
精神疾患事案数(全数)
男(n=64)
女(n=42)151643313350010010024
0 5 10 15 20 25
1. 異常な出来事
2-1. 仕事内容
2-2. 仕事の量
3-1. 異動
3-2. 昇任
4. 業務執行体制
5. 仕事の失敗
6. 不祥事
7. 対人関係等
8. 住民等との関係
精神疾患事案数(うち自殺事案数のみ)
男 (n=27)
女 (n=6)
(件)
(件) 504 「仕事の量
(勤務時間の長さ)」による認定事案における発症前1〜6か月の休
暇等の取得状況及び時間外労働時間数
精神疾患等事案においては、認定基準における「異常な出来事への遭遇」に該当した事案
などで時間外労働時間数が不明の事案も多かったため、本研究において「仕事の量(勤務時
間の長さ)
」に該当すると判断した事案のみを対象とし、発症前1〜6か月の休暇等の取得
状況及び時間外労働時間数を算出した。解析資料に記載される発症日から起算した発症前
1か月の時間外労働時間数については、その1か月に勤務歴がなければ空白となる場合が
あるほか、発症時期がしろまる日まで、あるいは上旬(10 日)
、中旬(20 日)などと特定できる場
合と発症日を暦月の末日と考える場合がある。なお、参考資料としての位置づけながら、上
記の点に留意しつつ図表2-4-1を概観すると、全件について時間数が記載されていた
発症前1か月及び発症前2か月を含め、2か月以上連続して一月当たり 100 時間前後の時
間外労働を行っていた被災者も散見された。 51図表2-4-1 「仕事の量(勤務時間の長さ)
」による認定事案における発症前1
〜6か月の休暇等の取得状況及び時間外労働時間数
事案No.発症前1か月発症前2か月発症前3か月発症前4か月発症前5か月発症前6か月発症前1か月発症前2か月発症前3か月発症前4か月発症前5か月発症前6か月備考1 1.0 1.5 2.0 1.0 0.0 0.0 135.0 75.0 60.0 53.5 57.5 33.0 b)
2 5.5 0.0 0.0 0.0 1.1 0.1 72.1 105.5 136.9 127.9 128.1 57.2 b)
3 0.0 0.0 - - - - 152.1 204.0 - - - -
4 0.0 5.0 0.0 0.0 0.0 0.1 92.7 41.4 83.4 93.8 83.1 110.2 b)
5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 126.0 127.0 31.0 25.0 17.0 62.0 b)
6 0.1 0.5 0.5 0.0 0.0 0.5 68.5 142.1 105.0 6.0 0.0 3.3 b)
7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 140.0 105.0 60.0 45.0 40.0 40.0 b)
8 0.0 3.0 5.0 0.0 0.0 0.0 94.0 102.0 119.0 113.0 87.0 100.0 b)
9 0.6 0.0 0.0 1.0 0.0 0.6 55.5 152.8 192.0 43.5 3.8 11.0 b)
10 - - - - - - 39.7 89.7 131.8 71.9 61.6 5.1 b)
11 - - - - - - 155.0 173.0 89.7 71.7 4.3 29.3 b)
12 0.0 0.5 0.0 2.1 0.9 0.6 40.8 84.3 72.9 145.0 161.7 119.9 b)
13 0.3 0.0 0.8 0.8 1.5 1.0 62.8 103.1 40.7 41.1 44.7 31.5 b)
14 1.5 0.5 1.0 1.2 0.4 0.3 99.0 99.0 80.0 60.0 80.0 - b)
15 2.0 4.0 2.5 3.5 1.5 3.5 149.0 121.0 87.0 38.0 41.0 27.0
16 0.0 0.5 0.5 1.0 0.9 0.3 114.0 36.0 40.0 77.0 34.0 22.0
17 0.0 2.0 4.0 1.0 1.5 1.0 145.3 62.5 0.0 9.8 4.8 9.5
18 0.0 3.3 1.3 2.2 2.1 2.9 210.3 20.5 0.0 0.0 0.0 0.0
19 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 82.2 90.3 31.5 90.3 80.2 87.2 b)
20 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 66.5 101.0 95.3 96.5 86.8 59.5 b)
21 0.0 0.0 0.5 0.0 8.0 0.0 102.5 84.5 50.5 58.5 5.0 20.0
22 0.0 0.0 0.0 0.0 6.0 0.0 113.3 79.8 110.6 87.7 16.9 25.0
23 2.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 112.1 110.5 55.8 22.1 2.3 22.5
24 0.0 0.0 1.0 0.0 0.0 0.0 101.7 111.4 69.0 100.4 76.8 66.0
25 - - - - - - 124.4 77.1 82.4 71.8 88.6 -
26 0.0 0.0 1.0 1.0 2.0 0.3 124.7 60.3 9.3 12.5 - -
27 1.1 3.6 3.9 2.5 2.9 2.1 127.5 11.8 - - - -
28 1.0 1.1 0.3 1.3 1.0 - 97.5 40.4 16.5 6.0 33.0 42.7
29 2.3 0.0 0.0 0.4 6.0 0.0 96.8 74.4 92.1 95.3 16.3 30.4
30 1.0 0.1 0.4 0.3 0.0 0.3 97.3 119.0 159.5 67.0 55.0 132.5
a) 資料に記載されていた特別休暇および年次有給休暇等の日数・時間数を、8時間を1日として換算した場合の月当たりの日数。
ただし、 解析資料には発症日から起算した発症前1か月の休暇日数が記載されておらず、「発症前1か月」欄には発症した月の、
それ以前についても月当たりの休暇日数が記載されていた事案が多いことに留意する必要がある。
b) 資料には発症日から起算した発症前1か月の時間外労働時間数が明記されておらず、「発症前1か月」欄には発症した月の、
それ以前についても月当たりの時間外労働時間数が記載されていた事案。
なお、精神疾患については、発症日が明確でない(例:9月中旬頃に発症)事案も多く、解析資料から最終的な評価に使用されたと
判断された時間数を記載している。
休暇日数(単位:日) a) 時間外労働時間(単位:時間) 52(2)クロス集計結果(精神疾患・自殺)
生存・死亡(図表2-5-1〜図表2-5-3)
、年齢(図表2-5-4)
、及び職種(図
表2-5-5〜図表2-5-8)
の観点から、
クロス集計を実施した。
本項では、
上記「(1)
基本集計結果」において触れていない職種と業務負荷(出来事)のクロス集計結果を中心に
俯瞰する(図表2-5-6〜図表2-5-8)。図表2-5-6に示したように、事案数が 61 件と最も多かった「その他の職員(一般職
員等)
」では、
「仕事の量(勤務時間の長さ)
」に該当した事案が最も多く 25 件、次いで「異
常な出来事への遭遇」に該当した事案が 17 件であった。
「その他の職員(一般職員等)
」に
次いで事案数の多かった「義務教育学校職員」においては、21 件中 13 件が「住民等との公
務上での関係」に該当していた。
「義務教育学校職員以外の教育職員」及び「消防職員」で
は「異常な出来事への遭遇」が多く、特に「消防職員」では9件全てが「異常な出来事への
遭遇」に該当していた。
自殺事案についてみると(図表2-5-6、図表2-5-8)
、33 件中 21 件が「その他
の職員(一般職員等)
」であったが、21 件中 13 件が「仕事の量(勤務時間の長さ)
」に該当
した。次いで自殺事案数の多かった「義務教育学校職員」においても7件中3件は「仕事の
量(勤務時間の長さ)
」に該当していた。これらの職種を中心に、長時間労働と自殺との関
連を示唆する結果と考えられた。
なお、
「その他の職員(一般職員等)
」の多くは一般事務関係職員であったが、図表2-5
-7に示したとおり医師、看護師を含む専門職の者も多かった。医師は2件のみで、いずれ
も「仕事の量(勤務時間の長さ)
」で公務上認定されていたが、看護師では「異常な出来事
への遭遇」
、セクシュアルハラスメントを含む「対人関係等の職場環境」、「住民等との公務
上での関係」
に3件ずつ該当しており、
職種により認定要件を満たした出来事への該当状況
が異なることがうかがえた。また、看護師において患者及びその家族などからの暴力・暴言
による精神疾患の罹患が散見された。 53図表2-5-1 生存死亡・性別の精神疾患の該当状況
n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
F3(気分[感情]障害) 9 24.3% 6 16.7% 27 100.0% 6 100.0% 48 45.3%
F32(うつ病エピソード) 7 18.9% 6 16.7% 26 96.3% 5 83.3% 44 41.5%
F33(反復性うつ病性障害) 1 2.7% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.9%
F4(神経症性障害、ストレス関
連障害及び身体表現性障害)26 70.3% 28 77.8% 0 0.0% 0 0.0% 54 50.9%
F43(重度ストレス反応およ
び適応障害)
F43.0(急性ストレス反応)9 24.3% 10 27.8% 0 0.0% 0 0.0% 19 17.9%
F43.1(心的外傷後ストレ
ス障害)
10 27.0% 4 11.1% 0 0.0% 0 0.0% 14 13.2%
F43.2(適応障害) 6 16.2% 2 5.6% 0 0.0% 0 0.0% 8 7.5%
F45(身体表現性障害) 0 0.0% 1 2.8% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.9%
その他 3 8.1% 2 5.6% 0 0.0% 0 0.0% 5 4.7%
全体
(n=106)
a) 複数の疾患に該当した重複事案を含む。
b) F3およびF4の行には下位コードについての記載がなかった事案が含まれる。
よって合計の事案数が認定数(n)と一致しない場合がある。
c) 「その他」に該当する事案には、ICD-10に基づいていない疾患名が記載されていた事案が含まれる。
生存 死亡(自殺)
男(n=37) 女(n=36) 男(n=27) 女(n=6) 54図表2-5-2 生存死亡・職種・性・発症年齢別の事案数
29歳
以下
30-39歳 40-49歳 50-59歳
29歳
以下
30-39歳 40-49歳 50-59歳
n n n n n (%) n n n n n (%)
自殺・精神疾患全体
義務教育学校職員 1 0 6 3 10 15.6% 4 3 3 1 11 26.2%
義務教育学校職員
以外の教育職員
1 2 0 0 3 4.7% 0 1 1 2 4 9.5%
警察職員 0 2 1 2 5 7.8% 0 2 0 0 2 4.8%
消防職員 4 3 1 1 9 14.1% 0 0 0 0 0 0.0%
電気・ガス・水道事
業職員
0 0 1 0 1 1.6% 0 0 0 0 0 0.0%
運輸事業職員 - - - - - - - - - - - -
清掃事業職員 - - - - - - - - - - - -
船員 - - - - - - - - - - - -
その他の職員(一
般職員等)
5 9 9 13 36 56.3% 9 11 3 2 25 59.5%
全職種計 11 16 18 19 64 100% 13 17 7 5 42 100%
(%) 17.2% 25.0% 28.1% 29.7% 100% 31.0% 40.5% 16.7% 11.9% 100%
うち自殺
義務教育学校職員 0 0 3 1 4 14.8% 2 1 0 0 3 50.0%
義務教育学校職員
以外の教育職員
0 0 0 0 0 0.0% 0 0 0 1 1 16.7%
警察職員 0 0 0 2 2 7.4% 0 1 0 0 1 16.7%
消防職員 0 1 0 0 1 3.7% 0 0 0 0 0 0.0%
電気・ガス・水道事
業職員
0 0 0 0 0 0.0% 0 0 0 0 0 0.0%
運輸事業職員 - - - - - - - - - - - -
清掃事業職員 - - - - - - - - - - - -
船員 - - - - - - - - - - - -
その他の職員(一
般職員等)
1 6 4 9 20 74.1% 0 1 0 0 1 16.7%
全職種計 1 7 7 12 27 100% 2 3 0 1 6 100%
(%) 3.7% 25.9% 25.9% 44.4% 100% 33.3% 50.0% 0.0% 16.7% 100%
全年齢計
男 女
全年齢計 55図表2-5-3 生存死亡・性別の業務負荷(出来事)の該当状況
業務負荷(出来事)の類型 n (%) n (%) n (%) n (%) n (%)
1異常な出来事への遭遇19 51.4% 17 47.2% 1 3.7% 0 0.0% 37 34.9%
2仕事の質・量 1. 仕事の内容 1 2.7% 1 2.8% 5 18.5% 0 0.0% 7 6.6%
2. 仕事の量(勤務時
間の長さ)
9 24.3% 4 11.1% 16 59.3% 1 16.7% 30 28.3%
3. 勤務形態 - - - - - - - - - -
3役割・地位等の変化 1. 異動 0 0.0% 0 0.0% 4 14.8% 0 0.0% 4 3.8%
2. 昇任 0 0.0% 0 0.0% 3 11.1% 0 0.0% 3 2.8%
4業務の執行体制 3 8.1% 1 2.8% 3 11.1% 1 16.7% 8 7.5%
5仕事の失敗、責任問
題の発生・対応
1. 仕事の失敗 0 0.0% 1 2.8% 1 3.7% 0 0.0% 2 1.9%
2. 不祥事の発生と
対処
0 0.0% 0 0.0% 3 11.1% 0 0.0% 3 2.8%
6対人関係等の職場環境4 10.8% 6 16.7% 3 11.1% 2 33.3% 15 14.2%
7住民等との公務上で
の関係
5 13.5% 10 27.8% 5 18.5% 4 66.7% 24 22.6%
a) 複数の出来事に該当すると判断された事案が含まれるため、各列の該当した出来事の総計と認定数(n)とは一致しない。
全体
(N=106)
生存 死亡(自殺)
男(N=37) 女(N=36) 男(N=27) 女(N=6) 56図表2-5-4 年齢別の決定時疾患名の該当状況
29歳以下 30-39歳 40-49歳 50-59歳 計
F3(気分[感情]障害) 4 17 11 16 48
F32(うつ病エピソード) 3 16 10 15 44
F33(反復性うつ病性障害) 0 0 1 0 1
F4(神経症性障害、ストレス関
連障害及び身体表現性障害)18 15 13 8 54
F43(重度ストレス反応およ
び適応障害)
F43.0(急性ストレス反応)7 6 4 2 19
F43.1(心的外傷後ストレ
ス障害)
6 2 2 4 14
F43.2(適応障害) 1 3 2 2 8
F45(身体表現性障害) 1 0 0 0 1
その他 2 2 1 0 5
認定数(n) 24 33 25 24 106
a) 複数の疾患に該当した重複事案を含む。
b) F3およびF4の行には下位コードについての記載がなかった事案が含まれる。
よって合計の事案数が認定数(n)と一致しない場合がある。
c) 「その他」に該当する事案には、ICD-10に基づいていない疾患名が記載されていた事案が含まれる。 57図表2-5-5 職種別の精神疾患の該当状況義務教育学校職員義務教育学校職員以外の教育職員警察職員消防職員電気・ガス・水道事業職員運輸事業職員清掃事業職員船員その他の職員(一般職員等)全職種計
F3(気分[感情]障害) 9 2 5 2 0 - - - 30 48
F32(うつ病エピソード) 8 2 5 2 0 - - - 27 44
F33(反復性うつ病性障害) 0 0 0 0 0 - - - 1 1
F4(神経症性障害、ストレス関
連障害及び身体表現性障害)10 5 1 7 1 - - - 30 54
F43(重度ストレス反応およ
び適応障害)
F43.0(急性ストレス反応)5 0 1 2 0 - - - 11 19
F43.1(心的外傷後ストレ
ス障害)
2 1 0 7 0 - - - 4 14
F43.2(適応障害) 2 1 0 0 0 - - - 5 8
F45(身体表現性障害) 0 0 0 0 0 - - - 1 1
その他 2 1 1 0 0 - - - 1 5
認定数(n) 21 7 7 9 1 - - - 61 106
a) 複数の疾患に該当した重複事案を含む。
b) F3およびF4の行には下位コードについての記載がなかった事案が含まれる。
よって合計の事案数が認定数(n)と一致しない場合がある。
c) 「その他」に該当する事案には、ICD-10に基づいていない疾患名が記載されていた事案が含まれる。 58図表2-5-6 職種別の業務負荷(出来事)の該当状況
業務負荷(出来事)の類型義務教育学校職員義務教育学校職員以外の教育職員警察職員消防職員電気・ガス・水道事業職員運輸事業職員清掃事業職員船員その他の職員(一般職員等)全職種計自殺・精神疾患全体
1異常な出来事への
遭遇
4 4 2 9 1 - - - 17 37
2仕事の質・量 1. 仕事の内容 0 0 2 0 0 - - - 5 7
2. 仕事の量
(勤務時間の長さ)
3 0 2 0 0 - - - 25 30
3. 勤務形態 - - - - - - - - - -
3役割・地位等の変化 1. 異動 1 0 0 0 0 - - - 3 4
2. 昇任 1 0 1 0 0 - - - 1 3
4業務の執行体制 1 0 0 0 0 - - - 7 8
5仕事の失敗、
責任問題の発生・対応
1. 仕事の失敗 0 0 0 1 0 - - - 1 2
2. 不祥事の発生
と対処
0 0 0 0 0 - - - 3 3
6対人関係等の
職場環境
2 3 3 0 0 - - - 7 15
7住民等との公務上
での関係
13 1 0 0 0 - - - 10 24
認定数(n) 21 7 7 9 1 - - - 61 106
うち自殺
1異常な出来事への
遭遇
0 0 0 1 0 - - - 0 1
2仕事の質・量 1. 仕事の内容 0 0 1 0 0 - - - 4 5
2. 仕事の量
(勤務時間の長さ)
3 0 1 0 0 - - - 13 17
3. 勤務形態 - - - - - - - - - -
3役割・地位等の変化 1. 異動 1 0 0 0 0 - - - 3 4
2. 昇任 1 0 1 0 0 - - - 1 3
4業務の執行体制 1 0 0 0 0 - - - 3 4
5仕事の失敗、
責任問題の発生・対応
1. 仕事の失敗 0 0 0 1 0 - - - 0 1
2. 不祥事の発生
と対処
0 0 0 0 0 - - - 3 3
6対人関係等の
職場環境
0 0 2 0 0 - - - 3 5
7住民等との公務上
での関係
5 1 0 0 0 - - - 3 9
認定数(n) 7 1 3 1 0 - - - 21 33
a) 複数の出来事に該当すると判断された事案が含まれるため、該当した出来事の総計と認定数(n)とは一致しない。 59図表2-5-7 「その他の職員(一般職員等)
」における医療福祉専門職等の業務
負荷(出来事)の該当状況(内数)
業務負荷(出来事)の類型その他の職員(一般職員等)計医師看護師保健師保母・保育士・社会福祉主事等
1異常な出来事への遭遇 17 0 3 2 2
2仕事の質・量 1. 仕事の内容 5 0 0 0 0
2. 仕事の量(勤務時間の長さ) 25 2 0 1 0
3. 勤務形態 - - - - -
3役割・地位等の変化 1. 異動 3 0 0 0 0
2. 昇任 1 0 0 0 0
4業務の執行体制 7 0 0 1 0
5仕事の失敗、責任問題の発生・対応 1. 仕事の失敗 1 0 0 0 1
2. 不祥事の発生と対処 3 0 0 0 0
6対人関係等の職場環境 7 0 3 0 0
7住民等との公務上での関係 10 0 3 1 1
認定数(n) 61 2 9 4 4
a) 複数の出来事に該当すると判断された事案が含まれるため、各列の該当した出来事の総計と認定数(n)とは一致しない。 60図表2-5-8 職種別に見た業務負荷・出来事(重複を含む)4429117302002523300713100010
0 5 10 15 20 25
義務教育学校職員(n=21)
義務教育学校職員以外の教育職員(n=7)
警察職員(n=7)
消防職員(n=9)
電気・ガス・水道職員(n=1)
その他の職員(一般職員等) (n=61)
精神疾患事案数
異常な出来事
仕事の量
対人関係等
住民等との関係0001003010013002003510003
0 5 10 15 20 25
義務教育学校職員(n=7)
義務教育学校職員以外の教育職員(n=1)
警察職員(n=3)
消防職員(n=1)
電気・ガス・水道職員(n=0)
その他の職員(一般職員等) (n=21)
うち自殺事案数
異常な出来事
仕事の量
対人関係等
住民等との関係
(件)
(件) 61D. 今後の課題
1.調査結果の俯瞰と実態解明への視点
今回の調査研究では、
「公務災害認定理由書」、「裁決書」、「判決文」の3種類の様式の資
料 190 件(脳・心臓疾患事案 84 件、精神疾患・自殺事案 106 件)を用いて、データベース
を作成し、
地方公務員の過労死等の実態の解明に迫る調査研究を行った。
過労死センターが
平成 27 年度労災疾病臨床研究事業「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働
安全衛生研究」
(研究代表者高橋正也)で実施した約5年分の労働災害認定事案の約 3,500
件のデータベースとはその数が大きく異なるが、地方公務員における約5年分の過労死等
のデータベースができたことで、実態解明につながる基礎情報が整理された意義は大きい。
これまで、基金は地方公務員の脳・心臓疾患、精神疾患の公務災害認定事案の統計データを
毎年公開してきたが、それらに加えて、新しい分析項目がまとめられたことは、今後の過労
死等研究においても重要な調査研究の位置づけとなった。
特に、
これまで報告される機会の
なかった決定時疾患名などが整理されたことで、地方公務員の過労死等の現状を示す新し
いデータとなった。また、今回の調査報告書では平成 22 年1月から平成 27 年3月までの
期間における公務災害認定事案の基本集計及びクロス集計の結果を提示し、年齢、職種、性
別、認定事由などが整理された。これらの調査結果は、それぞれの指標における単位地方公
務員数当たりの率を算出することに役立ち、
都市部や地方、
職種間などでの比較研究が可能
となる。
2.公務災害認定理由書等の積極的活用
一方、今回の調査研究手法は、公務災害認定理由書等に記載された文章から、仕様書に記
載のある当該調査項目を読み取り、
データベースを作成し、
基本集計及びクロス集計の結果
を提示したものであった。従って、公務災害認定理由書等に記載されていない事象や、抽出
項目として設定した以外の情報については、データベース化が行われていない。例えば、過
重労働者に対する支援・協力等の実施状況については、法令・通達等で触れられている長時
間労働者への医師による面接指導が該当するが、
公務災害の認定に際し、
被災直前の長時間
労働により認定基準に該当していれば、面接指導の有無を確認する必要がないことから公
務災害認定理由書に記載がなく、面接指導の実施状況については記載なしが 83 件であった
(図表1-7-1)
。このほか、業務における過重な業務負荷により脳・心臓疾患や精神疾
患・自殺を発症するのを予防するために業務分担の見直しなど、
公務職場における過重労働
者に対する多層な支援・協力等は行われているはずであり、心・血管疾患及び脳血管疾患の
認定調査票等の記載の中に紛れている可能性のあるそれらの支援の実態等について、限ら
れた情報から読みとるような質的な調査が必要である。利用できる調査資料の利点と限界
を理解した上での、公務災害認定理由書等を活用した調査研究の継続が期待される。 623.今後の分析視点
今回のデータベースを活用した集計結果からは、
職種の切り口から教育職員、
警察職員、
消防職員、
その他の職員等が一定数被災していることが明らかとなり、
職種に対応する公務
に特徴的な経過が確認された。特に、精神疾患・自殺事案には、認定事由を判断する根拠と
して、「「精神疾患等の公務災害の認定について」の実施について(平成 24 年3月 16 日付け
地基補第 62 号)」の業務負荷の分析表があり、
7つの業務負荷の類型には公務に特徴的な業
務負荷が整理されている。
今回の調査分析では、
公務災害認定理由書等に記載されている業
務負荷の状況(累計)についての集計結果を図表2-3-1等に示したが、数値のみだけな
く、
その質的な特徴についてもより詳細に検討することで、
地方公務員の過労死等の実態だ
けでなく、過労死対策に有用な情報を把握することが可能となると思われる。
4.公務災害認定事案・労働災害認定事案の比較研究、公務外認定事案についての調査研究
への期待
今後、公務と民間の労働とで注目される視点、疾患名、性別、年代、生存死亡割合等に
ついて比較分析することで、公務特有の過労死等の実態がより明確になる可能性がある。
また、公務の中でも民間労働者と比較が難しい公務特有の働き方のある職種については、
その働き方の文脈にそって分析や対策が質的に検討されることで、今後、実態解明と予防
策の検討につながる資料となると思われる。一方で、公務災害認定事案はその認定数は労
働災害認定事案とは大きく数が異なることから、比較検討の際には適切な科学的手法を用
いて評価が必要である。
今回は公務上と認定された過労死等事案を対象としたが、申請されたが認定に至らなか
った事案(公務外認定事案)もある。公務外と認定された事案についても、脳・心臓疾患
の発症転機や精神疾患・自殺の実態などについて検討が行われることで、地方公務員の健
康を支援し、過労死等の発生リスクを低減させるための対策の検討が可能となると思われ
る。 63E. まとめ
本調査研究事業報告書は、平成 28 年度総務省「地方公務員の過労死等に係る公務災害認
定事案に関する調査研究事業の請負(調達番号 28-0049-0196)
」の仕様書に基づき、独立
行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センターが調査研
究・分析事業を実施し、取りまとめたものである。
総務省は、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)第8条第1項の規定に
基づく調査研究の実施にあたり、基金に対して、基金が保有する平成 22 年1月から平成 27
年3月までの期間における公務上と判断された公務災害認定理由書、
裁決書、
判決文 190 件
(脳・心臓疾患事案 84 件、精神疾患・自殺事案 106 件)及び関連資料の提供を依頼し、こ
れを受けて基金が総務省に提出した当該資料を本調査研究における調査分析資料とした。
基金より発出されている各種通知資料を参考とし、収集した公務災害認定理由書等を基に、
被災者の個人属性、
被災傷病名、
所属地方公共団体等名
(都道府県及び市区町村等)、職種、
健康診断の実施の有無、過重労働者に対する支援・協力等の有無、休暇等の取得状況、発症
前概ね6か月間の時間外労働時間、
強度の精神的・肉体的過重性が認められる職務従事状況
等の負荷要因の有無等について、データベース化を行った。また、データベースを用いて、
脳・心臓疾患、
精神疾患・
自殺事案について基本集計、
クロス集計を中心とした分析を行い、
報告書を取りまとめた。
本調査の対象期間中(約5年)の脳・心臓疾患による公務災害認定事案 84 件(うち死亡
事案 37 件(44%)
)のうち、心・血管疾患は 29 件、脳血管疾患は 55 件であった。脳・心臓
疾患全体では男性が9割(89.3%)、女性が1割(10.7%)であった。決定時疾患名は、心・血
管疾患は心筋梗塞 11 件、心停止(心臓性突然死を含む。
)6件、大動脈瘤破裂(解離性大動
脈瘤を含む。
)6件、重症の不整脈(心室細動等)4件、狭心症1件、その他の心・血管疾
患1件であった。肺塞栓症による認定事案はなかった。脳血管疾患は、脳出血 22 件、くも
膜下出血 21 件、脳梗塞 10 件で、高血圧性脳症はなかった。脳出血・くも膜下出血の両病名
がついた重複病名例が2例認められた。
所属地方公共団体等名別の認定件数の分布では、34都道府県で過労死等の認定事案があり、東京都が全体の 17.9%(15 件)を占め、13 県は事
案が無かった。職種別では、
「その他の職員(一般職員等)
」が最も多く 26 件(31.0%)
、義
務教育学校職員 24 件(28.6%)
、警察職員 20 件(23.8%)であった。死亡事案は義務教育
学校職員が生存事案と同数、
義務教育学校職員以外の教育職員、
消防職員で生存事案より多
かった。電気・ガス・水道事業職員、運輸事業職員、清掃事業職員、船員の認定事案はなか
った。認定事由として評価された職務従事状況は、「「異常な出来事・突発的事態に遭遇」が
4件、
「通常の日常の職務に比較して特に過重な職務に従事(長時間の長時間労働)
」が 67
件(全事案の約 8 割)であった。また、考慮された職務従事状況として、
「精神的緊張を伴
う職務」が 18 件、
「交替制勤務職員の深夜勤務・仮眠時間」は 4 件が該当した。発症前の概 64ね6か月間の時間外労働時間の状況についてもまとめた。
対象期間中の精神疾患・自殺による公務災害の認定事案 106 件(うち自殺事案 33 件)の
うち、男性は全体の約6割 64 件(64/106)
、自殺事案に限れば約8割 27 件(27/33)を占め
ていた。年齢別にみると、男女総数では 30〜39 歳が全事案数の約3割 33 件(33/106)を占
め最も多かった。決定時疾患名については、男性では「気分[感情]障害(F3)
」36 件が、女
性では「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
」28 件が多かったが、
自殺事案に限れば全事案 33 件が F3 で公務災害認定されていた。職種別では、男女を問わ
ず「その他の職員(一般職員等)
」61 件、次いで「義務教育学校職員」21 件が多く、自殺事
案についても同様の傾向がみられた。業務負荷(出来事)別では、男性では「仕事の量(勤
務時間の長さ)
」25 件に、女性では「異常な出来事への遭遇」17 件に該当した事案が最も多
かった。また、男性の自殺事案の約6割が「仕事の量(勤務時間の長さ)
」16 件(16/27)に
該当していた。
「仕事の量(勤務時間の長さ)
」に関連して、発症前1〜6か月の時間外労働
時間数については、事案により、暦月単位である場合と、発症時期が日まで、あるいは上旬
等と特定でき、その発症日を起算とする 30 日毎を算定単位とする場合の2種類があること
のほか、仮にその6か月のうちに勤務歴がない期間があればその1か月については空白に
なるなどといった留意点はあるものの、
「仕事の量(勤務時間の長さ)
」に該当した事案にお
いて数か月に渡り1か月当たり 100 時間前後の時間外労働を行っていた事案もみられた。
また、
職種により認定要件を満たした出来事への該当状況は大きく異なっていた。
事案数が
最も多かった「その他の職員(一般職員等)
」61 件では「仕事の量(勤務時間の長さ)
」25
件に該当した事案が多かった一方、
「義務教育学校職員」においては「住民等との公務上で
の関係」13 件に該当した事案が最も多く、このような傾向は自殺事案に限った場合におい
てもうかがわれた。
「消防職員」や「義務教育学校職員以外の教育職員」では「異常な出来
事への遭遇」が多い傾向がみられた。
なお、今回の調査研究手法は公務災害認定理由書等に記載された文章から当該調査項目
を読み取り、データベースを作成し、基本集計及びクロス集計の結果を提示した。従って、
公務災害認定理由書等に記載されていない事象や抽出項目として設定した以外の情報につ
いてはデータベース化されていない。
過重労働面談の実施状況等、
入手した資料からは十分
読み取れない情報もあることから、
今回提示したデータの結果を解釈する際には、
調査研究
手法を踏まえた解釈が必要である。
最後に、今回の分析では、過労死等として公務災害認定された事案の中には、公務に特徴
的な被災状況がみられたものもあり、
今後さらに掘り下げた事案分析を行うことで、
過労死
対策に有用なデータを得ることも可能となると思われる。 65 66
平成 28 年度「地方公務員の過労死等に係る公務災害認定事案に関する調査研
究事業」調査研究報告書
Research reports on compensated cases for overwork-related health disorders
"KAROSHI" among local public service personnel 2010-2014
March 2017
<連絡先>
〒214-8585 神奈川県川崎市多摩区長尾6-21-1
独立行政法人労働者健康安全機構
労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センター
TEL044-865-6111(代表) FAX044-871-8267
電子メールアドレス:yoshikawa@h.jniosh.johas.go.jp (担当 吉川徹)

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