個室ビデオ店等に係る消防用設備等の基準改正

担当部局 総務省消防庁予防課 電話番号: 03‐5253‐7523 e‐mail: k.arakawa@soumu.go.jp
平成21年7月
法令の名称・関連条項とその内容
想定される代替案
(遵守費用)
(行政費用)
(その他の社会的費用)
特になし
特になし
便益の要素
規制の便益
規制の事前評価書(要旨)
規制の費用
規制の目的、内容及び必要性等
評価実施時期
政策の名称
費用の要素
【目 的】
平成20年10月に発生した大阪市浪速区個室ビデオ店火災を踏まえ、同様の被害を防止する観点から、個室ビデオ店等に係る消防用設備等の基準を改正
する。
【内 容】
ア 個室ビデオ店等に掲げる防火対象物の個室その他これに類する施設に煙感知器の設置を義務付ける。
イ 個室ビデオ店等のうち、ヘッドホン等を用いたサービスを提供する店舗について、当該サービスの提供中にあっても、自動火災報知設備の地区音響装置
及び非常警報設備の警報音が聞き取れるように措置することを義務付ける。
ウ 個室ビデオ店等に設置する受信機に再鳴動機能を義務付ける。
エ 個室ビデオ店等に設ける通路誘導灯にあっては、廊下及び通路の床面又はその直近の避難上有効な場所に設けること。ただし、消防庁長官が定める
ところにより蓄光式誘導標識が設けられている場合にあっては、この限りではない。
【必要性】
個室ビデオ店等はその構造や利用形態等から、火災による煙・熱が内部で急激に滞留しやすく、利用客が周囲の状況に気づきにくく、また、潜在的に逃げ遅
れによる人命危険性が大きいため、自動火災報知設備の機能を一部強化するとともに、避難経路における煙の滞留を想定した対策を進めることが必要であ
る。
消防法第17条、消防法施行令第21条及び第26条、消防法施行規則第23条・第24条・第25条の2・第28条の3
特になし
【遵守便益】
平成10年度〜平成19年度までの個室ビデオ店等における火災事例を分析すると、全国で336件の火災が発生しており、10名の死者及び89名の負傷者並び
に少なくとも10億2,754万円以上の物的損害が生じている。今回、煙感知器の設置、ヘッドホン等を利用するサービスに対応した火災警報システムの導入等を
義務付けることにより、これらの火災による被害の拡大を防止、特に何ものにも代え難い利用者の生命及び身体への損害を軽減することができる。
【行政便益】
個室ビデオ店等において、利用者の避難が速やかに行われることが期待できるため、火災発生時の消防機関の活動の負担が相当程度軽減されることとな
る。
ア 1店舗あたりの費用
【個室ビデオ・インターネットカフェ・テレフォンクラブ】
しろまる自動火災報知設備の改修 約2,104,000円程度 しろまる蓄光式誘導標識の新規設置 約66,000〜100,000円程度
【カラオケボックス】
しろまる自動火災報知設備の改修 約1,093,000円程度 しろまる蓄光式誘導標識の新規設置 約66,000〜100,000円程度
イ 全国ベースでの費用
【個室ビデオ・インターネットカフェ・テレフォンクラブ】
しろまる自動火災報知設備の改修費用 15億4430万円 しろまる蓄光式誘導標識の設置費用 4,800万円〜7,340万円
【カラオケボックス】
しろまる自動火災報知設備の改修費用 45億2070万円 しろまる蓄光式誘導標識の設置費用 2億7240万〜4億1270万円
備考
レビューを行う時期又は条件
有識者の見解その他関連事項
政策評価の結果
(費用と便益の関係の分析等)
「予防行政のあり方について(中間報告)〜大阪市浪速区個室ビデオ店火災を踏まえた防火安全対策〜」予防行政のあり方に関する検討会(委員長:平野敏
右千葉科学大学学長)
今後、個室ビデオ店等における自動火災報知設備や避難誘導システムの運用状況をみながら、必要があると認める場合には、レビューを行うものとする。
火災実験等の結果を踏まえれば、煙感知器を設置し、火災警報システムにより早期に火災発生を利用者に伝えて避難時間を確保した上で、煙の影響を受け
にくい下方に誘導灯・誘導標識等を設置することによって避難を支援することが火災時に利用者の生命及び身体を保護するために不可欠であると考えられる。
また、今回の規制改正に伴う防火対象物の関係者の負担は、設備の導入時に限られており恒常的に新たな負担が生ずるものではないことや、過去10年間に
おいて断続的に個室ビデオ等における火災が発生し、多数の負傷者・物的損害が発生しており、中には平成20年10月の大阪市個室ビデオ火災のようにきわめ
て限られた焼損面積で多数の死者を出す例も見られることから、これらの施設における防火対策が早急に対応すべきものであると考えられる。
以上のことを総合的に勘案すると、便益は費用に見合ったものであり、かつ、防火対象物の関係者がその費用を負担することについては、十分な合理性があ
ると考えられるため、今回の煙感知器の設置、ヘッドホン等を利用するサービスに対応した火災警報システムの導入等の義務付けに係る規制の改正は適切な
ものであると考えられる。

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