1総務省 規制の事前評価書
(検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等の範囲の見直し)
所 管 部 局 課 室 名 : 消 防 庁 予 防 課
電 話: 03-5253-7523
評 価 年 月 日 : 平 成 2 4 年 1 2 月 2 1 日
1 規制の目的、内容及び必要性
(1)規制の改正の必要性(現状及び問題点)
消防法第21条の2第1項において、消防の用に供する機械器具等(以下「消防用機械器具
等」という。
)については、一定の形状や性能等を有していなければ火災の予防若しくは警戒、
消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれがあることから、そのような形状を
有することについてあらかじめ検査・確認しておく必要があると認められるものについて、検
定を行うこととされており、消防法施行令第37条では、その検定の対象となる消防用機械器
具等(以下「検定対象機械器具等」
)の範囲について規定している。
また、消防法第21条の16の2において、検定対象機械器具等以外の消防用機械器具等の
うち、一定の形状等を有していなければ火災の予防若しくは警戒、消火又は人命の救助等のた
めに重大な支障を生ずるおそれのあるものであっても、そのような形状等を有することについ
て必ずしもあらかじめ検査・確認の必要がなく、製造業者等の責任において一定の形状等の確
保を図ることとしても差し支え無いと認められるものについては自主表示対象機械器具等とし
ており、消防法施行令第41条で、その対象範囲について規定している。
なお、検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等については、総務省令で定める技術
上の規格に適合している旨の表示が付されているものでなければ、販売等を行ってはならない
こととされているものであり、これらを総務省令で定める技術上の規格に適合している旨の表
示を付さないで販売等を行った場合には罰則の対象となる。
これらの検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等について、平成22年5月に行わ
れた公益法人事業仕分けの結果を踏まえて、
「予防行政のあり方に関する検討会」
(委員長:平
野敏右 東京大学名誉教授)
において検討を行った結果、
自主検査を拡大するべきであること、
また、日本消防検定協会の鑑定業務が廃止されたことに伴い、従来鑑定の対象とされていた消
防用機械器具等についても、
一定の形状や性能等を有していなければ火災の予防若しくは警戒、
消火又は人命の救助等のために重大な支障を生ずるおそれがあるものについては、検定又は自
主表示の対象とするべきであるとの報告がされているところである。
(2)規制の改正の目的及び内容
【規制改正の目的】 2検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等の範囲の見直しを行う。
【規制改正の内容】
自主検査を拡大するべきとの指摘があることを踏まえて、主に消防機関が使用する「消防用
ホース」及び「差込式又はねじ式の結合金具」並びに建築物等の実態変化によりニーズが低下
している「漏電火災警報器」については、自主表示の対象品目に移行することとする。
また、近年、住宅防火対策の強化が火災予防行政の大きな課題となっている中、全住宅に設
置を義務付けている「住宅用防災警報器」を検定の対象品目に追加し、家庭に広く流通し、破
裂事故が頻発している「エアゾール式簡易消火具」を自主表示の対象品目に追加することとす
る。なお、今回の改正に併せて、消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具、漏電火災警報
器、住宅用防災警報器及びエアゾール式簡易消火具に係る技術上の規格を定める省令について
も必要な見直し(エアゾール式簡易消火具については新規制定)を行うほか、消防法施行規則
及び消火器用消火薬剤等の型式適合検定の手数料の額等を定める件についても所要の規定の整
備を行う。
2 規制の費用
(1)遵守費用について
1 消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具及び漏電火災警報器の検定対象機械器具等か
ら自主表示対象機械器具等への移行について
消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具及び漏電火災警報器が、自主表示対象機械器
具等に移行された後には、規格に適合しているかどうかについて検査を行い、当該検査に係
る記録を作成し、これを保存するための費用を新たに負担することとなるが、検定受検に係
る費用負担が軽減されること、これまで検定に合格できる品質を確保するために自社で一定
の検査を行っている場合が多いことが想定されることから、遵守費用については、検定受検
時に比べて軽減されると考えられる。
2 住宅用防災警報器の検定対象機械器具等への追加について
住宅用防災警報器の販売業者等は、新たに検定を受検することが必要になるため、検定の
受検に必要な費用を新たに負担することとなる。また、検定は、検定対象機械器具等の型式
に係る形状等が規格に適合しているかどうかについて試験を行い、当該試験の結果、規格に
適合していることが確認されたものについて総務大臣が承認を行う「型式承認」及び個々の
検定対象機械器具等の形状等が型式承認を受けた検定対象機械器具等の型式に係る形状等と
同一であるかどうかについて確認をする「型式適合検定」の2段階で行われ、それぞれの手
数料については、政令の施行までに日本消防検定協会において定められる予定である。
なお、全住宅に住宅用防災警報器の設置が義務付けられていることに鑑み、消防庁では、
これまで日本消防検定協会が行う鑑定に合格した住宅用防災警報器の設置を推進してきたこ
とから、
現行制度においても鑑定に合格した住宅用防災警報器が販売されている場合が多い。 3また、検定の手数料については鑑定の手数料を踏まえて設定されることが想定されることか
ら、鑑定に合格した住宅用防災警報器を販売している販売業者等の負担は限られたものにな
ると考えられる。現在、日本消防検定協会が行っている鑑定に係る手数料については以下の
とおりである。
・型式に係る試験の手数料 1件につき14万円
・個別鑑定の手数料 1個につき50円
3 エアゾール式簡易消火具の自主表示対象機械器具等への追加について
エアゾール式簡易消火具の販売業者等は、エアゾール式簡易消火具の形状等が規格に適合
しているかどうかについて検査を行い、当該検査に係る記録を作成し、これを保存するため
の費用を新たに負担することとなるが、現在もエアゾール式簡易消火具を製造・出荷するに
あたっては、品質を確保するために一定の検査を行っている場合が多いことが想定されるこ
とから、販売業者等の負担は限られたものになると考えられる。なお、販売業者等によって
検査に要する費用は異なると考えられるため、販売業者等の負担を定量化することは困難で
ある。
(2)行政費用について
消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具、漏電火災警報器、住宅用防災警報器及びエア
ゾール式簡易消火具の販売業者等に対する制度改正の周知・徹底など、改正後の制度の円滑な
施行に向けた準備に要する費用が発生する。
(3)その他の社会的費用
特段発生しない。
3 規制の便益
(1) 遵守便益
消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具及び漏電火災警報器については、検定対象機械
器具等から自主表示対象機械器具等に移行することで事業者の費用負担が大きく減少する。な
お、現在、日本消防検定協会が行っている検定に係る手数料については以下のとおりである。
しろまる消防用ホース(ゴム引き、呼称 40 を超えるもの)
・型式試験の手数料 1件につき3万4400円
・個別検定の手数料 1個につき110円
しろまる結合金具
・型式試験の手数料 1件につき2万100円
・個別検定の手数料 1個につき23円
しろまる漏電火災警報器
・型式試験の手数料 1件につき1万5200円
・個別検定の手数料 1個につき82円 4また、住宅用防災警報器を検定対象機械器具等に追加し、エアゾール式簡易消火具を自主表
示対象機械機器具等に追加することに伴い、販売業者等の製品への信頼性が向上する等の便益
も発生すると見込まれる。
(2)行政便益
住宅防災警報器及びエアゾール式簡易消火具については、それぞれ検定対象機械器具等及び
自主表示対象機械機器具等に追加することによって、住宅防火対策の実効性の向上等につなが
り、火災発生時の消防機関の活動の負担が軽減されると見込まれる。
(3)その他の社会的便益
住宅用防災警報器については、検定の対象とすることで、一定の質が担保されたものが設置
されることによって、住宅防火対策の実効性に向上に資するものと考えられる。さらに、エア
ゾール式簡易消火具についても、自主表示の対象とすることで一定の質が担保されたものが流
通し、破裂事故等の減少につながり、住宅防火対策の実効性の向上等に資すると考えられる。
4 政策評価の結果(費用と便益の関係の分析等)
消防用ホース、差込式又はねじ式の結合金具及び漏電火災警報器については、検定対象機械器
具等から自主表示対象機械機器具等に移行することで、上記のとおり、検定時に要していた費用
負担が軽減される。また、住宅防災警報器及びエアゾール式簡易消火具についても、上記のとお
り、それぞれ検定対象品目及び自主表示対象品目に追加することによる販売業者等の負担は最小
限に抑えられている一方で、住宅防火対策の実効性の向上等に資することから、今回の改正に伴
う費用は便益に見合ったものであり、今回の改正は適切かつ合理的なものであると考えられる。
5 有識者の見解その他関連事項
消防庁では、平成23年度に「予防行政のあり方に関する検討会」
(委員長:平野敏右 東京大
学名誉教授)において、検定対象機械器具等及び自主表示対象機械器具等の範囲の見直しについ
て検討を行い、平成23年12月に「
「今後の火災予防行政の基本的な方向について」を踏まえた
対応について(報告)
」が取りまとめられたところである。
なお、今回の改正は、
「予防行政のあり方に関する検討会」における検討内容を踏まえたもので
ある。
6 レビューを行う時期又は条件
今後の火災予防の実態を踏まえつつ、必要があると認められるときは、レビューを行うものと
する。

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