1総務省 規制の事前評価書
(航空機給油時の静電気除去方法の簡素化)
所管部局課室名:消防庁危険物保安室
電話番号:03-5253-7524
e-mail: fdma.hoanshitsu@soumu.go.jp
評価実施時期:平成 27 年 10 月
1.規制の目的、内容及び必要性
(1)現状及び問題点
航空機の給油時には燃料が配管の中を流れることで配管との間に摩擦が生じ、
静電
気が発生する。この静電気が誘因となり、航空機に燃料を供給する給油ホース車又は
給油タンク車に貯蔵された燃料が着火し爆発する可能性があるため、
現行の消防法令
では航空機給油取扱所の給油設備が給油配管及び給油ホース車又は給油タンク車で
ある場合には、航空機給油取扱所に静電気を有効に除去するための接地電極を設け
(危険物の規制に関する規則(昭和 34 年総理府令第 55 号、以下「規則」という。)第 26 条第3項第6号へ及び同項第7号)、給油ホース車のホース機器又は給油タンク
車の給油設備(以下「給油設備等」という。
)を接地する(以下「アース」という。)とともに、給油設備等と航空機を電気的に接続すること(以下「ボンディング」とい
う。
)を義務づけ(規則第 40 条の3の7第5号)
、火災の危険性を低減しようとして
いる。
しかしながら、米国、欧州等の空港では、航空機給油時にボンディングにより電位
差を等しくすることにより安全性は確保されているとしてアースは行われておらず、
アースを行わないことを起因とする事故は報告されていない。また、米連邦航空局や
航空関係業界、
管轄消防署の代表者の立会いの下行われた米国の非営利団体の調査に
おいて、
アースを行わなくてもボンディングにより電位差を等しくすることで火災に
関する安全性は確保される旨の結果が報告されている。
上記を踏まえ、ボンディングが行われれば航空機給油時の静電気対策として安全性
に問題はないことから、アースに係る規定を削除し、併せて改正前の「接地導線」の
文言を「航空機と電気的に接続するための導線」に改める必要がある。
(2)規制の新設又は改廃の目的、内容及び必要性
1新設又は改廃の目的
ボンディングが行われていれば航空機給油時の静電気対策として安全性に問
題はないことから、アースに係る規定を削除し、給油に係る手順を簡略化するこ
とを目的とする。
2新設又は改廃の内容
航空機給油取扱所の給油設備が給油配管及び給油ホース車又は給油タンク車
である場合、航空機給油取扱所の接地電極の設置を義務づけないこととし、併せ
て、改正前の「接地導線」の文言を「航空機と電気的に接続するための導線」に
改め、接地導線がボンディングのためのものであることを規定する。 23新設又は改廃の必要性
ボンディングが行われていれば航空機給油時の静電気対策として安全性に問
題はないことから、アースに係る規定を削除し、改正前の「接地導線」がボンデ
ィングのためのものであることを規定することが必要である。
しろまる関連する主要な政策:
国民生活と安心・安全 政策 19「消防防災体制の充実強化」
しろまる法令の名称・関連条項とその内容
・危険物の規制に関する規則
(昭和 34 年総理府令第 55 号)
第 26 条第3項第6号ホ、
ヘ及び同項第7号(航空機給油取扱所の特例)
、第 26 条の2第3項第6号(船舶給
油取扱所の基準の特例)
、第 40 条の3の7第5号(航空機給油取扱所における取扱
いの基準)
2.規制の新設又は改廃案の規制の費用及び便益
(1)規制の費用
1遵守費用
改正規定の下では、
給油ホース車が設ける必要がある
「航空機と電気的に接続
するための導線」は、改正前の「接地導線」と性質としては異ならないものであ
り、
また、
アースに係る規定の削除についても接地電極の除去を要するものでは
ないため、新たな追加的費用は特段発生しないと考えられる。
2行政費用
「航空機と電気的に接続するための導線」は、改正前の「接地導線」と性質と
しては異ならないものであるため、
行政として新たに危険物施設等の検査確認を
行う必要はなく、また、アースに係る規定の削除に伴って新たな行政事務は発生
しないことから、行政費用は特段発生しないと考えられる。
3その他の社会的費用
航空機の給油時に発生する静電気が誘因となり燃料が着火し火災が発生する
危険性を回避するためアース及びボンディングに係る規定を設けていたが、
ボン
ディングが行われていれば航空機給油時の静電気対策として安全性が確保され
ることから、アースに係る規定を削除しても社会的費用は発生しない。
(2)規制の便益
1遵守便益
事業者等は、接地作業に係る手順を簡略化することができるという便益が生
じる。
2行政便益
アースに係る規定を削除し、給油に係る手順を簡略化したことにより、航空機 3給油取扱所を設置する際の行政による検査確認の手順の簡略化という便益が生
じる。
3その他の社会的便益
特になし。
3.政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
規制の見直しに伴い、新たな費用負担は特段発生しない一方、事業者は接地作業に
係る手順を簡略化することができ、
また航空機給油取扱所を設置する際行政も検査確
認の手順を簡略化することができるという便益が発生する。
以上を総合的に勘案する
と、当該規制の見直しは適切である。
4.規制の新設又は改廃案と代替案との比較
代替案なし。
(理由)
今回の規制内容は省令において規定されている手順の簡略化であるため、
代替案は
ない。
5.有識者の見解、評価に用いた資料その他関連事項
・NFPA407 Standard for Aircraft Fuel Servicing
米国州法が準拠している米国防火協会作成規格であり、米国において 1990 年
にNFPA407が改定され給油設備等の接地義務規定が削除されたこと及び接地によ
る火災の可能性について記載されている。
・CRC Report No.583
1993 年に、米国における航空燃料、環境等に係る調査を実施する非営利団体
による報告書であり、
アースを行わなくてもボンディングにより電位差を等しく
することで火災に関する安全性は確保される旨の結果が報告されている。
6.レビューを行う時期又は条件
当該規制の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じレビューを行う
ものとする。

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